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お金のこと

2024.04.30

企業年金とは?いくらもらえる?退職金との違いや受け取り方も解説!

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長年勤めた会社を退職するに当り、多くの企業では退職金が支払われます。

その退職金が一括で支払われる場合もあれば、一時金と企業年金という形で支払われることもあります。

企業年金という名称もさることながら、企業年金の形で受け取ることが自分にとって良いかどうか判断が難しいのではないでしょうか。

企業年金について詳しく解説しましょう。

企業年金とは?
年金
企業年金とは、国民年金や厚生年金などの公的年金に加えて、企業・会社が設けている年金制度です。
基本的に企業が外部に年金のための資金運用を委託して運用しています。

社員は、 受取り期間相当分の利息を付けた企業年金として分割で受取ります。
現在では、その利回りが良いことも特徴となっています。

企業年金の由来
退職金の位置付けは企業によって異なりますが、どの企業でも退職金を支払うためには多くの資金が必要になります。
そのため一部の企業が、 退職金を分割して支払う「退職年金」という仕組み を考案しました。

退職年金は、単に退職金を分割して支払うのではなく、企業が多くの資金を一度にまとめて支払わなくても済むため、資金を運用して利息を付けて支払うことにしました。

この仕組みが企業年金の始まりで、1949年に大手百貨店が採用しています。
そして1952年には、この企業年金の仕組みを製紙業と電機メーカーが取入れました。

やがて平均寿命が伸びた結果、 企業年金は「老後の生活保障」という役目にも合致する ようになり、1960年頃から採用する企業が増えてきました。
企業年金の普及に伴って、企業側の都合や労働者側からの要望に応える形で、国が企業年金を制度として認めました。


企業年金の種類
企業年金「イメージ」
企業年金には幾つか種類があり、それぞれに特徴がありますので、解説しましょう。

確定給付企業年金
厚生年金基金
確定拠出年金
種類①確定給付企業年金
確定給付企業年金法に基づいて、年金資産を運用する企業年金制度が確定給付企業年金です。
そして確定給付企業年金には、規約型と基金型の2種類があります。

規約型は、事業主が従業員の同意を得て、その制度の内容を定めた年金規約に基づいて、年金資産を外部に拠出することにより、年金資産を管理・運用して、年金給付を行う ものです。
一方**基金型は、事業主が従業員の同意を得て、別法人の企業年金基金を設立して、その制度の内容を定めた年金規約に基づいて、年金資産を管理・運用するものです。
なお、基金型についてのみ設立に必要な加入者数の要件があり、原則として300人以上となっています。
年金の給付については、原則として終身または5年以上の有期年金とされています。

種類②厚生年金基金
企業側が従業員のより良い福利厚生のための仕組みとして、 公的年金の厚生年金に上乗せして支給するのが厚生年金基金 です。
国民年金、厚生年金の上にプラスするため、**いわゆる3階建ての部分__といわれています。

厚生年金基金の制度では、企業が「厚生年金基金」という法人を別に設立し運営します。
その仕組みは、本来国が運営する厚生年金保険の一部分を国に代わって行う「代行部分」と、厚生年金基金の「独自部分」とで成り立っています。

「代行部分」の役目は、国の代わりに厚生年金保険の掛金を集め、その掛金に見合った額の給付を行います。
一方「独自部分」は、それぞれの「規約」(基金で作ったルール)に基づいて掛金も給付も決めるので、自分が加入している基金の規約を知ることが大切です。

厚生年金基金は、設立主体によって3種類に分類されます。
大企業が設立する「単独型」と、主力企業と関連会社が集まって運営する「連合型」、そして同業社が集まって設立する「総合型」の3種類 になります。

種類③確定拠出年金
確定供出年金は、アメリカの企業年金制度をモデルにした年金制度で、日本版401Kともいわれています。
会社もしくは個人が拠出した掛金を、社員が自分で運用して、その結果による給付を受け取る制度 です。

それまでの企業年金は、将来受け取る給付の額を約束する「確定給付」でしたが、 確定拠出年金は、支払う掛金だけを約束し、将来受け取る給付の額は約束しません。
確定拠出年金では、資金運用が悪化して約束した給付が難しくなってしまい、会社が不足分を補てんするといった、確定給付企業年金が抱える問題がありません。

確定拠出年金には2種類あり、掛金を会社が拠出するのが「企業型」、個人が拠出するのが「個人型」です。
確定拠出年金には、転職した場合、年金資産を持ち運べるという特徴があります。


