納骨とは「骨壷に入れた遺骨をお墓などに埋葬すること」
納骨とは、お墓にご遺骨を納めることをいいます。
日本では、仏教が伝来した奈良時代から火葬が行われるようになり、それに伴って納骨という儀式も始まりました。
ただし、当時火葬を行っていたのは一部の富裕層に限られており、庶民の間では長く土葬が主流でした。
火葬が一般的になったのは明治時代以降で、全国的に火葬場が整備されていったことが大きな要因です。
それに伴い、納骨を行う人も増えていったとされています。
【納骨の仕方】5つの方法
最近では、従来の方法であるお墓への納骨だけではなく、樹木葬や手元供養など、納骨の仕方が多様化しています。
ここでは、お墓別に納骨の方法をご紹介します。
一般的な納骨では遺骨を墓石内のカロートに収める
一般墓では、住職による開眼供養を行った後、遺骨を墓石内の「カロート」に納めます。
カロートの構造は地域によって異なり、例えば関東地方では土中に納骨棚を設けて遺骨を並べる方法が一般的です。
関西地方では、遺骨を壷から取り出し、土に還す方法が採用されています。
また、地上に作られる「丘カロート」も存在し、カロートの設置方法に地域差があります。
樹木葬は墓碑として樹木を使用する
樹木葬は、墓碑として石ではなく樹木を使用する方法です。
樹木葬には「里山型」と「霊園型」の2種類があります。
里山型では、山林を区画整理して墓地を取得し、遺骨を土に埋葬して墓標として樹木を植える方法です。
一方、霊園型では霊園内に樹木が植えられ、その樹木を墓標として使用します。
霊園型には個別に区画を設けて樹木を植える方法や、大樹に礼拝するシンボルツリー型もあります。
永代供養墓では遺骨を安置棚に納める
永代供養墓は、遺骨を安置できる棚が設けられた石塔の中や地下室に納める方法です。
一定期間(10年や33年など)の間は遺骨をそのまま保管し、その期間が過ぎると他の遺骨と一緒に合祀することが多いようです。
合祀とは、他の人と同じ場所に埋葬する方法になります。
納骨式では、墓前に遺骨を置いて法要を勤めます。
納骨堂では遺骨を「個別の納骨壇」に納める
納骨堂は寺院などに設けられた納骨のための施設です。
一般的には、個別の納骨壇に遺骨が安置され、寺院で読経を受けた後に納骨されます。
納骨堂には仏壇型やロッカー型などがあり、安置する遺骨や礼拝の方法に違いがあります。
手元供養は遺骨を手元に保管する
手元供養は、遺骨を手元に保管する方法です。
寺院での読経や法要は不要で、遺骨は専用の供養アイテムに納めて保管します。
例えば、遺骨をペンダントやリングなどのアクセサリーにしたり、小さな容器に納めて自宅で供養する方法があります。
また、遺骨を粉状にして、ガラス細工やクリスタルに封入することも可能です。
遺骨を自然に還すために、植物や樹木に埋める方法もあります。
納骨の仕方は宗教ごとに異なる
納骨の仕方は宗教によって異なるため、それぞれの習慣や伝統に沿った方法で行うことが重要です。
ここでは各宗教ごとの納骨の仕方についてまとめました。
ご自分の信仰しているものをご確認ください。
仏教の納骨の仕方:
火葬後の遺骨を骨壷に納め、お墓や納骨堂に納める。納骨式は四十九日法要と共に行う。
最近では手元供養も増え、納骨式を省略するケースもあり。石材店に連絡して納骨式を準備することもある。
神道の納骨の仕方:
火葬後すぐに遺骨を埋葬するのが伝統。
しかし近年は遺骨を持ち帰り、50日後の五十日祭で納骨するケースが増加している。
納骨式は「埋葬祭」と呼ばれ、祭壇に神饌を供え、神職が祝詞を奏上後、玉串奉奠を行う。
キリスト教の納骨の仕方:
納骨式の時期は決まっていない。遺骨は自宅の祭壇に置かれる。
黙祷、賛美歌、聖書の朗読、お祈りが行われる。作法は神父や牧師の指示に従う。
無宗教の場合:
納骨の場所や方法、日程は自由。四十九日を目安に仏式に寄せた納骨式を行うのが一般的。
自分で納骨を行う場合は埋葬許可証が必要
納骨は必ずしも業者に依頼する必要はなく、決まった手順があるわけでもありません。
条件が整えば、自分で納骨を行うこともできます。
自分で納骨を行う場合、まずは埋葬許可証を準備する必要があります。
埋葬許可証とは、死亡届を提出した際に交付される火葬許可証に、火葬場で判を押したものです。
この許可証がないと納骨はできません。
次に、霊園や寺院に自分で納骨をしたい旨を伝え、許可を得る必要があります。
許可が取れたら、納骨式の日程を決め、必要に応じて準備を進めます。
納骨式当日は、霊園に埋葬許可証を提出し、納骨を行いましょう。
納骨の時期について、法律の規定はない
納骨を行う時期について、法律による明確な決まりはありません。
そのため、四十九日より前に納骨をしても問題ありませんし、しばらくの間、遺骨を自宅で保管してから納骨することも可能です。
一般的には、仏教の考えに基づいて「四十九日」をめどに納骨を行う家庭が多く見られます。
四十九日とは、故人が命日から7日ごとに7回、生前の行いを閻魔様に裁かれる期間とされており、49日目の「最終審判」で極楽浄土に行けるかどうかが決まると考えられています。
このような宗教的背景から、四十九日を区切りとして納骨を行うことが通例となっていますが、あくまで一つの目安です。
たとえば「気持ちの整理がつかない」という理由で一周忌に納骨するご家庭もあります。
家族の事情や心情を尊重したタイミングで納骨を行うことが大切です。
納骨にかかる費用は約10~20万円程度
納骨は故人を供養する大切な儀式ですが、その過程には一定の費用がかかります。
一般的に納骨にかかる費用は約10~20万円程度です。
この費用には、納骨式のお布施やお車代、会食費用などが含まれます。
納骨の方法や宗教によって費用が異なるため、事前に予算を確認し、納得のいく供養方法を選ぶことが大切です。
以下に、納骨の際にかかる主な費用についてまとめました。
なお、状況によって追加費用が発生することもあるため、参考としてご確認ください。
納骨式のお布施
僧侶を招いて行う納骨式のお布施:3万円~5万円
お車代
僧侶へのお車代:5千円~1万円
御膳料
会食を辞退された場合の御膳料:5千円~1万円
納骨式に必要な物品
線香、ロウソク、お供え物(果物、お酒など):5千円~1万円
会食費
法要後の会食費用(料理の種類によって異なる):1人あたり3千円~1万円
彫刻料
墓誌に戒名や没年を彫刻する費用:約4万円
納骨の仕方を理解し、後悔のない供養を選ぼう
納骨の仕方にはさまざまな方法があります。
伝統的な一般墓や樹木葬、永代供養墓、納骨堂、そして手元供養など、それぞれの方法には特徴があり、宗教や個々の想いに基づいて選ばれます。
納骨の時期や方法は法律で決まっていないため、家族や故人の意向に合わせたタイミングで行うことが可能です。
また、自分で納骨を行うこともできますが、その際には埋葬許可証を準備し、霊園や寺院の許可を得る必要があります。
納骨の方法を選ぶ際は、費用や宗教的背景、故人との思い出を大切にし、慎重に決めるようにしましょう。