年忌法要とは
法要
年忌法要とは、故人を供養する儀式です。
節目の年の命日に、故人を偲んで冥福を祈るための供養をおこないます。
年忌法要をおこなうのは、3と7のつく年数です。
3回忌までは親族だけでなく、故人の知人や友人も招いておこない、7回忌以降は親族のみでおこないます。
年忌法要の数え方
年忌法要の数え方は、一般的な「3年目」「7年目」という数え方とは違います。
ここでは、年忌法要の数え方を確認しておきましょう。
葬儀翌年の命日が1周忌で、それ以降の数え方が変わります。
3回忌であれば、亡くなってから3年目ではなく、2年目におこないます。
ですから、1周忌の翌年には3回忌の年忌法要をおこなうことになるのです。
7回忌の場合は、亡くなってから満6年の年に年忌法要をおこないます。
年忌法要では、実際の「〇回忌」の数字よりも1年早く法事をおこうのです。
年忌法要早見表
法要
年忌法要の節目となる年は、きりのよい数字ではないので、わからなくなるという人も多いようです。
「数え方がよくわからない」という人のために、年忌法要の早見表を用意しました。
亡くなって何年目に年忌法要をするのかとともに、招待する人についてもまとめてあります。
周忌 数え方 参列者の範囲
1周忌 亡くなった翌年 遺族親族、友人知人参列
3回忌 亡くなって満2年目 遺族親族、友人知人参列
7回忌 亡くなって満6年目 遺族親族のみ
13回忌 亡くなって満12年目 遺族のみ
17回忌 亡くなって満16年目 遺族のみ
23回忌(省略あり) 亡くなって満22年目 遺族のみ
27回忌(省略あり) 亡くなって満26年目 遺族のみ
33回忌 亡くなって満32年目 遺族のみ
37回忌(省略あり) 亡くなって満36年目 遺族のみ
43回忌(省略あり) 亡くなって満42年目 遺族のみ
47回忌(省略あり) 亡くなって満46年目 遺族のみ
50回忌 亡くなって満49年目 遺族のみ
いつまで年忌法要をおこなうのか宗派別に解説!
宗教
年忌法要はいつまでおこなうのでしょうか。
宗派別に見ていきましょう。
浄土真宗
真言宗
曹洞宗
臨済宗
日蓮宗
真宗
浄土真宗
浄土真宗は、亡くなってすぐに浄土する考えなので、ほかの宗派のように極楽浄土に導くための供養ではありません。
浄土真宗では、故人を偲ぶために1周忌から17回忌まで、年忌法要がおこなわれます。
33回忌が弔い上げとなり、50回忌は年忌法要で終わりの意味を持っています。
真言宗
真言宗の年忌法要は、1周忌、7回忌、13回忌、17回忌までは、ほかの宗派と同じです。
真言宗では、33回忌が弔い上げになります。
曹洞宗
曹洞宗は、真言宗ににていますが、地域によって違います。
1周忌、3回忌、7回忌、13回忌、17回忌までは、年忌法要をおこないます。
そのあと、弔い上げを33回忌でするところもあれば、37回忌、43回忌、47回忌をし、50回忌を済ませることもあります。
弔い上げとは別に、50回忌や100回忌をおこなうのが曹洞宗の特徴です。
臨済宗
臨済宗では、17回忌までは曹洞宗と同じように年忌法要をおこないます。
そのあと、33回忌または50回忌に弔い上げをすることもあります。
日蓮宗
日蓮宗は、1周忌から17回忌までの年忌法要をおこない、23回忌、27回忌と続きます。
地域によって、主な法要以外を省略することもあるでしょう。
真宗
真宗では、1周忌から17回忌までおこない、33回忌を済ませたおあとは、37回忌、43回忌、47回忌を省略することが一般的です。
年忌法要の流れ
流れ
年忌法要はどのような流れで、おこなわれるのでしょうか。
一般的な年忌法要の流れについてお伝えします。
流れ①僧侶入場
流れ②挨拶
流れ③読経と焼香
流れ④法話
流れ⑤終了の挨拶
流れ①僧侶入場
参列者がそれぞれ席に座ります。
故人と関係が深い人から順番に座るのがならわしです。
自宅で法要をおこなうときは、仏前に僧侶の座る場所を用意しましょう。
参列者が全員座ったら、僧侶が入場して年忌法要がはじまります。
流れ②挨拶
