50代になり、以前よりもストレスを強く感じている……という方も多いのではないでしょうか?
50代はストレスを感じやすくなる年代であり、ストレス過多の状態を放っておくと、うつ病へと進行する可能性もあります。
健やかな精神状態に保つためには、ストレスの原因を見極めることはもちろん、50代ならではの心身の変化を知り、日頃からできる対処法を取り入れていくことが大切です。
そこで、この記事では、50代男女のストレスの原因や心身の変化、対処法をお伝えするとともに、うつ病のサインをご紹介します。ぜひ参考にしてください。
50代はストレスを感じやすい年代
50代は、男女ともにホルモンに変化が生じる年代であり、それに伴い精神状態も大きくゆらぐ年代です。
女性の場合、更年期によってイライラしやすくなることはよく知られていますが、最近では男性の更年期も話題になっています。
厚生労働省の調査によると、男女とも40代以降に最もストレスを感じやすくなり、50代男性の47%、50代女性の54%が「ストレスがある」と回答しています。
参照:厚生労働省「国民生活基礎調査」
このように、50代では2人に1人が、何らかのストレスを抱えている状態だといえます。
【男女別】50代のストレス原因
本章では、男女別によくあるストレスの原因を紹介していきます。
厚生労働省の調査によると、50代で最も多いストレスの原因は、仕事に関するもので、仕事の量や責任などがストレス要因となっています。その他、家族の介護や、将来への不安の問題などもストレス原因としては多いようです。
参照:厚生労働省「労働安全衛生調査(実態調査)」
【50代男性】がストレスを感じる主な項目
50代男性に多いストレス要因としては、以下があげられます。
①仕事のプレッシャー
・ 管理職としての責任増加
・ キャリアの停滞や将来への不安
・ 退職後の生活設計
②健康問題
・ 年齢による体力低下や持病の変化
・ 健康診断結果への不安
・ メタボリック症候群や慢性疾患のリスク
③家庭内の問題
・ 子の進学や就職の問題
・ 夫婦関係の変化と価値観のズレ
・ 親の介護負担
④経済的な不安
・ 老後資金
・ 住宅ローンや子どもの教育資金
・ 収入面の不安
⑤社会的孤立
・ 友人関係や社会的つながりの減少
・ 趣味や交流の時間の減少
・ 現実的な孤独感
⑥精神的なプレッシャー
・ 時間的余裕のなさ
・ 自分の存在価値への疑念
・ 新しい技術やトレンドへの適応の困難
⑦更年期による体調変化
・ 男性更年期(加齢性低テストステロン症候群)による体調不良
・ 疲れやすさや競争力の低下
⑧社会の変化への適応
・ デジタル技術や新しい働き方(リモートワークなど)への対応
・ 若い世代との価値観の違い
【50代女性】がストレスを感じる主な項目
50代女性に多いストレス要因としては、以下があげられます。
①更年期症状
・ ほてりや発汗、睡眠障害
・ ホルモンバランスの乱れによるイライラや感情の不安定さ
・ 急激な体調変化や体調不良
②健康問題
・ 骨密度低下や更年期障害による疾患リスク
・ 体力低下や疲労感の増加
・ 健康診断の結果や病気への不安
③家庭内役割負担
・ 子の進学や結婚、就職などの不安
・ 親の介護や看護負担
・ 家庭内での役割の変化(巣立ち後の孤独感や夫婦関係の変化)
④経済的な不安
・ 老後資金や貯蓄の不足
・ 安心の教育費や結婚費用
・ 収入減少と再就職の難しさ
⑤仕事のストレス
・ 職場での役割やキャリアの停滞
・ 若い世代との競争や価値観の違い
・ 退職や退職後の働き方への不安
⑥社会的な孤立感
・ 安心の独立と家庭環境の変化による孤独感
・ 友人関係や社会的つながりの減少
・ 趣味や活動の時間が取れないこと
⑦見た目や年齢に関する不安
・ 容姿の変化や老化への意識
・ 体重増加と肌の衰え
・ 社会からの評価やや役割に対するプレッシャー
⑧夫婦関係の変化
・ 夫との価値観やライフスタイルの違い
・ 夫婦間のコミュニケーション不足
・ セカンドライフへの期待と不安
⑨時間の制約
・ 仕事、家事、介護などのバランス負担
・ 時間が取れなかったことへのフラストレーション
⑩心理的負担
・ 自分の存在価値や役割に対する疑問
