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2024.04.24

修正会(しゅしょうえ)とは?歴史や流れ、宗派ごとの違いを解説

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あなたは、修正会に参列したことはありますか?
修正会は年始に行われる法会で、平安時代から行われてきた仏教行事の一つです。

修正会は一体どのような行事で、何故行われるのか。
今回はそんな修正会の基本中の基本から、参列の際の注意点や宗派ごとの修正会の違いまで、詳しく見ていきましょう。

修正会(しゅしょうえ)とは
法要
修正会とは、 仏教寺院で1月の初めに行われる法要 の事です。
1月1日より、7日間に渡り行われることが多いですが、寺院によっても異なります。

そもそも、修正会とは、 修正月会 のことであり、「 正す月に修める法要 」を意味します。
つまり 修正会とは、仏前で前年の行いを悔い改め身を正した後に、新しい年が健やかであるよう祈ることが目的 です。

新年のはじめに行う法要ですので、ついこれからの一年にばかり目が行きがちになります。
ですが、修正会は、過ぎゆく旧年の反省をすることも重要であると覚えておきましょう。

修正会(しゅしょうえ)の歴史
法要
修正会の 起源は、中国で行われていた新年を迎える際の行事 です。
その行事が日本にも伝わり、新年に行う法会として確立しました。

日本でこの行事が行われ始めた頃、「修正会」ではなく「 悔過会(けかえ) 」と呼ばれていました。
悔過会は、三宝に自らの罪を懺悔する法会です。

三宝とは「 仏・法・僧 」のことで、仏教における三つの宝を指します。
仏は悟りを開いた人のこと、法は仏様の教えのこと、僧は悟りを開く為に修行している人のことです。

悔過会ではこの三宝に懺悔をすることで、一年の安穏豊楽を祈っていました。
やがて悔過会が徐々に変化していき、現在の様な修正会が各寺院で広く行われるようになったのです。

現在でも、奈良県の東大寺二月堂で行われる修二会は、この悔過会の様相が色濃く残っています。
修二会については、後程詳しく見ていきます。

修正会(しゅしょうえ)の流れ
流れ
修正会の流れは、寺院によって様々 です。
ですが、 基本的には「法要」ですので、まず読経があり、その後法話を行うことが一般的 です。

中には、年末の除夜の鐘で旧年の穢れを祓い、それから新年の悔過の法要を行う寺院もあります。
また、1月1日から1月7日頃まで行う法会ですので、その期間中 様々な法要や法話を行う 場合もあります。

例えば、東京浅草の浅草寺では、修正会で鬼遣らい(おにやらい)という儀式を行います。
浅草寺の修正会では初めに厳かな読経や散華(さんげ)が蒔かれ、その後、鬼の面を被った僧と柳の杖を持った僧が現れます。

そこから、鬼遣らいと呼ばれる儀式が始まるのです。
厄災を表した鬼を祓う為に、柳の杖を持った僧が杖で床を叩き、鬼は堂内を駆け巡ります。

このように、修正会ではそれぞれの寺院や宗派によっても様々な法会が行われます。

修正会(しゅしょうえ)の宗派ごとの違い
違い
では、具体的には宗派によってどのような違いがあるのでしょうか。
幾つかの宗派を例にとり、 修正会の違い について見ていきましょう。

浄土宗
浄土真宗
真言宗
浄土宗
浄土宗は、法然上人が開いた宗派 です。
南無阿弥陀仏を心から称えることで、阿弥陀如来に極楽浄土へと導いてもらうことが、教えの根幹となっています。

そんな浄土宗の総本山である京都の 知恩院 では、 1月1日に社会平和や人々の幸福を祈る修正会が行われます。
早朝より、新年を迎えられた感謝と一年の息災を祈って法要が営まれます。

浄土真宗
親鸞聖人が開いた浄土真宗の修正会は、他宗派とは少し考え方が異なります。

浄土真宗では、全ての人は死後等しく浄土に迎えられると説きます。
他の宗派のように、悟りを開く為に修行し極楽浄土に至るのではなく、はじめから極楽浄土へ至ることが約束されているのです。

修正会も、三宝への懺悔や一年の安穏豊楽を祈る場というよりも、 新しい年を念仏と共に過ごす決意を再確認する場 という考え方です。

行われる内容は他の宗派と同じように、読経や法話が中心です。
ですが、浄土真宗では、修正会は仏様への感謝の場という意味合いが強いのです。

真言宗
空海によって開かれた真言宗は、密教の一つ です。
また、空海は 高野山金剛峰寺 を開いたことでも知られています。

その金剛峰寺での修正会は、お堂ではなく、 大塔で行われる修正会 です。
大塔で行う修正会は密教独特の修正会で、 法要の終盤に牛玉杖(ごおうつえ)という杖で床を叩きながらその年の息災を祈ります。

