真言宗とは
真言宗は13宗ある仏教の宗派の一つ です。
インドで生まれた仏教は今から約1480年前の538年に朝鮮半島の百済から日本に伝わってきました。
仏教はその後、日本で解釈の違いから多くの宗派に分裂し、今に至っているわけです。
真言宗は書の達人といわれた 弘法大師(空海) が平安時代に中国に渡り、日本に帰国後開いた宗教です。
教え
御本尊
総本山
真言宗とは①教え
「即身成仏」は真言宗の空海が伝えた基本の教えです。
これは「仏の心をもって語り、生きる」という悟りの教えです。
他の宗教は成仏してはじめて仏になれるという教えをしていますが真言宗は違います。
真言宗では精進して修行を続けることで、悟りの心が生まれて 生きているうちに心に仏が宿る と教えているのです。
真言宗とは②御本尊
真言宗の御本尊は 大日如来 で全宇宙の最高位の存在と言われています。
たとえばイエスキリストは神の子、神の使いであり、神そのものではありません。
最初に悟りを開いて仏教を誕生させた釈迦、ゴータマシッダールタは王子として存在した人物です。
釈迦を作り出したのも大日如来ですから、絶対的な創造主なのです。
そういうことから大日如来はキリストや釈迦の上位に存在しているといわれます。
それが証拠に 曼荼羅 という仏教の悟りを表現した絵柄の中心に、大きく大日如来が置かれています。
真言宗とは③総本山
真言宗の総本山は 金剛峯寺 で和歌山県高野町にあります。
総本山金剛峯寺は広大な高野山全体がお寺の境内となっているのが特徴です。
入口の「大門」から始まって 総本堂である「金堂」 や「東塔」、「奥の院」、「頌徳殿」に至るまで合計36か所が広大な敷地に点在しているのです。
真言宗の仏壇の選び方
仏壇 開き
真言宗の仏壇を選ぶときに幾つかポイントがあります。
また、真言宗に相応しくない素材もありますので注意しましょう。
タイプ
サイズ
種類
仏壇の選び方①タイプ
上置き(棚置きタイプ)
下台付き(床置きタイプ)
壁掛けタイプ
オープンタイプ
仏壇は置く場所に合わせて4タイプがあります。
上置き は小型化された仏壇で人気があります。
棚や低めの家具の上に置けるのでスペースが無い場合にはこちらが便利です。
下台付き は自立した仏壇で立派なもの。
高さや幅があり存在感があります。
仏間があるご家庭は存在感のある下台付きがおすすめ。
壁掛けタイプ は厚みが無く、モダンでシンプルな仏壇です。
現代的なインテリアともよく馴染みます。
オープンタイプ は扉が無い簡単な仏壇です。
故人の写真と線香台など置いて合掌だけするメモリアルスペース的なものです。
仏壇の選び方②サイズ
仏壇のサイズ表記は㎝ではなく号や尺 で表します。
着物を作るときに尺物差しで作るのと同じですね。
1号は約3cm、1尺が約30cmですが、現代人には感覚がつかめません。
商品にはセンチ表記もされて分かりやすくなっています。
仏壇サイズは16号から56号ぐらいまであります。
もともとが号や尺なので、同じ16号でも高さや幅、奥行きはそれぞれ微妙に違ってきます。
例えば、ミニ仏壇なら16号で高さは48㎝前後、幅は38㎝前後。
下台付きの大きいタイプは56号で高さが150㎝以上になります。
仏壇の選び方③種類
モダン仏壇(家具調)
唐木仏壇
金仏壇
真言宗の仏壇は 金仏壇以外ならどれでも問題ありません。
金仏壇は浄土真宗の仏壇ですので、真言宗では使わないようにしてください。
モダン仏壇 は現代のインテリアに溶け込むシンプルなデザインです。
リビングやフローリングの部屋に置いても違和感がありません。
お寺の雰囲気が色濃く出たのが 唐木仏壇 で黒檀などの木目が生かされた仏壇。
昔ながらの仏間に置くデザインです。
ちなみに浄土真宗の 金仏壇 は黒塗りで内側が金箔を施したもの。
まるで寺院のような装飾が特徴です。
おすすめの仏壇
仏壇処分は丁寧に
次におすすめの仏壇をご説明します。
デザインでいうと モダン仏壇 が部屋のインテリアに馴染みやすいのでおすすめです。
