icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

お金のこと

2024.04.30

年金問題の対策は?現状や課題も含め詳しく解説!

  • facebook
  • twitter
  • LINE

老後2000万円問題が話題となっていますが、年金問題にはどのような対策が必要でしょうか。
国が行ってきた対策も含めて解説するとともに、今後どう対策していけば良いか、いくつかおすすめの案をご紹介しています。
備えられるうちに備えておきましょう。

年金問題とは?
疑問
年金問題にはどのようなものが持ちあがっているでしょうか。

老後2000万円問題
年金100年安心問題
年金は徐々に目減りする
老後2000万円問題
2019年6月に金融庁が発表した報告書により、「老後2000万円問題」にスポットが当てられ、話題となりました。

老後2000万円問題とは、「夫が65歳、妻が60歳(双方無職)であと30年、健康に生きる場合、毎月の平均赤字が5.5万円だとすると30年で約1980万円が必要」というものです。

金額的にも厳しい事から今から2000万円貯める事に対して反発も存在しました。

しかしこれはあくまでケースの問題です。
現代では確かに平均寿命も延び、90まで元気で生きるという方も多いですが、それまでのライフスタイルも世帯ごとに違うのも事実です。

皆が皆、毎月5万円の赤字を出すとも限らないですしこれはあくまでも平均値としての算出です。
とはいえ、退職金は今の傾向では減少傾向にありますし、年金も将来本当に貰えるのかどうか不安な要素も数多く指摘されています。

年金100年安心問題
政府が2004年に発表した「年金100年安心プラン」というのがあります。

年金は先に給付金額を決め、金額自体に届くように若い人たちからお金を集めていました。

しかし2004年の改革では、先に負担する金額を決めてその集まったお金から分配する、という方式に変わりました。
つまり、人がいる限りお金は集まりますから(金額はどうであれ)年金が払われない、という事態にはならないことになります。

しかしこれはあくまで「年金制度が100年安心」というだけであり、金額の保障があるわけではありません。
制度がなくならない、というだけで、老後みんなが安心して暮らせる額が支払われるとは限らないのです。

年金は徐々に目減りする
現代では少子化問題、そして高齢者の増加、という問題があり、この対策のままでは若者の人口が減るにつれ、集まる年金は減っていくことになります。
つまり年金の金額は徐々に目減りしていく傾向にあります。

年金問題とはこの点を踏まえ、個人でも対策をとっていく必要があります。
少子高齢化に関しては以下の記事もございます。

少子高齢化とは?原因や影響、対策などグラフを用いてわかりやすく解説
第三人生編集部

国の年金問題の対策【パート労働者の年金加入の見直し】
高齢者 資金
国が打ち出した年金問題対策としてパート労働者の厚生年金加入が打ち出されました。

加入条件の見直し
低所得者高齢者の増加
30年後には年金は減少していく
加入基準を緩和することで受け取れる年金を増やす
加入条件の見直しを検討
年金問題の対策として国が打ち出したのが、これまで厚生年金に加入できなかったパート勤めの方々にまで加入条件を緩和しようというものです。

これまで、厚生年金の加入者には制限があり定年がある会社の正社員として働く人のみが対象でした。

働いていた時に貰えていた給料に応じた金額を年金として受け取れる、という仕組みです。
これをパートで働く層にまで広げようとする対策を打ち出したのには理由があります。

低所得者高齢者の増加
定年のない非正社員、つまりパートや自営業の方が加入する国民年金は元々受給額が少ない設定です。
しかも、途中払えなかった時期があれば年金額が減ります。

実際、2018年度は低所得のために未払いだった方が4割もいるという報告が出ています。
こうした現状がそのまま続くと、将来的に、受け取る年金額が少なくなり、低所得の高齢者が増加していく、ということになります。

ですから、その対策として厚生年金に加入できる条件を緩和しようという動きがあるのです。

特に低所得高齢者として危機的状況にある世代が、団塊ジュニアです。
団塊ジュニアの背景や問題点に関しては以下の記事もご覧ください。

団塊ジュニアとは?言葉の意味や世代が抱える注意点もご紹介
第三人生編集部

30年後には年金は減少
少子高齢化が進む現代では、このままいくと保険料の収入が少なくなり、高齢者に支払われる年金額が少なくなることは明白です。
そのため、政府は対策として年金の給付の水準を下げていく見解を発表しました。

