葬式をしないこと(火葬)は可能?
法的には火葬を行わない事は可能です。
埋葬に関しては、 『墓地、埋葬等に関する法律』 において、人が亡くなったら『埋葬か火葬を行うことが必須』と決められています。
このように埋葬に関する法律では、 埋葬か火葬を行うこと が義務付けられていますが、お葬式が必須という条文はありません。
埋葬か火葬を行えば、お葬式をしないことは可能です。
ここでの埋葬とは、火葬をせずに埋めることを指す、つまりは土葬のことです。
日本で土葬を行える地域は現実的にはとても少なく、奈良県や和歌山県などの一部地域でのみ行えます。
そのほかの霊園や墓地では、基本的に火葬してからでないと埋蔵できません。
葬式をしない・火葬の弔い方
ここまで、お葬式をしないことは、現実的に可能なのか関して見てきましたが、ここからは実際に葬式をしない弔い方や供養方法関して見ていきます。
直葬は東京を中心に近年増加した葬式の形の一つです。
お葬式を行わずに火葬することを直葬、または火葬式と言います。
主な流れは以下の通りになります。
順 内容
① 臨終
② 遺体搬送・安置
③ 納棺
④ 出棺
⑤ 火葬
⑥ 収骨
実際の葬儀よりも行う事が少なく、 供養や別れの時間がとても少ないことが特徴であり欠点でもあります。
火葬式に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
【終活カウンセラー監修】火葬式とは?費用やメリット・デメリットを解説
第三人生編集部
葬式をしない・火葬でやるべきこと
清水寺
直葬を行う上でやるべきことがあります。
具体的には 葬式のお知らせと菩提寺への連絡 です。
二つとも葬式に直接の関係はありませんが、その後の流れや関係を考慮するととても重要なことです。
それぞれ関して詳しく見ていきます。
葬式のお知らせ
直葬であっても 一般的な葬式と同じように葬式のお知らせを行いますが、その内容が違います。
お知らせの方法として、亡くなったことの連絡をする際に、「葬儀は通夜、告別式を行わずに、火葬のみ行います。式場の準備は行っていません」などを伝えます。
親族、知人であっても火葬のみで行うこと関して受け入れられなかったり、反感を買ったりすることを考慮して、火葬のみで葬儀を行う理由関して述べると理解を得られることがあります。
葬儀後に連絡をする時は、「故人の遺言により近親者のみで葬儀を執り行いました。」という内容の書面を送ります。
菩提寺への連絡
寺院墓地にお墓がある場合は 菩提寺に直葬を行う旨を踏まえた連絡も必須です。
直葬は葬儀の簡略化を行うために、いくつかの菩提寺だと受け入れられない事もあります。理由を述べた上で、必ず連絡を入れるようにして下さい。
菩提寺に関しては、こちらの記事も参考にしてみてください。
菩提寺とは?入檀のメリット・デメリット!檀那寺との違いも
第三人生編集部
葬式をしない・火葬のメリット
お墓参り代行 メリット
葬式をしない直葬を行う上でのメリットは以下の3つです。
費用
香典返しをしない
弔問客の対応をしない
それぞれ関して詳しく見ていきます。
費用
直葬の最大のメリットは、一般的な葬儀と比較して安く利用できるところにあります。
読経を挙げていただく時にはお礼としてのお布施や精進落としの費用など多くの費用がかかります。
可能な限り葬式の費用を抑えたい人にとっては、最も適している葬儀の形と言えるでしょう。
香典返しをしない
葬儀後の香典返しも不要です。
単純に 金銭的な負担だけではなく、挨拶回りの負担などを減らせることは、多忙な人にとっては利点です。
弔問客が香典を携えていらっしゃった場合でも、香典の辞退は可能です。
香典の受け取りは可能ですが、香典返しは必ず行いましょう。
その場合の相場はいただいた金額の1/3~半額程度でお返しをします。
弔問客の対応をしない
受付係や配膳係などの手配や弔問客一人一人への挨拶などで、労力や時間を割くことがありません。
葬式をしない・火葬のデメリット
お墓参り代行 デメリット
葬式をしないことでのデメリットは以下の4つです。
供養の時間が足りない
周囲からの非難
弔問がバラバラ
菩提寺から納骨を断られる可能性
それぞれ関して詳しく見ていきます。
供養の時間が足りない
火葬のみの場合、必然的にお別れの時間はとても短くなります。
そのため、十分なお別れの時間を作れなかった、お見送りした実感がわかないなど、悔やむことがあります。
その故人にとって一回のみの葬式になるため、通夜などををするかしないか、十分に検討する必須があります。
直葬を行う際は、その内容を具体的に考え、お別れの時間が短いことも納得してから、依頼しましょう。
周囲からの非難
多くの場合を行う際は、親族以外は参列できません。
そのため、親族以外の故人と親交の深かった方から「直接、お別れを告げたかった」と言われたり、遺言により家族以外の親族に告知せずに直葬したことで親族から怒られたりしたという事例があります。
また、葬式をしないことを受け入れることができない人がいることも考えておきましょう。
弔問がバラバラ
火葬式や家族葬など、親族以外の人を呼ばないで葬式を行う場合には、葬式が終わってから自宅に多くの人がバラバラに香典を携えて弔問に訪れる事例があげられています。
特に、近所付き合いの多い方や故人の交友関係が広い場合は顕著に現れます。
もし、3か月間に渡ってバラバラに弔問客が訪れると、その対応に毎回追われます。
そのため、 お葬式を開く手間を省きたいと考える人にとっては、逆効果になってしまう可能性があります。
菩提寺から納骨を断られる可能性
葬式を行っていないという理由で、菩提寺から納骨を断られることがあります。
一般的な手順を踏んで葬式を行った場合、お墓が寺院墓地にある時、火葬後の遺骨はお寺のお墓に納骨されます。
しかしこれは一般的な場合です。
僧侶に戒名され、お経を読んでもらうなど、葬式の場で行っているからこそ、お墓への納骨までスムーズにいきます。
それらを全てなくし、関わりのない遺骨を預かってほしいと申し出ても、お寺としては素直にうなずくことは難しいでしょう。
葬式をしない・火葬の費用は?