素材がウォールナット、メープル、ブナなどを使うことが多いので他の家具と素材を合わせることが出来ます。
形のおすすめはコンパクトな 上置きタイプ です。
棚や家具の上に置くのでスペースを取られず活用できます。
価格はリーズナブルで、2万円台から購入できます。
もうひとつのおすすめは 壁掛けタイプ です。
新感覚の仏壇で現代的なインテリアに良く合います。
例えば床が大理石のリビングや寝室に置いても、厚みがないので悪目立ちしません。
高級感のあるデザインが多く、価格も高い傾向にあります。
真言宗の仏壇に飾るもの
仏具4
仏壇を開くとまず、奥に仏像があり、他にも様々な仏具がありますね。
この機会に仏壇の伝統的な飾り方を知っておきましょう。
次に真言宗にふさわしい飾り方を解説していきます。
仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)
仏具
位牌
仏壇に飾るもの①仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)
真言宗の仏壇は仏像として 御本尊の「大日如来」を中心に 祀ります。
次に脇侍として向かって左に「不動明王」または「興教大師」を、右に「弘法大師」を配置します。
脇侍の掛け軸の高さは「大日如来」より低い位置にするのが決まりごとです。
仏壇に飾るもの②仏具
三具足(花立・火立・香炉)
五具足(花立・火立・香炉・仏飯器・茶湯器)
線香差し、マッチ消し、おりんの3点セット
高月
基本的な仏具は三具足、または五具足です。
それに線香差し、マッチ消し、おりんの3点セットを組み合わせます。
他に供え物を置くための高月などが必要です。
仏壇に飾るもの③位牌
位牌は故人の戒名を入れた木の立板で、 戒名の他に没年月日と俗名、享年を入れます。
お葬式の時は白木で仮位牌ですが、法要(四十九日)までに本位牌(漆塗り)に作り替える必要があります。
真言宗の仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)の選び方
白紙の掛け軸
真言宗 仏壇にまつる道具類がわかったところで、次に選び方のポイントを解説します。
自分のご家庭に合うものを選んでください。
サイズ
仏像や掛け軸は、仏壇の大きさに合わせて最適なサイズを選びます。
仏壇の中心に置く「大日如来」の丁度いいサイズが既に決まっているショップから
購入 すると失敗がありませんよ。
脇侍も同じで、はっきり的確なサイズを知ってから購入すると間違いがありません。
注意点
仏壇を選んだあとに 素人判断で仏像・掛け軸を選ぶとサイズで失敗 することがあります。
仏像・掛け軸は重要で、一番奥に配置するためスペースのバランスが悪いと台無しです。
特に斬新なデザインのモダン仏壇の場合はしっかりアドバイスをもらって決めましょう。
真言宗の仏具の選び方
仏具5
真言宗ではお参りの所作に応じて仏具が様々必要です。
核家族になって、受け継がれる風習もわからない方が多いですよね。
次に種類や選び方についてまとめたのでご覧ください。
種類
サイズ
注意点
仏具の選び方①種類
花瓶
香炉
燭台
茶湯器
仏飯器
高杯
おりん
位牌
仏具はとは、お花を生ける、お線香を焚く、ローソクを灯す、お茶やご飯、お菓子や果物を供えるなどの 一連の動作に必要なもの をいいます。
戒名を入れた位牌も仏具ですし、仏壇で手を合わせる前に鳴らすおりんも全て仏具と言います。
仏具の選び方②サイズ
仏具のサイズは仏壇に合わせて選ぶのが当然ですが、やはりバランスが難しいですよね。
ネット購入の場合は セットになっている物を買うのが安心 です。
しかし、この場合は自分の好みで選ぶ融通がききません。
仏壇専門店に足を運ぶと、好みのタイプと予算に合わせてコーディネートしてもらえます。
実際に手に取って見れるので品質の良し悪しもわかるというものです。
仏具の選び方③注意点
お道具の仏具は最初から全部そろえる必要はありません。
必要最低限にするなら 最優先が三具足の花立・火立・香炉 です。
次にそろえるべきなのが、おりん、茶湯器、仏飯器の3種です。
