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お金のこと

2024.04.30

人口減少社会が抱える問題とは?日本の現状や原因に関しても解説!

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現在の日本において、経済の衰退や年金問題など社会問題が山積みです。
人口減少社会の深刻さは、様々な課題に直結すると警鐘を鳴らされています。

人口減少社会が起きる理由や、この先に待ち受ける現象について深堀りしてみました。
特に地方においては、人口減少社会によるダメージが深いと言われています。

日本の人口減少の現状
刻々と変わりゆく日本の人口減少について、改めて振り返ってみましょう。
総務省統計局によれば、人口は2008年から右肩下がりに減少が続いているとされています。

内閣府によると2019年12月の人口は約1.26億人と発表されました。
2050年には8千万人にまで人口減少と見込まれているのです。

進む少子高齢化
少子高齢化 社会問題
日本の社会において、少子化による人口減少が危惧されたのは1990年のことでした。
しかし、当時の社会情勢においては、まだ楽観視されていたのです。

団塊ジュニアと呼ばれる世代が産む子供世代、第3次ベビーブームが予測されていました。
実際には、読み通りにならず、2019年の出生数は90万人を割りました。

人口減少が一段加速したと、社会問題として認知されたのです。
子供の出生数が減少する中で、高齢者が多くなる現象も同時に発生しています。

まさに社会問題になっている「少子高齢化」です。

地方で加速する人口減少
人口の減少は、必ずしも全国で起きているわけではありません。
人口が増加しているのは埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知と基本的には首都圏近辺です。

地方の都道府県においては、人口の減少の加速度が高いと報告されています。
特に秋田県は、人口減少率が5.8%とワーストを記録しました。


人口減少社会が抱える課題【医療面】
人口減少が、もたらす弊害として医療面での課題が深刻です。
高齢化社会を迎えた日本は、更にニーズが高まると見られています。

高まる医療ニーズに対する医療従事者の不足
人口減少社会が進むと2025年問題と呼ばれる局面へと突入する日本。
団塊世代の定年退職で医療関係において大きなダメージが見込まれます。

病院に罹る高齢者の人口増加に伴い、医療に関するサービスへのニーズが高くなる一方です。
医療従事者の減少により供給が追い付かない状況は、想像するに難くはありません。

2019年10月に厚生労働省によると看護職員は、2025年に6万人~27万人が不足すると発表しています。

望む医療サービスを受けられないことで、高齢者の家族に対して負担も掛かるというデメリットも。

現在も、親の介護のために離職して、その後の社会に戻れないケースも起きています。

出典:厚生労働省
介護施設も不足
人口減少社会において働き手が減るということは、病院だけではなく介護施設も不足。

これは、介護従事人口が減少することで介護施設の経営が成り立たなくなり、結果的に介護施設が不足することに繋がります。


人口減少社会が抱える課題【経済面】
人口減少において一番数値のインパクトとして分かりやすいのが、経済の衰退だと言われています。
人口が減少すると経済面で、起きる共通の現象があると言われています。

働き手の世代の減少
経済の縮小化
人口オーナス期に入る日本
働き手の世代の減少
人口が減少することにより、働き手と呼ばれる世代(15歳~64歳)の人口も当然のことながら減少します。
近年の有効求人倍率を厚生労働省見ると顕著な数値として表れています。

2019年1月の有効求人倍率は1.63倍と高水準でした。
裏を返すと、日本の社会において働き手を求めても人材を確保することが難しい局面であるのです。

特に中小企業においては、労働者を確保できずに廃業を余儀なくされるケースもありました。
例えば、24時間営業前提のチェーン店に関する、ニュースを目にする機会もあったのではないでしょうか。

リソース調整のために、営業の時間短縮を図ったり、店舗を閉鎖して回避していました。
日本社会で人口減少化が進むと、この事態がますます深刻になると懸念されているのです。

 高齢者 生産年齢人口
上の図は人口減少社会における高齢者一人を支える現役世代の数を示したものです。

1960年では10人近くで一人の高齢者を支えていたのに対し、2060年には出生力が回復したとしても約2人以下で一人の高齢者を支える必要があるとの推計が出ています。

働き世代の減少は、以降述べる経済の縮小化の他に、高齢者の支え手がいなくなると言う事を意味します。

経済の縮小化
人口減少社会において、消費の低迷から来る経済の縮小化も懸念されています。
労働者人口の減少は、消費をする世代の人口減少とイコールになります。

景気の活性化には、若い世代の消費活動が必須になるのです。

人口オーナス期に入る日本
人口減少社会という問題を語る上で「人口オーナス期」という言葉を覚えておきたいものです。
総人口に対して、働き手となる生産年齢(15歳~64歳)人工の比率が下がり続ける状態を指して「人口オーナス期」と呼ばれます。

