icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

葬儀

2024.04.24

地蔵盆のお供えとは?おすすめの品物やのしの書き方について解説

  • facebook
  • twitter
  • LINE

関西圏では夏の風物詩として子どもからお年寄りまで親しまれている地蔵盆。
冠婚葬祭に属さないのでお供え物に関してはこれといったルールがありません。

お供えの品選びや、のしの書き方に迷う方もいるかと思います。
そんな疑問にお答えします。

この記事で解決される疑問

地蔵盆のお供えの相場は?

地蔵盆のお供えの表書きは?

地蔵盆のお供えののし袋の選び方は?

地蔵盆とは

地蔵盆とは、夏に行われる子どもが主役のお祭りです。
お地蔵様=地蔵菩薩(じぞうぼさつ)に子どもの無病息災をお祈りします。

地蔵菩薩は子どもの守り神 といわれています。
お寺の中で祀られているお地蔵様ではなく、辻地蔵と呼ばれる地域に根差したお地蔵様を対象としています。

地蔵盆は関東圏にお住まいの方には、あまり聞き馴染みが無いかもしれません。
関西・近畿地方で主に行われてきた風習で、諸説ありますが、発祥は京都であるといわれています。

地蔵盆に行うこと

地蔵盆は、地域に根差したお地蔵様に感謝をし、お供えを捧げるお祭りです。
地蔵盆が始まる前に子どもたちが中心となり、町のお地蔵様を綺麗に洗ってあげます。

また、前掛けを新しくして、花やお菓子のお供え物をし、周りに提灯を準備します。

行うことは地域によって様々 です。
お坊さんを呼んで読経してもらったり、子ども達がお地蔵様にお化粧を施したり。

特徴的なのは、大きな数珠を子ども達が輪になって回し無病息災を願う、 数珠回し です。
紙にお地蔵様を描き川に流したり、お経を読んだり、盆踊りを行う地域もあるようです。

発祥とされている京都では、赤白の提灯を用意し、子どもとお地蔵様の名前を入れて無病息災を願います。

地蔵盆の時期

地蔵盆は、8月23・24日に行われます。

地蔵会(じぞうえ)と呼ばれる地蔵菩薩の縁日は毎月24日にあります。
縁日とは、神仏の世界と私達の世界にご縁がある日にちのことです。

縁日と盆の月:旧暦7月24日(現在の8月24日)の前後2・3日間が、地蔵菩薩をお祭りする地蔵盆となっています。

最近では平日ではなく土日に地蔵盆をずらす地域もあります。
大人が仕事などの都合で準備ができない・少子化で平日だと人が集まらない等あるようです。

地蔵盆が終わると子ども達の夏休みも終わりを迎え、新しい学期に向けての準備を迎えます。

地蔵盆に関しては、こちらも参考にしてください。

地蔵盆が行われている地域

地蔵盆は主に関西・近畿地方で行われて、北陸地方・信州では長野市でも行われているようです。
では関東はというと、お地蔵様や寺院などに京都と繋がりのある所では行われていますが、馴染みは薄いです。

なぜ関東では地蔵盆があまり根差していないのでしょうか。

地蔵信仰は平安時代に京都で皇族・貴族の間で広まった と言われています。
そこから民間にも広まり、浸透していきました。

時が進み、江戸時代の京都では火事による家屋の被害や病気・治安の悪化問題がありました。
そこで魔除け・火除けのまじないとしてお地蔵様が地域ごとに置かれ、信仰されていました。

関東地方はというと、江戸時代当時は商売の神様として、 稲荷信仰が盛んでした。
なので地蔵信仰は関東ではあまり流行せず、結果あまり地蔵盆が根付かなかったのです。

宮城の気仙沼でも地蔵盆が行われる地域があります。
それは古くからの港町で遠方との交流があった故に広まった、とされています。

地蔵盆の由来

地蔵盆はどのような経緯で広まっていったのでしょうか。
下記4つの説によって広まったとされています。
  1. 賽の河原
  2. 小野篁
  3. 愛宕山(神社)と火除け地蔵
  4. 廃仏毀釈

