この記事の結論
孤独死は未婚率が高いこと・家族や近所の付き合いが減ったことが原因です。また、貧困者が増えたことも原因となっています。
孤独死は訪問サービス・見守り電話などを利用することで対策できます。健康な生活を意識するのも大切です。
そもそも孤独死とは?
手すり 高齢者
「孤独死」という言葉
「孤独死」という言葉自体を耳にする機会が増えてきている時代ではありますが、そもそも「孤独死」とはどのように定義されているのでしょうか。
実は、きちんと言葉の意味が定義されていないのが現状です。
ですが、一般的には
自室で、誰にも看取られずに一人、孤独に死亡すること
と解釈されるケースが多いでしょう。
また、広辞苑には
看取る人もなく一人きりで死ぬこと
と記載されています。
孤独死とされる方の多くは、身内の方や第三者に発見してもらえるまで、長く期間が経過しています。
孤独死は法的な定義が存在しないゆえに、警察の死因統計の上では 変死 という扱いになり、行政では 孤立死 といった言葉で表されることが多くなっています。
孤独死の現状
上項で説明してきたような孤独死ですが、数として増えてきていることは感じているものの、細かい現状まではわからないという人も少なくないかもしれません。
では、下のグラフをご覧ください。
孤独死画像Balloon[バルーン]
参考:東京都監察医務院
孤独死自体の統計事項はありませんが、単身世帯、東京都監察医務院のみで亡くなった方に関する事項は存在します。
全体的に孤独死の数が増えていることに加え、全体数が減少していると言われる若者の層でも、特に男性おいて増加傾向にあることが見て取れるはずです。
孤独死が増加している社会的原因
高齢者
ここでは、孤独死が増加している現状を、社会的原因から紐解いていきます。
孤独死を促進する原因と考えられるものは、主に以下の4つです。
未婚者の増加
家族関係の疎遠
近所付き合いの希薄
貧困者の増加
SNSの普及
原因①未婚者の増加
日本では生涯未婚率が男女ともに年々上昇しており、特に近年で大幅に上昇しています。
未婚率は年齢層に関わらず高く位置しており、それは一人暮らしが多いことをも示します。
その結果として、何らかのことが起きた際に、誰にも気付いてもらえない、もしくは見つけてもらうまでに時間がかかり、孤独死を増加させる原因となっています。
原因②家族との繋がりの希薄
以前は二世帯住宅に暮らす人の数が多く、親の面倒は子供が見るものだという認識が基本となっていた側面がありました。
しかし、近年では親と子供が離れて暮らす核家族化が進んでおり、親と子供との繋がり自体も、以前に比べてずっと希薄になっているようです。
子供たちが成長して家を出てからは、年数回程度しか連絡を取っていないという人も多く、そのような関係性のもとでは、親の身体に何らかの異常が起きていたとしても気付いてあげられないことでしょう。
夫婦のみで暮らしていた親が、時が流れて一人暮らしとなり、子供との連絡もあまり取っていないという現状が、誰にも気づかれずに亡くなる孤独死を促進する原因となっています。
原因③近所付き合いの希薄
近年の日本では、プライバシーの意識の高まりに伴う、地域コミュニティの崩壊が問題となっています。
実際、政府データでは全体の約半数の人が「付き合いをほとんどしない」もしくは「あいさつをする程度」と回答しています。
一人暮らしをしている高齢者には、近所付き合いを避けたいと考えて都会のマンションへ引っ越す人も多く見られるほどです。
昔の日常であった、観覧版を回したり、近所の公園を清掃したり、町内会のイベントに参加したり、といった付き合いは今ではほとんど行われていません。
自身の身体に何らかの異変が起きても、近くに頼れる人がおらず、様子を見にきてくれる関係性の人もいないため、孤独死といった形になってしまう原因となっています。
原因④高齢期の貧困率
自身の体力の衰えを感じていたり、持病など何らかの不安を感じている高齢者は、介護施設や老人ホームに入居するという選択肢がよぎることでしょう。
しかし、その入居には一時金に限らず毎月の費用もかかることとなります。
貧困層の人たちはその費用を捻出することができないため、貧困率が増加している現在では、多くの人が不安を抱えたまま一人で暮らし、それが孤独死増加の原因となっているのです。
原因⑤ソーシャルメディアの普及
スマートフォンをはじめとした、ソーシャルメディアと我々の生活の密接化も、孤独死を増加させる原因となっています。
TwitterやFacebookなどを通じて、見知らぬ人と会話をする機会が増えていく一方、日常生活では誰かと直接話すことなく一日を終える人が全体の3割近く存在するのも事実です。
なかには1週間誰とも話さないという人も存在するほどで、このインターネットの普及が生活を便利にする一方、直接の人との関わりを減らしてしまっているのです。
孤独死の原因・死因
高齢者 杖
ここでは、孤独死の原因・死因について説明していきます。
看取る人もなく一人きりで死ぬ、「孤独死」ですが、その原因・死因には幾つかの種類が存在し、その種類としては以下の通りです。
病死
自殺
事故死
不明
これらそれぞれについて詳しく説明していきます。
原因・死因①病死
孤独死の原因・死因として最も多くなっているのが「病死」です。
持病を持っていた方が、前項で示したような家族関係や近所付き合いの希薄によって誰にも頼ることなく亡くなってしまうというケースが存在します。
それに加えて、一人暮らしの高齢者などが、体調不良を感じても病院に行くことなく自宅でそのまま亡くなってしまうというケースも少なくありません。
原因・死因②不明