僧侶が入場したら、施主が始まりの挨拶をします。
手短に、参列いただいたお礼と、年忌法要をはじめる旨を伝えましょう。
流れ③読経と焼香
挨拶のあとにお経が始まります。
15分程度のお経なので、前に座っている人から、焼香をおこないましょう。
読経の間に参列者のお焼香が終わるようにします。
焼香は、順番に焼香台の前に進んでする方法と、座って焼香炉を回す方法があります。
参列する人は、法要によって焼香の仕方を合わせましょう。
挨拶のあとにお経が始まります。
15分程度のお経なので、前に座っている人から、焼香をおこないましょう。
読経の間に参列者のお焼香が終わるようにします。
焼香は、順番に焼香台の前に進んでする方法と、座って焼香炉を回す方法があります。
参列する人は、法要によって焼香の仕方を合わせましょう。
流れ④法話
お経が終わると、僧侶から法話をいただきます。
法話は説教と言われることもあるでしょう。
仏教の教えを、僧侶の考え体験をまじえながら、わかりやすくはなしてくれます。
流れ⑤終了の挨拶
法話がおわったら、僧侶が退場します。
施主はおわりの挨拶をしましょう。
会食がある場合は、ここで伝えます。
参列していただいた感謝の気持ちを伝えるとともに、会食の用意があることを述べましょう。
年忌法要を営む際のチェックポイント
年忌法要を執りおこなうときに押さえておきたいチェックポイントをまとめました。
お寺へ連絡
案内状送付
お布施
引き出物(香典返し)
移動手段
お寺へ連絡
年忌法要をするときは、日時と場所を決める前に、お寺に連絡をします。
僧侶の予定を最初に確認しましょう。
そのあとに、参列者の都合も考え、日時と場所を決めます。
週末や長期休暇、お彼岸の時期は、僧侶の予定や年忌法要をおこなう場所も、予約で埋まりやすくなります。
参列者の都合も考えて、早めに日時を決めましょう。
日時と場所を決めたら、改めて僧侶に年忌法要のお願いをしましょう。
案内状送付
年忌法要の日時と場所が決まったら、参列してもらう人へ知らせましょう。
相手の予定もあるので、早めに案内状を送ります。
遅くても、法要をおこなう日の1ヶ月前には届くようにしましょう。
親族のみの場合は、電話連絡で案内しても失礼にはなりません。
会食や引き出物の用意をするので、年忌法要の10日前には出欠の連絡をもらえるように期限を設定します。
切手を使う場合は仏事用を用意しましょう。
はがきは往復はがきを使い、出欠確認と合わせて会食があることも明記してください。
お布施
法要のお礼として、僧侶へのお布施を用意しておきます。
年忌法要が終わったら、別の部屋に僧侶を案内して渡しましょう。
お布施は手渡しではなく、小さなお盆や切手盆に乗せて渡します。
こちらがお寺へ出向いてお布施を渡すときは、袱紗に包んで持っていきいましょう。
自分が字を読めるように置いて、お盆の上下を持ち時計回りに1回、2回と回して僧侶に字が読めるようにします。
渡す際は、お礼を述べながら渡しましょう。
引き出物(香典返し)
引き出物は、法要に来ていただいたお礼として渡す手土産で、香典返しとも言います。
予約をするのは、参加人数が決まってからにした方がよいでしょう。
最近では、ネットで引き出物を注文できるサイトもたくさんあるので、忙しくてお店に足を運べないという人は、利用してもよいでしょう。
その場合でも、年忌法要の前日には届くよう手配してください。
移動手段
法要の場所と会食の場所が離れている場合は、移動する手段を考えます。
必要あれば、送迎バスやタクシーなどを手配しておきましょう。
参列者の自宅までの送迎が可能か、どこかで待ち合わせて乗るのかも合わせて確認しておきます。
【図解】年忌法要の服装
年忌法要の服装にもマナーがあります。
通常の葬儀とは違う場合もあるので注意しましょう。
ここでは、気を付けるポイントをご紹介します。
3回忌以前
3回忌までの年忌法要は、故人の冥福を祈り供養する大切な儀式です。
親族は喪服を着用しましょう。
男性は、施主であればモーニングコートや紋付袴です。
