弔辞とは
スーツ
弔辞とは、故人の死を悼む気持ちや、遺族の方に対してのお悔やみの気持ちを表現するための言葉です。
葬儀や告別式が行われる際に、友人や会社の同僚が代表して、紙に記した弔辞を読み上げます。
行われる葬儀や告別式の規模によって異なりますが、3〜5人程度が代表して弔辞を読み上げます。
遺族の方が代表者を選びますが、その際には基本的に断らず、快く引き受けましょう。
弔辞の内容
手紙
弔辞では、故人の死を悼む気持ち、お遺族の方へのお悔やみの気持ちを述べると解説してましたが、具体的にはどのようなことを伝えればいいのでしょうか。
ここからは、弔辞の内容に関して、
弔辞で伝える内容
弔辞の長さ
言葉遣い
の順に解説していきます。
弔辞で伝える内容
具体的に弔辞で伝える主な内容は、
導入(故人の死を悼み、悲しむ気持ち)
故人との関係やエピソード
故人の冥福を祈る言葉
の3つです。
以下でさらに細かく解説していきます。
1.導入(故人の死を悼み、悲しむ気持ち)
文章の導入に加えて、故人の死を悼む気持ちや、悲しみを表す言葉を述べます。
それに加えて、訃報を知った時の気持ちなどを述べるのも良いでしょう。
後に解説する弔辞の例文などを是非参考にしてください。
2.故人との関係やエピソード
弔辞を話すということは、故人との何か繋がりがあったことと思われます。
故人とどういった関係の方が話しているのかわかる言葉を述べましょう。
また、抽象的な言葉ではなく、具体的な話を交えることでより代表者の気持ちが伝わります。
故人がどのような方であったのか、どのような業績を残したのかは、具体的なエピソードとともに述べましょう。
ただし、遺族の方や親族の方もいますので、エピソードの内容には十分注意することも大切です。
3.故人の冥福を祈る言葉
弔辞の最後には、 必ず故人への冥福をお祈りする言葉 を述べましょう。
冥福を祈る言葉も、後に具体的な例文を記しますので、そちらを参考にしてください。
弔辞の長さ
「弔辞とは」のところでも解説しましたが、弔辞は3〜5人程が代表者として述べます。
そのことを踏まえ、式全体の流れも考えると、 長すぎるものは好ましくありません。
よって、弔辞の長さとしては、一人当たり約3分程度が良いと考えられます。
文字数にすると、900〜12000時程度になります。
実際に時間を測りながら読んで、準備しておくと良いでしょう。
言葉遣い
葬儀や告別式のような場面ではありますが、弔辞の際には畏まった言葉を使う必要はありません。
故人に向けたものでもあるので、普段の言葉遣いで弔辞を述べて問題ありません。
弔辞を読む際には、感情的になってしまうこともあるかと思われますが、周りの方が聞きやすいように読むことを心がけましょう。
弔辞を読む上での注意点として、避けなければいけない忌み言葉というものもあります。
以下で詳しく解説しますが、そのような言葉を用いないように文章を作りましょう。
弔辞の例文
手紙
こちらでは弔辞の例文を、
故人が友人である場合
故人が上司である場合
の2つに分けて紹介していきます。
故人が友人である場合
〇〇さんのご霊前に、友人を代表し、慎んでお別れの言葉を捧げます。
こうしてあなたの遺影を仰ぐことになろうとは、本当に言葉にし尽し難い心境です。
あなたとの初めての出会いは、大学の入学式でした。
偶然隣に座ったあなたが、同じ学部の同じ専攻で、好きな映画の話でとても盛り上がり、そこからは学生生活をいつもに一緒に過ごしましたね。
初めて一緒に映画に行き、遅くまでその映画について「あれが良かった」「あのシーンはこういう意味なんだ」なんて語り合ったことを、今でも鮮明に覚えています。
その後は互いに別の道に進みましたが、いつも私のことを心配してくれて、会える時は一緒に映画を観に行きましたね。
私の職場での悩みにも真剣に向き合ってくれて、あなたは本当に優しい方でした。
やがて互いに結婚し、住む場所も離れ、会うことも少なくなっていしまいましたが、くじけそうな時はいつもあなたがそばにいてくれたような気がします。
今はもう、あなたと一緒に映画を観に行くことはできなくなってしまいました。
悲しい気持ちで胸がいっぱいです。
でもこれからは、あなたがくれた優しい言葉を胸に、前を向いて生きていこうと思います。
残念ですが、最後のお別れを言う時が来てしまいました。
