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健康

2024.12.27

高齢者が眠れない原因は?今日からできる対策方法を紹介

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不眠症は、特に高齢者に多く見られる健康問題の一つです。 加齢に伴う身体の変化や生活習慣、心理的な問題が複雑に絡み合い、睡眠の質や量が低下してしまうのです。この記事では、高齢者の不眠の主な原因について詳しく解説し、改善方法を紹介します。

眠れない高齢者が増えている?

加齢に伴う体の変化や生活習慣の影響により、不眠に悩む高齢者が増加しており、高齢者の約30〜50%が不眠症状を抱えていると言います。※
理想的な睡眠時間を確保できないと、心身の健康状態に影響するため、適切に対策しましょう。

参照:日本老年医学会 日本睡眠学会

高齢者の不眠の特徴

高齢者は加齢に伴い、睡眠の構造や体内時計に変化が起こることから、下記のような傾向が現れます。
・ 深い睡眠(ノンレム睡眠)の割合が減少し、眠りが浅くなる
・ 夜中に目が覚めやすくなる中途覚醒が増える
・ 睡眠のリズムが前進し、目覚める時間帯が早くなる
これらの変化は健康への影響を考慮するだけでなく、日常生活にも支障をきたす可能性があります。

参照:医療法人社団健徳会 吉田医院

高齢者の平均的な睡眠時間

高齢者の理想的な睡眠時間は6〜8時間とされていますが、実際には6〜6.5時間とされています。

若年層の7〜9時間と比較すると短い傾向にあるのは加齢によるものもあるので仕方ない部分もありますが、若年層と比較してかなり高い割合であり、高齢者の健康を脅かす大きな問題になっています。

特に、女性は男性に比べて、不眠になる割合が高い傾向にあると言われています。
これには、更年期を過ぎた後のホルモンバランスの変化や、ストレスの影響が関わっているとされています。

高齢者の不眠によって起こること

不眠が続くと、日中の眠気や注意力の低下により転倒や事故のリスクが増加したり、記憶力判断力の低下を招く可能性があります。
また、十分な睡眠が取れないことで免疫力が低下し感染症への抵抗力が弱まります。

高齢者が眠れない原因とは?

高齢者の不眠は、身体的・心理的・環境的な課題が絡み合うことで深刻になります。
老後の心身の健康に関わりますし、不眠が続く場合は医学的なアプローチが必要になる場合もあります。
以下の、不眠の原因となるもので当てはまるものはないかチェックしてみましょう。

加齢による睡眠リズムの変化

加齢とともに、体内時計が早朝にシフトする傾向があり、睡眠覚醒リズムが前進し、夜早く眠くなり早朝に目覚める傾向があります。
このリズムの乱れにより深い睡眠の割合が減少して睡眠の質が低下し、夜間にも何度も目覚めることも多くなります。

疾病や慢性疾患によるもの

高齢者は病気により睡眠障害になる例が多いです。
睡眠障害に関連する疾病や慢性疾患の特徴ついて紹介します。
<睡眠時無呼吸症候群(SAS)>
高齢者に多い睡眠障害の一つが、睡眠中に一時的に呼吸が停止する睡眠時無呼吸症候群です。
加齢や肥満により発症しやすいと言われており、いびきが多く日中に強い眠気を感じることが多いのが特徴です。
気道が閉塞することで呼吸が停止し、断続的に覚醒している状態になるため、心血管疾患や糖尿病などのリスクを高める可能性もあります。
<ストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)>
睡眠前に脚に不快感が生じる病気で、脚がむずむずするような、何か這うような感覚があります。
鉄分やビタミンD不足が原因とされることが多く、寝つきが悪くなって睡眠の質が低下します。
< 夜間行動障害(レム睡眠行動障害)>
夢を見ている間に大声を出したり、体を動かしてしまう睡眠障害です。
高齢者では神経変性疾患(パーキンソン病など)に該当することが多いです。
<夜間頻尿>
夜中にトイレに行く回数が増えることで、中途覚醒しやすくなり深い睡眠が取りづらくなります。
<痛みを伴う疾患によるもの>
関節リウマチや腰痛などの痛み、心不全や慢性閉塞性肺疾患(COPD)による呼吸困難で睡眠が中断されることがあります。