仏教の宗派は、仏様の教えを秘密にする宗派と、教えを秘密とせずに明らかにする宗派に分かれます。
それが、 密教と顕教(けんきょう) です。

多くの宗派が顕教であるのに対し、 真言宗は密教の宗派 。
その為、修正会も 他の寺院とは異なっている面があるのが特徴 です。

修正会(しゅしょうえ)は参加できるの?
疑問
修正会は、 多くの場合一般の方の参加が可能 です。
ただし、檀家のみが参列可能な修正会が行われる場合や、大晦日の除夜の鐘に引き続いて深夜から修正会が行われる場合もあります。

参加の可・不可、参加できる時間帯は寺院によって様々 です。
参加する場合は、事前にインターネットで調べたり、寺院に問い合わせると良いでしょう。

また、数日にわたって様々な法要や法話が行われる場合もあります。
参加したい法要、法話がある場合は、その日時を調べて参列しましょう。

修正会(しゅしょうえ)のお布施
お布施
修正会に参列した場合、 お布施を持って行くことが一般的 です。

修正会に参拝したいが、お布施の方法がわからないので参加しにくい。
そんなことにならないよう、基本的なお布施について学んでおきましょう。

費用相場
表書き
渡し方
封筒
費用相場
修正会の費用相場は、おおよそ 3,000円~10,000円 です。
ただし、この金額は相場ですので、実際にはいくら用意しても構いません。

特に、檀家寺の修正会に参列する場合は、各家庭によって用意する金額が決まっている場合があります。
金額の決め方は、各家庭のしきたりに従いましょう。

表書き
表書きは、「 御布施 」や「 御仏前 」が相応しいです。
葬儀や法事等とは異なりますので、 「○○料」といった表書きは避けます。

修正会の場合の「御仏前」は、葬儀で使う「御仏前」とは意味が異なります。
この場合は、御本尊に供えるお布施という意味があります。

渡し方
初めて参列する場合、 お布施の渡し方は周囲の方と同じ場所に供えると良い です。
檀家寺等の場合は、 御住職に直接渡しても構いません。

大きな寺院の修正会に参列する場合は、受付等で尋ねると良いでしょう。

封筒
お布施を入れる封筒は、白無地の封筒を使用します。

修正会は弔事ではありませんので、 不祝儀袋を使用してはいけません。
また、 水引も使用しません。

白無地封筒に、表書きとあなたの氏名を記載して渡しましょう。

【コラム】東大寺の修二会
法要
修正会と同じような名前の法要に、 修二会(しゅにえ) があります。
修二会は、奈良県の薬師寺、法隆寺、長谷寺などで行われています。

特に、東大寺で行われる修二会は「 お水取り 」とも呼ばれており、有名です。
そんな東大寺の修二会について、詳しく見ていきましょう。

修二会とは
修二会の内容
修二会とは
修二会は、 東大寺二月堂で行われる悔過会 のことです。
二月堂の御本尊が十一面観世音菩薩(じゅういちめんかんぜおんぼさつ)である為、 十一面悔過(じゅういちめんけか) とも呼ばれます。

悔過会は、修正会の基となった行事ですが、修二会は正月の行事ではありません。
東大寺で修二会が行われるのは、 3月1日からの2週間程度 です。

旧暦の2月に行われていたことから修二月会、修二月会が行われるお堂であることから二月堂と呼ばれるようになりました。

また、東大寺の修二会は、始まって以来1260年以上中止することなく続いていることから、 不退の行法 とも呼ばれています。
なんと、第二次世界大戦中も行われていた法会なのです。

修二会の内容
修二会は、 練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる行者が二月堂に籠り悔過をし、一年の安穏豊楽を祈る法会 です。

11人の練行衆は、修二会の間一日一度の食事と、悔過を繰り返します。
その際、 夜の二月堂を照らしているのがお松明 と呼ばれる灯りです。

このお松明は、修二会が始まった頃は小さな灯りだったものが、現在では修二会のシンボルとなる程大きくなりました。
お松明の火の粉を浴びることで、一年間無病息災で過ごせる と言われています。

この他にも、修二会には「 走りの行法 」や「 お水取り 」など様々な行が行われ、連日信徒が東大寺に参拝します。
現在でも、修二会は奈良に春を呼ぶ行事と呼ばれる程、大々的に行われる法会なのです。

修正会は年の初めの重要な法会
修正会は、一年の一番初めに行われる法会 です。
ところが、多くの人は元旦に神社へ初詣に行く為、つい見落としがちな法会でもあります。

除夜の鐘で穢れを祓い、行く年の反省と来る年の安寧を願う法要。
中々寺院に参拝する機会が少ない方も、是非菩提寺や様々な寺院の修正会に参列してみてください。

法要や法話が数日に渡り行われますので、 普段は聞けないお経 や あなたのためになる法話 を聞くことが出来ますよ。

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