賽の河原

子どもが親より先に亡くなると、親不幸の罪で地獄に行くと言われていました。

地獄では子ども達は賽(さい)の河原という場所で、石を積み上げなければなりません。
積み上げても鬼にその石塔を崩されてしまい、また一から永遠に積み上げなければなりませんでした。

そこでお地蔵様が登場します。
お地蔵様は私たちの世界と地獄を行き来できるといわれています。

親に代わり、鬼から子ども達を守ってくれると信じられ、祀られてきた説があります。

小野篁(おののたかむら)

平安時代に小野篁という偉い身分の文人がいて、その人物は地獄で閻魔大王に仕えていたといわれています。

その 閻魔大王は、実はお地蔵様のもう一つの姿 なのです。
その姿を小野篁が再現したものが、地蔵菩薩であるといわれています。

小野篁はその地蔵菩薩を6体つくりました。
それを京都に繋がっている大きな街道沿いの6か所の寺院に分けて安置し、災いから京都を守ったそうです。

愛宕神社と火除け地蔵

京都では木造造りの家屋が密接して建てられていて、昔から火事が起こりやすかったようです。

そこで京都の多くの人々は愛宕大権現という火除けの神様を祀った愛宕神社でお札をもらう風習ができました。

その愛宕大権現と一緒に信仰されていたのが火除け地蔵。
京都の人々は自分達の住まう地域にそれぞれお地蔵様を祀るようになっていったそうです。

廃仏毀釈

明治時代初頭に廃仏毀釈という、仏教に関わるものを排除する運動が起きました。
その影響で、京都にあった数多くのお地蔵様が山や川に捨てられてしまいます。

廃仏毀釈運動が収まってくると、人々は捨てられたお地蔵様を回収し、再び祀って地蔵盆というイベントを行い、お地蔵様への感謝と無病息災のお祈りを捧げたといわれています。

地蔵盆のお供え物

子どもが主役となる地蔵盆で必要になるお供え物は大きく分けて4種類あります。

1. お菓子
2. 飲み物
3. 現金
4 お花

それぞれ理由も含めて、どんなお供え物が良いかご紹介します。

お菓子

本来の地蔵盆の意味では お地蔵様を祀る催しです。
同時にお地蔵様とゆかりのある子ども達が主役となるお祭りでもあります。

地蔵盆では、お地蔵様へ捧げるお供え物と、子ども達に配る為のお菓子が必要となります。
お供え物をあげる 「お下がり」 という意味で、子ども達はお供え物のお菓子を頂きます。

どんなお供え物を選べば良いかというと、基本的には子ども達がもらって喜ぶお菓子が良いでしょう。
無理におはぎや落雁など昔ながらの物である必要はありません。

地蔵盆の時期になると、お供え物用としてお菓子の詰め合わせがお店の棚に並び始めます。
地蔵盆を行っている地域のスーパーや商店街等ではよく目にする光景のようです。

お菓子の詰め合わせは色々なお菓子を楽しめるので、 お供え物としても、子ども達にも人気です。

後述しますが最近ではネットショップでも、お供え用のお菓子詰め合わせが販売されています。

お菓子のお供え物の数量は参加する子ども達の数や自治体の予算によって変わるので決まりはありません。

お供え物で他におすすめなのは大きな袋に小分けで梱包されている、ファミリー用のお菓子です。
小分けされているので配り易く、数量も多く入っていてお供え用として適しています。

ゼリーや寒天など、溶ける心配はなく、冷やして美味しいものもお供え物におすすめです。

逆にお供え物としてチョコレートやアイスクリームなどは避けた方が良いでしょう。
暑い時期に行うので、 溶けてしまうもの・傷みやすいものは避けた方が良い です。

飲み物

飲み物もお菓子と同様に、地蔵盆で定番のお供え物です。
子ども達が喜ぶジュースやお茶を用意してあげると良いです。

こちらもお供え物の「おさがり」として頂くので、1.5Lの大きなペットボトルは避けた方が無難です。

小分けの小さなパックジュースやペットボトル がおすすめです。
まずは地蔵盆でお供え物とし、後で多くの子ども達に配って持ち帰らせる事ができるからです。

現金

地蔵盆にてお供えするお金のことを 「ほうがん」 と呼びます。
町内会や子供会が主体となって行われ、お祭りの運営費として使われることが多いです。

子ども達が近所の家々を回ってお供え物として集めに来る地域もあります。

お供え物は地域によって「お菓子のみ」「お菓子とお金」「お金のみ」など、お供えの仕方が様々です。
なので、予め周りの詳しい人に確認することをおすすめします。

お花

お花をお供えする場合、これも事前に地域ならではのルールの有無を確認することが必要です。
ですが、基本的にはお供え物には特にこの花でなければいけない、という決まりはありません。

