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お金のこと

2024.12.25

【介護離職を防ぐ】仕事と両立するための制度や5つのポイントを紹介

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本記事では介護離職の原因と問題点を解説し、介護離職を防ぐための国や自治体の制度を紹介します。家族との役割分担や介護サービスの活用、自分自身のケア方法まで、仕事と介護を両立するための具体的なヒントをお届けします。

「親の介護が必要になり、仕事との両立が難しい…」という悩みを抱えていませんか?
近年、仕事と介護の両立ができず、離職を選択する「介護離職」が増えています。しかし、介護離職は収入の減少やキャリアの中断といったデメリットがあるため、できれば避けたい方も多いでしょう。

この記事では、介護離職を防ぐために活用したい制度や、仕事と介護を両立するためのポイントを紹介します。「介護離職は最終手段にしたい」と考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

介護離職とは

介護離職とは、親や配偶者、兄弟姉妹など、身近な家族の介護が必要になり、仕事との両立が難しくなって離職してしまうことを指します。

日本では高齢化が進み、介護が必要な家族を抱える人が増加しています。仕事と介護の両立が困難だと感じる人も多く、結果として離職を選んでしまうケースが後を絶ちません。
とくに40代から50代は、仕事の責任も大きい一方で親の介護が重なりやすく、介護離職に陥るリスクが高いと言われています。

介護離職が増加する背景

介護離職が増加している背景には、少子高齢化が大きく関係しています。
とくに2025年には、すべての団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、国民の4人に1人が後期高齢者となる「2025年問題」に直面します。このままでは、介護の必要な高齢者が急増し、結果として介護離職者もますます増えていくと考えられます。


内閣府の「平成28年版高齢社会白書」によると、「自宅で介護を受けたい」と答えた人の割合は男性で42.2%、女性 は30.2%と最も多く、自宅での介護を望む声が強いことが分かりました。しかし、自宅での介護は家族の負担が大きく、とくに働きながら介護を担うことは容易ではありません。

そのため、介護と仕事の両立が難しくなり、離職せざるを得ない状況に追い込まれる人が後を絶たないのです。

参考記事:平成28年版高齢社会白書

介護離職を選ぶ人の理由

内閣府の「平成28年版高齢社会白書」では、介護を理由に離職した理由で最も多いのが「仕事と介護の両立が難しい職場だった」となり、その次に「自分の心身の健康状態が悪化したため」と続きます。    

このように、働きながら家族の介護を続けることに限界を感じ、介護離職を選択する人も少なくありません。

さらに、経済的負担や孤立感も離職の理由です。仕事を続けたいという気持ちがあっても、家族を置いて働く罪悪感や「介護優先」という周囲の無言の圧力に悩み、最終的に離職を選ぶケースも多く見られます。

参考記事:平成28年版高齢社会白書

介護離職の3つの問題点

介護離職には、
・ 経済的な負担の増加
・ キャリアの中断
・ 心理的・身体的な負担の増加
これら3つの問題点があります。詳しい内容をみていきましょう。

経済的な負担の増加

介護離職による最大の問題は、経済的な負担の増加です。
仕事を辞めることで収入が減り、さらに介護サービスの利用料や医療費、必要な福祉用具の購入費などの出費が重なります。これにより、家計は介護費用と収入減少のダブルパンチを受けることになります。

さらに、介護が長期化すれば、貯蓄の取り崩しや将来の年金額の減少といったリスクも避けられません。

キャリアの中断

介護離職のもう一つの大きな問題は、キャリアの中断です。
一度仕事を辞めてしまうと、介護が落ち着いた後に再就職することは容易ではありません。とくに、長期間のブランクがあるとスキルや経験が評価されにくくなり、希望する条件での再就職が難しくなるケースが多いです。

キャリアが中断されることで、昇進や昇給の機会を失い、結果的に将来の年金額が減少するという問題も発生します。

心理的・身体的な負担の増加

介護離職によって生じる3つ目の問題は、心理的・身体的な負担の増加です。
仕事を辞めることで社会との接点が薄れ、介護者は孤立感を感じやすくなります。

特に、介護を一人で抱え込むと、他者と話す機会が減り、精神的なストレスを蓄積しやすくなります。

また、介護には体力的な負担も大きいです。睡眠不足や慢性的な疲労が続くことで、うつ病や生活習慣病を発症するなど、自分自身の健康を損なってしまうケースも少なくありません。

介護離職を防ぐための制度

介護離職を選択した人の約半数が、「仕事を続けたかった」と答えています。介護離職を防ぐためには、国や自治体の制度を上手に活用することが大切です。
ここでは、各制度の特徴や取得条件などを紹介します。

介護休業制度

介護休業制度は、家族の介護を行うために、一定期間の休業を取得できる制度です。この制度により、対象家族1人につき、通算93日の範囲内で合計3回まで休業が可能となります。

休業中の賃金の支払いは、会社によって対応が異なるため、事前に確認しましょう。一定の条件を満たすと「介護休業給付」を受けられる場合もあります。
取得条件
・要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者(日々雇用を除く)
・雇用期間が6か月以上(※2025年4月1日からこの要件は廃止される)