この逆の言葉の意味で、人口比率に対して生産年齢人口の比率増加が続くと「人口ボーナス期」と呼ばれます。


人口減少社会と社会保障・年金
人工減少社会が進むと、日本経済だけではなく各種社会保障や年金に影響を及ぼします。
どのような事象がこの未来に起きるのでしょうか。

社会保障の維持が困難に
私たちは、なんらかの理由で突然働けなくなり生活に困窮する可能性を秘めています。
例えば、会社の倒産や病気や怪我など個人の努力では、対応が難しいケースにおいて万が一を救済する仕組みが社会制度です。

社会制度の中には社会保険や、福祉、公的な扶助などあらゆる制度が整っています。
これらは、働き手が拠出していることで成り立っているのですが、すでに拠出額は頭打ちです。

この先人口減少社会が進むと、社会保障の制度維持が、困難になると言われています。

また、100年保証とされる年金の制度自体も危ういと考えられるでしょう。
年金問題に関しては以下の記事もご覧ください。

年金問題とは?老後2000万円問題や国の対策に関して解説
第三人生編集部

深刻な財政赤字を迎える恐れも
すでに日本の財政赤字は、毎年膨れ上がり続けています。
2019年3月末時点における日本の社会が抱える国債は、1100兆円を超えたと報告されています。

この先、人口減少社会が進む日本の未来について、財政破綻を予想する投資家もいるのです。
日本政府が発表した、黒字化目標を3年~6年後へと先送りにされた事実からも、その深刻さが伝わります。

国として、2012年に社会保障税の改革を行う施策を打っていますが、これは2025年まで財政を維持させるためのものです。
団塊ジュニア世代が65歳に達する2040年問題に向けた社会問題が待ち受けています。

2040年に向けて財政赤字を補うための議論が2018年に、ようやく開始されました。
2040年問題に関しては以下の記事もご覧ください。

2040年問題とは?焦点になる社会保障や医療体制についても解説!
第三人生編集部

人口減少社会と地方が直面する問題
この先、人口減少社会を語る上で深刻だと言われている地方問題。
起こりうると言われている社会問題について見てみましょう。

公共交通の縮小化
行政サービスの質の低下
空き家の増加
自治体の維持が不可能になる恐れも
公共交通の縮小化
人工減少社会により、バスや電車などの公共交通縮小が問題視されています。
特に地方都市は、人口減少率が高く通勤や通学で公共交通の利用者も減少の見込み。

輸送事業者が、採算の取れない路線や区間からの撤退を余儀なくされるかもしれません。
自身で自動車を運転できない高齢者の移動手段については、社会全体として取り組む必要があると声高に叫ばれる昨今。

政府は、MaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる、移動方法の改革を始めました。
MaaSと呼ばれる世界が定着するとアプリでバスを予約したり、自動運転の車を利用するなどの進化が待ち受けるのです。

行政サービスの質の低下
人口減少社会がもたらす、弊害の1つに行政サービスの質の低下懸念されています。
2019年7月13日に放送されたNHKの「おはよう日本」において行政サービスの縮小について取り上げていました。

番組では、行政がサービス縮小を検討する自治体が出ており、大津市の具体例が紹介されています。
窓口の業務時間の短縮や、公共料金支払いの受付業務窓口の縮小を行いたいと市民に説明する職員。

説明会を受けた市民は、険しい顔で反対意見を述べる場面が映し出されました。
サービスに対する質の低下を防ぐためにも、スマート自治体と呼ばれる新たな行政を提言する人もいます。

人工減少に伴い、これまで人間がやってきた業務プロセスを、AIやロボットの活用に任せるというものです。

空き家の増加
人工減少社会に伴い、これまで利用してきた家屋が不要になり、空き家の増加に対する懸念が高まっています。
総務省が発表した空き家率によると都心部よりも、地方の比率の方が深刻です。

地方の空き家が増える理由としては、社会的に起きる現象だと言われています。
人工減少社会が起こると、地方の公共施設が減少し、不便であると感じた住民は、地方から都心部へと引っ越してしまうからです。

