老老介護とは
トイレ 手すり
現在、高齢化が進む波の中で大きな問題の一つとしてニュース等でよく聞く言葉の一つが老労介護です。
老老介護は、介護を受けている方、担う方、双方が65才以上の高齢者である状態を指します。
よく言われる事例としては、主に以下の二つが挙げられます。
高齢の夫の介護を妻が担う
高齢者の世代となった子供が、その親の介護を担う
老老介護と認認介護
特に介護を受ける方、担う方双方が認知症の状態が認認介護です。
老化による身体的な衰えに加え、認知症による判断能力や記憶力の低下も鑑みると、特に危険な状態だと言えます。
認認介護に陥る事例
高齢の夫婦が二人暮らしの状況で片方が認知症を発症し、もう片方が生活を手助けせざるを得ない状況下で起こりやすい とされます。
特に一人で介護を担うとそれ事態に生活が追われ、社会的な関係を断ち切る事にも繋がり、気づいたら親が認認介護の状態に陥っていたと言う事例も存在します。
介護に陥ってしまう原因
スロープ「高齢者の介護が必要となった原因の内訳」
参考:内閣府【平成29年度版高齢社会白書】
上のグラフは、介護を受けるようになった原因として内閣府が平成29年度の高齢社会白書として示したものです。
認知症が主な介護の要因としてみなされがちですが、実際は衰弱や骨折や転倒なども多いです。
テレビ等でボケ防止等と銘打たれるような頭脳的な事項も対策として必要ですが、体力面の低下も要因の多くを占める事を考慮すると、
老老介護の現状
特に在宅介護に関してですが、 老老介護は在宅介護世帯全体数の内その約50%近くを占めています。
数値的に年々上昇傾向にあり、今後もこの傾向は加速していくと考えられます。
要介護度別認定者数の推移 社会問題
参考:厚生労働省【介護分野の最近の動向について】
上のグラフは厚生労働省が示した要介護認定者の推移を示したものです。
要介護の次にあたる数字が高い程、より手厚い支援を必要としています。
2000年~2017年のみを示していますが、 この10年程で要介護認定者の数は3倍にも増加しています。
注視すべきなのは、 要介護の度合いに関係なく、全体的に要介護として認定された人の数は増額していると言う事です。
老老介護加速化の理由
主な理由としては社会全体の変化が挙げられます。
具体的には以下の2点です。
核家族化
少子高齢化
それぞれ単語について解説を行いながら、どのように老老介護に影響を及ぼしていたのか説明を行ってきます。
老老介護加速化の理由①【核家族化】
親と子の二世代のみで暮らし、孫や祖父祖母の関係の人々が同居しない形の世帯を指します。
核家族化が進むと、 祖父母の世代を息子世代が見舞う事が難しくなる ため、交流が途絶えがちになり、気づいたら要介護状態になるケースは多いです。
老老介護加速化の理由②【少子高齢化】
少子高齢化 社会問題
参考:高齢社会白書
近年大きな社会問題の一つである少子高齢化は、子供世代の数が少なくなり、高齢者が多くなる現象を指します。
実際、近年の日本の総人口は減少傾向となり、将来的には1億を切ると見なされています。
総人口の減少自体は働き手不足など、経済や労働面で多くの影響を与えます。
介護面における問題点としては、
子供世代が親の看病を担う際に分担できず大きな負担となる
そもそも世話を担う子供が存在せず、高齢の二人で介護を行わざるを得ない
の二点が主です。
高齢者の子供、高齢者の親の二人で済むという世帯状況が完成してしまうため、老々介護、引いては認認介護に陥りやすいのです。
少子高齢化に関しては以下の記事も参考にして下さい。
少子高齢化とは?原因や影響、対策などグラフを用いてわかりやすく解説
第三人生編集部
老老介護の問題
高齢者 手押し車 シルバーカー
主な問題点は下にある2点です。
時間数及び負担の増加
社会的な繋がりの減少
双方に関して以降で説明を行ってきます。
老老介護の問題①【時間的負担の増加】
高齢者同士が介護する事になるため、 おむつ替えや着替えなどの手伝いに伴う労力は肉体的に重荷です。
また、動作自体が遅いと介護に生活の大部分の時間が割かれ、自身の娯楽や息抜き、休憩時間も持つ事ができません。
精神的に追い込まれてしまう事も容易に想像がつきます。
老老介護の問題②【社会的な繋がりの減少】
一つ前の項目でも述べましたが、 老老介護の世帯は時間的には「家の中で完結してしまう介護」が大きな割合を占める事になります。
肉体的な疲労や、最低限の休憩時間の確保のためにも外出頻度が低くなる傾向にあるのは事実です。
しかしながら、介護は一人で担うには過剰な重荷となります。
一人で抱え込まないためにも地縁を始めとした地域一体での支えが必要と考えられてますが、老老介護となると介護をする側が疲弊してしまい、助けの声を上げれないと言う事が問題となっています。
鬱や認知症に繋がる事も
外出という行為は、まず歩行を必須とするため運動量を上げる事に繋がります。
