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お金のこと

2024.12.12

「老後のお金が足りるかどうか不安……」多くの方がこのような悩みを抱えているのではないでしょうか。平均寿命が延びるなか、公的年金だけでは老後の生活費を十分に賄えない可能性が指摘されています。

老後資金に備えるには、実際に受給できる年金額を確認し、老後に必要な生活費を具体的に見積もることから始めましょう。

この記事では、老後に必要な生活費の目安や、公的年金の受給額、老後の資金不足に備える4つの対策などを解説します。

老後生活に必要なお金はいくら?

まずは、老後生活に必要と考えられる1ヵ月の目安額について解説します。

夫婦2人の最低日常生活費は月額平均23万2,000円

公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後生活における必要最低限の日常生活費は、月額平均23万2,000円です。

回答の内訳を見ると、最も多かったのは「20~25万円未満」で全体の27.5%を占め、次いで「30~40万円未満」が18.8%、「25~30万円未満」が14.4%でした。

経済状況によっては、今後必要とされる最低限の日常生活費は上昇することも考えられるでしょう。

参照:「2022(令和4)年度生活保障に関する調査」(公益財団法人 生命保険文化センター)

ゆとりある老後生活には月額平均37万9,000円が必要

同調査によると、ゆとりある老後生活を送るための必要な生活費は、月額平均37万9,000円です。

前述した必要最低限の日常生活費に対し、上乗せ分の使用目的として最も多かったのは「旅行・レジャー(60.0%)」です。次いで「日常生活費の充実(48.6%)」、「趣味や教養活動(48.3%)」、「身内とのつきあい(46.2%)」と続きました。

ゆとりある老後生活に必要な生活資金は、2016年以降、増加傾向にあります。ただし、これらの金額はあくまでも目安であり、個人の生活スタイルや健康状態、居住地域などの要因によって異なる点に留意が必要です。

公的年金の月額支給額を知っておこう

老後資金を考える際、月々の公的年金額を知っておくことは重要です。次に、公的年金の月額支給額について見ていきましょう。

国民年金保険

国民年金保険は、日本に居住している20歳以上60歳未満の方が加入対象となる年金制度です。

令和6年度における老齢基礎年金の月額は、満額で6万8,000円です。ただし、保険料の未納期間や免除期間などがある場合は、満額支給されません。

老齢基礎年金の受給資格を得るには、原則として保険料納付済期間と保険料免除期間を合算して10年以上の期間が必要です。

さらに、老齢基礎年金を満額受給するには、40年間(480月)一度も免除を受けずに保険料を納付することが必要となります。国民年金を満額受給するには、若いうちから計画的な保険料の納付を心がけることが重要です。

厚生年金保険

厚生年金保険は、おもに会社員や公務員が加入する年金制度を指し、国民年金に上乗せされる形で給付されます。

厚生年金の給付額は、加入期間中の標準報酬月額と標準賞与額に応じて計算されるため、給与や賞与が高いほど受取額が多くなります。また、加入期間が長いほど受取額が増えることも特徴です。

日本年金機構によると、令和6年度の厚生年金保険(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)の給付水準は23万483円※です。

将来受け取る国民年金や厚生年金の見込額は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」や、インターネットで利用できる「ねんきんネット」で確認できます。また、直接相談したい場合は、最寄りの年金事務所で確認することも可能です。

※昭和31年4月2日以後生まれの方の場合、かつ平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9,000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

参照:令和6年4月分からの年金額等について(日本年金機構)

公的年金だけでは老後資金を賄えない可能性がある

老後、夫婦2人の最低限の生活費として月額23万2,000円が必要と考えられており、これは老齢厚生年金の給付水準(23万483円)とほぼ同額です。そのため、老齢厚生年金の受給者であれば、最低限の生活費であれば年金で賄える可能性が考えられます。

ただし、退職金や金融資産が少ない場合、医療費や介護費用、住宅の修繕費などの急な出費に対応することが難しくなるかもしれません。また、国民年金保険のみの加入者にとっては、年金だけで老後の生活を維持することは難しい状況です。

老後にゆとりのある生活を送るためには、月額37万9,000円が必要とされており、夫婦2人の最低限の生活費との差額は約14万7,000円にのぼります。

この不足分を補うには、退職後に備えて貯蓄を積み立てる、退職後も収入源を確保するといった対策が必要です。

今からできる!老後資金に備える4つの対策法

老後資金が不足しそうな場合は、早めに準備することが大切です。ここからは、老後資金が足りないと予想される際の4つの対策法について紹介します。

支出の見直しと家計管理

現在の生活費を見直し、無駄な支出を減らすことで、貯蓄に回せるお金を増やしましょう。まずは家計簿や家計管理アプリを使って収支を把握し、どの項目に多くのお金がかかっているのかを明確にすることが大切です。

