【2024年最新】老後の一人暮らし費用完全ガイド:年金だけで足りる?具体的な節約術と資金準備のコツ
「老後の生活費はどのくらいかかるんだろう?」「一人暮らしだとどれくらい貯金が必要になるの?」と不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。この記事では、高齢者の単独世帯増加という現状を踏まえ、老後の一人暮らしにかかる費用について、毎月の生活費の内訳を詳しく解説します。
具体的な金額や必要な貯蓄額の目安、生活費を抑えるための方法なども紹介します。
老後のお金の不安を解消し、安心して暮らせるためのヒントを見つけてください。
高齢者の一人暮らしは増加している
日本の総人口は、戦後増加を続けていましたが、2010年をピークに減少傾向へと転じています。一方で、高齢者の割合は増加の一途をたどっています。
内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、2022年10月1日時点の日本の総人口は1億2,495万人、そのうち65歳以上の人口は3,624万人です。総人口に占める65歳以上の人口の割合(高齢化率)は29.0%となっており、実に国民の3割近くが高齢者という状況なのです。
私たちが子供の頃、1950年の高齢化率はわずか4.9%でした。それが、私たちが社会人になった1985年には10%を超え、子育てに奮闘していた2005年には20%を超えました。
そして、2030年には30%を超えると予想されています。まさに、私たちは高齢化社会の真っただ中にいるのです。
高齢化が進む中で、65歳以上の一人暮らし世帯も急増しています。
1980年、つまり私たちが20代から30代だった頃には、65歳以上のうち一人暮らしをしている人の割合は、男性4.3%、女性11.2%でした。それが2020年には男性15.0%、女性22.1%まで上昇しているのです。
一人暮らしの高齢者の中には、ずっと独身の人もいれば、離婚や死別を経験して一人暮らしをしている人、子供と別居している人もいるでしょう。現在、パートナーや家族と暮らしている私たちにとっても、いずれ一人になる可能性は十分にあります。
だからこそ、老後の一人暮らしを想定して、年金額や生活費、出費の内訳を把握し、今のうちから必要な準備をしておくことが大切なのです。
老後の一人暮らしにかかる生活費:具体的な金額と内訳
「老後の一人暮らしって、実際どれくらいお金がかかるの?」とイメージがわかない方も多いのではないでしょうか。ここでは、総務省が公表している「家計調査報告(2022年)」のデータを基に、一人暮らしの高齢者(65歳以上の単身無職世帯)の平均的な生活費の金額と毎月の収入を見ていきましょう。
平均的な支出と収入
65歳以上の単身無職世帯の平均支出は、消費支出と非消費支出(税金・社会保険料等)を合わせて15万5,495円です。つまり、老後の一人暮らしには、年間で約186万円の生活費がかかることになります。
一方、65歳以上の単身無職世帯の実収入は、13万4,915円となっています。このうち、12万1,496円が社会保障給付(主に公的年金)です。
ここで注目すべきは、支出と収入を比較すると、毎月2万580円が不足しているという点です。年間の赤字額は約24.7万円になります。仮に一人暮らしで老後30年間平均的な生活を送るとすると、年金以外に約740万円の老後資金を準備しておかなければならないのです。もちろん、ゆとりのある生活を送りたい場合は、さらに多くの資金が必要になります。
生活費の内訳
では、老後の一人暮らしにかかる生活費は、具体的にどのような項目があるのでしょうか?同じく総務省の「家計調査(2022年)」をもとに、老後の一人暮らし(65歳以上の単身世帯)の生活費の内訳を見てみましょう。
65歳以上単身無職世帯の月間項目別支出の内訳は以下のとおりです。
- 住居費:3万8,917円
- 食費:4万8,790円
- 光熱・水道費:1万3,002円
- 家具・家事用品・被服費:1万5,698円
- 保健医療費:1万1,972円
- 交通費:1万1,576円