費用
葬式を行わずに、直葬のみを行う場合の費用の平均は約20万円です。
一般葬や一日葬と比較すると最も費用がかかりません。
直葬の場合の最頻値の金額は10万円台となっており、10~20万円台が多くを占め金額帯の幅が狭いです。
葬式の費用
葬式の費用は大きく分けて、以下の4つに分けられます
施設使用料
葬式の施行料
弔問客へのおもてなし
お布施
追加費用
それぞれ関して詳しく見ていきます。
施設使用料
葬儀を行う際、会場に支払うのが施設にかかる費用です。
しかし、どちらもしないため、式場利用料は不要です。
直葬においては火葬料のみが必須です。
火葬する日までに、遺体安置施設を利用する際には費用がかかります。
しかし、自宅で安置する場合は、遺体が腐敗する可能性があるため注意しましょう。
一般的には2~3日ほど安置できますが、 夏場は腐敗の進行が速いため死亡日の翌日に火葬する場合を除き安置施設に預けましょう。
葬式の施行料
葬式の施行にかかる費用が必須です
主に、祭壇や棺などが挙げられます。
しかし、直葬の場合は祭壇が不要なためほとんどかかりません。最低限必須なのはお棺や骨壷です。
弔問客へのおもてなしの費用
会葬礼状や返礼品、そして通夜振舞いや精進落としなどが必須ですが、葬式を行わず、関係の深い親族のみが参列するため、 多額の費用は掛からないと考えてよいでしょう。
お布施
読経など宗教的儀式をしない時は、お布施などのお礼は必須ありません。
しかし、火葬の時に僧侶を呼び、読経していただく場合にはお布施が必須です。
追加費用
注意すべきことは、想定外の追加費用です。
前もって確認しておかないと、想定以上の費用が必須になることがあります。
また、安置代も重要です。
都市部では、亡くなる人に対しての火葬場の数が足りていないため、安置するために場所の確保や大量のドライアイスが必須です。
火葬の値段だけでなく、安置するための費用がかかることも考慮に入れたうえで比較・検討しましょう。
そこで、費用を安く抑える方法と注意点を見ていきます。
東京など、物価の高い地域は火葬料も同様に高額であることを覚えておきましょう。
火葬料は直葬の費用の中では割合の高いものであり、結果として直葬の費用も上がります。
直葬の費用を抑えるための方法として以下のものが挙げられます。
無料の火葬場を選ぶ
葬儀社への費用を減らす
それぞれ関して詳しく見ていきます。
無料の火葬場を選ぶ
例えば東京でも23区外であれば、八王子市が挙げられます。
八王子市民であれば無料で使えるのです。
そのような火葬場が周辺にあるか探してみましょう。
葬儀社への費用を減らす
具体的には霊柩車や斎場代等を減らします。
これらは曖昧であることが多く、後から追加費用として加算されることがあります。
そのため、前もって葬儀社に確実に確認を行い、想定外の金額を請求されないようにしましょう。
【コラム】葬式をしないと遺族が困る?
自分の家族の負担を減らすために、「葬式を行わないで」という内容の遺言を残す方がいます。
その遺志を尊重しお葬式をしないと、親族や故人と親交の深かった人から「なぜお葬式を行わなかったのか」と怒られたり、半年間に渡って弔問客が香典を携えて自宅に訪れたりと、 手間や精神的疲労が増加し、結果的に困り葬式を行えばよかったと遺族側の負担が大きくなる可能性があります。
葬式をしないという選択
葬式をしないことに関して、この記事では様々な事例を述べてきました。
葬式の各儀式を行うか考える際には、「誰のために」を考えることが最も大切になりまう。
人生において一回のみの大切な儀式です。
思い残すことのない形でお見送りするために、よく考えてから行動しましょう。