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お金のこと

2024.04.30

退職金制度とは?種類・相場・シミュレーション方法もご紹介

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老後の生活資金として、退職金を視野に入れている方は多いでしょう。
その退職金にも種類があります。

自分が退職する際にはどの方式で受け取れるのかご存知でしょうか。
また、この数十年で退職金制度にも変化が起こっています。

今回は、退職金制度について解説いたします。
退職金の現状を知り、老後のライフプランの参考にしてください。

退職金制度とは?
お金 相場
退職金制度とは、退職の際に、勤務していた企業より支払われる給付です。
正式には退職給付制度といい、賃金の一種と捉えられています。

日本では80%以上と、多くの企業が導入しています。
退職金制度で福利厚生の充実や安定性のイメージが強くなり、より優秀な人材を確保出来るメリットがあります。

しかし法的根拠はなく、あくまで企業の規定や慣習によるものです。
制度自体が無い企業も法律違反ではありません。

また、企業の経営状況などにより、金額や算出方法が変更される場合もあります。
近年では、制度を撤廃したり、受け取り方法を選択制にするなどの企業も増加しています。

加えて、全体的に退職金も減額傾向にあります。
厚生労働省の就労条件総合調査によると、大卒・大学院卒の退職金平均額は1997年には約3200万円でした。

しかし2017年には、約2000万円に下がっています。
ここ20年間で1000万円近く減額している事が分かります。


退職金制度の種類
金額
退職金制度の種類についてご紹介します。

退職一時金
確定給付企業年金
確定捻出型年金
中小企業退職金共済
前払い退職金制度
退職一時金
退職一時金とは、退職する際に、勤務していた企業より一括で支払われる給付です。
主に定年退職時に受け取りが可能なものが退職金です。

中には、中途で退職する場合にも受け取れる企業も存在します。
会社により規定は異なり、勤続年数や役職が金額に反映される場合が多いです。

確定給付企業年金
確定給付企業年金(DB)とは、企業を退職した後に一括ではなく、分割し、年金として受け取る退職金です。
確定給付企業年金法(2002年4月施工)に基づくもので、現在日本で最も多く採用されている企業年金です。

退職時の金額は、企業年金制度に加入した年数などにより、あらかじめ確定しています。
確定給付企業年金にも、以下の2種類があります。

規約型
基金型
規約型は、企業が掛け金を外部機関(信託会社や生命保険会社など)に委託し、運用をします。
基金型は、企業年金基金が掛け金を運用し、退職金の積み立てをします。

会社が別法人を作り、管理をしている場合が多いです。
いずれの場合も、企業が責任を負い、掛け金を運用します。

その為、従業員の退職時に金額がマイナスになっていた場合でも、企業が補填します。
また、運用については開示することが義務となっています。

退職一時金と確定給付企業年金、どちらか受け取り方法を選択ないし、併用する事が可能な企業も存在します。

企業年金に関しては以下もご覧ください。

企業年金と退職金の違いをわかりやすく解説!節税対策も紹介
第三人生編集部

確定拠出型年金
企業が掛け金を用意し、社員が運用する年金システムを指します。
社員が掛け金の責任を負い、運用する為、退職時の年金額は変動があります。

企業内で定められた運用商品から社員が運用方法を選択します。
企業からの掛け金は社員個人の資産となる為、運用後は企業の経営状況に関わらず、運営状況が知らされません。

また、転職の際に一定の条件を満たせば、ポータビリティー(積立金持ち運び)が可能です。

中小企業退職金共済
退職金を自力で準備する事が困難な中小企業に対して作られた、公的な制度です。
中退共と略されます。

退職金は金額も膨大で、また事務作業も多岐に渡る為、中小企業への負担は大きいです。
その為、中小企業からの掛け金の運用を中退共が行い、積み立てを行います。

企業が中退共と契約し、毎月の掛け金を払います。
掛け金については、企業の規模や従業員数などを踏まえ、選択出来ます。

また、事業主が従業員ごとに掛け金の金額を5千円~3万円まで設定できます。
社員の退職時には、基本退職金に加え、付加退職金が支払われる事例も存在します。

基本退職金とは、毎月の掛け金と月数を基にした基本的な給付です。
付加退職金とは、中退共に運用収入があった場合に通常の金額に足されます。

前払い退職金制度
退職金を給与やボーナスに上乗せし、勤続している間に受け取る物です。
日本では1998年にPanasonicが導入をし、有名になりました。

最近では、終身雇用の風習が薄れる中、企業と社員双方にメリットがあるとして採用企業も増えています。
企業には、退職金を一度に用意する負担がない事が利点です。

社員には、月々の給与の金額が上がる事、中途退職時にも既に退職金の一部を受け取れている、などの利点がります。
ただし、退職金ではなく給与とみなされる為、保険料が高くなることがネックです。


退職金制度の支給条件は?
老後資金
基本支給条件は企業ごとでそれぞれ異なります。
自分が勤める企業の制度の導入の有無や種類を知るには、就業規則や契約書を確認しましょう。

