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お金のこと

2025.01.20

熟年離婚で年金分割はどうなるの?手順や注意点を解説

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この記事では、熟年離婚における年金分割について詳しく解説します。手順や注意点もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「熟年離婚した場合、年金分割ってどうなるの?」と気になる方もいるのではないでしょうか。

年金分割制度とは、離婚の際に、結婚期間中の夫婦における厚生年金の標準額を多い方から少ない方へ分割する制度のことです。

合意分割・3号分割のように手段が設けられており、それぞれで年金事務所での手続きが必要となります。

この記事では、熟年離婚における年金分割について詳しく解説します。手順や注意点もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも熟年離婚って何?

熟年離婚に関して、明確な定義づけは現段階ではありません。一般的には、長い期間一緒に過ごした夫婦が離婚することを指して使われる言葉です。

厚生労働省が公表したデータによると、令和4年に同居期間が20年以上の夫婦が離婚した数は3万8990組で、全体の約22%を占めています。令和5年以降のデータを見ても、令和4年よりも離婚した数は増えている傾向です。

参照:厚生労働省 令和4年度 離婚に関する統計の概況

年金分割制度とは

年金残高を確認する年配の男性
年金分割制度とは、離婚の際に、結婚期間中の夫婦における厚生年金の標準額を多い方から少ない方へ分割する制度のことです。

多くのケースでは、夫から妻へ分割されます。また、標準報酬額とは、厚生年金の保険料納付実績のことを指します。

標準報酬額は、給与・賞与・就労期間などの要素から算出されます。
給与額が高いほど収める厚生年金額も多くなるため、標準報酬額も高くなる傾向です。

例えば、夫婦の片方が働いてもう片方が専業主婦(夫)などをしている場合、片方だけ年金を受給することになります。

ただし、もう片方が生活を支えているからこそ年金を納付できたと考えられる場合、離婚する際に片方だけが年金を全て受け取るのは不公平さが生じますよね。

この場合、夫婦間で同程度の貢献があったという考えが適用されるため、標準報酬額を分割して公平性を図ります。

これが年金分割制度の仕組みです。

年金分割の2種類の方法

年金分割は、合意分割と3号分割の2種類あります。以下の表は、それぞれの概要と違いをまとめたものです。
項目 合意分割 3号分割
概要 分割の割合を夫婦間の合意に基づいて決める方法 第3号被保険者の請求に基づいて、第3号被保険者であった期間の標準報酬を自動的に2分の1の割合で分割する方法
請求の方法 当事者の片方から請求される 被扶養配偶者から請求される
請求時の合意 必要 不要
分割の対象期間 婚姻期間中の全てが対象 婚姻期間中における第3号被保険者であった期間が対象(2008年4月1日以降に納めた年金保険料が対象)
按分割合 上限50% 一律50%(2分の1)
手続き 夫婦が年金事務所で手続きする 第3号被保険者が年金事務所で手続きする
期限 離婚した日の翌日から起算して2年が期限となる
表をみると、請求方法や合意の有無、対象期間などで違いがあることが分かります。

ここからは、それぞれの方法について具体的にみていきましょう。

合意分割

合意分割とは、離婚する際に、夫婦で築いた厚生年金の記録を、お互いの合意に基づいて分割する方法です。

厚生年金が対象となるため、国民年金は対象から外れます。

基本的には、年金事務所から年金分割を行うための情報通知書を入手した後、夫婦間で話し合い、分割の割合について決定します。

もし、なかなか合意できずに割合が決まらない場合は、裁判所の調停、審判などで決めなければなりません。

また、合意分割の利用には以下の条件を満たしておく必要があります。
・平成19年4月1日以降に離婚をしていること
・夫婦の合意もしくは裁判手続きによって分割の割合を決めていること
・請求期限を経過していないこと
合意分割の場合、上限は最大50%とされていますが、2分の1(50%)で合意されることがほとんどです。

分割の対象期間となるのは、結婚期間中の全てとなります。

夫婦の標準報酬額の合計額が分割されるため、収入の多い方のみが分割の対象となるわけではありません。

3号分割

3号分割は、離婚の際に、配偶者の扶養に入っていた期間の厚生年金を半分ずつ分割する方法です。

会社員や公務員に扶養されている配偶者が第3号被保険者に該当します。

基本的には、離婚した後で一定期間内に年金事務所に申請します。一律で2分の1の割合となるため、夫婦間の合意は必要ありません。

また、3号分割の利用には以下の条件を満たしておく必要があります。
・2008年(平成20年)4月1日以降に第3号被保険者期間があること
・2008年(平成20年)5月1日以降に離婚していること
・請求期限を経過していないこと
3号分割は合意分割と違って夫婦間での合意が不要です。そのため、手続きの方法も比較的簡単になります。