お供え物だからと無理に気負わず、 お地蔵様への感謝と子ども達の成長を願って 、選んであげて下さい。

迷ったら、地蔵盆を行っている地域のお花屋さんであれば 「地蔵盆のお供え用に」 と言って、と予算を伝えれば、希望に沿ったものを見繕ってくれます。

地蔵盆のお供え物の相場

地蔵盆でのお供え物の相場は、3000円程が多い ようです。
お菓子・お金のみなど、各家庭ごとや町内会費から賄ったり一部出したり、お供え物の額は様々です。

お供え物は本来はあくまで感謝と供養の気持ちです。
町内会などで決められている場合でなければ、お供えの額は無理のない金額で構いません。

ですが、不安であれば確認するのが無難です。
地蔵盆を毎年経験しているご近所の方・町内会の方に事前にお供え物について問い合わせてみましょう。

地蔵盆におすすめのお供え

最近ではネットショップでも地蔵盆お供え物用としてのお菓子が販売されています。
お供え物用にあらかじめ袋詰めされている商品がある ので、自分で何種類も用意する必要が無く、便利です。

地蔵盆のお供えののし袋①書き方

お供えにお金を包む場合ののし袋について。
詳しくは後述しますが、 用意する金封によって記載する内容が変わってきます 。

地蔵盆は基本的には 冠婚葬祭のように明確な書き方のルールは無い です。
なので、同じ地域の方に確認して特に何も言われなければ下記のように記載すれば問題ありません。

表書き

祝儀袋・赤白の水引をお供え用として使用する場合
「お供え」「御供」「御尊前(お地蔵様の御前という意味)」と書きます。
地域によっては「 灯明料 (灯明とは神様や仏様にお供えする火で、ろうそく代の意味)」と書くこともあります。

黄白の仏事用をお供え用として使用する場合
「 志 」と書きます。

名前

名前を書く際、子ども達が中心となって催される地蔵盆では 子どもの名前 を書きます。
子どもがいないご家庭の場合は、大人の名前で問題ありません。

のし袋はボールペンやサインペンではなく、筆で書くのが理想です。

なかには字に自信が無い方もいるかもしれません。
ですが、お地蔵様への感謝の気持ちをお供えする意味も込めて、手書きで書いてみてはいかがでしょうか。

地蔵盆のお供えののし袋②選び方

お金をお供えする際の包み方ですが、まず硬貨か紙幣かによって変わってきます。
硬貨の場合は半紙・紙封筒・ポチ袋(お年玉袋)でも構いません。

お札をお供えする場合は金封に入れますが、その時に新札か折り目を付けたお札を入れる決まりはありません。

もしこだわるのであれば、祝辞用(赤白の水引)であれば新札を。
仏事用(黄白の水引)であれば、折り目のついたものを包み、お供えしましょう。

関西圏では黄白の香典袋を一周忌以降の法事・法要の香典用等に用いられる場合があります。
関東にお住まいの方がこれを聞くと、馴染みがないため驚く事が多いです。

水引の色
特にあなたのお住まい地域でのルールが無ければ、 のしの付いた紅白の蝶結びの水引 が良いでしょう。

色に込められた意味
お供えする水引の色に明確な決まりはありません。
ですが、赤白の水引を使用する場合、 赤には女の子・白には男の子 を例えているそうです。

現代と違い、医療技術が未発達の時代では、幼いどもが亡くなる事が多くありました。

そのような時代背景のなかで、すくすくと子どもが成長できるのはとてもめでたい事でした。
お祝いとお地蔵様に感謝を捧げお供えする意味を込めて 、赤白の水引が使われるそうです。

