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終活

2025.01.27

もしも自分になにかあったら、ペットはどうなるのだろう…

高齢の方やひとり暮らしの方は、ふとした瞬間に不安がよぎることはありませんか?
何か準備をしなければと考えてはいるものの、どこから手をつければよいのか分からない人もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、飼い主の死後にペットを引き渡す先や法的な準備などを詳しく解説します。
愛するペットの未来を守るため、今からできる準備を一緒に考えていきましょう。

飼い主の死後、ペットはどうなるの?

内閣府の「動物愛護に関する世論調査」によると、ペットを飼っている世代別割合は60〜69歳で36.4%、70歳以上で24.1%と、高齢者の3〜4人に1人がペットを飼っていることがわかりました。

「コミュニケーションが取れる」「運動量が増える」など、高齢者がペットを飼うメリットは多いです。しかし、飼い主の死後にペットが行き場を失うリスクもあるのです。

こうした現実を踏まえ、飼い主が生前からしっかりとした準備をすることが、愛するペットの安心と安全につながると言えるでしょう。

参照:内閣府の動物愛護に関する世論調査

法律上、ペットは「物」となる

ペットは「家族の一員」として多くの飼い主に愛されていますが、民法上では「物」として扱われます。

そのため、ペット自身が財産を相続することは、認められていません。
遺言書に「愛犬に◯万円を相続させる」と記載しても、その内容は法律上無効になります。

しかし、ペット自身に財産を渡すことはできなくても、ペットの飼育費用として自身の財産を使ってもらう方法はあります。これにより、飼い主の死後も、愛するペットが適切なケアを受けながら暮らし続けることが可能になります。

孤独死が増加し、ペットが必要なケアを受けられない場合も

高齢者の孤独死が増加する中、ペットが飢餓状態で発見されるという痛ましいケースも少なくありません。

孤独死が発見されるまでの平均日数は、18日です。この間、ペットは餌や水を十分に得られない状態にあります。

また、ペットが生存していたとしても、相続人や引き取り手がいなければ、ペットは保健所に引き取られる可能性が高いです。その後、里親が見つからなければ、最終的に殺処分されてしまうケースも考えられます。

ペットの引き渡しは生前がおすすめ

「自分が亡くなるその時まで、愛するペットと一緒にいたい」と考える飼い主は多いでしょう。

しかし、飼い主が亡くなった後のことを考えるなら、元気なうちにペットの引き渡し先を決めておくことをおすすめします。

飼い主の死後のペット引き渡し先を考える

飼い主の死後、愛するペットが安心して暮らせる環境を確保するためには、「ちゃんとペットの世話を引き受けてくれる人」を探しておくことが大前提です。

いつ、だれに、どこでペットを引き渡すのか、ペットのストレスを最小限に抑えるためにも、負担の少ない方法を選びましょう。

ここでは、相続人がいる場合・いない場合の、ペットの引き渡し先として考えられる具体的な選択肢について解説します。

相続人がいる場合

相続人(子どもや親族)がいる場合、相続人がペットの新しい飼い主となるのが一般的です。
これは、飼い主の死後、ペットは法律上では相続財産となり、相続人がその所有権を引き継ぐことになるからです。

そのため、ペットの引き渡し方法や飼育方法について生前のうちに相続人と話し合い、合意を得ることが大切です。

ペットの飼育を引き受けてもらうかわりに、渡す財産の金額についても全員で共有し、法的な手続きをしっかりと行いましょう。

相続人がペットを引き取れない場合

ただし相続人がいる場合でも、必ずしもペットを引き取ってくれるとは限りません。

たとえば、「マンションがペット禁止」「家族がペットアレルギーを持っている」「ペットの世話をする時間がない」などの理由が考えられます。

その場合、ペットの新しい引き渡し先を見つける必要があります。

相続人がいない場合

相続人がいない場合も、ペットの新しい引き渡し先を見つける必要があります。どのような引き渡し先があるのか、いくつかの選択肢を紹介します。
友人知人を頼る:
もっとも身近な選択肢として、普段からペットと触れ合っている友人や知人に引き取りを依頼する方法があります。ペットを愛している方や、動物に慣れている方であれば、引き受けてくれる可能性が高いです。