企業年金はいくらもらえる?
お金
企業年金として受け取る金額は、 企業の規模と勤続年数によって大きく異なります。
以下のグラフは大卒者が受取る退職金と企業年金の合計額の目安を表しています。

退職金と企業年金の合計額(単位:万円)

従業員数    30~99人    100~299人    300~999人    1000人以上
20~24年勤務    612    586    852    1130
25~29年勤務    636    743    1114    1569
30~34年勤務    1478    1386    1636    2153
35年以上勤務    1729    1383    1985    2417
ざっくりとですが、一つの目安としてこのグラフから企業年金の額を推定します。
ここでは退職金と企業年金の割合が、半々と仮定して例示します。

勤続35年以上
大企業に勤めていた場合は1200万円、中小企業なら700から850万円と見込まれます。

勤続30年~34年
大企業で働いていたなら1100万円、中小企業であれば700万円程度と推定されます。

勤続25年~29年
大企業の従業員なら800万円、中小企業だったら350万円位になります。

勤続20年~24年
大企業の社員であれば600万円、中小企業になると300万円ほど受取れます。

企業年金の額が多いのは、企業の規模が大きく、かつ勤続年数が長い人になります。
年金としてもらった方が良いのか、それとも全額を退職一時金とした方が良いのか、特に勤続年数が長い人は迷います。

全額を一時金で受取った場合に、果たして自分で運用して増やせるかどうか、リスクもある ので先行きが不透明です。
現在は極端な低金利政策が続いているため、資産運用はなかなか厳しい状況です。


企業年金を受け取る方法
企業によりますが、 企業年金を受取る際に一時金か年金かを選択することが可能 です。
そんな場合、どのような基準で選択すればよいのでしょうか。

受取り方を選択できる場合は、自分が受取ることができる一時金の金額と年金額、年金の支給期間、途中で死亡した場合にどうなるかなどを把握する必要があります。
終身年金ならば、長生きするほどメリットが大きくなりますが、母体企業や年金基金の運営が安定していないと将来の不安 を抱えることになります。

また有期年金ならば、年金で受取る総額と一時金の額を比較してみましょう。
そしてどちらが自分に合っているか、選択すれば良いのです。

全額を一時金で受取って自分で資産運用するのなら、それも選択肢の一つとなります。
また、一時金は退職金として所得税が優遇される仕組みもあるので、それも賢い選択となります。

企業年金を受取る際に注意する点について解説します。

退職所得控除
国民健康保険や介護保険料の対象になってしまう
利率が低い
退職所得控除
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として支払われるものであることから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるように配慮されています。
特に 退職所得控除のメリットは大きい ので、使わない手はありません。

実際の退職所得控除の額は以下の表で計算できます。
例えば、勤続20年なら800万円、30年なら1500万円となり、結構大きな金額が所得控除できます。

勤続年数    退職所得控除額
20年以下    40万円×勤続年数
20年超    800万円+70万円×(勤続年数-20年)
国民健康保険や介護保険料の対象になってしまう
企業年金として受取る場合は、毎年の年金収入が増加するため、社会保険料の負担が大きくなります。
一方、一時金で受取れば、その後は社会保険料に影響しません。

その一覧は以下の表で示す通りです。
年金で受け取ると、企業年金による所得の増加分が、翌年の社会保険料算定の対象となってしまうので注意が必要です。

一時金で受取りの場合
所得税の区分    退職所得
計算式    退職所得=(一時所得-退職所得控除額)×1/2
退職所得控除額1    勤務20年までは1年当り40万円で計算
退職所得控除額2    21年目以降は1年当り70万円で計算
社会保険料    かからない
年金で受取りの場合
所得税の区分    雑所得
計算式    雑所得=年金額-公的年金等控除額
公的年金等控除額1    65歳未満で、年金130万円以下なら70万円
公的年金等控除額2    65歳以上で年金額330万円以下なら120万円
社会保険料    国民健康保険、介護保険料の対象
利率が低い
現在の 確定給付企業年金の給付利率は、2%台前半が主流となっています。
全額を一時金で受け取ってそれを資産運用をする場合ですが、現在のように超低金利であれば、思った通りに運用できるでしょうか。

今現在、企業年金と同水準の利回りをコンスタントに実現できる金融商品があるかというと、かなり厳しいと思われます。
安全かつ、少しでも多く資産を増やしたいという観点から見れば、特に終身の企業年金には魅力があります。

