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葬儀

2024.04.30

仏壇にご飯を供える意味、タイミングは?宗教別の盛り方や処分方法も

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仏壇に供える物の1つに、ご飯があります。
しかし、なぜ仏壇にご飯をお供えするんだろうと思った事はありませんか?

この記事では、そのお供え物としてのご飯を取り扱います。
項目は、仏様に捧げる意味、名前、供えるタイミング、宗教別の扱い方等です。

ご飯の位置や器、またその模様は、宗派によって異なります。
ご飯の処分方法や蓋はするのかについても触れていますので、ぜひご覧下さい。

仏壇にご飯を供えるのはなぜ?
仏壇
最初に、仏壇にご飯をお供えする3つの事実を紐解きます。

名前
由来
意味
名前
仏壇に供するご飯の言い方は、何種類かあります。

『飲食(おんじき)』
『仏飯(ぶっぱん)』『御仏飯』
『お鉢(はち)』
由来
仏壇の供物にご飯が数えられるようになったのは、仏陀の逸話が関係しています。
仏陀=釈迦に食事を給仕する事 から始まったのです。

釈迦の1日の食事回数は、たった1食でした。
また朝のうちに食べていた事から、ご飯も早朝に捧げる習慣となります。

さらにご飯を下げるのが午後なのは、和尚さんの食生活が基礎にあるのです。
『斎(とき)』と言って、 僧の食事回数は2回である事 が供物にも影響しました。

意味
仏壇にご飯を捧げるのは、ただ仏さまに『食事』してもらう目的ではないです。
人が毎日3食得られ、平穏に暮らせる事への感謝を伝える為 に行います。

ご飯は、日本人の食生活では欠かせない主食ですよね。
それを捧げる事が、仏様に有り難い気持ちを示す事になります。

仏壇にご飯を上げるタイミング
砂時計
仏壇にご飯を供える時間は、 基本は朝 です。
炊き立て の仏飯を捧げます。

なぜ出来立てのご飯を捧げるのかというと、見逃せない訳があるのです。
炊き立てだとほかほか湯気が立っていますよね。

仏壇の神様にとっては、 その空気が主食であり好物 なのです。

仏壇のご飯を下げるタイミング
仏壇からご飯を下ろすのは、厳密な決まりはありません。
ですが目安となるタイミングはあるので、そちらを参考にして下さい。

仏飯から湯気が立たなくなったら下げ時
朝捧げるのが普通なので、 片付けるのは大体正午前が目安
以上が参考にしやすいタイミングです。
午前中に下ろすのは、 仏陀が午後の食事を禁じていた事 に関係します。

寺では始祖のそうした教えに基づいて、午前の間に仏飯を下ろすのです。
ただし一般家庭になると、昼は勤めていたりして難しい事もあります。

各ご家庭の都合のいい時にあわせて、仏壇から仏飯を片付けるタイミングを考えましょう。

仏壇のご飯の盛り方【浄土真宗 本願寺派(西)】
仏壇
仏壇に捧げるご飯は、教派によってよそい方が異なります。
本願寺派では、 蓮莟(れんがん)形という蓮のつぼみの形 を取ります。

以下のようなイメージで盛るのです。

ご飯を盛る時は頂きが『こんもり』するように
しゃもじで蓮莟形に整える
しゃもじは背部で整えるようにするとうまくいきますよ。

仏壇のご飯の盛り方【浄土真宗 大谷派(東)】
仏壇 開き
仏壇のご飯は 『円筒形(えんとうけい)』形 に盛ります。
この形は蓮の実がモデルです。

『盛糟(もっそう)』 という物を用います。
大小サイズに幅があり、ご家庭にある器の大きさに合わせて選びましょう。

仏壇のご飯を供える位置は?
仏壇
仏壇にご飯を捧げる場所は、いくつかのパターンに分かれます。
基本的には、 浄水の右隣に置くの です。

両者の配置場所は、仏壇のご本尊の前になります。

細かい部分は、宗派によって違いますから本項で一緒に見ていきましょう。

浄土宗
曹洞宗
真言宗
浄土宗
仏壇にご飯を捧げる時は、以下の位置に置きます。

左から壺椀(つぼわん、平椀よりややスリムな椀)
中央に高坏(たかつき)
右に平椀
同宗の派閥で、求道への考え方は異なります。
しかしどの流派も仏の教えを遵守する性質です。

特有のご飯の位置があるなら、お坊さんに確認すると良いでしょう。

曹洞宗
仏壇にご飯を捧げる時は、以下の配置になります。

左に平椀
中央に壺椀
右に高坏
この位置は、同系の臨済宗にも共通しています。

真言宗
仏壇に仏飯を捧げる時は、以下の配置になります。

左に平椀
中央に高坏
右に壺椀
これに共通するのは、天台宗や日蓮宗です。

仏壇のご飯の処分の仕方
仏壇 祀る
仏壇からご飯を下げた後の扱いはどうしていますか?
ほとけ様への供物といえど、食べ物ですので時間が経つと固くなりますよね。

ですから基本は そうなる前に、自身が召し上がるのが良い です。
捨てるのは仏道的によろしくはありませんが、

仏壇から片付ける時間が午後もしくは夜
蓋をしないで置いているので衛生面が気になる
季節が夏で傷んでしまった
家族が少なく食べられる人がいない
といった事情なら、処分して差し支えないとする見方もあるのです。
モラルに反しているようで気になる場合は