また私が天国に行ったら映画でも見ようね。
さようなら。
今はどうか安らかにお眠りください。
故人が上司である場合
○○部長のご霊前に、慎んで哀悼の辞を申し上げます。
この度の突然の訃報に接し、私たちはみな、驚きとともに深い悲しみの気持ちで胸がいっぱいです。
〇〇部長は〇〇年に我が〇〇株式会社に入社し、そこから〇〇年間、会社の発展に尽力し、大きく貢献されました。
現在では海外にまで発展している我が社の事業は、当時の〇〇部長が企画開発に携わっており、部長の行動力や発想力あってこそのものであると、お伺いしております。
そのような、素晴らしい業績をお持ちであるにも関わらず、〇〇部長は私たちのような部下に対しても、物腰柔らかく、丁寧に指導してくださり、相談にも真摯に受け答えしてくださりました。
社員で集まってのお酒の席では、〇〇部長自身のエピソードなども話してくださり、いつも場を盛り上げてくださいました。
私たちは心から、〇〇部長をお慕いしていました。
〇〇部長がいたからこそ、私たちも安心して行動することができたのです。
私たちは、今は悲しみにくれておりますが、〇〇部長、どうかご安心ください。
私たちは部長のご遺志をしっかり受け継ぎ、皆で力を合わせて、〇〇株式会社の発展に力を注ぎます。
部長、これまで本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
弔辞に関して他の例文も以下の記事にて解説していきます。
【例文紹介】孫が弔辞を読む場合は?幼い子の場合のマナーや避けるべき言葉
第三人生編集部
弔辞で避ける忌み言葉
マナー
「弔辞の内容」のところでも少し触れましたが、弔辞の文章を作成する際に、避けなければならない言葉があります。
それは、縁起が悪く、その場にふさわしくないという意味である、忌み言葉です。
忌み言葉は、主に2つに分けることができます。
それは、
不幸を連想させる言葉
重ね言葉
の2つです。
以下で、それぞれを順に解説していきます。
不幸を連想させる言葉
弔辞を読むような場では、不幸を連想させるような直接的な表現は避けるべきであるという考えがあります。
そういった避けるべき言葉には、直接的に生や死を連想させてしまう言葉から、「追って」などのように、亡くなった故人を追いかけるようなことを連想させてしまう言葉などがあります。
そういた場合の言い換えの例を3つ、以下で紹介します。
忌み言葉 言い換えた場合
死ぬ 亡くなる
生きている時 お元気な頃
追って 後ほど
事故 悲運、不慮の事故
この他にも、宗教上の理由から避けるべき表現などもあります。
故人や遺族の方に失礼のないように気をつけましょう。
重ね言葉
不幸が続く、重なるということを連想させてしまわないように、弔辞では重ね言葉も避けなければなりません。
以下では、重ね言葉の例をいくつか紹介します。
しばしば
重ね重ね
くれぐれも
ますます
返す返す
次々
度々
重々
弔辞を作成する際には、忌み言葉に気をつけましょう。
弔辞の書き方
最終的に弔辞は、代表者に読まれ、祭壇に捧げられた後、遺族の方が受け取ります。
そしてその弔辞は遺族の方が読み返すことも考えられるため、丁寧に書かなければなりません。
そこでここからは、弔辞の書き方やその表書きに関して、
弔辞の紙
弔辞を書く筆
文章や表書きの書き方
の順に詳しく解説していきます。
弔辞の紙
弔辞の文章を書く紙は本来、大判の奉書紙、または巻紙が用いられていました。
しかし、今日では、便箋を用いることも多くなっています。
また、弔辞用の表書きや書く紙などがセットになっているものも販売しています。
弔辞の紙に悩んでいる方は、こういった商品も検討してみてはいかがでしょうか。
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弔辞を書く筆
弔辞を書く際には、本来は薄めの墨を用います。
これは、亡くなってしまったことの悲しさから、
「涙で墨が薄くなってしまった。」
「涙で滲んでしまった。」
という気持ちを表すという意味からです。
しかし、今日では、ペンや万年筆で書くことや、パソコンで入力するような略式も許容されています。
文字は基本的に楷書で、パソコンで打ち込んで用意する場合には、毛質のフォントにするなどの工夫をするのも良いでしょう。