労働基準法89条では企業の就業規則に以下の点の記載を定めています。

退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

(なお、労働基準法では退職金を退職手当としています)
多くの企業が、勤続年数や役職、また営業成績などを支給条件に考慮しています。

また、退職の理由として以下の2つに区分されます。

自己都合
会社都合
自己都合とは、勤務する者が希望して退職する場合です。
転職や、家庭の事情などが当てはまり、大抵の事例はこちらに含まれます。

会社都合とは、勤務する者が退職を余儀なくされる場合です。
企業の倒産や人員整理によるリストラ、また最近ではハラスメント行為も含まれます。

一般的には、会社都合の場合のほうが、金額が多く支給される傾向にあります。


退職金制度の相場は?
お金
おおよその相場を以下に分け、表にしました。

大手企業(大学卒・高校卒)
中小企業(大学卒・高校卒)
退職金の相場【大手企業】
大学卒
勤続年数    自己都合    会社都合
5    64万円    120万円
10    192万円    315万円
15    421万円    605万円
20    810万円    975万円
25    1290万円    1470万円
30    1941万円    2112万円
高校卒
勤続年数    自己都合    会社都合
5    51万円    91万円
10    141万円    275万円
15    293万円    420万円
20    605万円    745万円
25    978万円    1130万円
30    1355万円    1528万円
退職金の相場【中小企業】
大学卒
勤続年数    自己都合    会社都合
5    45万円    63万円
10    115万円    152万円
15    225万円    290万円
20    381万円    457万円
25    561万円    646万円
30    780万円    855万円
高校卒
勤続年数    自己都合    会社都合
5    31万円    46万円
10    90万円    123万円
15    175万円    225万円
20    299万円    361万円
25    445万円    525万円
30    618万円    705万円
最終学歴により、退職金の金額が変化する事が分かります。
また、自己都合より会社都合の方が金額が多いです。

勤続年数が10年を超えると、大幅に金額がアップします。
退職金制度は、企業に貢献した慰労金の性格もあり、如実に表れています。

また定年退職時の退職金相場は以下の通りです。

大手企業・大卒…約2374万円
大手企業・高卒…約2047万円
中小企業・大卒…約1139万円
中小企業・高卒…約1083万円
しかし今後は、社会情勢や経済状況の変化により、平均値も大幅に変化すると見込まれています。


退職金の受け取り方
方法
退職金の受け取り方について、以下の種類別にご紹介します。

退職一時金制度
企業年金制度
退職一時金制度
退職時に一括で給付されます。
企業が決める受取日に、金融機関などに振り込まれます。

企業により時期はまちまちですが、だいたい退職月の翌月、若しくは翌々月が設定されています。

企業年金制度
退職してから一定期間、若しくは終身、分割して支払われます。
会社が定めた日程で、定期的に金融機関等に振り込まれます。

退職金と退職共済金の違い
退職金と退職共済金の違いについてご説明します。
退職金は、企業から直接給付されます。

退職共済金とは、企業が共済に加入し、共済を経て給付されます。
退職共済金は、前述した中小企業退職金共済(中退共)の他にも種類があります。

特定退職金共済(特退共)は、自治体や商工会議所が、外部委託して退職金の積立をしています。
特定業種向け共済制度は、建築業、林業、清酒製造業に対しての共済制度で、運営する団体は中退共と同じです。

中退共は月毎の掛け金ですが、特退共は1日毎等、それぞれ特徴があります。

給付されない時は
退職金に関する規定があるにも関わらず給付されない場合は人事部や総務部へ問い合わせます。
規定があり、支給日等も決定しているのに振り込みが無いのは、企業の違反です。

申立ててから、7日以内に給付が無い場合、違法とみなされます。
問い合わせても尚、支給が無い場合は、労働基準監督署等に相談します。


退職金制度のシミュレーション方法
パソコン 電卓 お金
自分が退職金をいくら受け取れるのかシュミレーションする方法をご紹介します。
退職金の算出方法は、代表的に4つあります。

退職時基本給連動
ポイント制
別テーブル制
定額制
以下に種別の算出方法を解説いたします。
なお、ご自身の企業がどの方式かは、就業規則に記載があります。

不明な場合は、人事部若しくは総務部に尋ねましょう。

退職時基本給連動
退職時の基本給を基に、勤続年数や退職理由(自己都合等)を踏まえ支給額を算出します。
計算式は一般的に以下の通りです。

退職時基本給×勤続年数による支給率×退職理由係数(特別加算・減算)=退職金

支給率や係数は企業により違いがあります。
又、退職理由係数は貢献度等による加算、懲戒等による減算の理由が汲まれています。

ポイント制
企業が働き手に1年毎にポイントを付け、それを反映させて退職金とします。

ポイント×ポイントに対する単価×退職理由係数=退職金

勤務年数や成績などの貢献度、役職また人事評価等が反映されます。
単価は企業により違いがあります。

別テーブル制
役職や等級を鑑みて設定した基礎金額に、勤続年数や退職理由を踏まえて支給額を計算します。

基礎金額×勤務年数による支給率×退職理由係数=退職金

賃金テーブルとは別の形態を基礎金額とする為、別テーブル制と呼ばれています。

定額制
勤続年数により元々退職金の金額が決まっている方式です。
貢献度や役職等は関係無く、一定額が給付されます。

近年では、採用企業は少数です。


退職金制度について良く知り、自分がいくら受け取れるのか確認しましょう
今回は、退職金制度について解説いたしました。
退職金とは、企業を退職する場合に受け取れる給付です。

しかし法的な根拠は無く、退職金制度の導入の有無や、支払い方法等は企業毎に違います。
また、後々に企業が退職金に関する規則を変更する事も可能です。

その為、近年の社会情勢や経済状況を鑑みて、制度自体の撤廃や種類の変更をする企業も増えています。
加えて、ここ20年で、一人当たりの退職金の平均額が1000万円ほど減額しています。

自身が務める企業の退職金制度について良く知り、老後のライフプランを組み直してみましょう。

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