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終活

2025.02.21

「8050問題」は、簡単に言うと80代の親と社会的に孤立した50代の子どもが、経済的に困窮する社会問題です。孤立の理由は、引きこもりや親の介護など。

この記事では、8050問題について概要をわかりやすく解説するとともに、実際の事例や解決策、相談先について紹介します。ぜひ参考にしてください。

8050問題とは?

「8050(はちまるごうまる)問題」とは、80代の親と、社会的に孤立した50代の子どもが共に暮らし、経済的にも精神的にも困窮する社会問題です。

この問題は、引きこもりの長期化や親の高齢化によって悪化し、社会全体の課題として注目されています。

40歳以上の引きこもり人口は推定61万人

8050問題が注目されるようになった背景には、中高年の引きこもり問題と少子高齢化が関係しています。

特に、2019年に内閣府が発表した「中高年のひきこもりに関する調査結果」によって、40歳以上の引きこもり人口が推定61万人に達していることが明らかになり、社会問題として認識されるようになりました。

また、親が高齢化することで、介護や経済的負担が増加し、世帯全体が困窮する事例が増えたことも問題視されています。

8050問題の問題点3つ

次に、8050問題で問題視されているポイントを3つ解説します。

経済的困窮に陥る

8050問題が深刻化する最大の要因は、世帯全体の収入が少なくなることです。

引きこもりや介護問題により80代の親と50代の子が同居するケースでは、親の年金だけで生活を支えるケースも多く、貯蓄が尽きると生活が困難になります。

社会的に孤立してしまう

長年引きこもっている子どもは、社会とのつながりが希薄になり、就職や社会復帰が難しくなります。また、親も高齢で支援を求めることが難しく、世帯ごと孤立しやすい状況に陥ります。

介護問題の深刻化

親が高齢になると、介護が必要になります。しかし、引きこもりの子どもは親の介護を担うことが難しく、結果として介護放棄や孤独死などの悲劇を招くこともあります。

8050問題に陥る理由5つ

次に、8050問題がなぜ起こるのか、考えられる理由5つをご紹介します。

長期化する引きこもり

子どもが若い頃から社会との関係を絶ち、そのまま中高年になってしまうケースのほか、退職を理由に引きこもりとなってしまうケースが多く見られます。

特に、学校や職場での挫折、対人関係のトラブルなどがきっかけとなることが多く、一度引きこもると社会復帰のハードルが高くなります。

また、社会との接点が減ることで自信を失い、働く意欲を持ちにくくなる傾向もあります。

再就職の難しさ

若い頃に就労経験がない、もしくは短期間で離職してしまうと、その後の再就職が非常に困難になります。特に40代以降になると、新たな職を得るのは難しく、未経験者を受け入れる企業も少なくなります。

そのため、親の収入に依存したまま生活するケースが増え、結果的に経済的自立が難しくなってしまいます。また、社会保険や年金への加入がない場合、将来的な生活基盤が極めて不安定になります。

親の過保護

親が手助けを続けすぎることで、子ども自身が自立する機会を失ってしまうケースも考えられます。例えば、家事や金銭管理を親がすべて負担してしまうと、子どもが生活スキルを身につける機会がありません。

また、「子どもの気持ちを優先しよう」と親が外部との接触を避けるように助長してしまうケースもあります。

こうした環境が続くと、親がいなくなった後に子どもが社会に適応することが非常に難しくなります。

相談せず抱え込む

50代の子どもが引きこもりで家にいる場合、多くの親は恥ずかしさもあり、人に相談せずに隠す傾向があります。

そのため、問題が露呈しにくく、状況が深刻化してからようやく問題に気づくというケースは少なくありません。

どこに相談すればいいかわからない、そもそも相談せず家庭内で解決したいといった気持ちが、問題を長期化・深刻化させてしまうといえるでしょう。

子どもの精神疾患

8050問題において50代の子どもが引きこもりの場合、子ども自身がうつ病や発達障害、不安障害などの精神的な問題を抱えているケースが多くあります。

引きこもることで適切な治療やカウンセリングを受ける機会もなく、そのまま年数が経過し、引きこもりが長期化してしまいます。

実際に起きた8050問題の事例

実際に起きている8050問題の事例をいくつかご紹介します。似たようなケースが全国に多発していると考えられます。​​

事例①:寝たきりの親に依存し、死亡後に自暴自棄になり事件を起こす

無職の息子が寝たきりの親の年金をあてにし、訪問診療医に延命治療を要求したものの死亡。
その後、訪問診療医を射殺する事件が発生しました。

「9060問題」にもつながる事件として問題視されています。

事例②:親が認知症になり生活が破綻

80代の親が認知症になったことで、50代の子どもが介護のため仕事をやめざるを得ない状況になることがあります。

懸命に世話をするも対応できず、生活も困窮し共倒れになるケースが増加しています。

事例③:親の年金に頼るために遺体を放置

一度は就職するものの人間関係のトラブルで退職し、その後引きこもりになってしまった子どもが、親が亡くなった後も死亡届を出さずに年金を受け取り続けた事件がありました。

「年金がなくなると生活できなくなる」という理由で、遺体遺棄に至ったものです。

手遅れになる前にできる8050問題の解決策

8050問題は、社会全体の問題であり、簡単に解決できるものではありません。ただ、問題に直面している方々が、個別に支援を頼ることで、解決の糸口が見えることもあります。

就労支援を活用する

引きこもりのケースでは、自治体やNPOなど、就労支援プログラムを提供しているところもあります。

そうした就労支援制度を活用し、社会復帰の第一歩を踏み出すことで、引きこもりから脱せられる可能性があります。

福祉制度を利用する

精神疾患が考えられるようなケースでは、まずは受診を促すことが重要です。

そのうえで、生活保護や住宅支援など、生活困窮者を支援するような制度を活用しましょう。

家族だけで抱え込まない

親が支援を求めることも重要です。地域の相談機関や支援団体に相談し、解決策を一緒に考えてもらいましょう。

8050問題に直面している人の相談先

8050問題の相談先としては、以下のような機関があげられます。
・ 各都道府県及び指定都市のひきこもり地域支援センター
・ 市町村のひきこもりサポート事業
・ 精神保健福祉センター
・ 保健所
・ 地域包括支援センター
・ 自立相談支援機関相談窓口
・ 障害者就業・生活支援センター
まずは自治体の福祉課など、お近くの機関に相談してみることをおすすめします。そこから適した専門機関につないでもらえることもあります。

事態を深刻化させないためにも、一人で抱え込まず、周囲に相談してくださいね。

まとめ

8050問題は、親と子ども双方の問題が絡み合った深刻な社会問題です。経済的困窮や社会的孤立を防ぐためにも、早めの対策が必要です。支援制度を活用し、地域や専門機関と連携して解決策を見つけていきましょう。

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