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お金のこと

2024.04.24

準確定申告が不要な場合は?必要な時、書類、手続き方法を解説

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人が亡くなると遺された人は誰しも相続人となり、故人のお金にまつわる様々な手続きをしなければなりません。
その一つに準確定申告があります。

相続する財産にも関わる大切な手続きで、準確定申告には必要な人、不要な人がいます。
期日も決められており、場合によっては罰則が発生するおそれもあります。

ここでは準確定申告が必要・不要の判断や手続き方法を見ていきます。

準確定申告とは?
お金 相場
準確定申告とは、亡くなってしまった人の代わりに相続人となった遺族が行う確定申告のことです。

全員がしなければならない義務ではなく、不要な人もいます。

所得税の申告は通常、1月1日から12月31日の一年間に得た所得を、翌年2月16日から3月15日に行い、納税をします。
ところが1月1日からその年度の途中でなんらかの原因で亡くなってしまった場合、その期間の所得を計算し税金を納めなければなりません。

納税の義務は生きている間ずっと課せられる義務の一つですが、実は故人にも存在します。
しかし故人は納税をすることが叶いません。

そこで故人の代わりに、生きている人が納税に関わる手続きを行うのが準確定申告です。

もちろん準確定申告が不要であれば、当然手続きも不要です。

しかし準確定申告は人が亡くなってまもなく発生するため、準確定申告が必要か不要かの判断もつかないまま、期日を過ぎてしまう恐れもあります。

知らなかった、不要なものと思い込んでいた、など必要なのに申告をしていなかった場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生します。
悪質だと判断されると刑事罰もあります。

手続き上、確定申告と準確定申告はほとんど内容に違いはありません。
しかし申告を行う人が本人ではなく相続人であるため、記入方法に若干の異なる点があるので注意してください。

準確定申告が必要な場合
お金
準確定申告は相続に関わる大切な手続きの一つです。
要件を満たしていなければ手続きも不要ですが、この要・不要の判断は難しいものがあります。

たとえばアパートを経営していて家賃収入がある、土地や建物を売却した、有価証券を保有していた…など、その場合は準確定申告が必要です。

準確定申告が必要な場合の詳細について、国税庁が次のように示しています。

給与所得が2,000万円を超えた場合
給与所得、退職所得以外の所得金額が20万円を超えた場合
2か所以上から給与をもらっていた場合
公的年金等による収入が400万円を超えた場合
公的年金による雑所得以外の所得金額が20万円を超えた場合
生命保険などの満期金や一時金を受け取っていた場合
土地や建物を売却した場合
事業所得、不動産所得がある場合
これらは確定申告と同じケースで、当てはまらなかった場合、不要である場合が多いです。

税金の計算は1月1日から亡くなったその日までが対象です。

給与の支給、保険料・医療費の支払いなど全て死亡した日までが課税や控除の対象になり、配偶者控除、扶養控除の適用の有無も死亡日の状況で決定します。

準確定申告には源泉徴収票や保険の加入状況が分かる書類など故人の一年の収支がわかる、様々な書類を確認しなくてはなりません。

要・不要の判断だけでも煩雑な作業になるため、専門家に依頼することも視野に入れておきましょう

また1月1日から3月15日までに亡くなったケースで、前年の確定申告ができていなかった場合、前年分を合わせて2年分の準確定申告も必要です。

準確定申告が不要な場合
金額
準確定申告は必ずしもしなければならないのではなく、不要な人もいます。
例えば収入が少なかったり、会社員であったりすれば準確定申告は不要です。

準確定申告が不要な人は、例えば次のような人です。

年金受取総額が400万円以下で、かつ年金以外の所得の合計が20万円以下
会社員等の給与所得者であり、源泉徴収を受けている者
相続人が相続放棄した場合
準確定申告の要・不要の判断で最も注意すべきは年金の受取総額かもしれません。

年金だけの収入だと、準確定申告は不要だと思い込んでしまいがちです。
しかし大往生で亡くなった場合、総額が400万円を超えている可能性も高くなります。

年金保険などに入っていた場合はそちらの確認も忘れずに行いましょう。

また被相続人が会社員であれば、給与から一定額が源泉徴収をされているため、申告が不要です。
(後述しますが、年度の途中で亡くなり、年末調整を受けずに源泉徴収額が納め過ぎとなっている場合、還付を受けられる可能性もあります。)

そして相続人の中には相続を放棄する人もいるでしょう。

相続放棄は相続が発生して3ヶ月以内に手続きを行います。
相続放棄をした場合「遺産は不要です」と意思表示をし、全ての相続権を手放すことになるので、準確定申告も不要です。

準確定申告をすると還付金が受け取れる?
お金
被相続人が故人となっておこなう準確定申告は、他の諸手続もあるなかで行うので、煩わしいものです。
準確定申告が不要であるなら、少しほっとするでしょう。

しかし準確定申告が不要だとしても、行うことでメリットもあります。

例えば払いすぎていた税金の還付が受けられたり、各種控除が受けられ納める税金が少なく済んだりするなどです。

準確定申告が不要だけれども、行うことで還付金を受け取れるのは主に、次のケースです。

高額の医療費を支払っている
一定の要件を満たしたマイホームを所持しており、ローンがある
給与・年金による収入のみで源泉徴収が行われている
災害や盗難などで資産の損害を受けた
寄付をした
不要でも以上のようなケースは準確定申告をぜひ検討してみましょう。