夜にご飯を炊いて仏壇に供える
その後仏壇から下げて、食べる
といった対応を取れば、処分しないで済みます。
そもそも、なぜ捨てるのは望ましくないのでしょうか。

飲食には、『ほとけからお下がりとして授かって善行を積む』意味があります。
神様との食事そのものが神聖な為 、捨てるのは受け入れがたいのです。

また食べる時の目安は、 ご飯から湯気が立たなくなった時 です。
ほとけが召し上がった証拠 なので、片付けて人が口にしてもOKなサインとなります。

特に夏場では宗派関係なく、この対処法が有効とされます。
食あたり等のリスクを避ける為にもお薦めです。

やむを得ず処分する時
ご飯を処分して差し支えないケースをもう少し見ていきましょう。
以下の扱い方がよく紹介されます。

家の庭に返す、または鳥や虫に与える
寺に預けて処分してもらう
自宅で捨てる時は白い紙に包む
1つ1つ解説します。

家の庭に返す、または鳥や虫に与える
今でこそ仏飯は『捨ててはいけない』と言われていますが、昔はちょっと違いました。
捧げた後、 自然環境に返す事が度々なされていた のです。

山や川に、食べ物を頂いた事への感謝を伝える行為でもありました。
加えて、仏教の以下の基本理念に基づいているとの見方もできるのです。

悟りは、人知を遥かに超越した宇宙の大原則と1つになる事で実現する
しかし、現代でこの方法を取るとしばし問題が生じます。
昔と住まいの事情も大きく変わり、 特に公衆衛生の面で注意する点 があるのです。

7~8月の猛暑での仏飯の処分は、腐りやすい事もあり土に戻すのは好まれません。
昔とは異なり、現代は価値観や住環境の変化で、難しい事を把握しましょう。

ですから、 季節はなるべく暑い時期を避けて、周囲の迷惑にならない環境 を選びます。
そういった場所や確信が持てない限りは、極力この方法は控えましょう。

寺に預けて処分してもらう
菩提寺があれば、そこの住職に頼んでご飯を処分して頂けるでしょう。
寺院によって対応の可否は変わりますが、 周囲に迷惑をかけないのは確実 です。

また、お寺で直接捨ててもらえなくても、自宅での処分方法を教えてもらえます。
主にお焚き上げという手段を取る事になるでしょう。

自宅で捨てる時は白い紙に包む
自宅の処分方法では 最も手軽で気兼ねなく行えます 。
捨てる時の一連の流れは

下げる前に仏壇で手を合わせ、仏様に『下げます』と告げる
仏壇から下げた後、ご飯を塩で軽く清める
清潔な白い紙に包み、処分する
となります。
仏へのお知らせやお清め等は、全てお下がりを頂いた感謝を忘れない為の行いです。

誠実な気持ちを持って行えば、ほとけはきちんと理解してくれます。

仏壇のご飯の器は?
仏壇
生前使っていたものはダメ
本願寺派・大谷派ごとの紋の違い
呼び方の違い
生前使っていたものはダメ
仏壇のご飯には、 亡くなった人が愛用していたお椀を使うのはNG です。
事実はシンプルで、使用者が現世におらず仏の世界に旅立っているからです。

故人の器を使うのは、 枕飯(まくらめし) という物を用意する時になります。
枕飯は、人が逝去して自宅に安置されている間、枕元に供えるご飯の事です。

本願寺派・大谷派ごとの紋の違い
仏飯の器は、教派、特に浄土真宗本願寺派と大谷派によって模様が異なるのです。

本願寺派
ご飯の容れ物の紋は、 『下り藤』あるいは『六条藤』 です。
模様は、以下の特徴を持っています。

器の中心に、互いに巻き付いたつる
つるを囲うように、藤の花が描かれている
まさに藤の花が『下った』(降りた)ようなさま
さらに、 『五七の桐』 という模様の容れ物もあります。

器下部には、3枚の大きな葉が重なっている
上部に桐の花が3輪描かれている
中央の花は花びらが7枚
左右両側の花びらは5枚
両者の花びらをあわせて、『五七』を表している
上記が特徴です。
2つの模様が一緒に描かれた物もあります。

大谷派
うつわの模様は、 『八つ藤紋の拝(おがみ)』 です。
特徴は以下になります。

中央部に大きな藤の花弁
それを囲うように、小さな藤の花が四方に描かれている
さらに、その4輪の花を囲っている大きな藤
藤の花が 8つあるので『八つ藤』 となる
また、 『抱き牡丹』 という模様もあります。

