この記事で解決される疑問
みたまうつしとは?
みたまうつしの服装は?
みたまうつしの玉串料の相場は?
みたまうつしの儀とは
故人の魂(御霊)を、御霊代(みたましろ)と呼ばれる品に遷す儀式 です。
神道 や 天理教 の葬儀の中で一番大切な儀式で、正しくは 「遷霊祭」 といいます。
漢字表記は「御霊写し」「御霊移し」ですが、基本的には「みたまうつし」とひらがな表記されます。
神道では、人は亡くなると神様になると言われています。
身体は無くなっても、御霊代に遷された故人の魂が神様として現世に留まり、残された遺族をご先祖様と共に守るのです。
御霊代とは
魂が乗り移るための有体物を指します。
鏡がよく使われていましたが、故人が生前愛用していた品物を使うこともあります。
最近では、故人の名前と生年月日を記した白木でできた霊璽を用いる傾向にあります。
みたまうつしを行う場所と時間
神道では死を「穢れ」とみなしています。
神社は聖域ですから、その聖域を穢さないため、「死」に関する儀式は神社では行いません。
ですから、場所は基本的に自宅か葬祭場などで行います。
儀式を行うのは必ず夜中です。
止むを得ず昼間に行う場合は部屋を真っ暗にして夜を表現します。
御霊は夜に動くと伝えられているためです。
また、仏式の通夜に相当するものを、神式では「通夜祭」と呼びます。
本来は通夜祭と遷霊祭は別々に行うものでしたが、最近では一緒に執り行う傾向にあります。
みたまうつしの流れ
手順・流れ
さて、みたまうつしの概要を確認したところで、次は神道の場合の儀式の流れを紹介します。
手順 内容
1 室内の灯りを消灯します。
2 斎主の遷霊詞(せんれいし)をおこないながら、御霊代を故人の顔にかざして魂を移します。
3 警蹕(けいひつ)と呼ばれる小さい声が発せられます。警蹕は神様のお出ましを告げるものなので、この間は参列者も神職も頭を下げ、礼拝を続けます。
4 御霊が霊璽に遷されたその時から、故人は神様になります。
5 みたまうつしの儀が終わると部屋の灯りがつきますので、斎主を含む参列者一同は御霊代の前に集まります。
6 斎主が「祭詞奏上」をし、それに続いて遺族たちが順に玉串を奉献して礼拝します。
覚えておきたい作法
儀式の最中に会話をしない
儀式は荘厳に執り行われます。
その雰囲気を壊さないためにも、儀式中に周りの人と余計な会話をしてはいけません。
もしも手順がわからなくて困った場合は、周りの人に声をかけて聞くのではなく、動きを目視して合わせるようにします。
礼拝の仕方
神道での礼拝は、 二礼・二拍手・一礼 です。
拍手は忍び手で打つようにします。
忍び手(しのびて)
忍び手とは、 音を立てないように打つ拍手 のことです。
反対に、神社でお参りする時の音を立ててうつ拍手を 柏手 といいます
右手の指で左手の手のひらを打ちますが、この時手を合わせる前に寸止めをして、音を立てないようにします。
みたまうつしの儀の礼拝は、基本的にこの忍び手でうちます。
みたまうつしの服装
さて、儀式の流れを確認したところで、参列にあたっての服装も確認しましょう。
みたまうつしの儀に参列する時の服装は、他の葬儀の時と変わらず黒の喪服を着用します。
男性の服装
男性 喪服
男性は白シャツに黒色の喪服用のスーツを着用します。
ネクタイや靴、靴下、カバンなども全て黒で統一します。
ネクタイピンやカフスなどの装飾品は外します。
女性の服装
女性 喪服 洋式
女性は黒で統一されたアンサンブルスーツやワンピースを着用し、黒のパンプスを履きます。
化粧もベージュ系でまとめた控えめなものにします。
アクセサリーは結婚指輪以外全て外します。
つける場合はパールのネックレス程度に留めます。
服装の注意点
数珠は持参しない
神道の儀式なので、数珠は必要ありません。
目立つ色や柄のものは避ける
服装は基本的に黒の無地で統一します。
派手な色ものや柄ものは着用しません。
化粧をする際も、派手な赤リップなどは避けます。
光沢を避ける
金具のストラップやボタンがついたパンプスや鞄は相応しく無いので選びません。
また、素材も光沢が出ない布地のものを選びます。
みたまうつしの玉串料
特に喪主からの断りがない場合、みたまうつしにも仏式でいう香典を持参します。
神式では 玉串料 と言います。
玉串料に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
玉串料まとめ!金額相場やのし袋の書き方、水引とマナーも解説!
第三人生編集部
また、玉串料ののし袋については以下の記事をご覧ください。
【図解】玉串料ののし袋の種類と書き方を弔事・慶事別に!
第三人生編集部
表書きの書き方は?