コンパクトな仏壇が主流になっていて、仏具もサイズダウンされる傾向です。
それでも、仏具は種類がとても多いのである程度スペースが必要になります。
後々仏具を増やす予定があるなら、最初から大きい仏壇を買うのが良いでしょう。
真言宗の位牌の選び方
位牌
位牌はご両親であったりご主人さまであったりで思い入れがあります。
故人の戒名を入れたことでそこに魂が宿っている気がしまよね。
位牌は仏壇とバランスの良い大きさで、それなりの品質を保つのが望ましいです。
サイズ
位牌は、仏壇の内サイズや仏像・掛け軸とのバランスを見て決めます。
一般的に16号の仏壇・高さ48㎝の場合、位牌は15~18㎝。
20号の仏壇・高さ64㎝の場合、位牌は17~22㎝です。
ただ、仏壇の大きさに合わせて、どんどん大きくなるわけではありません。
位牌の平均的なサイズは20㎝前後 とお考え下さい。
注意点
大切な位牌のサイズを決めるには、仏具専門店でプロのアドバイスをもらうと失敗しません。
また、あまりにも安価な価格帯によっては安っぽく見えることもあるので 実際に手に取って決めたい ものです。
数千円から数万円するものもあり、またキャンペーン中はガクンと価格が下がったり。
仏具の世界は価格の相場がかなり流動的だとわかりますね。
真言宗の仏壇の飾り方
おりん
仏壇をさらに美しくする灯篭などの装飾品があります。
スペースがあればご購入して飾りつけするといいでしょう。
また、仏壇内部の段についての飾り方も解説をしていきます。
灯篭・瓔珞
上段
中段
下段
2段しかない場合
仏壇の飾り方①灯篭・瓔珞
仏壇内部の天井に吊り下げて使うもので、それぞれが1対になっています。
両端に瓔珞、内側に灯篭 を下げますが、御本尊が隠れないように配置しましょう。
灯篭は宗派によって形が違い、真言宗では、基本的に吊り燈籠を用います。
仏壇の中を明るく照らし灯供養具の役割があります。
瓔珞(ようらく)は仏壇を美しく飾る役割ですが魔よけの意味があります。
古代インドで王族たちが身に着けていた装飾品の形から伝わりました。
いづれにしても下台付きの大きいサイズでないと上手く飾れません。
また、一気にお寺感が増すので仏壇デザインや設置する部屋を選ぶのが良いでしょう。
仏壇の飾り方②上段
御本尊の大日如来
脇侍の掛け軸
仏飯器・茶湯器
最上段は中央に真言宗の御本尊である「大日如来」を置きます。
次に「大日如来」の左右には脇侍の掛け軸を下げます。
向かって左に「不動明王」か「興教大師」を、右に「弘法大師」を配置します。
仏飯器は御本尊を囲むように 向かって左側、茶湯器は右側に置きます。
仏壇の飾り方③中段
位牌
高月
位牌は真ん中を避けて 御本尊の近くに 置いてください。
果物などお供え用の高月は位牌を挟むように一対で置きます。
仏壇の飾り方④下段
花立・火立・香炉
線香差し・マッチ消し
ローソク立て
おりん
下段の向かって左に花立、右に香炉を配置します。
三脚タイプの香炉は1本の脚が手前 にくるようにし、おりんは右端に置くのが基本。
他の線香差し、マッチ消し、ローソク立ては下段であれば特に配置の決まりはありません。
仏壇の飾り方⑤2段しかない場合
上段
ご本尊
花立・仏飯器茶湯器・位牌
14号高さ40㎝サイズの小さい仏壇は2段しか無いことが多いです。
上段は真ん中に御本尊、向かって左に花立、右に位牌を置きます。
この場合、脇侍は置かなくてもかまいません。
仏飯器茶湯器は、御本尊を囲むように配置します。
基本的な決まり通りで向かって左に仏飯器、右が茶湯器です。
下段
線香差し・香炉- ローソク立て
おりん
向かって左から線香差し・香炉- ローソク立て、おりんの順番で配置します。
スペースが足りない場合は、ローソク消しは置かなくても良い物です。
ローソクは手で仰いで消すようにし、決して口で吹き消してはいけません。
真言宗の仏壇の飾り方(お盆・お彼岸・法事)
お盆
お盆や法事などの行事には特別に用意するものがあります。
仏さまを供養するお膳を作り、打敷をしいて厳粛にお迎えします。
お霊供膳
