出棺とは
出棺とは、葬儀や告別式の後 故人が納められた棺を近親者や関係者複数人の手によって霊柩車に載せて、火葬場へ送り出すこと を言います。
棺を運び出す際は、遺体の足は進行方向に向けるようにします。
出棺の前には 出棺の儀 という、故人との最後の別れの儀を行います。
一般参列者にとっては、これが遺体との最後の対面になります。
出棺の儀から実際の出棺までにかかる時間は、約30分ほどです。
出棺の手順
手順・流れ
出棺の大まかな流れは以下のようになります。
出棺の儀(別れの儀)
出棺
遺族代表の挨拶
ここでは、各項目の手順を説明していきます。
出棺の儀(別れの儀)
葬儀と告別式が終わると、「納棺」と呼ばれる故人との最後のお別れをします。
祭壇の棺を式場の中央におろし、会場に集まった参列者や遺族全員で、祭壇に飾られていた花や副葬品を棺の中に収める 「別れ花」 を行います。
ここで注意することが一つあります。
棺に収めた副葬品は、そのまま遺体とともに火葬されます。
ですので、 不燃性のものは避け、燃えやすいものを選びましょう。
「別れ花」が終わると、棺の蓋を閉め、 「くぎ打ちの儀」 に移ります。
これらの別れの儀の最中に途中退室することは、場合によっては可能ですが、
基本的には出棺は終わりまで見届けるのがマナーです。
また、 「出棺経」 という、出棺するためのお経が唱えられている間は、 退室することはできません。
別れ花
一般的に別れ花は、葬儀社のスタッフが用意して各参列者に配布します。
それとは別に、故人が生前好きだった花を用意しても構いません。
その際は、華美な包装は避け、葬儀社や親族にあらかじめ確認を取るようにしましょう。
会場に集まった遺族や参列者は、故人に関係の近い人から順番に、一輪づつ、遺体の周りに花を添えていきます。
その際、故人に話しかけながら、最後の別れを惜しみます。
花の他に、故人の思い出の品などを収めても構いません。
くぎ打ちの儀
棺の蓋を閉めた後、葬儀社のスタッフと故人の遺族の手で、棺の四方を釘で打ちます。
死者が三途の川を無事に渡りきり、浄土へ辿り着くようにという願いが込められた儀式です。
しかし、近年は不燃性のものを火葬場に入れられないといった理由から、くぎ打ちは省略されることも多いようです。
出棺
棺を、近親者や関係者複数人の手によって運び出し、霊柩車に載せます。
この時、遺体の足側が先になるようにしますが、それには「故人が家に帰ってこないように」という意味が込められています。
運び出された棺の後に、位牌を持った喪主と、遺影を持った遺族の代表者が続きます。
遺族代表の挨拶
棺を霊柩車に納めた後は、出棺の見送りをします。
乗車口を開けた状態で、 遺族の代表者(一般的には喪主)は、集まった参列者に向かって、謝辞と別れの挨拶をします。
挨拶が終わった後は、遺族一同深く一礼します。
出棺時の挨拶
挨拶
出棺時には、遺族の代表者が挨拶を行います。
一般的には喪主が行いますが、他の遺族代表者が挨拶をしても構いません。
落ち着いて人前で話すことができる人が出ると良いでしょう。
喪主が挨拶をする場合は、位牌を遺族に預けておきましょう。
遺影と位牌は、集まった参列者の方を向けて立ちます。
挨拶は、以下の内容を踏まえつつ、1分から長くても3分程度に簡潔にまとめましょう。
自分と故人との関係
参列者への感謝の気持ち 3.. 故人への感謝の気持ち
生前の人柄がわかるような故人のエピソード
今後の遺族への支援のお願い
また、挨拶文の中で、忌み言葉の使用は避けるのがマナーです。
しかし、喪主は葬儀の準備で忙しいものです。
挨拶を考える時間がなかったり、初めての場合は何を言えばいいかわからないこともあるでしょう。
いかに出棺時の挨拶のテンプレートをのせておりますので、参考にして見てください。
出棺時の挨拶の例文
遺族、親族を代表しまして、ご挨拶を申し上げたいと思います。
本日はご会葬いただき、誠にありがとうございました。
葬儀も滞りなく終えることができ、今方よろ出棺の運びとなりました。
みなさまに見送られ、故人も感謝していることと思います。
本日は誠にありがとうございました。
これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
出棺の挨拶に関してはこちらもご覧ください。
出棺の挨拶は誰がいつする?内容や例文!避けるべき言葉やマナーも
第三人生編集部
出棺時のマナー
マナー
出棺時には、遺族側と参列者側双方に守るべきマナーがあります。順番に見ていきましょう。
出棺時の遺族側のマナー
遺族は棺の近くに
出棺までに行われる儀式は、ほとんどが遺族が先導して行います。
葬儀社からの指示を受け次第スムーズに行動するため、遺族はできるだけ棺の近くにいてください。
挨拶は簡潔に述べる
挨拶は、助長になりすぎても心情が伝わりにくいです。
また、お見送りをする人は、出棺を待つ間からずっと立ちっぱなしです。
季節や気候によっては、外で待つのがつらいこともあるので、挨拶は簡潔に済ませましょう。
出棺時の参列者側のマナー
出棺時には、遺族側と参列者側双方に守るべきマナーがあります。順番にみていきましょう。
故人を最後まで見送る
告別式の後から出棺を待つ間、参列者は外で待つことになります。
この待機時間の間は静かに待ちましょう。
大きな声で話したり、笑い声を立てたりするのはマナー違反です。
また、やむを得ない場合は途中退室が認められることもありますが、 基本的には最後まで故人を見送るのがマナーです。