- 通信費:1万1,417円
- 娯楽費:1万4,503円
- 教養娯楽費:3,397円
- 諸雑費:1万6,523円
それぞれの項目を単体で見ると、支出はそれほど多くないように感じられるかもしれません。しかし、合計すると月に15万円以上の生活費がかかってしまいます。
ここで特に注目したいのが、住居費です。この内訳は持ち家を前提としています。持ち家がない人は、家賃分を考慮してシミュレーションしておく必要があります。家賃を支払うとなると、住居費として毎月の支出が増えてしまい、さらに生活費がかかることになります。
持ち家の有無による影響
持ち家があるかどうかで、住居費の金額は大きく変わります。そこで、高齢者の持ち家率がどれくらいかを詳しく見てみましょう。
内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によると、65歳以上高齢者がいる世帯の持ち家率は82.1%となっており、8割以上の人が持ち家に住んでいることが分かります。これは私たちの世代が、バブル期やその後の住宅価格下落期に住宅を購入した影響も大きいでしょう。
ただし、単身者に限っては66.2%と、持ち家率が低くなっています。そのため、高齢者の中でも一人暮らしの場合は、賃貸住宅に住む人が多く、住居費がかかるため、生活費が高くなる可能性があります。
持ち家がない場合、賃貸住宅に住むことが多いでしょう。賃貸住宅に住む場合には、家賃が発生します。総務省の「平成30年住宅・土地統計調査」より、65歳以上の単身世帯の家賃の平均(家賃0円を含まない)を見てみましょう。
- 公営の借家:1万7,834円
- 都市再生機構(UR)・公社の借家:5万8,104円
- 民営借家:4万9,970円
- 給与住宅:4万3,678円
- 借家(専用住宅)の平均:4万1,750円
老後の一人暮らしで公営住宅に住む場合、家賃負担を抑えられますが、民間住宅等に住む場合は、平均で月4〜5万円の家賃が発生します。これは決して小さな金額ではありません。
老後資金の準備:具体的な方法とアドバイス
老後の収入は年金のみという人もいるかもしれませんが、これまで見てきたように、年金だけでは生活費が不足してしまう可能性が高いです。ゆとりのある生活を送るために、老後資金はできるだけ多い方が安心です。
ここでは、老後の一人暮らしに備えていくら貯蓄しておいたらよいのか、資金準備の方法を具体的に説明します。
必要な老後資金のシミュレーション
老後に支給される年金の額は、人によって異なります。かかる生活費の金額や内訳も、持ち家の有無などにより変わってきます。自分の場合にはいくら必要なのかを、以下の手順でシミュレーションしてみましょう。
収入の確認
公的年金の額を確認します。毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」をみれば、もらえる年金額の目安が分かります。
「ねんきんネット」を利用して、年金見込額をシミュレーションすることもできます。
私的年金に加入している場合には、私的年金から受け取れる金額も確認しましょう。
支出の見積もり
先ほどの家計調査のデータを参考にシミュレーションが可能です。
持ち家がない場合には、家賃分を上乗せして毎月の出費を見積もりましょう。
収支のバランス確認
毎月の収入と支出が分かれば、赤字がどれくらいになるか計算ができます。
年間の赤字額に老後生活の想定年数(例:20年や30年)を掛けると、必要な老後資金の目安が分かります。
老後資金の準備方法
必要な老後資金が分かったら、次はその資金をどのように準備するかを考えましょう。以下に、いくつかの方法を紹介します。
退職金の活用
退職金は老後資金の大きな柱になります。
一部を即時に必要な資金に充て、残りは長期的な資産運用に回すなど、計画的な活用を考えましょう。
貯蓄の増額
現在の生活費を見直し、可能な範囲で支出を抑え、貯蓄に回す金額を増やします。
50代、60代は収入のピークを迎える時期でもあるので、この時期の貯蓄が重要です。
資産運用
預金だけでなく、リスクを考慮しつつ、投資信託や株式などでの資産運用も検討しましょう。
