天台宗とは
天台宗は、 今から約1200年前、最澄によって日本にもたらされた宗派 です。
宗派の起源は中国にあり、最澄が唐に渡って天台宗の教えを学び、伝教大師(でんぎょうだいし)として日本で天台宗を開きました。
文化庁のまとめる宗教年鑑によると、天台宗の寺院・団体数や信徒数は、仏教の中でも決して多くはありません。
ですが、 最澄の広めた天台宗が基となって様々な宗派が派生したとも言われており、日本の仏教の基本となったのが天台宗なのです。
そこで、まずは天台宗の基本を確認しておきましょう。
教え
御本尊
総本山
教え
天台宗の教えは、 中国の僧、智顗(ちぎ)がまとめた天台教学が元 となっています。
この 天台大師(てんだいだいし)智顗 の教えを学び、日本に伝えたのが最澄でした。
天台宗の教えは、 「妙法蓮華経」(みょうほうれんげきょう)、つまり、「法華経」(ほっけきょう)が基 となっています。
その中では、 全ての人は仏になれる と説き、その事を皆が自覚して、日々悟りへ至る為に努力すれば、この世が浄土となる、とされています。
そこで天台宗が進めているのが、「 一隅を照らす運動 」です。
これは、自分が輝ければ周囲を照らすことができ、そうして一人一人が輝くことで、素晴らしい世界を築くことができる、という理念の活動です。
御本尊
天台宗の御本尊は、「釈迦如来」(しゃかにょらい)もしくは「阿弥陀如来」(あみだにょらい) です。
ただし、特に規定がないため、寺院にによっては 薬師如来や観世音菩薩 をまつることもあります。
自宅に天台宗の 仏壇を設置する際の御本尊は、一般的には阿弥陀如来をまつることが多い です。
総本山
天台宗の総本山は、滋賀県と京都府の県境辺りにある比叡山延暦寺 です。
最澄によって開かれた延暦寺は、本尊に薬師如来をまつる寺院であり、1994年にはユネスコ世界文化遺産にも登録されました。
また、 平安時代に開かれた延暦寺は、その後、様々な宗派の開祖が修業した寺院 でもあります。
浄土宗開祖の 法然 、曹洞宗開祖の 道元 、臨済宗開祖の 栄西 、浄土真宗開祖の 親鸞 など、名立たる名僧を輩出しているのです。
これが、天台宗の総本山が日本仏教の母山であると言われる所以です。
天台宗の仏壇の選び方
仏壇 開き
では、天台宗では、どのような仏壇を選べば良いでしょうか。
仏壇とは、自宅にまつる小さな寺院 です。
中央には御本尊をまつり、その下に先祖をまつります。
ここでは、天台宗の仏壇について詳しく見ていきましょう。
サイズ
種類
サイズ
天台宗の仏壇に、 サイズの決まりはありません。
昔ながらの大きな仏壇でも、近年増えてきたモダン仏壇や小さな仏壇でも構いません。
仏壇の中には、御本尊と脇侍(きょうじ)をまつり、その他の仏具や位牌等を用意する必要があります。
勿論、どのようなサイズの仏壇も、これらの必要な仏具が十分に収まります。
その為、 仏壇のサイズはあなたの家の設置場所の大きさで決めると良い です。
種類
仏壇の種類も、特に決まりはありません。
ただし、黒の漆塗りの上から金箔で装飾した、いわゆる 金仏壇はあまり使用されません。
唐木仏壇等の木目の仏壇を用いることが多いですので、天台宗の仏壇を用意する場合は、金仏壇は避けましょう。
天台宗のおすすめの仏壇
では、具体的な おすすめ仏壇 を見ていきましょう。
先ほど述べたように、天台宗の仏壇は金仏壇を避けること以外には、特に決まりはありません。
仏壇を設置する部屋やスペースを考慮して選ぶ と良いでしょう。
ここでは、3つのおすすめ仏壇を紹介していきます。
脇侍掛軸付きの本格的ミニ仏壇
コンパクトにまとまったミニ仏壇
仏壇台がセットになった仏壇
脇侍掛軸付きの本格的ミニ仏壇
松山神仏具店 ミニ仏壇 モダン仏壇 カモミール18号 高56.9cmX幅40.5cmX奥37.5cm 仏具一式セット 全宗派 天台宗
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98000円
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こちらの商品は、これ一つで仏壇で必要なものが一通り揃う、 仏具一式セット付の仏壇 です。
仏壇には必ず必要な仏具がはじめから付いていますので、仏具購入に迷うことがりません。
また、この商品はミニ仏壇ではありますが、脇侍の掛軸もついています。
大きなスペースはないけれど、きちんとした仏壇を用意したいと思う方におすすめです。
コンパクトにまとまったミニ仏壇
なーむくまちゃん工房 ミニ仏壇 「クルミタモ」 仏具一式セット付き 天台宗