女性の場合、故人の配偶者であれば、光沢のない黒無地のワンピースやアンサンブルスーツ、黒無地の着物を着用します。
参列者も、案内に服装について何も書かれていなければ、喪服で参列しましょう。
子供は制服が正装になります。
学校によっては、明るい色合いの制服もありますが、子どもの場合は気にせずに制服の着用で問題ありません。
制服がない場合は、落ちついた色合いの白シャツに黒、グレーのズボンやスカートなどがふさわしい服装です。
華やかな飾りやキャラクターがついているものは避けましょう。
男性の喪服
喪服 メンズ ダブル 準喪服
女性の喪服
女性 準喪服
7回忌以降
7回忌以降は、遺族のみで年忌法要をおこなうようになります。
年忌法要の規模も小さくしていくので、喪服ではなく平服でもよいでしょう。
黒・紺・グレーなどの落ちついた色合いで、あまり目立たない柄の服を選びましょう。
男性なら、ダークカラーのスーツで、柄は織柄や薄いストライプ程度のに抑えます。
中のシャツは白シャツで、ネクタイは黒かグレーです。
女性は落ちついた色のワンピースやアンサンブルを着用します。
中に着る服も、同じ落ちついた色合いのダークカラーでそろえましょう。
男性の平服
男性 平服
女性の平服
女性 平服
年忌法要ができない場合は?
疑問
年忌法要は、故人の祥月命日におこなう儀式です。
祥月命日が平日の場合、仕事や学校があるので、年忌法要を行うのがむずかしい場合もあるでしょう。
そんなときは、どうしたらよいのでしょうか。
祥月命日に都合が合わない
法事が重なる
法要が命日のあとにしかできない場合
祥月命日に都合が合わない
祥月命日が平日で、執りおこなうのがむずかしい場合は、命日より前の土日におこなうようにしましょう。
法要のしきたりで、命日より先に延ばさないという考えがあります。
ただし命日の前とは言っても、命日より1ヶ月以上前だと早すぎるでしょう。
命日までの期間が1ヶ月以内で、なおかつ法要が命日の後にならないようにスケジュールを考えます。
できるだけ命日に近い日取りで予定を立てましょう。
法事が重なる
状況によっては、年忌法要が重なるということもあるでしょう。
法事が重なる場合は、複数の法要をまとめておこなう方法もあります。
その場合は、命日が早い方に合わせて、日時を決めましょう。
法要が命日のあとにしかできない場合
都合によっては、命日を過ぎてからでなければ法要ができない場合もあるでしょう。
どうしてできない事情があるときは、仕方ありません。
法要を中止にするよりは、遅くなっても執り行った方がよいでしょう。
事情をよく知らない親族は、命日後に法要をすることを気にするかもしれません。
時期が遅くなる場合は、案内のはがきだけではなく、直接電話などで事情を説明しておくとよいでしょう。
年忌法要のお布施(お車代|御膳料)
お布施
お布施とは、読経や戒名をいただいた感謝のお礼として、僧侶やお寺に渡すお礼のことを言います。
本来は菩提寺のご本尊にささげるもので、渡したお布施で、ご本尊をお守りいただくために役立ててもらうのです。
ここでは法要当日に、僧侶に渡すお礼について紹介します。
お車代
法要を自宅や葬儀会社のホールでおこなうときは、僧侶に足を運んでいただくことになります。
来ていただいたことに対してのお礼がお車代です。
僧侶への実質的なお礼になるので、お布施とは意味がちがいます。
お布施とは別の袋に包みましょう。
菩提寺で法要を行う場合は必要ありません。
御膳料
法要のあとには、会食があります。
僧侶が会食に出席しない場合、料理の代わりに御膳料を渡します。
僧侶が会食に出席する場合、御膳料を用意する必要はありません。
前もって、お寺や僧侶に確認しておきましょう。
年忌法要のお布施の金額相場
お金 相場
年忌法要でのお布施の金額相場を紹介します。
僧侶へのお布施は「お気持ち」と言われることもありますが、それでも相場はあるものです。
法要ごとに相場は変わりますので、包むときの参考にしてください。
1周忌