ただし、老後が近い時期の運用は、安全性を重視することが大切です。
副業・リモートワーク
定年後も働ける環境が整ってきています。特技や趣味を活かした副業も検討してみましょう。
最近ではリモートで働ける環境がある会社が増えてきました。業界や職種が限られてしまうかもしれませんが
うまく活用できるといいでしょう。
ただし、健康状態や体力を考慮し、無理のない範囲で行うことが大切です。
住宅資産の活用
持ち家がある場合、リバースモーゲージの利用や、一部を賃貸に出すなどの方法も考えられます。
子供が独立している場合、広すぎる家から適正な広さの家への住み替えも一つの選択肢です。
公的支援の活用
介護保険や高齢者向けの各種支援制度について理解を深め、必要に応じて活用することも重要です。
生活費を抑えるための工夫
老後資金を増やすだけでなく、支出を抑える工夫も重要です。以下に、50代、60代の方々に特に役立つアイデアをいくつか紹介します。
健康維持
定期的な運動や適切な食生活を心がけ、健康を維持することで、医療費の抑制につながります。
地域の健康診断や人間ドックを積極的に利用し、病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。
食費の節約
外食を減らし、自炊を増やすことで食費を抑えられます。
季節の食材を使うことで、栄養バランスも良く、コストも抑えられます。
冷蔵庫の整理や食材の計画的な購入で、食品ロスを減らすことも大切です。
光熱費の削減
LED電球への交換や、こまめな消灯を心がけることで電気代を抑えられます。
暖房費の削減には、重ね着や湯たんぽの利用が効果的です。
節水シャワーヘッドの利用や、食器洗いの工夫で水道代も抑えられます。
交通費の見直し
可能な範囲で徒歩や自転車を利用し、健康増進と交通費削減を両立させましょう。
公共交通機関の割引切符や、シニア向けの割引サービスを積極的に活用しましょう。
通信費の見直し
自分の利用実態に合わせて、携帯電話やインターネットの契約プランを見直しましょう。
シニア向けの割引プランや、格安SIMの利用も検討してみましょう。
趣味や娯楽の工夫
図書館や公民館など、公共施設を積極的に活用しましょう。
地域のサークル活動やボランティア活動に参加することで、低コストで充実した時間を過ごせます。
衣類や日用品の節約
必要なものを長く大切に使う習慣をつけましょう。
リサイクルショップやフリーマーケットの活用も効果的です。
住居費の見直し
持ち家の場合、固定資産税の軽減措置などを確認し、適用できるものは積極的に活用しましょう。
賃貸の場合、家賃補助や高齢者向け住宅など、公的支援を利用できないか確認してみましょう。
保険の見直し
生命保険や医療保険など、現在の生活状況に合わせて見直しを行いましょう。
不要な保障は減らし、必要な保障は確保するというバランスが大切です。
ポイントやクーポンの活用
クレジットカードのポイントや、各種店舗のポイントを上手に活用しましょう。
スマートフォンアプリなどで、お得なクーポンを探すのも良いでしょう。
これらの工夫を日々の生活に取り入れることで、支出を抑えながらも質の高い生活を送ることができます。ただし、極端な節約は生活の質を落とす可能性があるので、自分なりのバランスを見つけることが大切です。
安心できる老後のために
ここまで、老後の一人暮らしにかかる費用について、具体的な金額や内訳、準備方法などを見てきました。老後の生活設計は避けて通れない課題ですが、早めに準備を始めることで、より安心で充実した老後を迎えることができるはずです。
老後の生活は、人生の集大成として、これまでの経験や知恵を活かし、自分らしく過ごせる貴重な時間です。今回ご紹介した情報や方法を参考に、ご自身の状況に合わせた準備を進めていってください。
そして、経済面での準備と同時に、充実した人間関係や趣味、社会との関わりなど、金銭では測れない豊かさも大切にしていきましょう。それこそが、真の意味で安心できる老後につながるのです。
皆さまの、素敵な老後生活を心よりお祈りしております。