・ 自立した子どもや変化する家庭環境への対応
・ 生活や健康への一時的な不安
50代の女性は、これらの課題が複雑に絡み合い、ストレスを増大させてしまうことがあります。 心身の健康を維持するためには、日常的なストレス対策や自分自身をいたわる時間が重要です。
50代のストレスと更年期の関係
50代は、男性・女性ともに、更年期に伴う身体・心理的な変化と、社会的な役割の変化が重なる時期で、ストレスを最も感じやすい時期といえます。
本章では、男女それぞれの更年期症状とストレスの関係をご紹介します。
50代女性の更年期症状
女性は50代前後に更年期を迎え、エストロゲンの減少によって身体的・心理的な変化が現れやすくなります。具体的な症状として、ほてり、発汗、不眠、頭痛、疲労感などの身体の不調やイライラ、不安感、抑うつといった心理的ストレスが挙げられます。
さらに、社会的な役割として子どもの自立や老親の介護、職場での責任増加など、精神的な負担を増やすことになります。これらが重なると、心身のバランスが崩れ、ストレス耐性が低下することがあります。
50代男性の更年期症状
男性も50代になると、加齢に伴うテストステロン(男性ホルモン)が徐々に減少する「男性更年期」を経験することがあります。この影響で、疲労感、筋力低下、性欲減退、不眠などの身体の症状が現れることがあります。
また、やる気の低下や不安感、抑うつなどの心理的な影響も少なくありません。
さらに、職場での立場の変化や退職の準備、家庭での役割の変化(子どもの自立など)など、環境危機がストレスを増大させることが起こります。
50代のストレス発散におすすめの対処法6つ
ストレスにうまく対処し、ゆらぎやすい更年期を乗り切るには、自分にあった対処法を知ることが大切です。
そこで、ここでは、50代のストレスの対処法として、ストレス発散におすすめの方法を7つのジャンルでご紹介します。
ストレス発散には、健康的な生活習慣や運動のほか、心が楽しいと感じるものを日常に取り入れていくことがおすすめですよ。
身体を動かす
①ウォーキングや軽いジョギング
自然の中を歩くとリラックス効果があります。無理のないペースで始めてみましょう。
②ヨガやストレッチ
深呼吸をしながら体をほぐすと、心も落ち着きます。肩こりや腰痛の緩和にも役立ちます。
③ダンスやエアロビクス
音楽に合わせて動くと気分が明るくなります。
趣味を楽しむ
①アートやものづくり
絵を描いたり、陶芸、編み物をしたりといった手を使う作業は、集中力を高めて心を癒します。
②ガーデニング
植物に触れる時間は、科学的にもストレスを軽減するといわれています。
③音楽や楽器演奏
好きな音楽を聴いたり、楽器を弾いたりすると、気持ちをリフレッシュできます。
社会的なつながりをもつ
①友人や家族と会話する
親しい人と話すことで気持ちを共有でき、心が軽くなります。
②地域の活動やボランティアをする
新しい出会いや実現が得られると、心の満足度が向上します。
③趣味のサークルやクラブに参加する
共通の趣味を持つ人たちとの交流は、楽しみや刺激になります。
自分を甘やかす時間をつくる
①スパやマッサージ
体をほぐしてリラックスすると心の負担も軽減されます。
②おいしい食事を楽しむ
時々好きなものをゆっくり楽しむと、ストレス解消に効果的です。
③旅行や日帰り温泉
日常を離れて新しい場所を訪れると、気分転換になります。
心を整える習慣をつくる
①瞑想や深呼吸
短い時間でも、静かな場所で目を閉じて呼吸に集中するとストレスが和らぎます。
②感謝日記を毎日書く
「その日の感謝」を毎日書きだす習慣をつけると、ポジティブな気持ちが育まれます。
③本を読む
自己啓発書や小説など、今まで触れてこなかったジャンルの本を読むことで新しい視点を得られます。
健康的な生活習慣を意識する
①十分な睡眠をとる
質の良い睡眠を確保することで、心身の回復が促進されます。
②バランスのとれた食事を摂る
栄養バランスの良い食事は体調を整え、ストレス耐性を高めます。
③アルコールやカフェインを控えめに
少量のアルコールやカフェインであればストレス発散にもなりますが、摂りすぎると逆にストレスが高まるため注意しましょう。
50代のストレスの危険性