表書きには一般的に 「御玉串料」「御榊料」「御霊前」 などを使います。
「御仏前」と書かれたものは仏式のものですから不適切です。
表書きを自分で書く際は、薄墨色の筆ペンなどで書きます。
香典 玉串料 神道
不祝儀袋の注意点
玉串料は不祝儀袋に包みますが、この時ハスの花の型押しや印刷がある不祝儀袋は避けるようにします。
ハスの花が書かれているものは仏式専用の不祝儀袋なので、神式のみたまうつしには不適切です。
水引はどうすればいいの?
水引の色は、 白黒 または 白黄 を選びます。
水引の形は 「結び切り」 のものを選びます。
これは宗教や宗派は関係無く、葬儀の際のマナーです。
みたまうつしの玉串料の相場
玉串料の相場は、仏式の香典の相場と変わりありません。
故人との生前の関係性や年齢によっても変動します。
以下の表も参考にしてみて下さい。
故人との間柄 費用相場
両親 5万円〜10万円
兄弟 3万円〜5万円
叔父・叔母 1万円〜3万円
友人・知人 5千円〜1万円
会社関係者 5千円〜1万円
みたまうつしの注意点
それではここで改めてみたまうつしの注意点を振り返ります。
礼拝は忍び手で行う
儀式の最中に喋らない
不祝儀袋に注意
数珠は持参しない
礼拝は忍び手で行う
礼拝をするときは音を立ててはいけません。
忍び手を打てるようにしておきましょう。
間違えて柏手を打ってしまうと、静かに進行する儀式の中で悪目立ちしてしまうので注意が必要です。
儀式の最中に喋らない
みたまうつしの儀の最中に喋るのはマナー違反です。
止むを得ず流れややり方がわからなくなった時は、目視のみで周りを確認して合わせるようにします。
不祝儀袋に注意
みたまうつしは神式の儀式です。
ハスの花が書かれた仏式の不祝儀袋は避けます。
数珠は持参しない
みたまうつしの儀では数珠は不要です。
数珠は仏教において、僧侶が読経する際に数を数えるために使用していたものなので、神式の儀式では必要無いのです。
天理教のみたまうつし
神社
神道と天理教では、みたまうつしに対する考えが少し異なります。
天理教では、身体を神様から借りたものだと考えています。
ですから、人が死んだ時には古い身体から魂を取り出して、別の新しい身体が見つかるまでは神様に魂を預かってもらうという考えのもと行われます。
これによって、儀式の手順も神道のものとは少し異なります。
天理教でのみたまうつしの流れ
手順 内容
1 「消灯」の合図で室内の灯りを一斉に消します。
2 「祓詞奏上」を行います。祓詞は神事の最初に唱えるお祓いの言葉です。
3 「うつしの詞」を奏上し、みたまうつしの儀を行います。
4 神前にものを備える「献饌(けんせん)」を行います。
5 斎主が「玉串奉献」を行い、「しずめの詞」を奏上することでみたまうつしの儀が終了します。
6 「斎員礼拝」の合図で、斎主の助手や世話役として働いていた人たちが揃って礼をします。
7 喪主・遺族・一般参列者の順番で玉串奉献と礼拝を行います。
8 参列者が揃って礼をし、退場します。
天理教の礼拝
天理教の礼拝は、 二礼・四拍手・一拝・四拍手・一礼 です。
神道とは大きく異なるので、この機会に覚えておきましょう。
みたまうつしの儀の手順を知って儀式の進行をスムーズに
この記事の結論は以下の通りです。
みたまうつしとは、神道の儀式で故人の魂を御霊代に遷すための儀式です。みたまうつしは夜中に行われます。会話は控えて拍手は忍び手で行います。
みたまうつしは喪服で参列します。黒のスーツやワンピースを着用し、小物も黒でまとめます。 みたまうつしの玉串料の相場は5千〜5万円です。
みたまうつしの玉串料の相場は5千〜5万円です。
この記事では、神道と天理教それぞれの儀式の意味や流れ、注意点を確認しました。
みたまうつしの儀という言葉自体知らなかった人もいたのでは無いでしょうか。
宗派ごとに儀式の流れや礼拝の仕方も異なります。
少しでも手順やその相違点を知っておけば、いざという時に慌てず対処できます。
実際の儀式でうっかりマナーを破ると、進行の妨げにも繋がってしまいます。
この機会に宗派ごとのみたまうつしの正しい意味や手順を覚えておくと良いでしょう。
❓ みたまうつしとはどういう意味?
故人の魂を鏡・遺品・白木などに移す儀式を指す言葉です。神道や天理教で重んじられています。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ みたまうつしで注意すべきことは?
儀式中は会話をしないことが大切です。また、拍手は音を立てないように静かに行います。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ みたまうつしにふさわしい服装は?
黒い喪服を着用するというマナーがあります。また、数珠を持参しないといった注意点もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
❓ みたまうつしでの玉串料ではどのような事に注意する?
神社に渡す場合新札を使うというマナーがあります。また、相場は5000円から1万円で、袱紗から取り出して相手から見て正面に来るよう渡すことも大切です。詳しくはこちらをご覧ください。