終の棲家とは?種類や選び方について解説
この記事では、人生の最期を迎える終の棲家について、それぞれのメリットデメリットや選び方や費用感について解説します。
老後の人生設計を考えている方、現在の自宅でこれから先も住み続けられるか不安に思っている方はぜひ参考にしてください。
老後の人生設計を考えるうえで、住む場所や環境を決めることは大きな選択の一つです。
自宅や介護施設など様々な選択肢がありますが、後悔のない選択をするにはどのように考えれば良いのでしょうか。
この記事では、終活として終の棲家を考え始めている方に向けて、終の棲家の種類や特徴、選び方をご紹介します。
終の棲家とは
まずは、終の棲家の概要について解説します。
「終の棲家」とは、人生を終えるまで過ごすための住居のことを指します。
単に自宅のことを意味する訳ではなく、自身が高齢となった際に「身体的、精神的に安心して暮らせる場」であることが重要です。
具体的には
・段差等がなくバリアフリー化されているか
・援助や見守りを行ってくれる人がいるか
など、もし現在のように生活することができなくなった場合でも問題なく暮らせる環境が必要になります。
終の棲家の選択肢とメリット・デメリット
・自宅
・自宅(住み替え)
・サービス付き高齢者向け住宅(住み替え)
・介護施設(特養、老人ホームなど)
自宅
現在住んでいる自宅で、そのまま暮らし続けたいという方も多いはず。
ローンの返済が終わった自宅であれば、家賃費用がかからないため年金での生活も送りやすくなります。
しかし前述の通り、今後自身が高齢化した際には段差をなくしたり、手すりを設置したりするバリアフリー化をしなければならない場合があります。
現状の自宅の状況を確認し、必要があればリフォームを視野に入れておくことがおすすめです。
【自宅のメリット】
・長年暮らした地域との交流がある
・ローン返済済みの自宅であれば、毎月の支出を抑えられる
【自宅のデメリット】
・自身や家族の健康状態に応じてリフォームが必要な場合がある
・建物の老朽化等が進むと、修繕費が必要になる
また、自宅で住み続けたい場合は、周辺の立地も確認しておきましょう。
駅や病院、スーパーなどから遠い場合、現在は気にならなくとも、今後そうした移動が負担になる場合もあります。
その場合は、利便性の高い場所への住み替えもおすすめです。
自宅(住み替え)
自宅で自由に暮らしたいと考える方は多いですが、立地や更に年を重ねた際に、現在の住まいでは安全に暮らすことが難しくなるケースも少なくありません。
そうした際の選択肢として、自宅から住み替えるという方法もあります。
【自宅(住み替え)のメリット】
・立地やバリアフリー化の問題を解決できる
・子供夫婦の近くに引っ越すことで、会いやすい環境に移れる
【自宅(住み替え)のデメリット】
・条件に合う物件探しや引っ越しの手間がかかる
・新たな住まいの購入費用がかかる
自宅を住み替えることは、立地等の問題をスムーズに解決できますが、一方で物件探し等のコストがかかります。
元々住んでいた自宅をどうするかなど、人生設計をきちんと考えた上で決めるのが良いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(住み替え)
住み替えのもう一つの選択肢として、サービス付き高齢者向け住宅への住み替えが挙げられます。
こちらは主に民間事業者によって販売されている物件で、バリアフリー化がされていることや、見守りや生活支援等のサービスを受けることができます。
【サービス付き高齢者向け住宅(住み替え)のメリット】
・健康なうちは自立した生活を送り、状況に応じて介護サービス等を受けられる
・物件全体がバリアフリー化がされている
【サービス付き高齢者向け住宅(住み替え)のデメリット】
・要介護度が高くなると、対応できなくなる施設もある
・一般の住宅と比べ費用が高額になる場合が多い
サービス付き高齢者向け住宅は、施設によっては24時間スタッフが在中しており、緊急時にはサポートを受けられるなど安心感のある環境が手に入ります。
いずれ介護を受けることを想定して、こうしたサービス付きの物件に住むのも1つの選択肢です。
介護施設(特養、老人ホームなど)
介護施設では介護が必要になった場合でも、個別に支援が行われるため比較的自立した生活を送ることができます。
要介護度の度合によって入居できる施設は異なりますが、常に介護を受けられる環境で過ごすことができます。
【介護施設(特養、老人ホームなど)のメリット】
・介護サービスや生活の支援を受けられる
・家族以外の人との関わりが増え刺激になる
【介護施設(特養、老人ホームなど)のデメリット】
・初期費用が高くなる
・集団生活が苦手な場合はストレスになる場合がある
自立した生活を送れる人にとっては、介護サービス費用が無駄になることや制限のある集団生活がストレスになる場合があるため、あまりおすすめできません。
今後自身に介護が必要になった場合に終の棲家として介護施設に入りたい旨を、家族の方に伝えておくのが良いでしょう。
終の棲家の選び方
ここでは、終の棲家を選ぶ際に考慮するべきポイントについてご紹介します。
ポイント1.予算
ポイント2.設備や立地
ポイント3.介護の受けやすさ・充実度
ポイント1.予算
収入が限られてくる老後は、予算に合わせた人生設計をすることが重要になってきます。
終の棲家の選択肢別予算感は以下の通りです。
・自宅
家賃または持ち家の場合は固定資産税等(各世帯による)
・自宅にバリアフリー化のリフォームをする場合
約300万円(一戸建ての場合)
・サービス付き高齢者向け住宅
初期費用約20万+月額約15万円
・介護施設(特養、老人ホームなど)
初期費用0~数千万円(要介護度による)+月額約15万円
上記のように介護サービスが付随した住宅は、その分初期費用や月額料金も高額になります。
老後の収支や自身の健康状態、家族の負担等も合わせた上で検討してください。
ポイント2.設備や立地
終の棲家では、自身が現在のように自由に行動できなくなった際に、負担やけが等のリスクが少ない場で暮らすことが重要になります。
留意するべき点は以下の通りです。
【設備】
・段差の少なさや、階段に手すりがあるか
・寝室、キッチンなど生活の動線に十分なスペースがあるか
・風呂やトイレに滑りにくい床材を使用しているか、広さが十分にあるか。
【立地】
・スーパーや薬局など、日々の買い物が負担にならないか
・かかりつけの病院が近くにあるか
特に自宅でそのまま暮らしたいという方は、上記の条件を満たしているか確認しておくといいでしょう。
ポイント3.介護の受けやすさ・充実度
自身が今より歳を重ねた際、家族または民間事業者から介護を受ける可能性があります。
いざ必要になった場合に、満足に介護を受けられる環境かどうかを確認しておきましょう。
確認しておくべき点は以下の通りです。
・子供夫婦等が近くで暮らしているか
・訪問介護を選択する場合、サービスを受けたい事業者が近くにあるか
・サービス付き住宅や老人ホームの場合、要介護度が変化した際にも居住を続けられるか
自身がどのような最期を迎えるか、どこまで介護を受けて生活するかなどを考え、それを実現できる住まいを選ぶのがおすすめです。
まとめ
今回は、終の棲家についてそれぞれのメリットデメリットや選び方を解説してきました。
終の棲家を決めることは、自身が希望する人生設計を叶える大きな一助になります。
ぜひ自身の希望や状況に合わせて選んでください。