ストレスの原因はなんであれ、放っておくことは危険です。
ストレス状態を放っておくと、以下のように心身の症状として悪影響を及ぼす可能性があります。
● 心臓病のリスク増加
● 免疫機能の低下
● 消化系の問題
● 睡眠障害
● 記憶力や集中力の低下
● 精神状態の悪化・うつ病
このような悪循環に陥らないために、ストレスの原因解消に務めるとともに、ストレスをためにくい生活習慣・考え方を意識するようにしましょう。
うつ病のサイン・チェックリスト
以下の項目の中で、過去2週間以上にわたって頻繁に感じたり、体験したりしているものにチェックを入れてください。
気分について
☐ 常に気分が沈んでいる、または憂鬱な気持ちが続いている
☐ 何に対しても興味や喜びを感じられない
☐ 不安感やイライラが頻繁にある
身体的な影響
☐ 食欲が著しく減少または増加している
☐ 睡眠の問題がある(不眠または過眠)
☐ 慢性的な疲労感があり、エネルギーが不足している
☐ 頭痛や胃の不調など身体の症状があるが、原因がわからない
思考と行動の指示
☐ 自分を無価値だと感じたり、罪悪感を強く感じたりする
☐ 集中力や決断力が低下している
☐ 過去の失敗や将来の不安について考え続けてしまう
☐ 希死念慮がある(※緊急の場合は早急に専門家へ連絡を)
生活への影響
☐ 日常生活に必要な活動を行うのに努力が必要
☐ 人付き合いが億劫で孤独になりがちになっている
0~3の項目に当てはまる:
一時的なストレスや疲れが原因かもしれません。リラックスする時間をもち、ストレスを軽減する方法を試してください。
4~7の項目に当てはまる:
心の健康が揺らいでいる可能性があります。身近な人に話を聞いてもらうほか、早めに医療機関や相談機関に相談を検討してください。
8項目以上に当てはまる:
うつ病の可能性が高いです。すぐに専門家に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。
※このリストは一般的な指標であり、診断を目的としたものではありません。自分や大切な人の心の健康状態が心配な場合は、専門家(医師やカウンセラー)に相談することを強くおすすめします。
参照:厚生労働省 うつ病チェック うつ病チェックを簡易抑うつ症状尺度
もしも、うつ病の傾向がみられた場合は、一度、精神科への受診をおすすめします。更年期が原因の場合は、漢方などの処方で症状が緩和する可能性もあります。
50代のストレスから【うつにならない】考え方の工夫4つ
ストレスからうつ病などの不安がある方は、日常の中で「考え方」を少し変えるだけでも効果的です。物事の視点を変えるだけで、少し気持ちが軽くなるかもしれませんよ。
以下に、具体的な考え方を紹介します。
完璧主義を手放す
完璧でなくてもいいと自分に言いきかせましょう。
「80%の完成度でも十分」「失敗には学びもある」と考えると、仕事のプレッシャーを減らせます。
周囲の期待やプレッシャーに縛られすぎず、自分のペースを大切にしてくださいね。
自分を肯定する
「これだけ頑張った自分を認めてあげよう」と考えましょう。
他人と比較しないことも大切で、「昨日の自分より成長できたかどうか」を基準にしてみてください。
自分の欠点をみるのではなく、良い面を探し、感謝する習慣をもつといいでしょう。
小さな幸せを見つける
日常の中で「嬉しいこと」「楽しいこと」を探す癖をつけてみましょう。
例えば、「今日は天気がよくて気持ちがいい」「ラジオで好きな音楽がかかって嬉しい」など。
問題は一旦棚上げする
問題が頭から離れないときは、それが今すぐ解決できないものであれば、一旦棚上げしておくことも有効です。
例えば、将来への不安など、ずっと問題について考えてしまうことはストレスを生みますから、一旦紙などに書き出して、「今は考えない」ボックスなどを作り、しまっておきましょう。
まとめ
50代は男女ともにストレスを感じやすくなる年代です。更年期によるホルモンバランスの変化も、精神状態に影響している可能性があります。
ストレスの原因や今の精神状態を見極め、できる対処をしていきましょうね。
この記事を読まれた方が、50代以降も、心身共に健やかに過ごせることを祈っております。