この記事の結論
年金受給者が死亡した場合、年金受給権者死亡届けの提出・未支給年金の請求・遺族給付の請求をする必要があります。請求には戸籍謄本や収入証明書などが必要です。
年金受給者が死去した場合の手続きは?
年金
年金受給してた方が死去した場合には速やかに下記の手続きが必要です。
年金受給権者死亡届けの提出
未支給年金の請求
遺族給付の請求
年金受給権者死亡届の提出
年金受給者が死去した場合、年金は速やかに停止の措置をとらなければなりません。
亡くなったあともまだ受け取り続けていることは不正に当たります。
年金受給者が死去したら、まず「年金受給権者死亡届」を出します。
ご親族の場合ですと、亡くなった直後は年金のことなど考える余裕もない、頭から抜け落ちている、という事もありますよね。
しかしここで届けを提出しないと年金の不正受給に繋がってしまうのです。
未支給年金請求
本来受け取れるはずの年金を受け取れずに死去した時には、未支給年金の請求を行えます。
これを請求すれば、ご遺族が、未受け取りの年金を受け取れます。
遺族給付の請求
遺族基礎年金
該当者が生前国民年金に加入していて、ご家族の生計を担っていたのなら、貴族基礎年金がもらえる場合があります。
しかし貰えるケースとしては一定の条件がありますので注意が必要です。
遺族厚生年金
同じく、該当者が厚生年金に加入していた場合、そして家族の生計をその方が担っていた場合に受け取れるのが遺族厚生年金です。
こちらも、貰える人や条件が決まっていますので、詳しくは後述します。
年金受給者死亡時の手続き【死亡届】
死亡届
年金受給権者死亡届けには以下のことを参照して下さい。
提出先
必要な書類
提出期限
不要な場合もある
提出先
年金受給権者死亡届けは、お住まいの市役所などにある年金事務所、または街角に設けてある年金相談センターに出向いて届けます。
場所が分からなかったらホームページなどで確認するか、ねんきんダイヤルに問い合わせましょう。
必要な書類
届けの提出には、おそらくこれまで取り扱ったことのない類の書類が沢山必要となります。
足りない物がない様、あらかじめ確認して揃えます。
死亡した方の年金証書の他、亡くなったことを明らかにできる書類(死亡診断書、戸籍謄本など)のコピーを準備し、年金受給権者死亡届と合わせて上記の場所へ提出します。
提出期限
提出の期限はご加入の年金ごとに変わるので気を付けて下さい。
国民年金
厚生年金
共済年金
国民年金
死亡した時には速やかに諸々の届け出をして下さい。
国民年金に入っていたとすれば、死亡日から数えて14日以内に提出をします。
厚生年金
厚生年金の場合には死亡日から数えて10日以内の届けが必要です。
葬儀などで色々忙しく、なにより故人への悲しみの気持ちから何もする気が起きない、等ありますが、届け出の期限は守るように注意しましょう。
共済年金
此方は国民年金と同様、亡くなってから10日以内の届け出が必要です。
届け出が遅れると、「年金の貰いすぎ」となり、後で返さなければならなくなります。
また、たとえうっかりであっても、「不正受給」とみなされてしまうケースもあります。
悪質とみなされると詐欺容疑ともなりかねませんので注意しましょう。
不要な場合もある
手続きが不要なケースもあります。
それは日本年金機構にマイナンバー登録がされているケースです。
亡くなった方がマイナンバー登録がされているかは、本人じゃなくても確認は可能です。
死亡した方の年金振込通知書に記載の「住民票コード収録状況欄」を見てください。
収録済み、と書かれていれば登録されていることになり、届け出は不要です。
死亡届に関しては、こちらも参考にしてください。
死亡届とは?書き方・期限や届け先などの提出方法を解説!注意点も
第三人生編集部
年金受給者死亡時の手続き【未支給年金】
年金
本来受け取れるはずの年金を受け取らずに死亡した場合、「未支給年金」といってそれらは受領が可能です。
未支給年金が発生するケース
受け取れる対象者
必要書類
提出先
期限は5年以内
未支給年金が発生するケース
本来受け取れるはずの年金を受け取らずに死亡した場合、受け取れなかった分の年金を「未支給年金」と言います。
未支給年金が発生する理由は大きく二つあります。
理由①年金受け取りの手続きをしていない
そもそもご当人が年金を納めていたにも関わらず、年金受け取りの手続きをしていなかったケースがあります。
年金の受給権は自身で申し出なくてはなりません。
それをしていないとせっかく貰えるはずの年金が貰えない、という事になります。
理由②後払い形式の支払いによるもの
年金は2ヶ月に一度、後払いという形式です。
年金は、死亡した月まで貰えるのが規則です。
例えば、3月27日に死亡したケースでは年金の振り込みは4月15日になります。
死亡した月まで貰えますから3月分までは貰う権利があります。
したがって、いつ死亡しても殆どの方にこの「未支給年金」は発生するのです。
しかしこの未支給だった年金というのは自動的に口座に振り込まれる訳ではないです。
受領の為には手続きが必要となります。
受け取れる対象者
未支給年金は皆が受け取れるとは限らないです。
対象者は決まっています。
このお金を受け取れるのは、亡くなった方と生計が同じでかつ、配偶者、子供、その父母、孫、祖父母、兄弟や姉妹、そしてこれ以外の、3親等以内の親族です。
そして、受け取る権利も、以上の順番の通りとなります。
一番気を付けるべき点として、「生計が同じ」というところでしょうか。
分かりやすくいえば、死亡した方と共に生活をし、その方のお金で暮らしていた方です。
配偶者の方は共に暮らし、その方と生計が同じである可能性は高いです。