先ほどの統計では「病死」に次いで多くなっている「不明」ですが、近年では詳しく調べないと、もしくは詳しく調べても死因が分からない「 異常死 」と呼ばれる事例が増加しています。
一人暮らしの方が亡くなり、発見が2、3日遅れてしまえば、犯罪死とは関係ないかどうかということが最初の段階で分からなくなってしまうのです。
異状死のうち、死因究明がされているのは11.2%となっており、かなり低い割合です。
原因・死因③自殺
原因・死因が明らかになっているうち、病死に次いで多くなっているのが自殺です。
20代から40代では孤独死における自殺者が全国の自殺者数の割合より高くなっています。
それに加え、女性の場合には20代変えあ30代の孤独死における自殺者は60%を超えています。
原因・死因④事故死
一人暮らしの高齢者や、高齢者の夫婦の住まいなどでは、故意的でない事故が起こってしまっても、誰にも気付かれることなく時間が過ぎてしまうこともあるでしょう。
そのような原因から、孤独死の原因・死因の中で、不明をのぞいた3番目に入ってきています。
孤独死への対策
高齢者
ここまで、孤独死にまつわる様々、原因となる社会的背景や死因について説明してきました。
では、どのように孤独死へと対策してゆけば良いのでしょうか。
ここでは、行政の対策と、個人での対策のそれぞれについて紹介していきます。
孤独死への対策【行政】
現在の日本では、高齢者が孤立している現状の打開や孤独死の増加を防ぐための政策が早急に望まれています。
もちろん各自治体にて、孤独死を防ぐための取り組みが全く行われていないというわけではありません。
高齢者の孤立の問題などの対応として、多くの町内会や自治体での地域コミュニティづくりも推進されています。
ですが、上記のような関わりを避けたいと考えている人も勿論存在します。
そのようなケースでは、以下のような方法を用いて生活状況の確認を行なっているところが多くあります。
配達物の溜まりぐあいによる安否確認
電気や水道、ガスの使用状況による生活状況の確認
人感センサーの設置による活動状況の把握
民生委員や自治体の職員の家庭訪問
孤独死への対策【個人】
孤独死を防ぐための最も有効的な策は、もちろん家族と共に暮らすことと言えるでしょう。
しかし、様々な思いや事情によって、それがかなわない場合も多いはずです。
一人暮らしをしながら、孤独死を対策するために行うべきことが以下の通りです。
自分の地域の孤独死対策を知る
訪問サービスの利用
見守り家電の利用
地域の人との関わりをもつ
健康な生活を心がける
ここに挙げたものを中心に、自宅の外の人へ、自身の異変を気づいてもらえるための行動を心がけるようにしましょう。
孤独死の対策は以下の記事もご覧ください。
孤独死対策8選!トラブル事例と孤独死対策サービスも解説!
第三人生編集部
孤独死と特殊清掃
高齢者 手押し車 シルバーカー
「特殊清掃」という言葉自体を知らない方も少なくないと思いますが、特殊清掃は孤独死と深く関わりのあるものです。
孤独死には 亡くなってから遺体が発見されるまでの日数が長い という特徴が存在します。
そのため、遺体の傷みが進んでしまうケースが多く、強い腐敗臭や傷みによる部屋の汚れ、頑固なシミ、害虫の発生などが見られる場合があります。
そのような状態になってしまった部屋を綺麗にするためには、通常の清掃とは異なる特殊な薬剤であったり技術を用いた清掃が必要です。
その清掃作業のことを「 特殊清掃 」と呼ぶのです。
孤独死が起きてしまった現場の清掃はもちろん、消臭、害虫駆除、除菌といった作業を行います。
通常であれば、住まれていた部屋の片付けは遺族が行うべきことではあります。
しかし、身内の方の壮絶な死の現場の片付けを遺族が行うというのは酷なものです。
加えて、孤独死の現場はには様々なゴミや物が散乱しているため、衛生的にも良いとは言い難い状態であるケースも多くなっています。
このように、孤独死が起きてしまった部屋には様々な事情が存在します。
部屋の清掃には現場ごとに適した方法で、部屋を元の綺麗な状態へと回復させてくれる特殊清掃業者に任せてしまうのが最善の方法と言えるでしょう。
孤独死とは?孤独死の社会的原因や傾向と対策、特殊清掃の実態を解説
第三人生編集部
孤独死の原因の理解と対策
この記事では、孤独死にまつわる様々について解説してきました。
今となっては社会的な問題となっている孤独死ですが、それを防ぐためには行政をはじめ、個人や周りの人がアンテナを張っておくことが一番有効です。
人同士の関係性が希薄となってきている現代ですが、一人一人がこの現状に向き合い、事実をきちんと理解することが重要となってきているはずです。
❓ 孤独死の現状はどうなっている?
年々孤独死のケースが増加していて、2003年から2017年にかけて2倍ほどに増えています。また、単身世帯の男性に多く見られています。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ 孤独死が増えている原因は?
未婚者が増え、また家族関係も疎遠になっていることが原因です。また、高齢者のうち貧しい方が増えているのも一因です。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ 孤独死に至った原因は?
最も多いのは病死です。また、死因が不明なケースや自殺・事故死などもあります。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ 孤独死の対策の具体例は?
自治体のサービスや訪問サービス・見守りアプリを利用する対策があります。また、通所サービスを使う・高齢者向け施設に入居するという対策もあります。詳しくはこちらをご覧ください。