高齢者の自転車は危険?その原因と事故を防ぐ5つのポイントを解説
高齢者の自転車事故が増加している現在、安全な運転のために知っておくべきポイントとは?加齢による身体機能や判断力の低下がもたらすリスクを解説し、事故を防ぐための具体的な対策や、自転車の代わりとなる乗り物などを紹介します。
「最近、交差点で車とヒヤッとすることが増えてきた」
「以前より体力が落ちて、自転車のペダルが重く感じる」
買い物や通院など、日々の生活に欠かせない自転車。しかし、最近は少し不安を感じることはありませんか?
高齢者の自転車による事故は年々増えています。しかし、危険の原因を理解し、適切な対策をとることで事故は防げます。
この記事では、高齢者の自転車が危ない理由を解説し、安全に自転車を利用するための5つのポイントを紹介します。
安心して自転車に乗るために、ぜひ最後までご覧ください。
高齢者の自転車事故は年々増えている
近年、高齢者の自転車事故は増加傾向にあります。
内閣府の調査によると、自転車による死亡事故において65歳以上の高齢者が占める割合は、平成28年〜令和2年の期間では67.9%に達しており、5年前の期間と比べて8.7ポイント増加しています。
さらに、自転車の重大事故の多くは自動車との出会い頭衝突 であり、その主な原因は自転車側の安全確認不足とされています。
高齢者の自転車事故が増加しているのは、高齢者の人口が増えているからという理由だけではありません。その背景には、身体機能の低下や、交通環境の変化など、いくつかの要因が関係しています。
参考資料:第3節 歩行者及び自転車の交通事故の傾向
高齢者の自転車が危ない理由とは?
自転車は誰でも気軽に乗れる乗り物ですが、高齢者にとっては思わぬリスクが潜んでいます。その理由を詳しく見ていきましょう。
年齢に伴う身体機能の低下
加齢に伴う身体機能の低下により、自転車の操作が不安定になりやすいです。
特に視野が狭くなり聴力が低下することで、周りの気配を感じ取りにくくなります。後方から近づく車や歩行者に気づきづらいため、衝突の危険性が高まります。
また、筋力やバランス感覚の低下により、急な動きに対応することが難しくなったり、急ブレーキをかけた際に転倒する危険性も高まります。
判断力・認知機能の低下
高齢になると、周囲の状況を素早く判断することや、複数の情報を同時に処理することが難しくなります。
例えば交差点で車の速度をうまく判断できず、渡るタイミングを見誤ってしまったり、歩行者や他の自転車を避ける判断が遅れたりすることがあります。
こうした判断力や認知機能の低下も、高齢者の自転車事故を引き起こす要因です。
交通ルールの理解不足
高齢者は、若い頃に学んだ交通ルールをもとに行動することが多く、近年の交通環境の変化や新しいルールに対応しきれないことがあります。
特に、高齢者は長年の運転経験から「自分は大丈夫」という過信を抱きやすいです。
そのため、これまでの経験や習慣に頼った走行をしてしまい、結果としてルール違反をしてしまうケースが増えています。
自転車の整備不良
ブレーキの効きが悪い、タイヤの空気圧が低いなど、自転車の整備不良も事故の原因となっています。
高齢者は、整備の必要性を感じていても、自分で対応することが難しく、そのまま使用を続けてしまうことがあります。
また、整備に出す手間や費用を惜しむ傾向もあり、自分で点検する習慣がないことも要因です。
高齢者が自転車を安全に乗るための5つのポイント
自転車事故を防ぐためには、適切な対策をとることが重要です。ここでは、高齢者の方が安全に自転車に乗るための方法を5つ紹介します。
ヘルメットを着用する
2023年4月1日から、自転車走行時のヘルメット着用が努力義務となりました。
ヘルメットを正しく着用することで、転倒や衝突時に頭を保護し、外部からの衝撃を和らげてくれます。
特に高齢者は転倒した際に頭を打ちやすく、重症化するリスクが高いため、ヘルメットの着用は非常に有効です。
なお、ヘルメットを選ぶ際は、安全性を示す「SGマーク」などのマークが付いているものを選ぶようにしましょう。
夜間や雨の日の自転車利用を控える
視界が悪い夜間や、路面が滑りやすい雨の日は、できるだけ自転車の使用を避けましょう。
やむを得ず利用する場合は、反射材を身につけ、ライトを必ず点灯させます。
天候の悪い日は、公共交通機関の利用を検討することをおすすめします。
乗り降りしやすい自転車を選ぶ
高齢者が自転車に乗る際、乗り降りのしやすさは安全に直結する重要なポイントです。
まず、ハンドルの先端の高さとサドルの面の高さの差が10cmくらいになるように調整しましょう。サドルの高さは、「サドルに腰をおろして両足が地面に着き、膝が少し曲がる程度」が適正とされています。
サドルを少し低めに設定することで重心が低くなり、安定感が増して乗り降りしやすくなるでしょう。
後ろカゴを取り付けて転倒リスクを減らす
買い物に便利な自転車。しかし、荷物を前カゴに入れると重さでバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高まります。
対策として有効なのが、後ろカゴの取り付けです。
後ろカゴを取り付けるとハンドルを操作しやすくなるため、バランスが取りやすくなり、転倒防止に役立ちます。
自転車保険に入る
事故の際の補償を確保するため、自転車保険へ加入しましょう。
最近は、多くの自治体で加入が義務化されています。
高齢者は転倒や衝突によって大きな怪我を負うリスクが高く、治療や入院が長期化する可能性もあります。
自転車保険に加入しておくことで、万が一事故でも、治療費や賠償金を最小限に抑えることができます。
自転車の代わりの移動手段も検討を
自転車の運転に不安を感じる方は、代わりの移動手段を検討してはいかがでしょうか。
自転車の代わりとなる乗り物には、シルバーカーや電動車いすがあります。また最近は、コミュニティバスや乗り合いタクシーなど、高齢者向けの交通サービスが充実してきています。
これらの代替手段を取り入れることで、身体への負担を減らしながら、安全に外出することができるでしょう。
まとめ
高齢者の自転車事故は、年々増加しています。
その背景には、身体機能や認知機能の低下、交通ルールの理解不足など、年齢に伴うさまざまなリスクが関係しています。
しかし、適切な対策を取ることで、自転車事故のリスクを減らすことは可能です。安全な自転車利用のために、この記事で紹介した対策をぜひ実践してみてください。