自分のニーズに合った受け取り方を、慎重に検討する必要があるという事を理解して下さい。


企業年金のメリット
メリット
それでは企業年金のメリットをまとめてみましょう。

利回りがよい
長生きに対応、終身年金
60歳から受給できる
メリット①利回りがよい
確定給付企業年金では、給付利率が市場金利に1%以上上乗せされていて、 魅力的な利回り となっています。
現状では、2%台前半が主流となっています。

メリット②長生きに対応、終身年金
終身型企業年金なら、生きているかぎり年金が受け取れるので、長生きしても将来への不安がありません。
退職時に多額の一時金が必要なければ、 終身年金を選ぶこと は賢明です。

一旦終身年金として受取っていたとしても、万が一まとまった資金が必要になった場合には、一定期間内なら一時金として受取りも可能です。

メリット③60歳から受給できる
公的年金の給付開始が65歳からとなっても、 企業年金なら必要に応じて60歳から受け取れます。
企業年金を先に受取りながら、公的年金を繰り下げ受給すれば、将来の公的年金受給額を増やすことができます。


企業年金のデメリット
デメリット
翻って、企業年金のデメリットは次のとおりです。

社会保険料の算定対象
母体企業の破綻リスク
元本割れの商品リスク
デメリット①社会保険料の算定対象
企業年金は雑所得として算定されるため、他の所得と併せて課税所得が増加します。
その結果、 年の国民健康保険料や介護保険料などの負担が大きくなります。

収入が多くなれば、他の公共サービスにおいても、自己負担率が高くなる恐れがあります。

デメリット②母体企業の破綻リスク
企業年金を受取開始後に 母体企業の経営状況が悪化した場合には、給付の減額あるいは制度の終了・廃止というリスク があります。
何にでも将来の不安はありますが、企業が未来永劫安全という保証はありません。

デメリット③元本割れの商品リスク
確定拠出年金の場合は、自分が 選択した金融商品によっては元本割れのリスクがあります。
そのリスクを少なくするために、金融商品についてしっかり学習する必要があります。


企業年金を確認する方法
年金の疑問
これまで説明してきましたが、企業年金には3つの種類があります。
自分はどの企業年金に入っているのか、予め理解しておくことは将来への備えとして重要です。

人事・総務部に確認
自分が入っている企業年金について、一番確実かつ正確に把握できる方法は、 直接人事・総務関係者に問合わせる ことです。
従業員一人一人の福利厚生などを司る人事・総務部門に問合わせて、自分が将来利用できる企業年金は、どのような種類でその特徴は何かしっかり把握しておきましょう。

思い立った日が吉日、ライフプランを立てるタイミングに、早すぎるという事はありません。

その他の確認方法
その他に 給与明細や就業規則を確認する ことで、企業年金の種類が分かる場合があります。
また入社案内を見れば、福利厚生のためにどのような企業年金を採用しているのか、確認できることもあります。

しかしながら、正確かつ最新の情報を知ることが大切なので、やはり人事・総務関係者に問合わせして確認しておきましょう。


企業年金の満期前に死亡した場合
企業年金を受取ることができる60歳になる前に、不幸にして亡くなった場合、年金はどのようになるのでしょうか。
その時遺族はどのような手続きをすればよいのかを説明しましょう。

死亡一時金
死亡一時金の順位
非課税限度額
①死亡一時金
確定拠出年金を運用している人が亡くなった場合は、年金の口座残高相当の金額を、 遺族は死亡一時金として受け取れます。
この死亡一時金は、年金運用をしていた人が亡くなった場合に、自動的に支払われるものではありません。

死亡一時金は、遺族が請求をしない限り受け取れません。
この様な請求のことを、「死亡一時金の裁定請求」といいます。

②死亡一時金の順位
死亡一時金を受け取る順位ですが、遺族の中で受け取る権利がある人の順位に、独自の決まりがあります。
順位が独自であるため、注意しなくてはなりません。

というのも、 死亡一時金を受取る権利の順位が、民法の法定相続人の順位とは異なる からです。
配偶者が最も優先順位が高いことはどちらも変わりませんが、その後の順位には違いがあります。

確定拠出年金の死亡一時金では、死亡した人の収入で生計を維持していたかどうかが、順位を決定する要因となっています。

一方、 「死亡一時金」を受け取る人をあらかじめ指定することも可能 です。
事前に手続きしておくことで、特定の受取人を指定して死亡一時金を渡すことができます。

③非課税限度額
死亡一時金も「みなし相続財産」となっており、相続税の対象となっています。
しかしながら、「死亡退職金の非課税枠」が適用できるため、受取りの一定額までを非課税にすることも可能です。