自治体の維持が不可能になる恐れも
人工減少によるデメリットとして、行政サービスの質以前に、自治体の維持すら難しい恐れもあると注目される昨今。

この場合、自治体同士の合併や小規模の自治体であれば隣接した自治体同士でサービスを補い合う施策が必要だと言われています。


人口減少社会に対する政府の対策
これまで多くの人口減少社会に対する問題点を取り上げてきましたが、政府としても、各種対策を取っています。
人口減少社会に対して政府としての取り組みを見てみましょう。

まち・ひと・しごと創生長期ビジョン
2014年11月に活性化を狙った施策「まち・ひと・しごと創生法」が閣議決定されました。
長期で取り組むべき内容として、出生率の向上を目指して若い世代が子育てしやすい環境整備を掲げています。

人口減少社会に歯止めが掛かることで、2060年頃に人口は、1億人まで回復される見込み。
さらに、老人社会と呼ばれている少子高齢化社会が緩和されて、働き手の増加から経済回復を狙っているようです。

ベースとなる国の方針に対して各自治体は、未来へ向けた戦略を発表しています。
お住まいの自治体のホームページから確認が可能です。

他に人口減少社会に対しての対策として、少子高齢化の対策も含まれます。
少子高齢化の対策に関しては以下の記事をご覧ください。

少子高齢化の対策!海外の事例、日本政府・個人の取り組み別に解説!
第三人生編集部

人口減少社会となった原因
日本が人口減少社会になってしまった理由を見てみましょう。
育児に対する環境がキーとなる根深い問題が、潜んでいたのです。

育児に関連する費用の増加
育児と仕事の両立の難しさ
待機児童問題
晩婚化・未婚化
育児に関連する費用の増加
日本社会では、ここ数十年間で育児に関する費用が増加していることが、総務省による「家計調査」にて判明しています。
子供1人あたりの年間の教育費の推移は、調査を開始した1971年に2.4万円でした。

少子化が始まった1990年には、25万円まで跳ね上がり、2015年には37.1万円になりました。
人口減少社会として、子供が減っているにも関わらず教育費用が嵩む一方という現状が浮き彫りに。

昨今の増税や、保険料負担率の上昇に伴い、手取り額が下がっているという問題も抱えています。

育児と仕事の両立の難しさ
少子化が社会問題になってから、育児と仕事が両立できるように環境整備を進めるようにと政府が推奨しました。
実際には安心して育児をしながら仕事をこなすとは言えない状況にあります。

制度が整っていない会社もあれば、制度があっても急な子供の体調不良に対して休みづらいという本音があるようです。
内閣府の発表によると配偶者である夫の家事、育児にかける時間は、先進7か国の中では、日本がワーストという結果に。

子供の出産を躊躇う夫婦が出て、結果的に人口減少社会に繋がるのも頷けます。

待機児童問題
仮に職場の理解や制度が整っていても、待機児童問題は、一向に解決の兆しが見えません。
条件を満たし、保育所へ申請をしても待ちが発生して入所できない状態を待機児童問題といいます。

女性が、仕事に復帰が出来ないという社会問題は、ここ数年熱く語られています。
地域別で見ると、圧倒的に人口が集中している東京に待機児童の数が多いという結果に。

安心して育児も仕事もこなせる環境が用意されないと、人口減少社会に歯止めを掛けるには至らないでしょう。

晩婚化・未婚化
人口減少社会を招いた理由の大きな要因として日本社会における未婚率の上昇と晩婚化が上げられます。
2019年に発表された少子化社会対策白書に未婚率が発表されました。

これによると、男性の生涯未婚率は、2015年の調査では23.4%でした。
2040年に29.5%に上昇する見込みと発表されています。

結婚する意志があっても、非正規雇用として労働すると収入が安定せず、結婚に踏み切れない現実もあります。


人口減少社会となった要因が根深い
2000年代後半から、日本社会では少子高齢化に伴う人口減少社会に突入しました。
原因としては、未婚率の上昇や、結婚しても安心して子供を育てる環境が整っていないことが大きいと言われています。

この先人口減少社会が進むと、労働人口と消費の減少から日本社会の経済衰退へ繋がると見込まれています。
人口減少化社会の問題として、地方に対するダメージの大きさは、見過ごすことができません。

人口が減少すると空き家率の上昇や交通機関、自治体の維持がままならなくなると、言う懸念の声が高まっています。
人口減少社会を加速させないために、政府の対策として「まち・ひと・しごと創生法」が2014年に閣議決定されました。

各自治体は国の決定に従い、「安心して子育てを行えるための施策」を打ち出し2060年に人口増加を狙っています。
各自治体が、人口減少の歯止めに効果がある施策をどれだけ打ち出せるかが、日本の社会の行方を左右するでしょう。

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