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お金のこと

2024.12.18

老後の一人暮らしでかかる生活費!持ち家と賃貸での違いも解説

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老後の生活費について、不安を感じていませんか?特に一人暮らしの場合、持ち家と賃貸のどちらが経済的な負担を減らせるかは、慎重に考えるべきポイントです。

老後の生活費について、不安を感じていませんか?特に一人暮らしの場合、持ち家と賃貸のどちらが経済的な負担を減らせるかは、慎重に考えるべきポイントです。

この記事では、持ち家と賃貸それぞれの生活費の違いをわかりやすく解説します。

生活費の具体例や節約方法もご紹介しますので、今後の生活設計にぜひお役立てください。

老後の生活費に対する漠然とした不安を解消するには?

老後の生活費に対して不安を抱える人は多いのではないでしょうか。

収入に限りがあるなかで一人暮らしを送る場合には、生活費の負担や管理への不安が大きくなります。

安心な暮らしを実現するためには、具体的な計画を立て、生活費を見据えた準備が重要です。
ここでは、老後の生活費を考える理由や一人暮らしにおける注意点について解説します。

老後の生活費について考えるべき理由

老後に安定した生活を送るためには、生活費の見通しを立てることが不可欠です。

現役時代とは異なり、収入はおもに年金など限られたものとなるため、計画的な資金管理が求められます。

さらに、物価上昇や予期せぬ医療費の増加など、将来のリスクに備えるためにも適切な資金計画が必要です。

老後資金が尽きるリスクも無視できません。長生きするほど医療費がかさむ可能性は大きくなり、予算の不足が生活の安定を脅かします。

そのため、早めに計画を立てることで、将来への不安を軽減し、安心感を得ることができます。

一人暮らしでの生活費について気になるポイント

一人暮らしでは、生活費のすべてを自分で管理する必要があります。

家計管理や支出の負担をすべて一人で担うため、収入が限られる場合には負担が大きくなるでしょう。

また、パートナーがいないことで、将来的な収入面や生活費の見通しに不安を感じやすいのも特徴です。

健康管理も重要な課題となります。健康状態が変わると医療費や生活費が増加し、支出が一時的に膨らむこともあります。

老後の一人暮らしでは、こうした健康リスクや予期せぬ出費に柔軟に対応できるよう計画を立てておきましょう。

老後の一人暮らしにかかる基本的な生活費

預金通帳
老後の一人暮らしでは、生活費の内訳や必要な収入を正確に把握しておくことが大切です。

生活に必要な支出項目と平均的な生活費、そして不足分を補うための収入について詳しく解説します。

老後の生活に必要な基本的な支出項目

老後に必要な支出項目は以下のようになります。
65歳以上の単身無職世帯の家計収支(家計調査年報)2022年
項目 支出(円) 構成比(%)
食料 37,485 26.2
住居 12,746 8.9
光熱・水道 14,704 10.3
家具・家事用品 5,956 4.2
被服および履物 3,150 2.2
保険医療 8,128 5.7
交通・通信 14,625 10.2
教養娯楽 14,473 10.1
その他(雑費) 31,872 22.3
支出合計 143,139 -
支出全体で最も大きな割合を占めるのは食料費です。この結果から、基本的な生活維持に重点が置かれていることがわかります。

また、光熱・水道費や交通・通信費がそれぞれ約1割を占めており、日常生活を維持するためのインフラ費用が一定の負担となっています。

教養娯楽にも一定の支出が割かれていることから、老後の一人暮らしで趣味や楽しみを大切にしている傾向も見られます。

老後の一人暮らしにかかる平均的な生活費

老後の一人暮らしにおける生活費は、上記の項目を合計すると1ヵ月あたり約14万3,000円です。これに加えて、突発的な医療費や修繕費などが発生する可能性もあります。

以上の点を考慮して、毎月の生活費や年間の支出計画を立てることで、老後の家計をイメージしやすくなります。

老後に必要な収入について

生活費を賄うために頼るのはおもに年金収入ですが、多くの場合、年金収入だけでは不足する可能性があります。

厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金の平均月額(令和4年度)は、約14万4,000円です。国民年金の平均月額(令和4年度末)は、5万6,000円でした。
出典:厚生労働省 「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

