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お金のこと

2025.01.27

「60歳からの年金生活を実現するにはどうすればよい?」「年金生活を成功させる秘訣は?」

60歳以降の生活を年金中心で考えている方のなかには、このような疑問を持つ方もいるでしょう。

60歳からの年金生活を実現するには、資金計画を立てる、節約を楽しむ生活スタイルを確立させるといった準備が欠かせません。

60歳からの年金生活を実現するための基礎知識

家計を確認するシニア女性
まずは、60歳からの年金生活の実現にあたり、公的年金制度の基本的な仕組みについての理解を深めていきましょう。

公的年金の支給開始は原則65歳から

公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2つがあり、いずれも支給開始は原則として65歳からです。

国民年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。漁業や農業、自営業者、フリーランスなどは「第1号被保険者」といいます。

常時従業員を雇用する会社に勤務し、70歳未満で一定の条件を満たす方は厚生年金に加入します。この加入者は「第2号被保険者」です。

第2号被保険者は、国民年金と厚生年金の両方の保険料を負担していることになります。

「第3号被保険者」とは、一定の条件のもと第2号被保険者に扶養されている配偶者(20歳以上60歳未満)のことです。

第3号被保険者でいる期間は国民年金の保険料を支払う必要はありませんが、保険料納付済期間として扱われます。

60歳から公的年金を受け取るには繰上げ受給が必要

公的年金には、「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」の3つがあり、障害給付や遺族給付に該当しない場合は老齢給付を受け取ります。

老齢給付は、国民年金加入者の場合は老齢基礎年金として、厚生年金加入者の場合は老齢厚生年金として支給されます。

原則として65歳から受給開始となりますが、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取るよう申し込むことが可能です。

ただし、繰上げ受給を行なう場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則として同時に繰上げ請求をする必要があります。

年金受給額の確認方法

公的年金の受給額を把握するには、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」を活用しましょう。

ねんきん定期便には、これまでの加入実績やそれに応じた年金額など、老後の生活設計を考えるうえで欠かせない情報が含まれています。

50歳以上の加入者には、老齢年金の種類や見込額も記載されるため、より具体的なライフプランの策定が可能です。

さらに、「ねんきんネット」というオンラインサービスを活用すれば、年金記録の確認や年金見込額の試算などもできます。

これらのツールを定期的に活用し、年金情報を的確に把握することで、老後への備えを着実に進めていきましょう。

国民年金の受給額を増やす3つの方法

次に、国民年金の受給額を増やす3つの方法について解説します。

1.付加年金に加入する

付加年金とは、国民年金第1号被保険者や、65歳未満の任意加入被保険者が任意で加入できる上乗せ年金制度です。

付加年金は、月々の国民年金保険料に月額400円を追加で支払うことで、将来受け取る老齢基礎年金の受給額を増やすことができます。

付加年金の増加額は、以下の計算式で求めます。
・付加年金額(年額)=200円×付加保険料納付月数

例えば、10年間(120ヵ月)付加年金を納付した場合は以下のように計算します。
・200円×120ヵ月=2万4,000円(年額)