法事や命日には仏壇にお霊供膳をお供えします。
お膳の器は台とセットになって仏具屋で販売 されているものを使います。
お霊供膳はメニューや並べ方やに決めごとがあります。
精進料理で構成されていて、最近の人には馴染みのない料理ですね。
平椀には椎茸、高野豆腐、ゆば、人参などの煮物を入れます。
壺椀は箸休め的なサイドメニューとして酢の物、おひたしを盛り付けます。
高坏はナスやキュウリなどの漬物を置きますが、たくあんの場合は原則2枚です。
並べ方は高坏を真ん中にし、左上に平椀、右上に壺椀が、手前左に飯椀 右に汁椀の配置です。
お箸を手前に置き、お膳は仏壇奥の仏様が食べやすい向きに置きます。
打敷
打敷は 仏事をより厳粛な雰囲気にする ために使います。
仏壇の天板と本体の間に挟んで使い、仏壇を飾るものです。
極楽浄土を表す意味があり、艶やかな西陣織風の布製で作られています。
打敷は三角と四角の2種類ありますが、真言宗では四角い打敷を使います。
夏場は薄い生地の夏用、お彼岸を過ぎたら厚めの冬用を使うようにしてください。
真言宗の仏壇の向き
仏壇
仏壇の正しい向きは、宗派にる解釈の違いで異なります。
また、それぞれの向きには深い意味合いが込められていて実に興味深いものがあります。
方角においての解釈の仕方とあわせて、真言宗の仏壇の置き方も解説します。
南面北座の向き
西方浄土の向き
本山の延長線上
仏壇の向き①南面北座の向き
仏壇の背を北にして設置し南に向かって拝むという解釈。
これは釈迦が北を背にして座っていたので 釈迦説法での再現 という説があります。
また、家の中で直射日光を避けられる最適な場所という考え方もあります。
仏壇の向き②西方浄土の向き
仏壇の背をを東にして設置し、西に向かって拝むという解釈です。
これは 西方にある極楽浄土に向かって拝む という解釈になります。
仏壇の向き③本山の延長線上
総本山の方角に向かって拝むように設置するという解釈です。
真言宗ではこの本山中心の向き を良しとしています。
和歌山の高野山金剛峯寺に向かって拝むように配置します。
そのため、住んでいる場所によって仏壇の向きが変わってきますね。
真言宗の仏壇のお参り作法
仏壇の意味
仏教では一般的なお参りの流れに大きな違いはありません。
宗派によって立てる線香の本数など多少の違いがあります。
次に真言宗の作法をご説明しましょう。
お参りの流れ
仏壇前に正座し一礼する
仏飯をお供えし花瓶の水を変える
ロウソクに着火し線香をつける
おりんを鳴らす
合掌と出来れば読経する
ロウソクの火を消し一礼する
仏飯を下げる
この順番で正しいお参りをしましょう。
2の仏飯はお茶とご飯のお供え物です。
炊きたてのご飯をお供えし、硬くなる前に家族で頂きます。
ただ、毎日用意するのが大変な場合、仏飯を強要するべきではありません。
3のお線香ですが、真言宗では 本数を3本 たてます。
奥に1本、手前に2本立てて三角形になるようにします。
おりんは本来、読経するときだけ鳴らすものですが、邪念を払う意味で合掌の時に鳴らします。
真言宗では、おりんの使い方は、2回までです。
1回目は強く、2回目は優しく鳴らすようにしてください。
ろうそくを消すときは手で仰いで消すか、一瞬で消せる「ローソク消」という仏具を使います。
お参りするタイミング
仏壇へのお参りするタイミングは 朝と晩の2回 です。
朝は身支度を整え朝食をとる前にお参りします。
晩は1日の感謝を込めて行い、時間がなければ合掌だけにすることも出来ます。
真言宗の仏壇がある暮らしで心を穏やかに
現代では殆どの家には仏間が無く、畳のない住まいも多いですよね。
仏壇は、狭い間取やモダンなインテリアにも合うように進化してきました。
特に、真言宗の仏壇は落ち着いたデザインのものが豊富にあります。
仏壇のある暮らしはとお参りの習慣は丁寧な暮らしぶりに繋がります。
お線香で空間を浄化することもでき、心を穏やかに保てます。
故人を思い出す大切な時間 を持つこともできるでしょう。
ご自分の生活スタイルに合った仏壇をぜひ見つけてください。