コラム お盆と地蔵盆の違い

同じ「盆」と名の付くお盆と地蔵盆ですが、どうように違うのでしょうか。

お盆
お盆は元々正式名称を「 盂蘭盆会 (うらぼんえ)」といいます。
故人・先祖の魂があの世からこの世に戻ってこられる期間のことです。

その期間に故人の魂をもてなし、供養して、またあの世へ送り届ける風習です。

地蔵盆
地蔵盆は子どもの守り神である 地蔵菩薩への感謝と子どもの成長を祈り 、子ども達を中心として地蔵菩薩を供養するお祭りです。

それぞれの違いと共通するもの
お盆は故人・先祖の供養に重きをおく宗教行事色が強いイメージ。
地蔵盆は地蔵菩薩を供養しつつお祭りをする娯楽色が強いイメージです。

共通する催しでは、盆踊りがあります。

現代では盆踊りはお祭りのイメージですが、元々は 死者を供養する ための行事です。
盆踊りは故人・先祖を供養し、地蔵盆は地蔵菩薩と幼くして亡くなってしまった子ども達を偲び、供養する催しです。

明治時代までは、子どもの死亡理由は、病気だけではありませんでした。
当時は現代よりももっと貧富の差が大きく、貧困層の人が多くいたのです。

貧しい家庭では、親が生きる為に自ら赤ちゃんを殺めることがありました。
また、お金の為に売ったり、どこかへ置きざりにする 口減らし が少なくありませんでした。

家族の為とはいえ、親は後悔の念を抱えます。
その懺悔を込めて、 少しでも子があの世で安らかでいられるように供養するため 、地蔵盆を行いました。

このような点から、お盆は故人を偲び、地蔵盆は生きている物(子ども達)の未来を願う、という別の意味合いの違いがあると感じます。

コラム 京都の地蔵盆

平安時代の京都からが発祥といわれる地蔵盆。
貴族の間で信仰が始まり、次第に民間に 子供の無病息災祈願や火除けのまじない として、浸透してきました。

そして時代の流れと共に、その時その時で在り方が変わってきました。

明治時代では廃仏毀釈が起こり、一時は葬られようとしたこともあります。
しかし人々の信仰心によって再び京都に戻ってきました。

時が過ぎ、文明が近代化してくると、信仰の意味合いは薄れていきます。
しかし、地蔵盆を通して地域の子ども達が 交流し、親睦を深める機能 は残っていたのです。

同時に大人達のコミュニケーションの場としても、大いに役立ってきました。

現代では少子化の波を受けて、地蔵盆の存続が危ぶまれています。
地蔵盆を開催してはいるものの、子どもはおらず 高齢者のみで行われている 地域もあるようです。

上記のような現状から京都市は、地蔵盆を 「京都をつなぐ無形文化遺産」 に認定しました。
目に見える分かりやすい価値だけでない伝統文化も大切にしていこうとしています。

このような、古くから伝わる、 形は無くとも心豊な文化 は、次の世代につないでいってほしいものです。

地蔵盆のお供えは地蔵菩薩を介したコミュニケーションアイテム

この記事の結論は以下の通りです。    
相場は3000円です。お菓子・現金・お花・飲み物を用意します。

祝儀袋や紅白の袋の表書きにはお供え・御供・御尊前と書きます。黄白の袋の表書きには志と書きます。

のし袋はお札の場合金封・硬貨の場合ポチ袋などを選びます。水引は紅白の蝶結びを使います。
お供え物というと、神仏や霊への捧げものというイメージがあります。
しかし京都を中心として催される地蔵盆では、捧げものとしてだけでは終わりません。

地蔵菩薩へのお供え物によって 地域の子ども達、大人の交流の場が生まれ、一夏の思い出を飾る のです。

関東ではあまり知られておらず、場所によってお供えのルールが様々です。
なので、別の場所から越してきた人には慣れるまで大変かもしれません。

ですが同じ地域の人と協力して地蔵盆を盛り上げていくことで、 きっとお金には代えられない、心の豊かさ が手に入ります。

RELATED