団塊ジュニアとは
団塊ジュニアと聞いて何を想像するでしょうか。
いつ生れた人達が該当し、どのような経緯で作られた言葉なのかを改めて振り返ってみましょう。
1970年代に生まれた世代を指す言葉
200万人以上で2番目に人数が多い世代
官公庁の調査担当のプランナーが作った言葉
1970年代に生まれた世代を指す言葉
団塊ジュニアは、広い意味では1970年代に誕生した人に対して使われています。
実際には、1971(昭和46)年から1974(昭和49)年の間に生れた人を、正式な団塊ジュニアとして定義されているのです。
200万人以上で2番目に人数が多い世代
団塊ジュニアの世代を 「第二次ベビーブーム世代」 と表現されることもしばしば。
理由としては、1971(昭和46)年から1974(昭和49)年の 出生人口が、どの年も200万人を超えているからです。
この出生の多さは、 後年「少子高齢化」に拍車をかけた一因になった と認識されています。
団塊ジュニアの出生人口の大きな特徴は、 過去の計測で2番目に出生人口が多い年代なのです。
団塊世代における出生人口の最多は、1973年生れの210万人を記録しました。
では、1番目とはどの世代なのでしょうか。
1番多いのは、「団塊世代」と言われる団塊ジュニアの親世代の時代でした。
団塊世代の定義としては、1947(昭和22)年から1949(昭和24)年生まれで、 毎年出生人口が260万人 を超えました。
団塊世代について詳しく知りたい方は以下の記事も参考にして下さい。
団塊の世代とは?現在の年齢や就労状況、働き方に対する価値観も解説!
第三人生編集部
官公庁の調査担当のプランナーが作った言葉
元々、団塊ジュニアという言葉自体は、 日本能率協会総合研究所 から生まれた造語です。
マーケティングプランナーをしていた田中勝さん が1970年代前半に生れた人を指して使った言葉でした。
以後、団塊ジュニアの正式な定義付けがされて、1985年の「生活者研究プロジェクト」において登場しています。
団塊ジュニアの世代が辿った流れとは?
地方創生 町
団塊ジュニア世代の人々は、出生後どのような人生を辿って来たのでしょうか。
数々の不遇さは団塊ジュニアの特徴を作るバックボーン となったのです。
第二次ベビーブームに出生
小学校では厳しい教育でいじめや不登校が発生
受験戦争の激化
就職時期にバブル崩壊で就職難に
大学を卒業後に就職できないケースも
第二次ベビーブームに出生
団塊世代は、第一次ベビーブームと呼ばれた時代に生を受けました。
時が流れて1970年代に入ると、適齢期に入った男女が結婚したことで起こるべきして起きた第二次ベビーブームでした。
団塊世代の定義が1947年から1949年生まれであるとすると、1970年代前半に子供の出生が一律になるのかという疑問が浮かびます。
当時は20代前半で結婚することが当然と考える風潮 がありました。
よって、結婚と出産のピークも山場が、同時期に訪れるという現象が起きていたのです。
小学校では厳しい教育でいじめや不登校が発生
団塊ジュニア世代の学校教育において、子供の数が多いことから 1クラスに入る生徒の数が多くなりました。
地域にもよりますが、人口が密集した地域であれば1クラスの定員が40人以上という学校も珍しくありませんでした。
団塊ジュニアが経験してきた教育方法を現在では、 「詰め込み教育」 と揶揄されています。
教師1人が見る生徒の数が増えたことで、厳しい規律を課さざるを得なかったという現実もあったのです。
厳密に子供を管理する学校が増えたことで、 子供としてもストレスを感じ 、思春期になると反抗期が極端な形で生じました。
不良と化した生徒は、学校内で窓ガラスの破壊、当時の流行だったスケボーで廊下を走り回り、教師へ暴力を振るうケースもあったそうです。
生徒間のトラブルも多く、いじめが横行し結果的に「不登校」という言葉が浸透することになりました。
団塊ジュニアの心の拠り所は家庭にも無いというケースもあり、 いじめから家庭内暴力 へと繋がるケースも多くあったのです。
受験戦争の激化
団塊ジュニアは、子供の数が多いことによる 競争社会が自然発生しました。
団塊世代は、団塊ジュニアとして生まれた子供に対しても 競争社会を生き抜くための教育 だったのです。
もちろん、団塊ジュニア達が、厳しい受験戦争を生き抜いて良い会社へ入るための期待値でした。
実際に 高校受験や、大学受験においても高倍率でした。
団塊ジュニア世代は、学歴社会だったという背景も見過ごせません。
就職時期にバブル崩壊で就職難に
団塊ジュニアが就職活動を開始する時期になると、新たな受難が訪れました。
それまでバブル時代が嘘のように、 突然バブル崩壊が訪れ日本は長い不景気の時期に突入。
不景気により新卒採用を控える企業が軒並み多くなるという事象に繋がりました。
団塊ジュニア世代は、内定を取ることがが狭き門になったのです。