付加年金への加入は、比較的少ない追加負担で年金額を増やせるため、老後の生活資金を充実させたい方にとって有効な選択肢の一つといえるでしょう。

2.国民年金基金に加入する

国民年金基金とは、自営業者や農業従事者などの国民年金第1号被保険者が、公的年金に上乗せする形で老後の生活資金を補うことを目的とした年金制度です。

掛金の月額は、加入時の年齢や加入口数、選択した給付の型などの条件によって異なり、上限は月額6万8,000円です。

なお、国民年金基金は、付加年金との同時加入は認められていないため、どちらか一方を選択しなければなりません。

3.任意加入制度を活用する

国民年金は、原則として60歳までが加入対象ですが、一定の条件を満たせば60歳以上65歳未満でも任意で加入することが可能です。

任意加入制度は、受給資格期間(10年)を満たしていない場合や、満額受給に必要な40年分の納付期間に不足がある場合に有効です。

国民年金の受給額は、保険料を支払った月数に応じて決まります。

そのため、任意加入制度を利用して保険料を追加で支払うことで、加入期間を延長し、将来受け取る年金額を増やすことが期待できます。

65歳になっても受給権が得られない場合には、一定条件のもと65歳から70歳未満の期間でも任意加入が認められています。

60歳からの年金生活における注意点

ATMの前で電話をかける女性
ここからは、60歳からの年金生活における注意点について見ていきましょう。

繰上げ受給のタイミング

公的年金の受給開始時期の変更には、繰上げ受給と繰下げ受給の2つがあります。

繰上げ受給を選択すると、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて年金を受け取ることが可能ですが、1ヵ月早めるごとに受給額が0.4%減額されます。

この減額は最大で24%となり、早期に収入を得られるメリットがある一方で、生涯受け取る年金総額が少なくなる可能性があります。

なお、昭和37年4月1日以前に生まれた方は、減額率が1ヵ月0.5%になり、最大30%の減額になるため注意が必要です。

一方、繰下げ受給では、65歳以降に受給開始を遅らせることができます。受給開始を1ヵ月遅らせるごとに受給額が0.7%増額され、最大75歳まで繰り下げると、受給額は84%増加します。

繰下げ受給は、健康状態が良好で、貯蓄に余裕がある場合には、生涯で受け取る年金額を増やす選択肢として有効です。

受給開始のタイミングを決める際には、健康状態、生活費、家族構成といった要素を総合的に考慮する必要があります。

短期的なメリットだけでなく、長期的な視点から慎重に判断し、自分に合った選択をすることが大切です。

貯蓄を取り崩すペース

60歳からの年金生活では、資金を計画的に使うことが老後資金を長持ちさせるポイントです。無計画に使いすぎると早期に資金が不足し、生活に困窮する危険性があります。

また、医療費や介護費用といった大きな支出に備え、緊急予備費の確保も重要です。定期的に家計の収支を確認し、支出を見直すことで、限られた年金を効率的に活用しましょう。

詐欺や金銭トラブル

近年、シニア世代を狙った詐欺や金銭トラブルが増加しています。

代表的な手口には、年金や給付金を名目にした振り込め詐欺、高額なリフォーム工事の押し売り、投資話や金融商品の詐欺などがあります。

不審な電話や訪問があった場合には、すぐに応じず、家族や専門機関に相談することが大切です。

不安を感じる場合は、「消費者ホットライン(188)」や警察の相談窓口を積極的に活用し、被害を未然に防ぐ意識を持つことも重要です。

60歳からの年金生活を実現させる7つの秘訣

笑いながら過ごすシニア夫婦
最後に、60歳からの年金生活を実現させる7つの秘訣について解説します。

1.資金計画を立てる

年金だけで生活費を賄えるかどうかは、受給額やライフスタイル、支出に大きく左右されます。

そのため、まずは生活費を具体的に見積もることが重要です。
食費、住居費、光熱費といった固定費に加え、医療費や趣味、予備費も考慮しましょう。

公益財団法人生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後生活に必要な最低限の日常生活費は月額平均23万2,000円、ゆとりある生活には月額平均37万9,000円が必要です。

ライフプラン表や家計簿アプリを活用して将来の支出と収入を可視化し、計画的に資金を管理することで、安心できる老後生活を目指しましょう。

参照:「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)

2.節約を楽しむ生活スタイルを作る

節約は、単に支出を抑えるだけでなく、生活のなかに工夫を取り入れ、新しい価値観を見つけることでもあります。

例えば、自炊を始めて健康的な食事を作る、家庭菜園で新鮮な野菜を育てる、図書館を活用して無料で本や映画を楽しむなど、生活を豊かにしながらコストを抑える方法があります。