その際は、引き渡し後に発生する医療費や食費などの負担についても、事前に相談しておきましょう。ただし、友人知人が高齢の場合は、その方の年齢や健康状態なども考慮しましょう。
里親募集サイトを利用する:
相続人がいない場合、里親募集サイトを活用する方法もあります。
インターネット上には、信頼できる里親募集サイトが多数存在します。ほとんどの里親募集サイトは無料もしくは低料金で利用できるため、経済的な負担が少ないのがメリットです。

引き取り手が見つかるまでに時間がかかることを考え、早めに登録しておくとよいでしょう。
ただし、見知らぬ人にペットを託すことになるため、慎重な判断が求められます。里親候補者との面談を重ね、生活環境や飼育経験を十分に確認することをおすすめします。
愛護団体やNPO法人:
動物愛護団体やNPO法人の中には、シニア世代のペットの引き取りを専門に行っている組織があります。これらの団体は、新しい飼い主が見つかるまでペットを保護し、適切なケアを提供してくれます。

すぐに引き取ってもらえるかどうかは団体の状況によって異なるため、事前に相談しておきましょう。
老犬・老猫ホームの活用:
老犬・老猫ホームは、飼い主の代わりに高齢の犬猫の世話や介護をしてくれる、いわばペット版の老人ホームです。
老犬・老猫ホームでは、ペットの健康管理や日々の生活支援が行われ、高齢のペットが快適に過ごせるように配慮されています。

終身で面倒をみてくれる施設では、終身一括料金が必要な場合があります。終身一括料金の全国平均は、小型犬で120万円、中型犬で160万円、猫で120万円程度です。

生前からできるペットのための法的準備

ここからは、愛するペットに財産を残すための具体的な法的準備を紹介します。
どれも生前から準備できるものです。ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選んでください。

負担付遺贈

負担付遺贈は、信頼できる人にペットの面倒を見てもらうことを条件として財産を渡す方法です。
たとえば、「ペットの世話を条件に500万円を渡す」といった内容を遺言書に記載します。この方法を取ることで、ペットの世話にかかる費用が確実に確保できるため、世話を引き受ける人の経済的な負担を軽減できます。

しかし、ペットの世話を引き受ける側がこの条件を受け入れない可能性もあります。その場合は、家庭裁判所に負担付遺贈の取り消しを請求できます。ただし、取り消しの求ができるのは相続人です。

負担付死因贈与

負担付死因贈与は、生前に契約を結んでおく方法です。飼い主の死後に、ペットの世話と財産の受け取りが同時に発生する契約を結びます。

たとえば「私の死後、愛犬の世話をすることを条件に、〇〇さんに500万円を贈与する」といった契約です。負担付遺贈と似ていますが、事前に相手との合意があるため、より確実性が高いといえます。

ペット信託

ペット信託とは、飼い主の死後に信頼できる人や法人(受託者)へ、ペットの世話と財産の管理を託す方法です。その際の飼育費用は、あらかじめ財産を信託された家族などが支払うこととなります。

契約書や公正証書遺言の作成費用、信託に関する手続きには初年度で45万円〜52万円程度かかる場合もあります。手間とコストがかかりますが、最も確実にペットの未来を守る手段の一つです。
ペット信託のメリット:
ペット信託を利用する最大のメリットは、ペットの生活が保障されることです。受託者の破産や相続の影響を受けないため、財産は確実にペットのために使われます。

また、飼育環境や食事、健康管理など、飼い主が望む方法でペットの世話が行われるよう、契約時に詳細な指示を出すこともできます。
お金の使い方やペットの世話が適切に行われているかが不安な場合は、信託監督人を置いてチェックしてもらいましょう。
ペット信託のデメリット:
契約時にまとまった費用を一括で支払う必要があります。
初年度の費用は45万円〜52万円程度で、その後も100万単位の費用がかかるケースもあります。このため、ペット信託を利用するには金銭的な余裕が必要です。

ペットのために生前から準備をしておきましょう

ペットは私たちの大切な家族の一員です。
飼い主に万が一のことがあったときでも、ペットが安心して暮らせる環境を整えるために、生前から準備をしておきましょう。とくに70歳を過ぎたら、具体的な準備を始めることをおすすめします。

どの方法が自分の状況に合っているかをよく考え、ペットが安心して過ごせる未来を用意してあげましょう。

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