支出を可視化することで改善点が見えやすくなり、節約に取り組みやすくなります。支出の見直しにおいては、特に固定費の削減が効果的です。

無駄な支出を抑えるには、保険の見直しや携帯プランの変更、不要なサブスクリプションサービスの解約などが挙げられます。

定年後の再雇用やパートタイムを検討する

老後資金を確保するには、現在の職場での再雇用制度を活用する方法や、パートタイム職など柔軟な勤務形態を選択する方法があります。

定年後も継続して働くことで、年金以外の収入源が確保できるため、生活費や医療費などの負担に対する不安が軽減されるでしょう。

貯蓄型保険に加入する

貯蓄型保険には、終身保険、養老保険、個人年金保険など、さまざまな種類があります。例えば、民間の金融機関などが提供する個人年金保険は、加入者が月額や一括払いなどで保険料を支払い、契約時に設定した年齢から年金を受け取ることができます。

個人年金保険は60歳や65歳など、受給開始時期をある程度自由に選択できるため、ライフプランに合わせた資金計画を立てやすいことが特徴です。

また、個人年金保険の保険料は、一定の条件を満たせば個人年金保険料控除の対象になるため、所得税や住民税の節税効果も期待できます。

資産運用で備える

老後に必要な資金を資産運用で備える方法もあります。少額から始められるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などの制度を活用することで、長期的な資産形成が期待できます。

ただし、資産運用には投資した元本を下回るリスクもあるため、自身のリスク許容度を考慮しながら、適切な資産配分を行なうことが大切です。

老後資金が準備できなかった場合はどうする?

次に、老後資金の準備が間に合わなかった場合の対処法について解説します。

公的年金を繰上げ受給する

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受給を開始することが可能です。

ただし、繰上げ受給を選択すると、1ヵ月当たり0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの場合は0.5%)の割合で減額され、0.4%の場合は最大で24.0%の減額が生じることに注意が必要です。この減額率は生涯にわたって適用され、取り消しや変更はできません。

繰上げ受給は、企業年金や退職金、預貯金などの資産状況、配偶者の収入などを含め、総合的に判断することが重要です。

公的制度を活用する

老後の生活をより安心して過ごすには、公的制度を上手に活用することが重要です。例えば、年金生活者支援給付金制度では、一定の条件を満たす所得の少ない年金受給者を対象に、通常の年金に加えて給付金が支給されます。

また、介護保険法に基づく住宅改修費の支給では、要介護・要支援認定を受けた方が、自宅のバリアフリー化などの一定の改修工事を行なう際、20万円まで(所得に応じて1割から3割の自己負担あり)の費用が介護保険から給付されます。

こうした公的制度を理解し、必要に応じて活用することで、老後の経済的な不安を少しでも軽減することが期待できます。

家族や行政窓口に相談する

老後資金の不足に直面したときは、一人で悩まず、まずは家族と話し合うことをおすすめします。現在の経済状況や今後の生活プランについて、率直に共有することで、新たな解決の糸口が見つかるかもしれません。

さらに、必要に応じて市区町村の福祉窓口などへの相談も有効な選択肢です。早い段階で相談すると、利用可能な支援制度や対策を幅広く検討することができます。

まとめ

老後資金の準備には、早期からの計画的な取り組みが重要です。まずは、自身の年金受給額を確認し、理想の生活水準に必要な金額との差額を把握しましょう。

そのうえで、支出の見直しや資産運用、再雇用の検討など、実現可能な対策を組み合わせることで、着実な資金準備が可能となります。

また、準備が十分でない場合でも、年金受給時期の工夫や各種公的制度の活用、家族や専門家への相談など、さまざまな選択肢があります。自分の状況に合わせて、これらの対策を適切に活用することで、より安定した老後生活を実現することが期待できるでしょう。

監修者
赤上 直紀(あかがみ なおき)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士。元銀行員。若年層から高年層まで幅広い資産運用の提案を行う。メディアを通じて、より多くのお客さまに金融の知識を伝えたい気持ちが強くなり、退職を決意。現在は、編集者として金融機関を中心にウェブコンテンツの編集・執筆業務に従事している。

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