ただし、2008年(平成20年)にできた制度で、2008年5月1日以降に離婚していることが年金分割の条件となります。

なおかつ、2008年4月1日以降の第3号被保険者期間が対象となるため、それ以前の期間は対象から外れる点には注意しましょう。

それぞれの手続きの流れに関しては後述しますので、ぜひ参考にしてください。

年金分割を行う際の流れ

専門家の説明を聞く年配の夫婦
年金分割を行う際、合意分割と3号分割で手順が異なります。ここからは、それぞれの手順について詳しく解説します。

合意分割を行う際の流れ

合意分割を行う際の流れは、以下のとおりです。
1.情報通知書を入手する
2.分割の割合を決める
3.年金事務所で年金分割の請求を行う
4.標準報酬改定通知書を受け取る
各手順について詳しくみていきましょう。
手順1. 情報通知書を入手する
まずは、情報通知書を入手する必要があります。情報通知書とは、年金分割の割合などを決める際に必要な情報がまとめられた書類のことです。

合意分割の際、年金事務所に「情報提供請求書」を提出後、2〜3週間ほどで情報通知書が送られます。

情報提供請求書を提出する際、基礎年金番号の通知書や戸籍謄本などを一緒に送ることが大切です。

手順2. 分割の割合を決める
請求書の提出が完了し、情報通知書が送られてきたら、具体的にどの程度の分割で行うのか話し合いが必要です。合意分割の場合は、上限50%の範囲内で決める必要があります。

基本的に50%になることが多い傾向ですが、話し合いでお互いに合意のいく割合が決まらない場合は裁判所の調停、審判などで決めなければなりません。

手順3. 年金事務所で年金分割の請求を行う
話し合いや裁判所の調停・審判などで年金分割の割合が決まったら、年金事務所にて年金分割の請求を行います。

合意分割の場合、夫婦間で決めたことなので2人で手続きを行わなければなりません。

また、年金事務所によっては窓口が混雑していることも予想されます。
そのため、スケジュールを調節し、予約を取っておいて手続きすることが大切です。

手順4. 標準報酬改定通知書を受け取る
全ての手続きが完了したら、標準報酬改定通知書が送付されます。

通知書には、年金分割で変更された内容など大切な情報が記載されているため、紛失しないよう管理しましょう。

3号分割を行う際の流れ

3号分割を行う際の具体的な手順は、以下のとおりです。
1.年金事務所で年金分割の請求を行う
2.標準報酬改定通知書を受け取る
3号分割は、合意分割よりも手続きが簡単なのが特徴です。それぞれの手順について詳しくみていきましょう。
手順1. 年金事務所で年金分割の請求を行う
3号分割は、合意分割と違って話し合いや裁判所の調停・審判などは必要ありません。請求者(第3号被保険者)がそれぞれで年金事務所にて手続きするだけです。

住んでいる地域の年金事務所の窓口に足を運び、「標準報酬改定請求書」と必要書類を提出しましょう。

手順2. 標準報酬改定通知書を受け取る
合意分割と同様、手続きが全て完了すると標準報酬改定通知書が送付されます。
大切な情報が記載されているため、紛失しないよう大切に管理してください。

年金分割の注意点

年金分割には、以下のような注意点があります。
1.対象となるのは厚生年金のみ
2.将来受け取る年金を分割する制度ではない
3.期限が経過すると請求できない
それぞれの注意点について詳しく解説します。

注意点1. 対象となるのは厚生年金のみ

年金分割の対象となるのは、厚生年金のみです。
合意分割・3号分割などの手段に関係なく、国民年金は年金分割の対象から外れています。

もし、夫婦の両方が厚生年金に加入していない場合は、年金分割できないため注意しましょう。

注意点2. 将来受け取る年金を分割する制度ではない

年金分割は、将来受け取る年金そのものを分割するものではなく、受け取る年金を計算する上での基礎となる「保険料納付実績」を分割するものです。

そのため、離婚後に配偶者側が亡くなったり、自分が再婚したりしても年金分割には影響しません。

ただし、合意分割・3号分割ともに条件を満たしておく必要はあります。

加えて、年金の受給資格を満たしていなければ、年金分割しても年金を受け取れないため、ご注意ください。

注意点3. 期限が経過すると請求できない

年金分割には、「離婚をした日の翌日から2年」という期限が設けられています。期限経過後は、年金分割の請求ができなくなるため、ご注意ください。

年金事務所に行くのが少し面倒だと感じたり、仕事が忙しかったりして手続きを後回しにすると、「気づけば期限を過ぎていた...」なんてことにもなりかねません。

離婚したら速やかに年金分割の手続きを済ませておくのが賢明です。

また、離婚した後で相手が亡くなった場合、死亡日から起算して1ヶ月が経過すると年金分割の請求ができなくなります。

このことからも、速やかな手続きが大切といえるでしょう。

まとめ

年金分割は、離婚の際に、結婚期間中の夫婦における厚生年金の標準額を多い方から少ない方へ分割する制度のことです。合意分割・3号分割の主に2種類の手段があります。

合意分割では、夫婦間で話し合いながら上限50%の分割の割合を決定します。

話し合いで決まらない場合は、裁判所の調停・審判などが必要です。

一方で、3号分割では一律50%の割合で分割します。夫婦間での話し合いが不要で、手続きも簡単に済ませられます。

また、年金分割の対象となるのは厚生年金なので、国民年金は対象外です。

請求には期限も設けられているため、この記事でご紹介した内容を参考に、スムーズに年金分割の請求手続きを済ませてみてください。

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