しかし、子供が結婚して独立して暮らしてたら、その子供さんにはこの資格がない、ということになります。
必要書類
受け取りには、書類を提出し、手続きが必要となります。
まず、該当者の年金証書、死亡した方との関係性が分かるもの(戸籍謄本など)が必要です。
そして本人と、請求する方の生計を同じだったかを証明できるもの(死亡した方の住民票の写し(除票)など)も貰っておきましょう。
さらに、未支給年金を受け取る予定である銀行の通帳も必要となります。
死亡した方と生計は同じでも世帯が違う場合には「生計同一についての別紙の様式」が必要となりますのでご注意下さい。
提出先
年金事務所
書類の提出先は、年金の種類によって違うので注意しましょう。
老齢基礎年金の場合にはお近くの年金事務所に提出します。
居住地域の市区町村窓口
障害基礎年金や遺族基礎年金、そして寡婦年金の場合には住んでいらっしゃる地域の市町村窓口に提出しましょう。
分からないこと等がある場合にはねんきんダイヤル等、案内をしてくれているところがありますので確認して下さい。
書類に不備があると二度手間になってしまうこともありますので気を付けましょう。
期限は5年以内
未支給年金は、上記の手続きを踏まえないと貰えません。
自動的に口座に入ってこないので、間違いのない様にします。
なお、未支給年金の受け取りの手続きは、亡くなってから5年以内に行わないと権利がなくなります。
死亡届けに比べれば随分と期間が長く設定されていますが、だからといってのんびりせず、早めに行かれることをおすすめします。
書類の類は役所などに行って貰うものが殆どです。
面倒な手続きは一度に済ませられる様、死亡届と共に請求すると良いでしょう。
年金受給者死亡時手続き【遺族給付】
書類
遺族給付金の請求について、次を参照して下さい。
遺族給付の対象者
遺族基礎年金に必要な書類
遺族厚生年金に必要な書類
提出先
遺族給付の対象者
年金の種類 概要 対象者
① 遺族基礎年金 故人が国民年金に加入 18歳以下の子がいる場合
② 遺族厚生年金 故人が厚生年金に加入 遺族が対象者
ただし、権利は配偶者、子、父母、祖父母の順になります
注意するべきポイントとして、②は遺族が対象者になるのに比べ、①では、配偶者に18歳以下の子がいる、もしくは親がいない(該当の方が死去したことで親がいなくなった)18歳以下の子、に限られるという点です。
どちらも結婚すれば対象から外れます。
子供がいなければ貰えない、その点については要注意です。
子供がいない、もしくは成人している場合、「寡婦年金」を受領する事もできます。
しかしこちらも条件等色々ありますので確認して下さい。
遺族基礎年金に必要な書類
必要な書類には
戸籍謄本
※(死亡した方との関係が分かるもので亡くなってから提出6ヶ月前に発行したもの)
世帯全員の住民票の写し
死亡した方の住民票の除票
請求している方の収入が確認できるもの
※(所得証明書や課税(非課税)証明書、源泉徴収など)
お子さんの収入が確認できるもの
※(高校生の場合は在学証明書など)
死亡診断書のコピーor死亡届の記載事項証明書
受け取る予定の金融機関の通帳
印鑑
以上が必要です。
なお、住民票の写し~お子さんの収入確認の部分は、マイナンバー登録がお済みであれば不要です。
遺族厚生年金に必要な書類
こちらの受け取りに必要な書類は、基本的には遺族基礎年金の項目と同じです。
こちらも、マイナンバー登録が済んでいれば簡略化できるところもありますので、事前にチェックしてみて下さい。
提出先
どちらの請求も、お住まいの近くにある年金事務所、または年金相談センターに持っていきます。
くれぐれも、必要書類の忘れなどがないよう、不備がないか確認の上出しましょう。
書類に不備があると何度も通わなければならなくなります。
くれぐれもミスのない様、準備して下さい。
遺族年金に関しては、こちらも参考にしてください。
遺族年金の受給はいつから?手続きの方法や書類、受給条件を解説!
第三人生編集部
コラム【死亡時に必要なその他の手続き】
手続き
死亡届の提出
遺族年金などの受け取りに必要になる死亡診断書は、病院の医師などに書いてもらうことがほとんどです。
人が亡くなった際にはその死亡診断書をもとに、死亡届けを提出することになります。
死亡届けが出されると、役所の方で処理され、住民票から抹消されたり、火葬や埋葬の許可が下りたり、税務署への通知がなされたりします。
死亡届けは色々とお忙しいご遺族の代わりに、葬儀サービスの方が提出してくれるケースが多いです。
口座凍結される?
死亡届けを提出すると故人の金融機関、口座が凍結されてしまう、と心配な方も多いようです。
しかし実際は、そんなことはありません。
死亡届けが提出されたことは銀行に通知がいくことはありません。
銀行が口座を凍結するのはあくまでご遺族の方から通知があって、そのような希望があった時のみですので、ご心配のないようにして下さい。
口座の凍結に関しては、こちらも参考にしてください。
名義人の死亡で口座が凍結するのはいつ?理由・手続き方法も紹介!
第三人生編集部
年金受給者が死亡した際には速やかに手続きを
こちらでは、年金受給者が死亡した際、どのようにすれば良いかをわかりやすく解説しました。
書類によっては10日以内に届けでなければならないものもあり、早い対応が必要となります。
ご家族が亡くなり、悲しみに包まれながら葬儀なども執り行い、その上で年金の処理もしなければならないのは大変なことです。
しかし残されたご遺族がお金に困ることは、亡くなった方も望まれないでしょう。
年金の種類によって手続きや必要なもの、条件も変わってきますが、よく確認して手続きを行いましょう。
こちらを参考になさって、活用していただければ、と思います。