2019年8月に出された厚生労働省の推計によれば、30年後には厚生年金は約2割、国民年金は約3割減少するという結果が出ています。

加入基準の緩和で受け取れる年金の額を増やす
そこで、厚生年金に加入する制限を緩和し、加入者を増やすことで集めるお金を増やし、受け取れる年金額を増やそうとしているわけです。
厚生年金には、原則として週に30時間以上勤務している人が加入できますが、この条件を20時間に下げました。

しかし、この条件が義務づけられるのは現状では従業員の数が501人以上の企業だけです。
今後はこの人数を引き下げていくと見込まれています。

しかし、2020年時点ではまだ見直しの検討段階なのも事実です。


国による年金問題の対策【国民年金加入期間の延長】
老後資金
保険料の納入期間を5年間延長
そして次なる年金問題の対策として、国民年金加入の期間を5年延長する、という案が持ち上がっています。
現在、国民年金は20歳~60歳まで、40年間となっていますが、これを65歳まで引き上げるというものです。

単純計算でいくと、この対策を取り入れれば、将来受け取れる年金水準に関して7%上げることができます。
しかし、国民年金は国庫負担で半分まかなわれているため、5年延長するとその分財源が必要になるという問題も発生します。


国がこれまで行ってきた年金問題対策【2019年】
年金
産前産後期間の免除【国民年金保険料】
2019年に国が行ってきた年金問題への対策の一つとして、国民年金の加入者の、産前産後の保険料を免除する、という対策を打ち出しました。
これまで、厚生年金に加入している人の、産前産後の期間、また育児休業時の保険料を免除するという制度はありました。

しかし2019年にはそれを国民年金加入者にも導入する動きがあったのです。
この場合、出産の前の月から産後の4ヶ月の間の保険料が免除となり、これは年金受給時には「支払ったもの」とされるため減額されることはありません。

国民年金に加入していても安心して出産することができます。

年金生活者支援給付金の支給
さらに年金問題対策として打ち出したのが、年金生活者支援給付金を給付するということです。

2019年10月から消費税が引き上げられたことを受け、年金を受け取っていても所得が低い方を支援するための給付金です。

こちらは、条件を満たせばその都度年金受け取りのたびに受け取ることができるものです。
その条件とは以下のものです。

老齢基礎年金を貰っている
世帯全員が住民税非課税
前年の収入(年金、その他の所得)が87万9300円以下
条件をよく確認しておきましょう。


年金問題に対し身近できる対策
老後2000万円問題や年金が将来は目減りする、など、問題点が浮き彫りになっています。
国の今後の対策に頼るのもありですが個人としても考えたいところです。

2000万円の捻出というのはなかなか難しいことかもしれませんが退職前から老後に備え、少しでも蓄えておくことは必要です。
老後となると自らの健康にも何が起こるかわかりません。

しかしある程度の収入、そして支出については予測もつくでしょう。
それらをざっくりと計算しておき、備えておきましょう。

退職後にも働きたいというのであれば、就労に有利な資格を取るなど検討してもいいですね。
また、資産運用を考えるのも有効です。

少しでも、個人で出来るなにかがあるのなら備えておくと良いでしょう。
資産運用に関しては以下の記事もご覧ください。

金融資産とは?老後資金の増やし方や年代別の運用方法を紹介!
第三人生編集部

これまでの年金問題対策検討【2004年】
お金
これまで国が行ってきた年金問題対策としては以下のようなものがありました。

将来的な保険料の固定化
マクロ経済スライドの導入
年金の繰り下げ範囲の見直し
厚生年金加入条件の見直し
将来的な保険料の固定化
2004年に打ち出された年金問題対策として、毎年引き上げられている厚生年金の保険料が2017年を最後に固定されました。
2017年までは毎年0.354%ずつ引き上げられていたのですが2017年以降は年収の18.3%の保険料を自身と会社とで折半しておさめることになりました。

しかし固定されることで現役世代の負担は減りますが、財源は頭打ちになるので分配される年金は徐々に減っていくことになります。
高齢者が増加していく傾向にある現代では尚更その影響は避けられません。

マクロ経済スライドの導入
マクロ経済スライドとは、その時の社会情勢に合わせて年金の給付の水準を調整していくことをいいます。
本来年金は物価などに応じて決められているもので、これは不公平性をなくすためものです。