年金収入で不足する分を補うためにはいくつかの方法があります。
・貯金の活用:退職金や積立貯金を計画的に使用する
・パートタイムや副業:短時間勤務や在宅での仕事で収入を増やす
・資産運用:低リスクの投資や賃貸物件の運用などで定期的な収入を得る

【持ち家】老後の一人暮らしに必要な生活費

自宅
持ち家で老後に一人暮らしを送る場合、家賃がかからない点がメリットの一つです。しかし、固定資産税や修繕費、保険料など特有の支出が発生します。

持ち家で必要となるおもな費用項目について解説します。

固定資産税

固定資産税は、持ち家を所有している場合、毎年支払わなければなりません。不動産の評価額に基づいて計算され、地域や物件によって金額は異なります。
固定資産税の目安
物件 年間の支払額
一戸建ての場合 10万円〜15万円程度
マンションの場合 8万円〜12万円程度
年金生活のなかで、固定資産税は固定費として家計に大きく影響します。特に収入が限られている老後の場合、計画的に支払いに備えることが重要です。

また、一定の条件を満たすことで税金の軽減制度や一定期間の免除を利用できる場合があります。

例えば、耐震やバリアフリー改修を行なった場合には減税措置が適用されます。自治体のホームページや税務署で詳細を確認するとよいでしょう。

修繕・メンテナンス費用(リフォームや設備交換)

持ち家の維持には、定期的なメンテナンスや修繕が欠かせません。例えば、屋根や外壁の塗り替えは5年~15年に一度、給湯器の交換は10年程度が目安とされています。

これらの修繕に備えるためには、外壁塗装は100~150万円程度が目安なので、計画的に貯蓄しておく必要があります。突発的な設備の故障に備えるための緊急資金も用意しておくと安心です。

また、修繕費を抑える方法として、大規模な修繕を未然に防ぐために定期点検を受けること、自身で可能な修繕は自分で行なうことなどが挙げられます。

修繕をする際には、複数の業者に見積もりを依頼して費用を比較することも、修繕費用の節約につながるでしょう。

火災保険や地震保険

火災保険は、火災や水漏れといったトラブルに備えるための重要な保険です。

年間保険料は物件の条件や補償内容などによりますが、1年契約の場合、4万円から6万円程度、5年契約の場合は20万円から27万円程度となります(インターネット損保の場合)。

地震保険は、特に地震の多い地域では加入が推奨されます。
こちらは火災保険とセットで契約することが多く、都道府県によって価格は変動します。

保険金額1,000万円の場合、保険料は年間7,300円から2万7,500円(木造建築の場合、この限りではありません)です。

保険の内容は年々変化するため、定期的に見直すことが大切です。特に、補償内容が十分でない場合や、不要な補償が含まれている場合にはプランの変更を検討しましょう。

保険会社や代理店で相談すると、最適なプランのアドバイスを受けられます。

【持ち家のメリット・デメリット】老後の一人暮らし

老後の一人暮らしで持ち家に住むことは、多くの安心感をもたらす一方で、特有の負担もともないます。持ち家のメリットとデメリットについて事前に把握しておきましょう。

持ち家のメリット

持ち家の場合、家賃が発生しないため毎月の固定費を抑えることができ、収入が限られる年金生活でも安心感を得られるのが大きなメリットです。

また、住居費の負担が少ない分、趣味や交際費、医療費など、ほかの支出に費用を回す余裕が生まれ、より豊かな老後を過ごしやすくなります。

居住環境に対する安心感が高いのも持ち家の特徴です。賃貸のように退去の心配がなく、自宅で落ち着いて暮らせます。生活スタイルや健康状態に応じてリフォームを行なうことで、自分に合った住まいを維持できるでしょう。