申請方法
書面での提出に限定されておらず、口頭申請も可能

介護休業給付

介護休業給付は、介護休業を取得した労働者に対して、休業期間中の収入を補填するための制度です。休業開始時の賃金の最大67%が支給されます。

この制度を利用することで、休業期間中の収入を確保しながら、安心して介護に専念することが可能です。ただし、介護休業給付はあくまで職場復帰を前提とした制度となります。
取得条件
・ 雇用保険の被保険者であること
・ 職場復帰を前提に介護休業を取得していること
・ 介護休業取得日からさかのぼって2年間の間に11日以上勤務した月が12カ月以上あること
・ 介護休業中に仕事をした日数が10日以下であること
・ 介護休業中の賃金が、休業開始前の80%未満に低下していること

申請方法
在職中の事業所を管轄するハローワークにて書類申請

介護のための短時間勤務等の措置、所定外労働の制限など

短時間勤務等の措置や所定外労働の制限などは、仕事と介護の両立を支援するため、労働者に柔軟な働き方を提供することを事業主に義務づけたものです。

短時間勤務とは、対象家族を介護するために、1日・週・月の所定労働時間を短縮する制度です。所定外労働の制限は、1年で150時間を超える時間外労働(残業)を免除する制度で、どちらも対象者は要介護状態の家族を介護する労働者(日々雇用を除く)となります。

その他、仕事と介護の両立をサポートする制度には、時間外労働の制限・深夜業の制限があります。

各自治体によるさまざまな制度

各自治体では、独自の介護支援制度が用意されています。

たとえば、東京都豊島区では、在宅で介護を行う家族を対象に、年額10万円が支給される「家族介護慰労金」という制度があります。さらに、千葉県千葉市では、要介護認定者のために浴室等を改修するときの費用の一部を助成する制度があります。

このように、自治体ごとに介護負担の軽減に役立つ制度が導入されています。まずは、お住まいの自治体の制度を確認しておきましょう。

仕事と介護を両立する5つの対策

仕事と介護を両立することは容易ではありません。ここでは、仕事と介護を両立するために知っておきたい対策を解説します。

①仕事と介護を両立するための制度を知る

仕事と介護を両立するためには、国や企業が提供する制度を理解し、活用することが大切です。

先述した介護休業や介護休暇を利用することで、長期的・短期的な介護のための休みを取得することが可能です。また、企業によっては「両立支援等助成金」を受け取ることで、社員が働きながら介護を続けやすい環境を整えています。

まずは、自身が働く会社の制度や支援内容を確認してみましょう。

②職場に相談し理解を得る

仕事と介護を両立するには、会社への相談は最優先で行うべきです。まずは上司に相談し、会社に介護関連の相談窓口があれば積極的に申し出ることが重要です。職場の理解を得ることで、介護休業や時短勤務などの制度を利用しやすくなります。

しかし実際は、勤務先に介護の相談をした人の割合は、全体の約25%にとどまっており、多くの人が相談する前に離職を選んでしまうのが現状です。

早めに職場と話し合い理解を得ることが、仕事と介護を両立するための大きなポイントとなるでしょう。

③家族との役割分担を見直す

家族で介護の役割分担を見直し、負担を一人に押しつけず、協力する仕組み作りが重要です。
まずは、家族と話し合い、それぞれの役割分担を見直しましょう。たとえば、平日は仕事の都合がつきやすい家族が対応し、週末は別の家族がサポートするなど、無理のないスケジュールを組むことがポイントです。

また、今までは女性が介護を担い、男性が仕事を続けるケースが多く見られましたが、現代では「家事も介護も女性がやるべき」という固定観念は変わりつつあります。
事前に家族間で意見を共有し、それぞれができる範囲で支え合う準備を整えておきましょう。

④介護サービスを活用する

仕事と介護を両立するためには、介護サービスを積極的に利用していきましょう。
介護サービスには、定期的に自宅を訪れてケアをおこなう訪問介護や、日中に食事や入浴などを提供するデイサービス、短期間の宿泊介護が可能なショートステイなどがあります。

これらのサービスを上手に組み合わせて家族の負担を軽減することが、仕事を続ける時間と余裕の確保に繋がります。外部の支援の活用は、心身の健康と両立への大きな助けになるでしょう。


関連記事:デイサービスとデイケアの違いを徹底解説!選び方のポイントは?

⑤自分自身のケアを忘れない

仕事と介護の両立は、精神的・身体的に大きな負担がかかります。そのため、介護者自身が健康な体と心を保つことが重要です。

十分な睡眠や栄養バランスの摂れた食事、適度な休息やリフレッシュの時間を意識的に確保しましょう。また、介護による疲労や不安を一人で抱え込まないために、専門の相談窓口やカウンセリングを活用することも有効です。

まとめ

本記事では、介護離職を防ぐための制度や知っておきたい対策について紹介しました。
介護離職は、個人の生活やキャリアだけでなく、社会全体にも大きな影響を及ぼす問題です。しかし、国や職場の制度を活用し、周囲の協力を得ることで、仕事と介護を両立することは可能です。
無理のない介護生活を続けるためにも、適切な支援を受けましょう。

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