老後の介護費用はいくら必要?公的支援と事前準備で安心の老後を実現
老後の介護費用は多くの人が不安を抱えるテーマです。費用の目安や負担を軽減する制度・保険、事前準備の方法を解説します。今から対策を始め、安心できる老後の準備を進めましょう。
「老後の介護はお金がかかる」「老後に備えてお金を蓄えておかなければ」といった話を聞いたしをことがあるかもしれません、
老後の介護費用については、多くの方が不安を抱えるテーマです。
どれくらい費用がかかるのか、またどのように備えれば安心できるのか、早めに知ることがカギになります。
この記事では、介護費用の目安や負担を軽減するための制度や保険、事前準備の方法について分かりやすく解説します。今できることから対策をはじめ、安心できる老後の準備を始めてみましょう。
老後の介護費用の現状と目安を知ろう
介護が必要になった際にかかる費用は、事前に把握しておきたい重要なポイントです。
公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、介護に伴う一時的な費用(住宅改修や介護ベッドの購入など)は平均74万円、月々の介護費用は平均8.3万円とされています。
介護期間の平均が5年1ヵ月であることを考えると、総額で約580万円以上が必要になる計算です。
この金額は、公的介護保険サービスを利用したうえでの自己負担額の平均であり、介護の状況や必要なサービスによって大きく異なる場合があります。
公的な制度を活用してもこれだけの費用がかかる可能性があることを、あらかじめ理解しておきましょう。
また、介護を取り巻く社会問題も見過ごせません。
現在では、介護施設や介護士の不足に伴う「介護難民」の増加が深刻化しています。
これにより、要介護者への十分なサポートが行き届かず虐待など深刻な問題が発生しているのが現状です。
老後の介護には、費用面の備えはもちろん、社会問題についても正しく理解し、できるだけ早い段階から対策を考えることが大切になります。
家族や自身の将来に向けて、制度の理解や費用の準備を進めていきましょう。
介護保険制度を使って費用負担を軽減しよう
「両親の介護が始まり、老後の介護費用について改めて考える機会が増えた…」
そんな経験をきっかけに、自分たちの将来の介護費用や負担が気になる方も多いのではないでしょうか。
施設の利用や在宅介護、それぞれの費用は決して軽いものではありませんが、公的な介護保険制度を活用することで負担を大幅に軽減することができます。
ここでは、介護保険制度を使って費用負担を抑える方法について、分かりやすく解説します。
将来に備える第一歩として、ぜひご参考ください。
要介護の認定で自己負担額は3割ほどに
「介護が必要になってきたかも…」そう感じたら、まず要介護認定の申請をしておきましょう。
介護保険制度は、社会全体で介護を支援することを目的として仕組みで、介護が必要と認定された場合、介護サービスの利用料を一部を補助してもらえます。
これにより、自己負担額をサービス料金の1割から3割に抑えられます。
例えば、介護施設に入所する場合、月額30万円の施設費用のうち、介護保険が適用されることで、自己負担額は数万円から十数万円に収まることが一般的です。
訪問介護やデイサービスも同様で、介護保険の対象となるため、利用者の負担を軽減できます。
介護保険の申請方法
介護保険を受けるには、市区町村での介護認定を受ける必要があります。
介護保険対象者と受給条件は以下の通りです。
第1号被保険者(65歳以上):
要介護状態・要支援状態
第2号被保険者(40~64歳まで):
要介護・要支援の状態が老化に起因する疾病である場合
介護認定を受けるためには、申請書を提出し、医師の診断や調査員による訪問調査を経て、認定結果が出ます。
介護保険の適用範囲や自己負担額はこの認定に基づいて決まるため、早期に準備を始めておくことが大切です。
老後の介護費用に備えるためには事前準備が重要
介護費用に備えるためには、早い段階からの事前準備が不可欠です。
介護が必要になるタイミングや、どの程度の費用がかかるかは予測できないため、経済的に備えておくことが大切です。
まず、貯金や資産を見直して、介護が必要になった際の費用負担に対応できるように準備しておきましょう。