また、外出に伴い出会った人々と会話を行う事で、孤独感を拭い去る事ができ、精神的な回復にも繋がります。
しかし、外出自体がなくあるため、 社会的な繋がりを感じる事ができないと、精神的な重荷ばかりが嵩み、鬱病や認知症の発症に繋がります。
老老介護の対策及び解決策
高齢者 手押し車 シルバーカー
問題点が数多く挙げられ、認認介護に繋がる危険性も孕む老老介護。
介護の共倒れに陥るという最悪の状態にならないためにも、 対策としてまず重要視すべきなのは「気づく」事です。
高齢の親の状況を子供側が把握する事も無論大事ですが、親側が自身の状況を判別する事も重要です。
介護に陥る状態を未然に防ぐという観点から、事前に情報収集を行う姿勢が最も重要でしょう。
老老介護の相談先
気づく際には、広い視野で物事を調べる事が大切です。
家庭内の問題として処理しがちですが、 行政のサービス等、外部の助けを頼るのも一手です。
具体的には以下の2つが挙げられます。
介護サービスの利用
地域包括支援センター
介護サービスの利用
要介護認定が一定の基準を満たした人のみ受けられるサービスです。
ケアマネージャーに自身の状況にあったプランの作成をお願いしたり、状況把握のお願いも可能です。
費用は八割から九割程が介護保険適用となるため、利用者の負担は一割程度で済む事が可能です。
地域包括支援センター
地域包括センターには、保健師やケアマネージャーの資格を持つ職員が常駐しており、該当地域に住まう方のニーズに合わせた対応が可能 です。
要介護認定を受けなくても、認定方法の手続きなどの相談に乗れるため、まずは地域のセンターに行く事をおすすめします。
【コラム】介護をサポートする道具
介護を受けるとなったならば、家などもより過ごしやすく快適に行う必要があります。
また、介護を受ける事になった要因として多い、転倒や骨折などの防止をするためにも、介護用の道具を生活に取り入れる事は重要です。
以下の順に述べていきます。
手すり【お風呂・ベッド・トイレ】
玄関椅子
玄関台
歩行器
手すり【お風呂・ベッド・トイレ】
立ち上がる、しゃがむの動作は足腰に負担を強いられます。
特に浴槽に入るためにまたぐなどの動作を含む際には、全体重を片足に預けるため事故に繋がる事が多いです。
また、痛み自体を立ち座りで伴う方にとっては手すりを用いる事で、重心の安定化、力の分散に繋がるため、手すりの設置は重要と言えるでしょう。
手すりに関しては設置費用に自治体の助成金等を得られたりすることもあります。
ベッドの手すりに関しては以下の記事もご覧下さい。
【シニア・介護向け】おすすめベッドの手すり15選!選び方や金額相場も紹介
第三人生編集部
お風呂の手すりに関しては以下をご覧ください。
【シニア・介護用】おすすめのお風呂の手すり15選!設置には助成金も活用できる!
第三人生編集部
トイレの手すりに関しては以下をご覧ください。
【シニア・介護向け】おすすめのトイレ手すり11選!設置費用や助成金も紹介
第三人生編集部
玄関椅子
高齢者の転落事故、転倒事故の場所の多くは玄関で起きます。
高齢になると共に身体的に筋力が低下してきますが、特に足腰の筋力の低下は、片足立ちからの転倒に繋がります。
特に靴を履く際などは必然的に足腰に負担がかかるため、椅子等の設置は、安定した状態で靴の着脱を行えるため重要と言えるでしょう。
玄関椅子の金額や相場に関しては以下の記事もご覧ください。
【高齢者・介護向け】玄関椅子のおすすめ8選!選び方や費用相場も紹介!
第三人生編集部
玄関台
高齢者の転倒事故の多くは靴を履こうする時です。
片足で体の支えなければならない状況で、玄関が一段下の部分にあったりするとバランスがとりにくくなってしまう事が主な要因です。
そのため、足場として玄関台を置く事で体の重心を安定しやすくなります。
前述した手すりと合わせて設置をするとより有効でしょう。
玄関台の金額相場等に関しては以下の記事もご覧ください。
【シニア・介護向け】おすすめの玄関台7選!転倒事故の防止に!選び方も解説
第三人生編集部
歩行器
老老介護から沢山の人に頼る介護に
今回の記事では、介護を担う・受ける人々が高齢者同士となる老老介護に関して解説を行ってきました。
老老介護は肉体、精神、双方の面から見ても負担が重く、認認介護にも以降しやすい事から、現代の大きな問題の一つです。
実際、在宅介護の内、老老介護自体は50%を越えています。
今後も件数としては増加していく事が見込まれます。
理想論ではありますが、最善の解決策は 自身を含めた身近な人の現状を把握し、動き出す事 です。
また、家庭内の問題でなく、外部の助けを頼る事も重要です。
この記事では外部の助けを得る方法として、以下の二点を述べました。
介護サービスの利用
地域包括支援センターへの相談
最も大事な事は、一人で抱え込まない事です。
適宜必要な情報を集め、なるべく多くの人々の助けを借りるようにし、介護の共倒れという最悪の事態を避けるようにして下さい。