高年齢求職者給付金とは?
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年齢が65歳以上で雇用保険に入っている人が、仕事を辞めたときにもらえるお金のことを、高年齢求職者給付金といいます。
失業保険の対象年齢は65歳以下で、高年齢求職者給付金の受給対象年齢は65歳以上となります。
「失業保険と同じではないの?」と、思っている人もいるようですが、受け取る金額や手続きが違います。
まずは、給付金をもらうための要件と、受給するメリットをみていきましょう。
高年齢求職者給付金の受給要件
高年齢求職者給付金をもらうための、受給要件は3つあります。
65歳を過ぎており就職先を探している
就職したいけれど仕事が見つからない
前の職場で6か月以上雇用保険に入っていた
上記に該当していれば、給付金の申込みをしましょう。
その後、失業の認定を受けたら、給付金が支給されます。
高年齢者求職給付金は、失業手当と違い、全額まとめて支払われます。
受給メリット
高年齢者求職給付金を受給するメリットは、仕事を辞めてからも、生活するために必要なお金を確保できることです。
年金だけで生活していくことがむずかしい場合は、65歳を過ぎても働く必要があるでしょう。
しかし65歳上の雇用は正社員扱いにならず、安定していないことが多いものです。
契約を更新されないケースも少なくありません。
「働かないといけないのに失業した」「定年退職したけど、まだまだ働きたい」という場合は、給付金を利用することで、安心して求職活動できるようになります。
高年齢求職者給付金は同じ会社に再就職しても貰える?
定年後、同じ会社で再雇用されて働く人もいるでしょう。
その場合、2つの条件を満たすことで、高年齢求職者給付金を受け取れます。
1つめは、1週間に働く時間が20時間未満であることです。
20時間以上働くと、引き続き雇用保険に加入しなくてはいけないので、給付金の支給対象外となります。
2つめは、今後週20時間以上働きたいと希望していることです。
この2つの条件を満たしていれば、退職前の会社に再就職しても、給付金を受給できます。
2017年に支給回数の制限が撤廃
以前は、定年退職後に給付金を受け取ったら、その後に支給されることはありませんでした。
2017年に法律が変わり、65歳以降でも給付条件をクリアしていれば、何度でももらえるようになりました。
ただし、自己都合で退職した場合は、3か月間の給付制限があります。
前職を辞めた理由が体力的な問題であれば、給付制限なし扱いの処理をしてもらえるので相談してみましょう。
高年齢求職者給付金と高年齢再就職給付金の違い
高齢者 学習
高年齢再就職給付金は、よく高年齢求職者給付金と間違われやすい制度です。
名前は似ていますが、まったく別の制度ですから間違えないように覚えておきましょう。
高年齢再就職給付金が、どのような制度なのかをご説明します。
高年齢再就職給付金とは
高年齢再就職給付金とは、60歳で定年退職をして65歳までに再就職した人が、条件を満たせばもらえる給付金です。
再雇用・再就職したものの、退職前より給与が低くなった場合にもらえます。
受給要件
高年齢再就職給付金を受給する要件を確認しておきましょう。
雇用保険に入っており、60~65歳までに就職先を決めている
60歳までに、合計で5年は雇用保険に入っている
基本手当をもらっている間に再就職している
基本手当の支給残日数が100日以上ある
再就職手当を受給していない
再就職先の賃金が前職の賃金よりも低い
上記の条件を満たしていたら受給できます。
高年齢求職者給付金と年金の併給
年金
65歳は、年金をもらえるようになる年齢です。
年金をもらいながら、高年齢求職者給付金を合わせて受給することに、問題がないのかも気になるところでしょう。
一時金である高年齢求職者給付金は、年金と同時にもらうことができます。
ただし一般的な失業保険は、年金と一緒に受け取ることはできません。
年金の繰り上げ受給をしている場合は、失業保険をもらっている間の年金は止められます。
65歳からの年金はどうなる?手続きや給与との兼ね合いもご紹介
第三人生編集部
高年齢求職者給付金と失業手当の違い
違い
高年齢求職者給付金と、失業手当の違いについて説明していきます。
失業手当
失業手当とは、64歳までの雇用保険加入者が、失業してから求職活動をする間にもらえる基本手当です。
失業したときに、生活の心配をすることなく、次の仕事を探せるように考えられています。
支給額
失業手当でもらえる額は、退職した会社でもらっていた給与の50%~80%です。
1日にもらえる基本手当日額は、離職した年齢も関係します。
支給される日数は、雇用保険に加入していた年数や、離職理由によっても変わるでしょう。
失業手当支給額は、「基本手当額×所定給付日数」で計算できます。