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こちらの仏壇は、先ほどの仏壇よりも更に コンパクトなタイプ です。
大きなスペースを用意できない場合は、こういった仏壇もおすすめ です。
先ほどと同様に、仏具一式がセットになっています。
更に、こちらの仏壇は、仏壇で使用する線香やろうそくも付いていますので、 届いたその日からすぐにお参りすることが可能 です。
仏壇台がセットになった仏壇
滝田商店ブランド 仏壇 モダン仏壇 仏具セット付 国産 (日本製) フォルテ 台付型(床置き) ダーク 40号 高さ120cm×巾44cm◆ 家具調仏壇 【全宗派対応 お客様の宗派を選択できます】 (選べる仏具セットB 宗派選択:天台宗) 【滝田商店発行 証明書付】
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仏壇だけを購入したけれど、何処に置けばいいか分からない。
和室がないから床に直接置けない。
そんな場合は、 仏壇台までがセットとなった仏壇 がおすすめです。
こちらの仏壇は、仏具の種類を選ぶことが出来ますので、仏壇を設置する場所にあわせた仏具を選べます。
天台宗の仏壇に飾るもの
白紙の掛け軸
天台宗の仏壇に飾る仏具に、特別な仏具はありません。
一般的に仏壇で使用する仏具を使用します。
天台宗の仏壇に飾る仏具について見ていきましょう。
仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)
仏具
位牌
仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)
天台宗の仏壇にまつる 御本尊は、阿弥陀如来が一般的 です。
その他にも、釈迦如来や観世音菩薩をまつっても構いません。
迷った場合は、菩提寺に尋ねると良いでしょう。
御本尊の両脇にまつる 脇侍は、右側に「天台大師 智顗」、左側に「伝教大師 最澄」 をまつります。
ただし、おすすめの仏壇の中にもあるように、近年増えてきたミニ仏壇の中には、脇侍をまつるスペースがないものもあります。
脇侍まできちんとまつりたい場合は、仏壇購入の際に内部のサイズも確認をしましょう。
仏具
仏壇で使用する道具の事を、仏具と言います。
天台宗で使用するる仏具は、基本的には 三具足、もしくは五具足 を用意しましょう。
三具足とは、仏花を飾る 花立 、ろうそくを立てる 火立 、そして 香炉 の3点です。
この三点は、 仏壇には最低限必要なもの ですので、必ず用意しましょう。
五具足の場合は、花立と火立が一対ずつとなり、合計5点になります。
この他にも、おりん、線香立て、仏飯器、茶湯器、高月等を用意しますが、仏壇の大きさによっては、置く場所がない場合があります。
全てを一度で揃える必要はありませんので、仏壇や仏壇周囲に置き場所があるかどうかを確認しながら仏具を揃えていくと良いでしょう。
位牌
天台宗の位牌は、本位牌を用意します。
天台宗では、通常、四十九日までは白木の仮位牌を使用し、それ以降は本位牌を使用します。
位牌の 材質や色に決まりはありません。
仏壇の大きさや色、材質に合う位牌を選びましょう。
天台宗の仏像・掛け軸(御本尊・脇侍)の選び方
仏壇 種類
では、更に詳しくそれぞれの道具について見ていきましょう。
まずは、仏壇内でも特に重要な 仏像や掛け軸 についてです。
仏壇は家にまつる小さな寺院ですので、御本尊は特に重要になります。
サイズ
注意点
サイズ
御本尊は、仏像でも掛け軸でも構いません。
また、御本尊のサイズは仏壇の大きさによって決まります。
中央にまつった際に、大きすぎたり小さすぎないものを選びましょう。
御本尊の大きさが決まった後で、脇侍のサイズを決めます。
掛け軸の場合は、全て同じ大きさのものを選びましょう。
御本尊が仏像の場合は、仏壇にまつった際、掛軸が御本尊より高い位置にならないように注意します。
注意点
仏像・掛け軸を選ぶ際は、必ず 天台宗のもの を用意します。
特に、脇侍は宗派によってそれぞれ異なりますので、注意が必要です。
脇侍とは、多くの場合その宗派の開祖が描かれています。
間違って他宗派のものを用意しても、宗派が違えば天台宗では使用できません。
仏壇の中でも最も重要なものが、御本尊と脇侍 です。
正しいものかどうかに不安がある場合は、菩提寺や購入店に確認してから購入しましょう。
天台宗の仏具の選び方
仏具4
仏具とは、先ほど紹介した三具足、五具足以外にも、沢山あります。
それらは、必ず 一度に全てを揃えなくてはいけない訳ではありません が、持っていた方が良い物もあります。
種類
サイズ
注意点