税金を払いすぎている場合、税務署からの通知がくることはありませんので、上記の例を参考に気になることがあれば、親族で相談してみると良いでしょう。

ちなみに還付金はまとめて受け取ることもできます。
その場合は相続人全員の署名の入った委任状を用意し、提出するのが決まりです。

準確定申告が不要である立場で、けれども還付を受けたいと言う方は、相続税納付の期限である10ヶ月を目処に手続きを進めると良いです。

還付金は相続税の対象になっているため、還付と納税を一度に終わらせることができるからです。

もちろん多忙で10ヶ月に間に合わないこともあるかもしれません。

そのタイミングで準確定申告できていなくても、還付金受付の時効は相続税の期限から5年あります。
5年以内に「更正の請求」をすることで還付金を受け取ることができます。

準確定申告は不要だけれども、もしかしたら還付が受け取れるかもと思い当たる節があれば、専門家に相談してみるのも良いでしょう。

準確定申告の期限は?
カレンダー
準確定申告の期限は、被相続人がなくなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行うように決められています。
相続税の期限、10ヶ月と混同しやすいので注意しておきましょう。

準確定申告そのものの手続きは難しいものではありません。
それよりも精神的に苦しい、中準備を進めなくてはならないので、余計に負担に感じることの方が多いかもしれません。

特に準確定申告は本人の代わりに行うものですから、必要な書類を準備したり、要・不要の判断をすることに時間を取られることが多いです。

しかし期日を守らないと加算税や延滞税などのペナルティが課せられる恐れがあります。

以下に各ペナルティの概要を示します。

加算税
適切な申告をしなかった場合に課せられる税金。
所得を少なく見積もり、税金を過少に納めた「過少申告加算税」やそもそも申告しなかった「無申告加算税」などがある。
延滞税
納税が期日内にできなかった場合に課せられる。
延滞税は金利と連動しており、金利が高ければ高く低ければ低く請求される。
納税が2ヶ月以上遅れると、税率に2倍以上の差が生じる。
また申告が遅れ、悪質だと判断されると刑事罰が課せられることもあります。

刑事罰
5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、また両方を科せられます。
準確定申告が不要なものと思い込まず、きちんと確認するようにしましょう。

準確定申告に必要な書類
書類
準確定申告は専用の書式はなく、確定申告と同じ書式を使用します。
準確定申告が不要な場合は書類も不要ですが、故人の年金総支給額や保険料にまつわる収支くらいは確認しておきましょう。
必要な書類を以下に示します。

申告書A…給与所得、年金など雑所得、配当所得などがある人
申告書B…事業所得、不動産所得がある人
納付書
源泉徴収票
保険料等の支払い証明書
青色申告決算書(事業所得)
収支内訳書(事業所得)
確定申告書付表(相続人が複数であるとき)
相続人全員の個人番号
相続人全員の本人確認書類
委任状
必ず必要なのが確定申告書です。

書式はAとBがあり、必要なものを用意しましょう。
記入用紙は税務署に直接取りに行っても良いですし、国税庁のHPからダウンロードすることもできます。

相続人が複数いるときは確定申告書付表の添付が求められます。
こちらの用紙も国税庁のHPからダウンロードでき、書き方の例も記載されているのでぜひ参考にしましょう。

納付方法は現金か、国税庁が指定しているクレジット会社の利用のみ可能です。
電子決済はできませんので注意しておきましょう。

還付金を代表者が一括受け取りする場合、委任状が必要です。
委任状に決まった書式はありませんが、申請先の税務署で委任状を貰うこともできます。

準確定申告の手続き方法
方法
まずは準確定申告の概要を整理しましょう。

提出する人:相続人全員
提出する場所:被相続人(故人)の済んでいる住所所轄の税務署
です。

準確定申告の具体的な手続きの流れは以下の通りです。

表題の「確定申告書」の頭に「準」の文字を書き足して、準確定申告を行う書類であると示す
住所と氏名の欄には被相続人(故人)と相続人の両方を書く
被相続人の個人番号(マイナンバー)は記入不要
印鑑は相続人のものを押印する
上の余白部分に死亡年月日と相続人の個人番号(マイナンバー)を記載する
相続人が一人であった場合、以上の方法で完了します。

相続人が二人以上であった場合、確定申告書付表を合わせて提出します。
その場合、申告書には被相続人(故人)についてのみ記載し、相続人については確定申告書付表に記入します。

確定申告書付表

被相続人(故人)の住所、氏名、死亡年月日を記入する
納める税金・還付される税金の総額を記入
相続人全員の住所、氏名、個人番号(マイナンバー)を記入
相続人全員の押印
相続割合・相続財産の価格を記入する
還付金の受け取り方法の指定
その他、還付金の受け取りを、相続人の代表者がまとめて行う場合、委任状が求められます。

ところで準確定申告は個別に手続きをすることができます。
たとえばお互いに住んでいる場所が遠方であることや、悲しいことですが相続のいざこざで争っているなど理由で個別に出したいこともあるでしょう。

個別に手続きを行うときは、準確定申告を行ったことを他の相続人に通知する義務が発生します。

不要でもお得になるかもしれない準確定申告
準確定申告は故人の代わりに納税の手続きを行うことです。

相続にまつわる大切な事務手続きの一つですが、準確定申告が必要か不要かである判断は非常に煩雑です。
また期日が4ヶ月と短いので不要だと思い込んでしまうと手続きが遅れることも考えられます。

しかし準確定申告が不要な場合でも、行うことで納める税金額が少なく済んだり、還付金を受け取れたりするお得な場合もあります。
手続きが不要だとしても、準確定申告を検討してみてはいかがでしょうか。

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