しかし少子高齢化がすすみ、現在では支払う側より貰う側のほうが増えている状況です。
そこで国が年金問題対策として打ち出したのがこのマクロ経済スライドです。

マクロ経済スライドは2004年に決まった年金改革で取り入れられましたが、2019年までに2回、実施されています。

年金の繰り下げ範囲の見直し
現在では年金は65歳から受け取れることになっています。
しかし、平均寿命も延びている今、その受け取り年齢を遅くするのも可能、という政策です。

2020年現在では65~70の間で自由に選べることになっていますが、これを75歳まで繰り下げる案も出ています。
そうすると65歳で受け取るより増額された金額を受け取ることができます。

しかしこれも一種の賭け、とも言えますね。
平均寿命が伸びたといっても自分もそうであるとは限りません。

下手をすると貰えずに終わってしまうという可能性もあります。
ご自身の健康と相談して考えたほうが良いでしょう。

年金の繰り下げに関しては以下の記事もご覧ください。

70歳から年金を受け取るとどうなる?繰り下げ受給や改定に関しても解説
第三人生編集部

厚生年金加入条件の見直し
また、保険料をおさめる期間を延長する、という案もあります。
現在では定年後も働く場合、70歳まで厚生年金の保険料を納めることになっていますが、それを75歳まで引き上げる、というものです。

そうすると年金の受け取りを75歳からにし、65歳から受け取るよりは多くの金額を貰えることができます。
しかしこちらも、ご自分の体力、健康と相談、ということになるでしょう。


年金問題と今後の生活に対してできる事
定年 男 女
老後資金の貯蓄が重要に
年金問題に直面するにあたり、老後資金の貯蓄というのは大変重要なポイントになるでしょう。対策として以下のことが挙げられます。

iDeCO
低解約払戻金型終身保険
企業型確定拠出年金
老後資金の具体的な貯め方に関しては上に述べた物の他に以下でも述べています。

老後資金の貯め方を30代・40代・50代・60代別に紹介!老後資金はいくら必要?
第三人生編集部

iDeCo
iDeCoとは、「個人型確定拠出年金」のことで、60歳まで自分で積み立てたお金を60歳以降に受け取れる仕組みのこといいます。
簡単に言えば、自分で自分のためだけに積み立てをする、そしてそれを受け取れるというもので、老後資金を貯蓄するのに現在よく聞く制度ですね。

積み立ては月々5000円からすることができます。
メリットとしては積立金は所得控除の対象になり、税金が安くなります。

税金が安くなり、さらに自分で積み立てていくことができる、という安心感はあります。
しかし60歳になるまで受け取れない、解約できない、というデメリットもあります。

低解約払戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険とは、通常の終身保険よりも保険料をおさえ、その代わり払戻金が低く設定されたものです。
保険料の払い込みが終わるとそれ以降は通常の終身保険と同じだけ貰えます。

つまり、保険料は安い上に解約払戻金は同じなのです。
ですから老後の貯蓄に大きく運用することができます。

しかしながら、途中で保険料が払えないなどで解約すると損をすることになりますから注意が必要です。

企業型確定拠出年金
iDeCoとは、個人型確定拠出年金のことを言いますが、企業型のものもあります。
個人との違いは、会社が、退職金制度として取り入れているというものです。

掛け金は個人ではなく企業が行い、口座管理料なども企業が負担します。
加入に関しては自分で選べるケース、対象者が決まっているケースもあります。

個人のケースと違って、メリットは、資産運用などについて企業からレクチャーを受けられるという点にあります。
しかしこちらも60歳まで引き出せない他、配偶者は加入できません。

当然ながら、勤めている会社がこれを導入していなければ加入はできません。


老後の年金問題解決には早めに対策を
こちらでは年金問題の対策について、これまで国がおこなってきた対策を取り上げて解説し、個人としてどう動くべきかをまとめました。
こうして見てくると、国としても対策を行ってきてはいるものの、私達が満足のいくような結果はまだ出ていないと感じられる部分が多いです。

老後2000万円問題など、一気に不安になるような発表もありますが、備えられるうちから対策をしておくことがおすすめです。
しかし、社会情勢は年々変わっていくものですし、国の対策もまたいつ変わってくるかは分かりません。

また、できるうちに、現在のままだと年金がいくらもらえるのか、退職後の支出がどのようになっていくかなどシミュレーションをしておくのも大切です。
現在の資産を把握しておかないと運用できるものもできなくなってしまいます。

年金問題、そして老後に安心して生活できるよう、常に情報に敏感に、臨機応変に備えていきましょう。

RELATED