種類
仏具には沢山の種類があります。
中でも先ほど紹介した仏具、おりん、線香立て、仏飯器、茶湯器、高月は、基本的には揃えておいた方が良い種類の仏具です。
おりん、線香立て は日常のお参りに使用する仏具です。
仏飯器、茶湯器、高月 は、御本尊に供物を捧げる際に使用します。
これらの仏具以外にも、仏壇で使用する道具は数多くあります。
中には普段使用しないような道具もありますが、法事を行う際に使用するものや、特別なお参りの際に使用する物がありますので、 必要に応じて買い足す ようにしましょう。
サイズ
仏具のサイズは、仏壇の大きさで決まります。
まずは、必ず必要な三具足、五具足のサイズを決めます。
これらは、きちんと仏壇に納まるサイズのものを用意しましょう。
その他の仏具のサイズも、 仏壇の大きさや三具足、五具足の大きさに合うサイズのものを揃えると良い です。
注意点
天台宗には特筆するべき特別な仏具はありません。
基本となる三具足、五具足を揃えたら、他の仏具は必要に応じて揃えていきましょう。
注意点は、バラバラに仏具を揃える際、仏具同士の材質や大きさ、色が極端に違うものを選ばないようにすることです。
買い足す際は、今ある仏具と同じような材質のものを探してください。
天台宗の位牌の選び方
位牌
天台宗の位牌は、他の多くの宗派と同じで、 本位牌 を使用します。
特に、どういった位牌が良いというものはありません。
サイズ
注意点
サイズ
位牌のサイズ を選ぶ際は、仏具と同じで、 仏壇のサイズに合うもの を選びます。
特に、小さい仏壇にまつる位牌の場合は、購入前に必ず大きさを調べておきましょう。
また、既に先祖の位牌があり、家族の位牌を買い足す場合は、 先祖の位牌よりも大きな位牌は避ける場合が多い です。
複数の位牌をまつることが出来ない場合は、先祖の位牌を一つにまとめることが出来る、繰り出し位牌や回転位牌の購入もおすすめです。
注意点
天台宗の位牌を購入する際、同時に戒名を刻んでもらうことが多い です。
位牌に刻む文字は、宗派によって異なり、天台宗の場合も様々な決まりがあります。
戒名を貰っていない、何を記載すればいいのか分からない場合、基本的には仏具店でも教えてもらえます。
ただし、可能であるのなら菩提寺にも相談をしましょう。
天台宗の仏壇の飾り方
位牌
基本的な仏具の用意が出来たら、仏壇に飾ります。
仏壇の飾り方は、一見複雑そうに見えますが、覚えてしまうとさほど難解なものではありません。
基本を覚えれば、問題なく飾れるようになります。
灯篭・瓔珞
上段
中段
下段
2段しかない場合
灯篭・瓔珞
灯篭(とうろう)・瓔珞(ようらく)とは、仏壇に設置される仏具の一種 です。
灯篭は、仏壇内の明かりの役割もあります。
瓔珞とは、仏壇を飾る荘厳具の一つで、金色の植物の形を模した飾りのことです。
どちらも、 天井部から吊り下げて使用 します。
外側に灯篭を、内側に瓔珞を、左右に一対吊り下げます。
上段
仏壇の上段にまつるのは、御本尊と脇侍 です。
御本尊が仏像であれば、上段の中央にまつり、両脇の御本尊より低い位置に脇侍の掛け軸を掛けます。
注意したいのは、 御本尊より脇侍が高くならないようにすること です。
仏壇内で最も上位にまつるのは御本尊 である、ということを忘れないでください。
中段
仏壇の中段には、御本尊に供える仏飯器と茶湯器をまつります。
また、 位牌がある場合も中段 にまつりましょう。
中央に仏飯器と茶湯器を、 位牌は御本尊や脇侍を隠さない位置に まつります。
仏飯器と茶湯器は、仏器膳(ぶっきぜん)というお盆の様な仏具に乗せることで、より丁寧にまつることが出来ます。
下段
仏壇の下段は、三具足や五具足、おりん、高月、過去帳、線香立て等の仏具をまつります。
下段の仏具が、普段お参りする際に使用する仏具ですので、上段や中段に比べて多くの仏具が並びます。
下段は数が多くなりますが、手狭になるようであれば、仏壇外に並べても構いません。
高月と三具足を仏壇内にまつり、それ以外のおりん、線香立て、過去帳等は仏壇の前に置くと良いでしょう。
2段しかない場合
大きな仏壇であれば三段になっていますが、近年増えてきたミニ仏壇等はコンパクトに出来ている為、段数が少ない場合があります。
そういった仏壇の場合も、 基本的な並べ方は三段の場合と同じ です。
まず、 一段高い場所に御本尊・脇侍をまつります。
それ以外の仏具は、 中段の仏具を奥に、下段の仏具を手前に 置きます。
位牌は、御本尊と同じ一段高い場所にまつる場合もあります。
置き方に不安がある場合は、菩提寺や仏壇購入店に尋ねてみましょう。
天台宗の仏壇の飾り方(お盆・お彼岸・法事)
彼岸の由来は?