1周忌法要のお布施は、3~5万円くらいが目安です。
四十九日の法要をお願いしているお寺であるなら、同じ額かそれより低い金額をお渡しすることが多いようです。
3回忌以降
3回忌以降の法要で渡すお布施は、1~5万円くらいが一般的です。
迷う場合は、お寺や僧侶に直接きくことをおすすめします。
4や9がつく金額は、縁起が悪い緒されるため避けましょう。
どうしてもその金額にしたい場合は、5千円札を入れて、お札の枚数が4枚や9枚にならないように調節する方法もあります。
1周忌 3~5万円
3回忌以降 1~5万円
年忌法要のお供えのマナーと渡し方
お供え 落雁
年忌法要に招待されたら、香典と供に用意しておきたいのがお供え物です。
どんなお供え物が喜ばれるのだろうと悩む人もいるでしょう。
基本的には、消費できて消える品物がおすすめです。
消え物は悪い縁を引きずらないという意味が込められています。
花や食べ物、線香やろうそくなどがよいでしょう。
故人がお酒好きなら、ビールや日本酒もおすすめです。
食べ物の場合は、賞味期限が1ヶ月以上あるものを選びます。
ただ、お供え物が偏って同じものばかりになっては受け取る方も困ってしまいます。
迷う場合は、法要の施主に確認してから準備をするとよいでしょう。
会場に飾る花が欲しい、来客用にお菓子類が欲しいなど要望を聞くことで、喜ばれるお供え物を用意できます。
NGなもの
お供え物として適さない品物もあります。
とげがあるものや、香りの強いものは避けましょう。
バラや梅、ネギやにんにくはお供え物に向きません。
故人が好きなものであったとしても、避けた方がよいでしょう。
食べ物では、殺生を思わせる肉や魚は控えます。
渡し方
お供え物は、施主に直接渡します。
法要に出席するのに間接的に誰かに頼んだり、黙って仏壇に供えるのはやめましょう。
「ご仏前にお供えください」とひと言添えて渡します。
紙袋に入っている場合は、紙袋から取り出して渡しましょう。
風呂敷であれば、中身の品物を取り出した後に、たたんで持ち帰れるので便利です。
年忌法要のお返し
香典返し タオル
年忌法要に参加していただいた方には、引き出物をお渡しします。
当日参加できずに、お供えものをいただいたときは、後日お返しをしましょう。
ここでは、年忌法要のお返しについてまとめました。
お返しの相場
お返しは、いただいた香典の1/3から半額程度が相場です。
法事に参加している場合は、会食にかかった費用も考慮して引き出物の金額を考えます。
引き出物は、ひと家族に対してひとつお渡ししましょう。
参列されなかった方で香典やお供えを頂いてる場合は、会食の費用がかかっていないので、いただいたものの半額程度をお返しします。
法要が終わってから1~2週間を目途にお返ししましょう。
どんなものが喜ばれる?
当日お返しするのであれば、持って帰りやすいような小さくてかさばらない、軽いものがふさわしいでしょう。
食品であれば、乾物・そうめん・お菓子・お茶・コーヒー・油などです。
参列できなかった方へ郵送するのであれば、多少大きかったり重かったりしても問題ありません。
タオルや寝具、カタログギフトなどもお返しとして人気があります。
【コラム】法要と法事の違い
違い
法要と法事は同じことだと思っている人もいるでしょう。
法要と法事では、意味がちがいます。
法要は、僧侶にお経を読んでいただき、故人の冥福を祈ることを指し、追善供養とも言われます。
故人が極楽浄土にいけるようにするための行事です。
いっぽう法事は、お経を呼んでいただくことを含め、そのあとの会食までのことを意味します。
法事の中に、法要という行事が含まれているのです。
詳しくは以下をご覧ください。
【専門家監修】法事・法要とは?違いや種類を解説!服装・お布施・お供えも
年忌法要の正しい知識で故人を供養しましょう
年忌法要は、執りおこなう年数が定められています。
宗派や地域によってもマナーが変わりますが、主催者・参列者ともに、相手に配慮したうえで気持ちよく故人の供養をおこないましょう。