「喪に服す」とは?
「喪に服す」とは、身近な人が亡くなった際に故人を悼み、一定期間自分の行動を慎むことです。
読み方は「も(に)ふく(す)」で、場合によっては「喪に服する」として「ぶく(する)」とも読まれます。
「服喪(ふくも)」と呼ばれることもあります。
【親等別】喪に服す期間
喪に服している期間は「喪中(もちゅう)」と呼ばれます。故人との関係性によって異なりますが、一般的には1年が目安とされています。
以前は法律で定められていた時期もありましたが、現在は慣習によるものとなっており、明確な規定はありません。
具体的な喪中の期間は、故人との関係によって次のように異なります。
父母・義父母 : 12~13ヶ月
子ども : 3~12ヶ月
祖父母 : 3~6ヶ月
兄弟・姉妹 : 1~6ヶ月
これらはあくまで目安であり、関係性や故人への思いによって、期間が変動することがあります。
例えば、祖父母と一緒に過ごしていた場合などには、1年ほど喪に服す期間が必要になる方もいるでしょう。
後述しますが、喪に服す期間は仕事などの社会活動には特に影響はありません。
ただし、職場には忌引きの期間が定められていることが一般的で、たとえば配偶者で10日間、父母で7日間という規定があります。
地域によって異なるため、地域の慣例に従うことが推奨されます。
喪に服す期間は宗教や宗派によって異なる
宗教や宗派によって喪に服す期間は異なります。
以下に、宗教別の喪に服す期間をまとめました。
ご自分の信仰している宗教のケースを確認してみてください。
仏教
忌中 : 49日
喪中 : 亡くなった日から1年間が一般的
神道
忌中 : 最大50日
喪中 : 亡くなった日から1年間が一般的
キリスト教
忌中・喪中の概念なし
喪に服すのは2親等まで
「自分とどんな間柄・関係にあった人が亡くなったら喪に服すのか」
という喪に服す範囲は、2親等までとされます。
具体的には以下の通りです。
1親等 :
父母・義父母・子ども
2親等 :
自身と配偶者の兄弟姉妹・その配偶者
自身と配偶者の祖父母・孫
それ以上関係性が遠くても、親しい人が亡くなった場合などはもちろん喪に服しても構いません。
価値観も変化しつつあり、ケースバイケースとも言えます。
喪に服す間にするべき5つのこと
喪に服す間に具体的に何をするべきかを解説します。
以下の5つが挙げられます。
・ 故人を偲ぶ
・ 香典返しの準備
・ 法要などの手配
・ 遺産の整理、各種手続き
・ 喪中はがきの送付
故人を偲ぶ
故人を偲ぶことは喪に服す本来の目的です。
悲しみの中でも故人の思い出を大切にし、静かに過ごします。
宗教的な儀式(線香をあげる等)も行い、日々の供養を心がけましょう。
香典返しの準備
香典返しは通常、四十九日後に行います。
そのタイミングでお返しする場合は、いただいた香典の半額程度を返すのが一般的ですが、地域や慣習により異なることもあります。
法要の準備
四十九日や一周忌など、宗教に応じた法要の準備も喪中に行っておきましょう。
会場や僧侶、神主の手配をし、関係者への連絡も忘れずに行いましょう。
遺産の整理・手続き
遺産整理や各種手続き(年金停止や解約手続き)は早めに済ませましょう。
特に期限が決まっているものは迅速に対応する必要があります。
喪中はがきの送付
喪中はがきは年賀状の準備が始まる前、11月中旬から12月初旬に送るのが一般的です。
他界直後に送るものではありません。
毎年年賀状をやり取りしている相手に送ります。
喪中はがきを出していない相手から届いた場合には、1月7日以降に寒中見舞いを出しましょう。
喪に服す間にやってはいけない4つのこと
次に、喪に服す間にやってはいけないことを紹介します。
故人に対し失礼のないよう、以下の4つは避けるようにしましょう。
・ 神社への参拝
・ 結婚式
・ 旅行
・ お正月
神社への参拝
喪中の期間中は初詣を避けるべきです。
神道では死を穢れとみなすため、忌明け前の参拝は控えましょう。
忌明け後であれば問題なく参拝できます。
結婚式
喪中の結婚式は避けるべきとされています。
故人を悼む気持ちが強いため、結婚式を行うことや出席することは控えましょう。
ただし、忌明け後であれば結婚式の参加は可能です。
旅行
喪中期間中の旅行は一般的には控えます。
しかし忌明け後であれば可能とする考え方もあります。
予約していた場合のキャンセル料や気分転換のために旅行する方もいるため、事情を考えて判断するとよいでしょう。
ただし、旅行へ行く場合も静かで穏やかな旅行が好ましいです。
お正月
正月に関わることにはいくつか注意する点があります。
喪中の間は年賀状を控え、新年の挨拶を避けるのがマナーです。
12月初旬までに喪中はがきを送り、年賀状を出せない旨を伝えましょう。
年末に不幸があった場合は寒中見舞いでお詫びを伝えるのが一般的です。
また、喪中の間はお正月の祝い事を控え、新年の挨拶は避けるべきです。
「おめでとうございます」は避け、「昨年はお世話になりました」などの控えめな挨拶にしましょう。
おせちは、豪華な食材やおめでたい紅白の料理は控え、重箱ではなくふつうのお皿に盛り付けましょう。
重箱には「喜びや幸福が重なるように」という意味があるため、喪中の間は避け、控えめな盛り付けにするのが良いでしょう。
喪に服す間にやってもよいこと
ここまでするべきことと避けるべきことを解説してきましたが、ここでは「やってもいいのか?」と悩むものを紹介します。
以下の3点は喪に服している間でも行って問題ありません。
・ 暑中見舞い、寒中見舞い
・ お中元やお歳暮
・ お寺への参拝
暑中見舞い、寒中見舞い、残暑見舞い
暑中見舞いや寒中見舞い、残暑見舞いは送っても問題ありません。
これらは相手を気遣うものであり、祝い事ではないためです。
そのため、マナー違反ではないとされています。
自分または相手が喪に服している場合でも、送って差し支えありません。
ただし、忌中はさけ、忌明けしてから送り、デザインや色遣いは落ち着いたものを選びましょう。
お中元やお歳暮
お中元やお歳暮も送ることができます。
こちらは日頃の感謝を伝えるものであり、祝い事ではありません。
ただし、のしはつけないようにしましょう。
代わりに水引が印刷されていない短冊や無地のかけ紙を用います。
お寺への参拝
喪に服している間の神社への初詣は避けるべきですが、お寺への参拝はよいとされています。
神社は神道ですが、お寺は仏教の施設であり、仏教では死を穢れとしていないためです。
喪に服す期間には、故人の冥福を祈り偲びましょう
今回の記事では、喪に服している間に気を付けるべきことや避けた方がよいことについてお伝えしました。
最も大切なのは、故人を偲び、その冥福を祈ることです。
また、旅行や会社の行事については、忌明け後に参加することが可能ですが、もし気持ちがそちらに向かない場合は、無理して参加する必要はありません。
自分の気持ちを大切に、無理なく過ごしましょう。