仏壇は、普段の飾り方とは別に、 仏事での飾り方 があります。
特に、お盆・お彼岸・法事の際には特別な飾りがありますので、確認をしておきましょう。
仏事で特別に用意するものには、以下のような仏具があります。
お霊供膳
打敷
お霊供膳
お霊供膳(りょうぐぜん)は、仏様に供える御膳のこと です。
お霊供膳は一般的な食事を供えますが、仏教の教えに従い 精進料理 を用意します。
御膳を用意し、5つの椀を並べます。
中央にお漬物を入れた高杯 を、 手前左に飯椀 、 手前右に汁椀 を、 奥の左に煮物を入れた平椀 、 奥の右におひたし等を入れた壺椀 を置くのが、天台宗の方式になります。
お霊供膳は仏様に召し上がっていただくものですので、 仏壇奥側に正面を向けて 供えてください。
打敷
打敷(うちしき)は、具足を供える段の下に飾る、刺繍等が施された布 です。
具足を供える段の下に敷き、そのまま手前に垂れ下がるようにして使用します。
天台宗の場合は宗紋である三諦星(さんたいせい)が入ったものや、織物、刺繍など様々なタイプがあります。
天台宗の仏壇の向き
阿弥陀如来像
天台宗では、仏壇は東向きに設置する のが良いとされています。
東向きの場合、仏壇を拝む際に西向きとなる為、 西方にあるとされる極楽浄土に向かって手を合わせる ことになります。
天台宗は、御本尊も阿弥陀如来であるため、これから設置を考えている方は是非東向きになる場所を選んでください。
天台宗の仏壇のお参り作法
子供墓参り
仏壇にも、寺院やお墓同様にお参りの作法があります。
自宅内にあっても、仏壇は寺院と同じ です。
正しい作法でお参りできるよう、その方法を見ていきましょう。
お参りの流れ
お参りするタイミング
お参りの流れ
お参りの流れは、以下の通りに行います。
御本尊に一礼する
お供え物がある場合、お供えをする
マッチでろうそくに火を付け、ろうそくの火で線香に火を付ける
香炉に線香を3本立てる
お経をあげる場合は、線香を立てた後、りんを鳴らしてから読経する
読経後は、再度りんを鳴らす
合掌し、ろうそくの火を消す
最後にもう一度、御本尊に一礼する
お供え物がない場合や、お経をあげない場合は、その手順を飛ばして構いません。
また、 天台宗の場合基本的に線香は3本、焼香は3回 ですので、この数も覚えておきましょう。
お参りするタイミング
仏壇への日々のお参りは、 朝と晩の2回 です。
勿論、それ以外の時間にも、あなたがお参りしたいと感じるのであれば、お参りをしても構いません。
逆に、普段はあまり仏壇にお参りしない、という人は、 少なくとも一日2回のお参りの習慣を持つようにしましょう。
普段からお参りの習慣をつけておけば、仏事の際も正しい作法でお参りすることができます。
天台宗の仏壇は小さな寺院と考える
天台宗は、日本仏教の基であるとも言える宗派です。
沢山の宗派の開祖が、天台宗の総本山で学んでいたことも、そのことを裏付けていますよね。
是非、正しい仏壇のまつり方を知り、正しい作法でお参りできるようにしましょう。