就職活動は、有名な進学大学の生徒でも困難な局面を迎え、 大学生の就職率の低さが社会問題になりました。
バブルが弾けたのは1991年のことで、同じ団塊ジュニア世代でも1992年の春までに高卒で就職した生徒は有利だったのです。
高校卒業よりも大学に進学した方が、良い条件で就職ができると見込んで過酷な受験戦争を乗り越えたはずでした。
しかし、結果的には 高校卒業後すぐに就職した方が、条件の良い企業を生徒が選べる最後の売り手市場だったのです。
競争社会を乗り越えても、報われない厳しい現実を突きつけられたことで団塊ジュニア世代は「不遇」と言われています。
大学を卒業後に就職できないケースも
ランクの高い大学を卒業すれば、企業に就職できることが当然 だと考えられて時代から一変しました。
内定を貰えない団塊ジュニア世代の学生は、まだ浸透していなかった フリーター、派遣労働者になる人も多くいました。
非正規雇用形態のデメリットとして真っ先に上がるのは、 雇用と収入の不安定さ ではないでしょうか。
フルタイムで労働しても収入が低く生活水準が低くなるの が現実。
実家を出て自立した生活に踏み切れない人も多く、「 パラサイトシングル 」は社会現象になりました。
団塊ジュニアの特徴
地方創生
団塊ジュニア世代は、社会へ出る第一歩を苦労したケースに枚挙に暇がありません。
こういった社会的背景から、 ある共通点 があると言われています。
貯蓄が少ない
非正規雇用の割合が多い
増加するひきこもり層
既婚者と子供を持つ世帯が少ない
貯蓄が少ない
団塊ジュニア世代の特徴として指摘されるのが、 貯蓄額の少なさ でしょう。
SMBCコンシューマーファイナンスが2019年に、30代と40代における金銭感覚のアンケートを行っています。
現時点の貯蓄額についての質問では、 貯金が1万円~50万円以下という回答が24.6%という回答が出ました。
2018年に行われたアンケートでは、40代における平均貯蓄金額は316万円でした。
2019年に行われたアンケートでは196万円に下降しています。
貯蓄ができない理由の1つに、バブル世代と団塊ジュニア世代をを比較すると所得が低い結果が出ました。
就職氷河期の影響であると言われています。
非正規雇用の割合が多い
団塊ジュニア世代の非正規雇用割合が多いのは、 バブル崩壊やリーマンショック など長期に渡る不景気でした。
採用の見送りと早期退職者を募るなど、正規雇用者の母数をこぞって減らしていたのです。
団塊ジュニア世代が学校卒業後に、不本意な非正規雇用の勤務を開始しても、その後 正社員になるのは、狭き門。
非正規雇用の職種の多くは、スキルやキャリア形成に繋がらない仕事が多いデメリットもあります。
この場合、 年収が低いまま年齢を重ねている ので、経済的に不安定で、生活するだけで手いっぱいという厳しい現実。
長期に渡り、雇用問題で疲弊した団塊ジュニアの中には、 労働市場から撤退 してしまうケースがあると総務省の報告で判明しました。
増加するひきこもり層
以前は、ひきこもりをする世代を10代や20代の若年層であると認識されてきました。
しかし、近年において 中高年のひきこもりが増えているのです。
2019年に行われた日本総研の調査によると、 団塊ジュニア世代の引きこもりは、27万人 であると推計されています。
現在の社会問題として深刻だと言われている「8050問題」をご存知でしょうか。
80歳の親が50歳前後になる子供の面倒を見るという親子関係の逆転現象です。
団塊ジュニア世代の、ひきこもりは 親の支援で生活をしている人が34% であることが判明しています。
親が逝去した後で、どのように生活を送るのか という問題がクローズアップされているのです。
既婚者と子供を持つ世帯が少ない
団塊ジュニアの特徴としては、未婚率が30%を超えているという調査結果が出ています。
結婚を望み婚活パーティーに参加する男性の中には、年収を正直に記載するだけで断られるという残酷な現実。
仮に結婚をしても、経済的な問題から子供を産むことを躊躇するケースもあったようで、 出生率にも大きな影響を及ぼしました。
少子化が懸念される日本において、団塊ジュニア世代の出生ラッシュは終焉をむかえつつあります。
本来起こるべきであったベビーブームが起こらなかったことで、 人口減少の加速化が進んだ と言われているのです。
団塊ジュニアに求められる支援
高齢者 介護
団塊世代ジュニアの置かれた環境は、個々の努力だけでは解決できない深刻な問題もあります。
今後、 高齢化社会を生き抜くために、求められる支援 について考えてみましょう。
労働力として重要
団塊ジュニアの課題として取り組むべき問題として雇用の不安定さが浮き彫りになりました。
政府の取り組みとして、本来は若年層が対象の 教育プログラムの受講可能年齢を2018年から44歳 へ引き上げました。
中には外出や他人とのコミュニケーションが苦手な、 団塊ジュニアひきこもり層 も少なからず存在しています。