また、出棺の際には「出棺経」というお経が唱えられていることがあります。
この場合、お経が唱えられている間は退出してはいけません。
寒くても出棺時には上着を脱ぐ
出棺は礼装で見送るのがマナーとされています。
待機時間は上着をきていても構いませんが、 出棺の際は上着を脱いでください。
脱いだ上着は手で持って、棺に向かって立ちます。
寒い季節は、上着を脱いでも耐えられるように、下にインナーを着込むなどして体温を調節しましょう。
また、雨が降っている場合、さす傘の色は目立たない黒や紺などの色にしましょう。
出棺時にかける音楽
音楽
故人の好きだった音楽をかけるパターンが多いです。
その場合、出棺時の音楽は比較的に自由に選ぶことができます。
一般的には静かめな音楽を選ばれることが多いようです。
しかし、出棺の際の音楽は、あくまで故人のため、故人に捧げる曲です。
故人の生前の希望があったり、遺族や関係者が納得したものであれば、アップテンポなものを流しても問題ありません。
わからない場合
葬儀社に相談してみてください。
大まかな要望があれば、それも踏まえて適切な音楽を用意してくれます。
また、音楽を流す場合は、周囲への迷惑にならないようにも気をつけなければいけません。
防音設備が整っている斎場であれば問題ありませんが、そうでない斎場や自宅で行う場合、
葬儀社と相談し、近所迷惑にならないよう、音楽の音量には配慮します。
出棺後の流れ
葬儀場
出棺後は、火葬場に向かう人と、会場に残る人とで二手に分かれます。
また一般参列者は、出棺後解散することが多いようです。
火葬場へ向かう人
出棺すると、霊柩車は火葬場へと向かいます。
この時、 火葬許可証は絶対に忘れないようにしてください。
火葬場へ向かう人は、喪主や遺族、親族など故人と親しい間柄だった人たちです。
火葬許可証に関しては、こちらもご覧ください。
火葬許可証とは?申請方法や紛失した時は?埋葬許可証との違いも解説
第三人生編集部
会場に残る人
残った人たちは、会場の後片付けをします。
また、火葬場へ向かった人が遺骨とともに帰って来た際に行う 精進落とし の準備に取り掛かります。
精進落とし
火葬場から持って帰ってきた遺骨と遺影を飾り、遺族が会葬者に料理やお酒をふるまってもてなす宴席です。
近しい人だけで行うので、多少寛いでも構いません。
しかし、飲み会や宴会ではなくあくまで故人を供養する場なので、羽目を外した行動をしてはいけません。
精進落としに関しては、こちらもご覧ください。
精進落としとは?流れと費用、挨拶の文例も紹介!しないことも可能?
第三人生編集部
出棺式
葬式
出棺葬、一日葬などとも呼ばれます
告別式やお通夜を行わず、火葬のみを行うお葬式の形です。
出棺式には以下のようなメリットがあります。
一般的なお葬式と比べ、費用が少なく済む
故人を見送る時間が約1時間程と長く取ることができる
お別れの場所を選べる
場合によっては普通のお葬式ではなく、出棺式というスタイルの葬儀を行うのも一つの手です。
どのようなお葬式の形にするかは親族と相談したり、故人の生前の意思を汲んで決めましょう。
一日葬に関してはこちらもご覧ください。
一日葬とは?流れ・所要時間!メリット・デメリット、香典も解説
第三人生編集部
【コラム】出棺時のクラクション
出棺
霊柩車には、一般的な車のものとは違う、出棺用のクラクションが搭載されています。
伝統的に出棺時には、あの独特な音のクラクションが鳴らされることが多いです。
それにはどのような意味があるか、みなさんはご存知でしょうか。
実は以下のように、色々な意味と由来があるのです。
出棺のタイミングを知らせる
茶碗割りの代わり
鐘や楽器の代わり
一番鶏の鳴き声の代わり
汽笛や空砲の代わり
出棺のタイミングを知らせる
出棺のタイミングで、参列者は揃って合掌します。
しかし、参列者が多い場合、場所によっては霊柩車を目視しづらいことがあります。
クラクションを鳴らすことで、そのような場所にいる人たちにも出棺のタイミングがわかるようにする、という意味があります。
またそれは、参列者への感謝や、故人との最後の別れを告げるという意味でもあります。
茶碗割りの代わり
地域によっては、故人が成仏して、この世に戻ってこないようにという思いが込め、故人の茶碗を破る風習がありました。
クラクションを鳴らすのは、この茶碗割りの儀式の代わりとも言われています。
鐘や楽器の代わり
お寺の鐘や楽器を鳴らして、出棺を知らせていた時代もありました。
時代の流れとともにお寺で葬儀をすることが少なくなったため、代わりにクラクションを鳴らすようになったとも言われています。
一番鶏の鳴き声の代わり
昔は、夜明けの朝一番に出棺することもあったそうです。
その時刻の合図が、一番鶏の鳴き声だったため、その代わりにクラクションを鳴らしているとも言われています。
汽笛や空砲の代わり
昔は、長期航海中に死者が出てしまった場合、遺体を止むを得ず海へ流すことがありました。
その際、汽笛や空砲を合図にしていた名残という説もあります。
出棺について知って、スムーズな式進行を
この記事では、出棺に関して、以下のことを解説してきました。
出棺とは
出棺の手順
出棺時の挨拶
出棺時のマナー
出棺時にかける音楽
出棺後の流れ
出棺式
出棺は遺族や会葬者たちが故人を見送る大切な時間です。
出棺の手順やマナーを知っておくことは、スムーズな式進行の手助けになります。
出棺を満足のいくお見送りの時間にするべく、正しい手順と知識を身につけておきましょう。