さらに、固定費の見直しも効果的です。
通信費を格安プランに変更する、電力会社を切り替えるといったことで、毎月の支出を減らすことが期待できます。

3.健康を維持して医療費を抑える

高齢になると医療費が増える傾向にあります。日常的な健康管理の心がけにより予防可能な病気を防ぎ、経済的負担を軽減しましょう。

栄養バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を習慣化し、定期的な健康診断を受けることが効果的です。

特に糖尿病や高血圧性疾患などの生活習慣病は、予防に努めることで医療費削減に大きく貢献します。

健康維持により医療費の負担を軽くし、安心して豊かな年金生活を送ることが期待できます。

4.収入を増やす

年金生活を安定させるには、年金以外の収入源も確保しましょう。

パートタイムや短時間勤務の仕事で自身のスキルや経験を活かせば、収入増加と生きがいの両方を得られます。

また、定期預金や、リスクの少ないバランス型の投資信託などによる資産運用も、年金以外の収入確保に有効な手段です。

空き家の貸し出しや不要品の売却なども、短期的な収入増加策として有効です。

5.趣味や生きがいを見つける

仕事を離れ自由な時間が増えると、生活にゆとりが生まれる一方で、ふとした瞬間に暇や孤独を感じることがあるかもしれません。

こうした時間を有効活用し、充実感を得られる趣味や社会活動を取り入れると、心身の健康維持が期待できます。

まずは、読書や料理、ガーデニング、散歩、音楽鑑賞といった気軽に始められる趣味を持つことから始めましょう。

また、ボランティア活動への参加は、新しい人々との交流が生まれ、社会とのつながりを感じる機会にもなります。

趣味や生きがいを見つけることは、日々のモチベーションを高めるとともに、年金生活をより豊かで意義あるものにする重要な鍵となります。

6.金融リテラシーを高める

金融リテラシーを高めるには、まずお金に関する基本的な知識を身に付けることが大切です。公的年金や金融商品などの仕組みを理解することで、詐欺やトラブルを未然に防ぐ力がつきます。

特に高齢者を狙う詐欺には十分な注意が必要です。突然の電話勧誘で「年金が増える」「確実に儲かる」といった話があれば、すぐに契約せず、家族や専門家に相談しましょう。

また、不審な電話やメール、訪問には毅然とした態度で対応し、個人情報を守ることを心がけてください。

さらに、ニュースやインターネットを活用して、最新の詐欺の手口や金融トラブルについての情報収集も欠かさず行ないましょう。

金融知識を積み重ねることで、安心して年金生活を送ることができます。

7.家族や専門家と相談する

老後の生活設計や必要な資金については、家族と話し合い、情報を共有することが大切です。生活費や介護の必要性、相続の問題などを事前に話し合えば、将来の不安を軽減できます。

年金相談窓口などの専門家に相談すれば、自分に合った年金受給の方法について具体的なアドバイスが得られます。

年金の繰上げ受給を検討する際も、専門家の意見を参考にすれば適切な判断ができるでしょう。

家族や専門家との相談を通じて情報を整理し、計画的に準備を進めることで、安心して充実した年金生活を迎えられます。

まとめ

60歳からの年金生活を実現するには、年金制度の理解を深め、計画的な資金管理と節約を楽しむ生活スタイルを築くことが大切です。

また、健康維持や年金以外の収入確保、趣味や生きがいの発見により、生活を豊かにできます。

詐欺や金銭トラブルへの対策として金融リテラシーを高めることも重要です。

家族や専門家に相談しながら年金受給のタイミングや生活設計を検討すれば、不安が軽減され、安心できる老後生活を迎えられるでしょう。

監修者
齋藤 彩(さいとう あや)

独立系FPとして資産運用や保険提案、ローン、住宅購入などの個人向け相談業務を中心に、中小企業への企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の導入支援も行なう。また、お金の知識をわかりやすく伝えるため、金融メディアへの執筆・監修活動もしている。
<保有資格>CFP、1級FP技能士

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