自身に合った方法で、故人や遺族の方に失礼のないような弔辞を用意しましょう。
近年では、薄墨の筆ペンなども多く存在しているので参考にしてみてください。
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文章や表書きの書き方
文章は上下左右に十分なスペースを空け、紙の左から右へ縦書きで書いていきます。
初めに用紙を折りたたんだ際に、「弔辞」という題が中央に来るように、文章の文字より大きめな文字で記入します。
本文は、胸の位置にあったとしても読みやすいように大きめな字で記入し、句読点などもわかりやすいように、その前後には若干の空白を作ると良いでしょう。
本文が書き終わったら、文章から少しスペースを空けて日付と名前を記します。
表書きは、奉書紙を用いる場合は、弔辞を包みの中央に置き、右・左の順にたたみ、上下の余っている部分を表書きを書く面の後ろに折ります。
そして、おもて面に「弔辞」と書き、表書きが完成します。
封筒を用いる場合は、その封筒が二重ではなく、一重の封筒であることに注意しましょう。
これは、不幸を繰り返さないようにという意味が込められています。
そして、その封筒の表面に、「弔辞」と書き、表書きは完成です。
当日弔辞を読む時の流れ
法事
では、当日にはどのような流れで弔辞を読んでいくのでしょうか。
ここからは、実際の流れである、以下の
司会者に指名後、起立
祭壇前に進み、ご遺族、参列者、遺影に向かい一礼
弔辞を広げ、読み上げる
弔辞をたたみ、祭壇に捧げる
遺影、ご遺族、参列者に向かい一礼し、着席
の順に解説していきます。
1.司会者の指名後、起立
弔辞を読む流れになると、司会の方が代表者の名前を読み上げます。
葬儀や告別式の中のどのタイミングで弔辞を読むのかということは、事前に司会の方に確認しておきましょう。
2.祭壇前に進み、ご遺族、参列者、遺影に向かい一礼
指名されると、祭壇前まで進みます。
会場の形式によっては、代表者が立つことができる小さな舞台のようなものが用意されている場合もあります。
そして、祭壇前まで来たら、ご遺族、参列者、遺影の順に一礼していきます。
3.弔辞を広げ、読み上げる
順に一礼をした後、弔辞の読み上げに入ります。
弔辞は基本奉書紙、または、白い封筒に包まれています。
なので、初めに包みから弔辞を取り出し、包みをたたんで左手に持ちながら、弔辞を開きます。
弔辞台があれば、そこに包みを置きましょう。
読み上げる際には、弔辞は胸の高さでもち、ゆっくりと落ち着いて読みましょう。
4.弔辞をたたみ、祭壇に捧げる
弔辞を読み終えたら、弔辞を初めの状態にたたみ、元のように包みで弔辞をしまいます。
しまいおえたら、弔辞の表書きが祭壇の向きになるように、祭壇に捧げます。
基本的に、弔辞は祭壇に捧げた後、遺族の方が受け取ります。
なので、その扱いには気をつけましょう。
5.遺影、ご遺族、参列者に向かい一礼し、着席
祭壇に弔辞を捧げたら、最後に遺影、ご遺族、参列者に向かって一礼します。
そして、自身の元の席に着席し、引き続き葬儀・告別式に参列します。
弔辞の読み方
ポイント
ここからは、弔辞の読み方に関して解説していきます。
基本的な読み方のポイントは、
堅くなりすぎず、普段通りに読む
ゆっくり・はっきりと読む
の2つです。
「弔辞の内容」のところでも述べましたが、弔辞を読むような場であっても、文章には丁寧すぎるような言葉遣いや、聞いている側もわからないような言葉を使う必要はありません。
砕けすぎる言葉を多用するのもよくありませんが、普段のような言葉遣いで読み上げると良いでしょう。
また、本番では、緊張してしまったり、感情的になってしまうことなどから、早口になってしまうことが多いです。
聞いている全ての方に伝わるように、ゆっくりと、そしてはっきりと弔辞を読み上げましょう。
故人への気持ちを大切に、マナーを守って弔辞を作りましょう
これまで弔辞に関して、
弔事とは
弔事の内容
弔事の例文
弔事で避ける忌み言葉
弔事の書き方
弔事の包み方
当日弔事を読む時の流れ
弔事の読み方
と言う順に解説してきました。
弔辞を作る上で、マナーや注意しなければならないことがたくさんあることが分かったと思います。
その一つ一つにしっかりと向き合いながら、弔辞の準備をしましょう。