また、持ち家は資産としての価値も持っています。万が一、資金が必要になった場合には家を売却して資金に変えることも可能です。

このように、持ち家には老後の生活を安定させるいろいろなメリットがあります。

持ち家のデメリット

持ち家は長く住み続けるうちに、外壁や屋根の修繕、水回りのリフォームなどが必要となるため、年数が経つにつれて突発的な出費が発生するリスクがあります。
こうした修繕費用を見越した計画的な資金の準備が必要です。

高齢になると、自分で修繕やメンテナンスをするのが難しくなることもあります。

信頼できる業者を見つける手間や、修繕やメンテナンスにかかる費用も含めて負担が大きくなる点は注意が必要です。

さらに築年数などの状況によって、持ち家の資産価値が下がる可能性もあります。老後に持ち家を売却することを考えている場合、期待していた価格で売却できないこともあるでしょう。

資金計画に影響を与える可能性も否定できません。このように、持ち家には特有の負担やリスクがともなうことを理解しておきましょう。

【賃貸】老後の一人暮らしに必要な生活費

生活費の計算
賃貸での老後の一人暮らしは、毎月の家賃がかかる一方で、修繕費や固定資産税といった負担がないことが特長です。ここでは、賃貸に住む際に必要なおもな費用項目について詳しく解説します。

家賃

賃貸物件を選ぶ際には、家賃設定が無理のない範囲であることが重要です。一般的に、収入の3割以内に家賃を抑えるのが理想とされています。

例えば月々の年金収入が12万円の場合、家賃は3~4万円程度が目安です。

ただし、住む地域によって家賃相場は異なるため、地域に合わせて検討したほうがよいでしょう。家賃以外の支出とのバランスも考えて決めたほうが安心です。

物件選びではエレベーター付きやバリアフリー対応、駅やスーパーに近い立地を優先すると安心して暮らせるでしょう。

これらの条件を満たしつつ、予算内で見つけるには、不動産会社のサポートを受けながら慎重に選ぶことが大切です。

更新料や敷金・礼金の有無

賃貸物件では、契約更新時に更新料が発生する場合があります。一般的に更新料は家賃の1~2カ月分で、地域によって異なります。

特に東京や関東圏では更新料がかかる物件が多い傾向ですが、更新料のない物件も増えているため、契約前に確認しましょう。

初期費用として敷金や礼金がかかることもありますが、最近ではこれらがかからない物件も増えており、入居時の負担を軽減できます。

不動産業者が行なう初期費用が対象のキャンペーンや、分割支払いサービスを活用するのも有効です。

保険料(家財保険)

賃貸契約では、多くの場合、家財保険への加入が必須になります。

家財保険は、火災や水漏れなどのトラブルに備えるための保険であり、老後も安心して暮らすためには欠かせないものです。

保険料は建物の構造や家族構成などによって異なりますが、年間4,000円から8,000円程度が一般的です。

老後に適したプランを選ぶには、補償範囲を必要最低限に絞りつつ、インターネットの保険比較サイトを活用すると、コストを抑えたプランを見つけやすくなります。

保険内容を定期的に見直して、無理のない契約を維持しましょう。

【賃貸のメリット・デメリット】老後の一人暮らし

賃貸で老後を過ごすことには、身軽さや費用面での利点がある一方、家賃の負担や資産が残らないというデメリットもあります。賃貸のメリットとデメリットを把握して、老後の選択に役立てましょう。