社会問題の実態に沿った、施策を打ち出す事が国としての重要課題です。
世代間格差の是正
現在の日本において 世代間の格差 について物議を醸し出しています。
団塊世代と呼ばれる、昭和時代を企業で生き抜き、リタイアをした世代は、退職金を多く受取り、年金に関しても恵まれています。
またの名を逃げ切り世代とも呼ばれているのです。
少子高齢化のあおりを受けて、 今後の財政がますます厳しくなる一方。
団塊ジュニア世代から下の年齢層は、 負担を強いられた上に年金受給額は減少することが見込まれているのです。
これまでの政権では、若者の負担が減る施策に踏み切るには、躊躇いがあるようです。
こういった格差を減らすためにも、公的扶助制度である「ベーシックインカム制度」を提唱する声が増えています。
団塊ジュニアの抱える問題
高齢者
団塊ジュニアには、今後待ち受けることが確実な課題があります。
高齢社会が進み、 ますます経済的や健康面の不安 があると懸念と感じる人が多いようです。
高齢者となる親の介護
医療の発展により、寿命が延びることで 親の介護をする年月が長くなる 可能性もあります。
丁度、団塊ジュニア世代は介護問題に直面している方もおられることでしょう。
現在も、社会問題となっているのは親を介護するために離職する人が年間10万人に上るということです。
団塊ジュニア世代の親が、介護を必要としてもおかしくない70歳に達する最初のグループが2017年に来ました。
これを 2017年問題 と言われていますが、 2025年以降に本格的に団塊ジュニアが親の介護と向き合う 、とされる年がやってきます。
その際の介護離職が現在の比ではないと懸念されているのです。
将来的な認知症者の増加
団塊ジュニア世代が50代半ばを迎える 2025年には、更なる高齢社会が進みます。
2012年の段階で日本では、65歳以上の認知症は7人に1人という割合でした。
2025年には、5人に1人の割合で認知症になる 、と言われているのです。
高齢者同士での介護に挙げられる老老介護や、認知症と診断された方同士が介護をする認認介護も増加すると見込まれてきます。
高齢貧困になる恐れも
団塊ジュニア世代は、他の世代と比較しても所得が低いという特徴があります。
仮に正社員として退職しても、 終身雇用制度も崩れ去り退職金制度が無いという会社も珍しくありません。
老後に向けた貯蓄が少ないまま、リタイアする人が多くなると見られています。
将来的な年金が減少
政府の調査によると、 2030年には、年金の受給額が30%減少する と発表されています。
少子化に伴い、増える高齢者に対して現在の水準で受け取ることができなくなるからです。
現時点で年金を受け取り始めた65歳の高齢者は、 徐々に水準が下がっていきます。
これに加えて団塊ジュニア世代は、非正規雇用者比率が高く、国民年金のみ支払っているケースもあります。
この場合、団塊ジュニア世代の中には年金受給額水準が他の世代や、会社員や公務員と比較すると低くなりがちです。
団塊ジュニア世代の高齢貧困の増加 を心配する声が多数上がっているのです。
年金問題に関しては以下の記事にも詳しく述べていますので詳しく知りたい方は参考にして下さい。
年金問題とは?老後2000万円問題や国の対策に関して解説
第三人生編集部
医療費・介護費の増加
政府によると2040年までの間に医療費や介護費等、社会保障制度全般の負担増が見込まれると発表。
団塊ジュニア世代の特徴としては、就職氷河期の影響で非正規雇用が多いことから 貯蓄額が少ないという問題 は述べた通りです。
収入が少ないのに、支出だけは上がっていく 団塊ジュニア世代には、厳しい現実が懸念されています。
団塊ジュニア世代が老人と呼ばれる頃には、ますます貯蓄が難しい「高齢貧困」による生活の破綻が懸念されています。
不遇の団塊ジュニアに国の施策が待ち望まれる
団塊ジュニアとは、 1971年から1974年の間の間に誕生した第二次ベビーブームの期間 を指します。
子供の数の多さから「詰め込み教育」と呼ばれる周囲との競争を前提とした厳しい教育を受け、受験を乗り越えてきたのです。
せっかく進学しても、 バブル崩壊による日本経済の後退 で、団塊ジュニアは就職活動に苦労を強いられたのです。
就職がままならず非正規雇用として働くケースも多くありました。
団塊ジュニアの特徴として貯蓄額の少なさや、経済的な理由による 未婚率の高さや出生率の低さ が上げられています。
この先団塊ジュニアに待ち受ける、親の介護や年金受給額の水準低下、保険料の引き上げなどによる「 高齢貧困 」が懸念されているのです。
団塊ジュニアに対する支援を待ち望む声が多く上がっています。
お墓・霊園比較ナビでは団塊ジュニアの他にも社会問題を詳しく解説した記事を掲載しています。
もっと社会的な背景を知りたいという方は以下の記事も参考までにして下さい。
少子高齢化の現状をわかりやすく解説!今後の少子高齢化社会に関する展望も!