老後の生活設計の中で、介護が必要になる場合を想定し、毎月の生活費や将来の介護費用をどう捻出するかを考えることが重要です。
定期的に貯金を行い、年金や退職金、保険などを活用することで、将来の負担を軽減できます。
また、長期的に見て、介護保険だけではカバーしきれない部分を民間の介護保険で補う方法もあります。
さらに、老後の生活環境や施設選びも、介護費用に大きく影響します。
自宅での介護が難しくなった場合に備えて、早い段階で施設をリサーチし、どの施設が自分にとって最適かを検討しておくことも重要です。
介護施設の費用はサービス内容で異なる
介護が必要になると「自宅で介護を続けるべきか、それとも施設に入った方が良いのか...」と悩んでいる方も少なくありません。
できれば住み慣れた自宅にずっと居たい、でも介護施設の方が設備は整っているかもしれない、と気になることが多いことでしょう。
介護施設への入所は大きな決断ですが、費用やサービス内容をしっかり理解しておくことで、後悔のない選択ができるようになります。
提供在宅サービスを利用する場合
在宅介護では、要介護度に応じて1ヵ月の自己負担額の上限が決まっています。
例えば、要支援1では約5,000円、要介護5では約36,000円です。
ただし、上限を超えたサービスは全額自己負担となります。
さらに、介護用おむつ代やタクシー利用、家族の交通費や謝礼など、介護保険外の出費も発生します。
市区町村の補助制度もあるため、手続き時に確認しておきましょう。
施設サービスを利用する場合
介護施設の費用は要介護度や施設の種類、居室タイプによって異なります。
例えば、特別養護老人ホームのユニット型個室では、1ヵ月の費用は以下の通りです。
・ 施設サービス費(1割負担):約27,500円
・ 居住費:約60,000円
・ 食費:約43,300円
・ 日常生活費:約10,000円
合計:約140,800円
在宅介護は一見、費用が抑えられるように感じますが、見えにくい出費や家族の負担が大きいため注意が必要です。
費用面だけでなく、体力や生活の質も考慮して、施設介護も選択肢に入れ、家族内でじっくりと考えるようにしましょう。
民間の介護保険を利用して安心をプラス
「介護費用はどうやって準備すれば良いのか?」と考え、多くの人が公的介護保険を利用しますが、そのカバー範囲には限りがあります。
そこで注目すべきもう一つの方法は、民間の介護保険を利用することです。
公的な介護保険だけではカバーしきれない部分を補う役割を果たし、不測の事態にも対応しやすくなります。
例えば、要介護認定を受けた際に支給される一時金や月々の給付金があり、施設介護や在宅介護の費用に充てることができます。
民間介護保険の大きな特徴は、契約内容に応じて自由にプランを選べる点と現金給付である点です。
「要介護状態になったら一時金100万円支給」や「毎月5万円の給付金が出る」といった保障内容を、自分のライフスタイルや予算に合わせて選べます。
民間の介護保険で給付された現金の使い道は自由であるため、介護が理由で仕事を制限せざるを得ない場合の収入源補填や家族の負担軽減に役立つでしょう。
特に「自分の介護費用は自分で備えたい」という方にとっては心強い選択肢です。
公的介護保険と併用することで、介護にかかるトータルコストを抑え、安心して老後を迎えるための大きな支えとなります。
ただし、民間の介護保険は加入時に健康状態を問われることがあるため、早めの検討が重要です。将来のリスクに備え、安心した老後生活を迎えられるよう、今から民間介護保険の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
老後の介護費用に備えるために今できることを考えよう
老後の介護費用に備えるためにできることは多くあります。
まず、現時点で介護保険や民間保険を検討し、自分に合ったプランを選ぶことが第一歩です。
次に、生活費や将来の介護費用を見越して貯蓄を始めることが重要です。
また、施設やサービス内容を早めに調べ、将来の介護に備えるための準備を進めておく必要もあります。
少しでも早く介護費用の準備を始めることで、老後の安心を手に入れることができます。
健康で充実した老後を過ごすためにも、今できることから少しずつ始めていきましょう。