死亡退職金の非課税枠については、以下の計算式で算出されます。
死亡退職金非課税限度額は、 500万円×法定相続人の数 で計算します。


企業年金が廃止になった場合
万が一 在職中に企業年金が廃止された場合には、その企業年金が運用した結果として残っている年金資産を、従業員に分配して制度が終わり ます。
事実、税制適格退職年金や厚生年金基金では、給付に必要な年金資産が不足した結果、残念ながら「積立不足」となっているケースが多くありました。

年金をすでに受給している人を優先した後、残った年金資産を受給していない従業員で分配して解散する、会社や厚生年金基金もありました。
また、廃止の際に年金資産をその時点で従業員に分配し、不足した分を退職時に支給する企業もありました。

企業年金を廃止するには、従業員への説明とそして同意が必要 です。
その説明を聞けば、自分が加入していた企業年金が、どのような対応をしたのかが分かります。


企業年金のある会社は減少中
企業年金は、高度成長期からバブル期までは資産の運用成績がよく、少ない掛金で給付のための資金が準備できたため、とても重宝されました。
しかし、バブル崩壊とともに資産運用が悪化し、従業員に約束した利回り分が確保できなくなりました。

やがて本来ならば必要な年金の原資が、きちんと準備できない企業が多く出てきました。
そういった経緯から、 現在では企業年金を運用しているのは27%の企業だけ になっています。

現在多くの企業は、退職一時金のみの給付となってきました。


企業年金と退職金との違い
企業年金と退職金の違いを説明しましょう。

退職金とは
退職金とは、企業が従業員に対して労をねぎらう「報奨金」という位置付け があります。
長年企業に貢献してきた従業員に対して、業績や苦労を労う意味がありました。
そのほかに、退職金とは「賃金」の一部であるという考え方もあります。
実は多くの企業が高度成長期に、物価上昇と同じスピードで給料を賃上げすることができませんでした。
そのため、不足分を従業員が退職するときに、退職金という形で支払う企業が出てきました。
そういう経緯で、 退職金は「賃金の後払い」 に他ならないと言えます。

退職金から企業年金に変化
「賃金の後払い」という意味での退職金は、払う時期を遅くするだけなので、退職時には多くの資金が必要になります。
その対策として、退職金を分割して支払う「退職年金」という考え方を、採用する企業が出てきました。

この退職年金の仕組みは、退職金を分割で支払うだけでありません。
企業は分割した分資金に余裕ができ運用できるため、その運用益を利息分として、年金に上乗せして支払うことにしました。

これが企業年金として定着して行き、従業員の老後の生活保障としても役立つ仕組みになりました。

企業年金と退職金の違いをわかりやすく解説!節税対策も紹介
第三人生編集部

【コラム】企業年金は三階建ての部分
企業年金「イメージ」
日本の年金制度は、3階建ての構造 となっています。
1階部分は国民全員加入の「国民年金」で、2階部分は職業に応じた上乗せ給付を行う「厚生年金」です。1,2階部分を「公的年金」といい、国による社会保障の制度の柱となっています。
3階部分には、企業や団体が運営する「企業年金」が位置します。
企業年金は従業員の福利厚生の一層の充実を図るため、公的な厚生年金に企業が独自に上乗せ給付を行う制度です。
企業年金には、給付額が予め決まっている「確定給付」と、給付額が変動するものがあります。


企業年金の使い道
企業年金の運用を続ける企業が少なくなっている現在、もしあなたが企業年金に加入しているならば、その使い道をしっかり考えてみましょう。
退職時に一括で受取ることも視野に入れて、60歳からのライフプラン を立てて下さい。

まとまった資金を利用して住宅ローンを返済する場合もあるでしょうし、年金で受取りながら公的年金が受給できる時まで、生活費として活用することも可能です。
また終身年金なら、人生100年時代、老後の備えにもなるでしょう。

企業年金の使い道は人それぞれですが、是非先々のことまで考えて決定して下さい。
まとまった一時金も運用を誤ると、あっという間に無くなってしまい ます。

充実した老後を送るためにも、企業年金の仕組みを理解して、上手く活用していきましょう。

年金問題とは?老後2000万円問題や国の対策に関して解説
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