高年齢求職者給付金の金額計算方法
パソコン 電卓 お金
高年齢求職者給付金の、給付額を計算する方法を見ていきましょう。
賃金日額
基本手当額
具体例
賃金日額
給付金の金額は、働いていたときの賃金日額が関係してきます。
退職前6か月間の給料を、180日で割った額が賃金日額です。
給料は、1か月の給与・残業代・通勤手当・住宅手当などを含めた額で、賞与や退職金は含みません。
厚生年金保険料や健康保険料、税金などが引かれる前の金額です。
退職前の6か月の給料平均が月額20万円の場合、「20万円×6か月÷180日=6,666円」となりますので、6,666円が賃金日額になります。
この賃金日額を基本として、基本手当額を出していきましょう。
基本手当額
基本手当額とは、1日にもらえる給付金です。
賃金日額により、もらえる給付金には限度があり、賃金日額が2,4800円~13,500円の範囲以内と決められています。
基本手当額は、「賃金日額×給付率」で計算します。
賃金日額別に、基本手当額をまとめました。
賃金日額 基本手当額
2,480円~4,970円 賃金日額×0.8
4,970円~12,330円 0.8×賃金日額−0.3×{(賃金日額−4,970)÷7,240}×賃金日額
12,210円~13,500円 賃金日額×0.5
13,500円以上 上限の6,750円
「基本手当額×支給日数」で、総支給額がわかります。
支給日数は、雇用保険に1年以上入っている期間があれば50日、1年未満なら30日分になります。
具体例
前項で紹介した計算式を使って、具体的な金額でいくらの給付金が受け取れるのかを確認していきましょう。
【年齢が65歳・退職前6か月の給料の月額平均17万円 ケース】
賃金日額は、「(月17万円×6か月)÷180日」で5,666円となります。
基本手当額は、計算式に当てはめると、「0.8×5,666円−0.3×{(5,666円−4,970)÷7,240}×5,666円=4,369円」
雇用保険加入歴が1年あり、支給される日数をかけると、「4,369円×50日」となり、高年齢求職者給付金は、218,450円もらえることになります。
高年齢求職者給付金の手続きの流れ
流れ
どのような手続きで、高年齢求職者給付金を受け取ればいいかも知っておきたいぽいんとです。
ここでは、手続きの流れについてご紹介します。
申請方法
申請に必要なもの
支給日
申請方法
高年齢求職者給付金は、退職後に自分が住んでいる自治体のハローワークに行って申請をします。
求職の申込みがおわったら、申請の手続きに進みましょう。
申請に必要なもの
高年齢求職者給付金を申請する際に、必要なものをチェックしておきましょう。
離職票
雇用保険被保険者証
個人番号カードまたは通知カード
身分証明書免許証・個人番号カードのどちらか、または保険者証と年金手帳
証明書用の写真を2枚
印鑑
銀行口座がわかるもの
身分証明書は、免許証・個人番号カード・保険者証などです。
保険者証の場合は、年金手帳も必要なので用意しておきましょう。
印鑑は認印でも問題ありません。
支給日
高年齢求職者給付金の申請をしてから、支給日が決まるまでの間に、求職待機期間が7日間あります。
求職待機期間が終われば失業と認められ、給付金の支払い日が決まります。
高年齢求職者給付金がもらえる日は、退職理由によって変わるので注意しましょう。
自分の都合で辞めた場合は、3か月間の給付制限があり、給付制限が終わって最初の失業認定日から5日ほどで支給されます。
会社の都合で退職した場合は、最初の失業認定を受けた日から、5日後に支給されます。
【コラム】高年齢求職者給付金の申請途中でアルバイトをしたら
退職後も就職する意思があることを前提とした給付金ですが、申請してから注意してもらいたいことがあります。
高年齢求職者給付金を受け取るためには、失業認定を申請してから7日間の求職待機期は仕事をしてはいけません。
失業認定を申請してからの求職待機期間に働くと、給付金がもらえなくなります。
1日だけのアルバイトであっても、受給資格がなくなるので気を付けてください。
高年齢求職者給付金を活用して再就職をみつけましょう
高年齢求職者給付金は、年齢が65歳以上の人の、失業保険のようなものです。
雇用保険に加入している人であれば、一定の条件のもと誰でも利用できる制度です。
「定年後も、新しい仕事を見つけて働きたい」と考えているのであれば、ぜひ利用しましょう。
今回紹介した手続きの流れや、必要書類を確認して、ハローワークで申請を行なってください。
その際、待機期間に仕事をして受給資格を失うことのないように気をつけましょう。
給付金をうまく利用することで、失業中の生活の不安が減り、安心して求職活動ができるでしょう。
給付金を活用して、再就職をみつけましょう。