他の模様に比べ、渋い見た目
真ん中に大きな牡丹の花
それを『抱くよう』に葉っぱと茎が囲んでいる
まさに『抱擁された』牡丹という見た目
上記が特徴です。

呼び方の違い
仏壇のご飯を盛った器も、教派で呼び方が様々です。
仏教全体に定着しているのは、 『仏飯器(ぶっぱんき)』 になります。

特有の呼び方がある宗派は以下です。

浄土真宗:仏器台
大谷派:仏器
上記以外の宗派:仏器膳
さらに、仏壇に捧げるご飯のうつわは複数あったりします。
浄土真宗 以外の教派では、2個が標準的 です。

しかし、実際は1個の仏飯でお供えしています。
浄土真宗だけは3個なのが特徴的です。

仏壇のご飯はパンでも良い?
パン
仏壇の飲食はご飯が基本です。
しかし、ご家庭よっては 主食がそうである事から、パンを捧げる 場合もあります。

お供え物としてどうなのかという声が聞かれますが、決してNGではないです。
最重視されるのは自身のほとけへの真心になります。

ただ、 神様の主食はご飯から発せられる湯気 なので、できれば仏飯が望ましいのです。
しかし、小中学生のお子様がいる家庭等では、ご飯を食べない場合もあるでしょう。

そうなると、何も捧げられないのではと考えられますよね。
しかし、 ほとけに向き合う心があれば 、パンを捧げても深い問題はありません。

様々な意見がありますが、家庭の事情にあわせて柔軟に考えてOKです。
家族みんなでほとけに心を寄せ、お祈りするのがとても大切になります。

仏壇のご飯はご先祖様の人数分用意する?
仏壇
ご飯のうつわが複数ある場合に、ふとわく疑問です。
ご先代の人数分用意する必要はありません 。

なぜかというと、神霊の方々は捧げられたご飯を皆で共有して頂くからです。
一般的にご飯の数は、本尊に1つ、ご先代は全体を統括する意味で1~2つでしょう。

お供えする人側にとって、負担にならない数用意される事をお薦めします。
詳しく知りたい場合は、菩提寺の住職に質問すれば教えてくれますよ。

大事なのは、器の数ではなく、 ほとけへの誠意や感謝の気持ち です。

仏壇のご飯に箸の置き方
仏壇と提灯
仏飯には普通箸は立てません 。
箸を立てるのは、人が永眠した時用意する枕飯です。

故人が生きていた間愛用していたお椀にたくさん盛り 、そこに箸を立てます。
火葬時に棺に納めて、故人の魂と共に仏の世界へ送るのです。

仏壇のご飯に蓋はしていい?
仏壇の意味
最後に、仏壇にご飯を捧げる時、蓋をするか否かについて考えます。

蓋はNG
ラップ
蓋はNG
ほとけへの供物なので、基本蓋はしません 。
現実的に考えれば、霊魂が食べる訳ではないです。

衛生面では空気上のごみが入るので、蓋をしたくなるかもしれません。
これは、ほとけがご飯の香りや湯気を好物(主食)とする為です。

シンプルに、 蓋をすると香りが閉ざされるので霊が食事できなくなります 。
器に蓋がついていない物があるのも、この事情からです。

ですから、朝仏壇に捧げる時は、蓋なしで用意しましょう。

ラップ
ラップを蓋替わりにするのも良くありません 。
確かに覆えば衛生面の問題は防げるでしょう。

しかし、上述した理由と同様にご飯に蓋をするとほとけが食事できなくなります。
仏壇に捧げるご飯は基本、 蓋もラップもしない事を覚えておき ましょう。

仏壇のご飯を供える上で大事なのは心
仏壇にご飯を捧げるのは、 ほとけに日々糧を与えて頂く事への感謝 を伝える為です。
朝、炊き立てのご飯を仏壇に上げると、神様はそれから立ち上がる湯気を頂きます。

捧げる側は手を合わせ、いつも自分達を見守り助けてくれる事に思いを馳せます。
供物が必要とはいえ、この作法で 重要視されるのは人の気持ち です。

例え供えるのがパンであっても、当事者の真心が優先されます。
ほとけへの 誠実な気持ちが見られるからこそ、捧げる物も神聖な意味を持ちます 。

しかし、宗派別の仏飯に関する教えや習慣を守るのも大事です。
以下の教派は仏飯の入れ物等に特徴があります。

浄土真宗本願寺派の容れ物は下り藤
真宗大谷派は抱き牡丹
また、心を込めて捧げた後は処分の仕方に悩みがちです。
仏壇から下げた後はなるべく食べるのをお薦めします。

難しい場合は、

お寺に頼む
白い紙に包む
といった方法で適切に処分しましょう。
捨てる事自体は問題ではなく、最後まで誠実に行えば大丈夫です。

どうぞ、この記事を参考にご飯を捧げる意味を今一度考えてみて下さい。
そのきっかけとなれば幸いです。

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