薬の副作用によるもの

高齢者が服用する薬の中には、睡眠障害を起こすと考えられる副作用があるものもあります。
例えば、降圧剤やステロイド、抗うつ薬、気管支拡張薬などは、睡眠の質を低下させるリスクがあります。

日中の活動不足や昼寝

高齢者が日中に十分な身体活動を行わない場合、夜間に眠りにつきにくくなります。
また、午後に1時間以上昼寝をすると、夜の睡眠が浅くなると言われています。

メンタルの不調

高齢者は、退職後の生活変化や、家族・友人の喪失などによりストレスを感じることがあります。
悩みや不安が重い場合、うつ病や軽度の抑うつ状態の症状として現れることがあります。

特に、抑うつにより、夜間の睡眠が部分的になり、朝早く目覚める「早朝覚醒」が多いと言われています。

環境によるもの

生活環境の騒音や照明が睡眠を妨げる場合があります。
硬すぎるベッドや古い布団などの身体に合わない寝具や、快適でない室温なども睡眠に影響します。

高齢者が眠れない時の対策は?

不眠を解消し、質の良い睡眠を取り戻すためには、生活習慣や環境の見直しが重要です。
睡眠の質を上げるためにできる具体的な方法を紹介します。

生活習慣の改善

深い睡眠を取るためには体内時計を整えることが大切です。
毎日同じ時間に置き、カーテンを開けて自然光を取り入れることで、睡眠と覚醒のリズムを調整できます。
また、趣味や運動で適度に体を動かすことも効果的です。

運動が難しい場合は、寝る前に軽いストレッチや深呼吸を行うことで、副交感神経が優位になってリラックスして眠りにつきやすくなります。
昼寝をする場合は、15〜30分程度に限り、午後3時以降は避けましょう。

寝室と入眠前の行動を改善

枕の高さを調整する、掛け布団を軽いものにするなど、寝具を見直したり、部屋の温度や湿度を過ごしやすい状態適切な室温(16〜20℃)と湿度(40〜60%)に保つようにしてみましょう。
睡眠中の刺激を避けるため、騒音が気になる場合は耳栓や遮音性の高いカーテンを使用するなどしましょう。

また、テレビやスマートフォンなどのブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、睡眠リズムを乱す可能性があるので、寝る直前は使用を控えた方がいいでしょう。
寝る前にラベンダーなどのアロマや、リラックス効果のある音楽を聞いてくつろぐのもおすすめです。

食事の内容に気を遣う

高齢者は、睡眠に関わるメラトニンの分泌量が減少し、眠気が起きにくくなると言われています。

この睡眠ホルモンであるメラトニンは、乳製品やバナナ、ナッツ類、鶏肉などに含まれるアミノ酸から生成されるため、日々の食事に取り入れてみましょう。
また、コーヒー紅茶、緑茶に含まれるカフェインは、覚醒作用があり、睡眠を阻害するため夕方以降は控えた方がいいでしょう。

眠気を誘うイメージのあるアルコールは、一時的なもので睡眠の質を低下させるので、不眠の症状に悩んでいる間は摂取を控えることをおすすめします。

医学的なアプローチを受ける

医師の指導のもと、必要に応じて就寝前に睡眠薬を服用するのも一つの方法です。
漢方薬は不眠の原因や体質に応じて処方されるため副作用が少なく、体に優しい治療法です。

中でも、ストレスやイライラの原因となる不眠に効果的な抑肝散や心身の疲労からくる不眠に適応する加味帰脾湯などが知られています。

また、睡眠に対する考え方や行動を改善する方法として、不眠症に特化した認知行動療法(CBT-I)というものがあるので、検討してみてもいいでしょう。

睡眠の質の改善のためにできることを今日から始めましょう

高齢者の不眠は、身体的・心理的・環境的な課題が絡み合うことで深刻になります。
適切な改善策を取り入れることで、睡眠の質を向上させることが可能です。

自分ができる範囲で睡眠環境の見直しや生活習慣の改善を心がけ、不眠が続き生活に支障が出る場合は、医師の診断と治療を受けましょう。

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