賃貸のメリット

賃貸の大きなメリットは、修繕費用がかからないことです。設備や建物の修理・交換は賃貸のオーナーが負担するため、急な修繕が必要になっても追加費用が発生せず安心です。

退去時には原状回復のための費用とクリーニング代程度の費用で済むため、突発的な大きな出費を抑えられます。

固定資産税や住宅ローンがないことから、年金生活でも毎月の生活費が安定しやすいのも賃貸のメリットです。

資産価値の変動を気にせずに、ライフスタイルの変化に応じて気軽に引越しができる柔軟性も魅力の一つです。

賃貸のデメリット

一方で、いくつかのデメリットもあります。

その一つが家賃の支払いが継続的な負担となる点です。収入が年金のみの場合、毎月の家賃を支払うためには長期的な収入計画が必要となるでしょう。

また、契約更新時に家賃が上昇するリスクもあり、将来の生活費が予想以上に増える可能性も考えられます。  

賃貸の場合には、資産が残らないという特徴もあります。持ち家のように資産として売却することはできず、家賃を払い続けても将来的な資産に変わることはありません。

そのため、老後に家賃を払い続ける場合には、計画的な資金準備が必要になります。

老後に一人暮らしをする場合に持ち家と賃貸を見極めるポイント

老後に一人暮らしをする際、持ち家と賃貸のどちらが自分に適しているかを判断することが重要です。

それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、現在の状況や将来のライフプランを考慮して選択することが安心できる老後の生活につながります。

見極める際のポイントを詳しく解説しますので、ぜひお読みください。

持ち家が向いている人の特徴

持ち家は、家賃が発生しないため生活費が安定やすい傾向にあります。特に、年金生活者にとって予測できる出費は安心感をもたらすでしょう。

また、地域のコミュニティや友人関係を大切にしたい人にとっても、住み慣れた場所で長期間暮らせる持ち家は魅力的です。

持ち家は資産として保有でき、必要に応じて売却し現金化することも可能です。次世代に家を残したいと考える人にも適しています。

加えて、自宅を自分好みに整えることが好きな人や、修繕やDIYを楽しめる人には、持ち家が向いています。

賃貸が向いている人の特徴

賃貸は、住む場所を自由に変えられることから、ライフスタイルや趣味に合わせて移住を楽しみたい人に向いています。

また、建物の修繕や管理を管理会社が行なうため、高齢になっても自分で対応する負担がありません。

固定資産税や大規模修繕費が発生しないため、生活費の内訳が明確で、年金収入内でやりくりしやすいのも魅力です。

賃貸は、資産を残すことよりも毎月の家計負担を軽減したいと考える人の生活に、安定感をもたらす選択肢となるでしょう。

現在の資金計画と将来のライフプランから考える

持ち家と賃貸のどちらを選ぶかは、現在の貯蓄額や年金収入を踏まえ、自分にとって負担が少ないほうを慎重に判断することが重要です。

持ち家の場合、修繕費や固定資産税を賄えるかを考える必要があります。また、将来の健康状態や家族構成の変化も見据え、サポートの有無や生活の柔軟性を考慮して選択しましょう。

資金計画に応じた資産の流動性も大切です。持ち家の場合は売却に時間がかかることがあります。

その点、賃貸では資産を現金として流動的に利用でき、予期せぬ支出にも対応しやすいです。

持ち家を売却して賃貸に住むという選択肢もある

持ち家を売却して賃貸に住み替える選択肢もあります。住み替える場合は、売却した費用を老後の生活費や医療費に充てることが可能です。

資産を現金化することで、予期せぬ支出に柔軟に対応できる点もメリットでしょう。

賃貸に住み替えて新しい地域で生活を始めることは、老後のライフスタイルを見直し、新たな暮らしを楽しむきっかけにもなります。

ただし、売却する際には税金や仲介手数料といった費用が発生するため、事前に確認しておくことが大切です。

老後にかかる生活費を把握して快適な一人暮らしを実現しましょう

老後の一人暮らしを持ち家と賃貸のどちらで過ごすかは、生活スタイルや資金計画に大きく影響します。

持ち家は家賃が不要で安定した生活を送れる一方、修繕費や固定資産税の負担が発生します。

賃貸の場合は、修繕費の心配がなく身軽に住み替えが可能です。ただし、継続的な家賃が負担となります。

自分の収入や貯蓄、健康状態、将来のライフプランを見据えて選択することが重要です。

それぞれの特徴を理解して自分に合った暮らし方を選び、安心した老後生活を実現しましょう。

監修者
齋藤 彩(さいとう あや)

独立系FPとして資産運用や保険提案、ローン、住宅購入などの個人向け相談業務を中心に、中小企業への企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の導入支援も行なう。また、お金の知識をわかりやすく伝えるため、金融メディアへの執筆・監修活動もしている。
<保有資格>CFP、1級FP技能士

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