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葬儀

2025.04.23

弔辞を頼まれたけれど、何を書けばいいのかわからない――
そんな不安を抱えていませんか?

弔辞は、故人への最後のメッセージであり、多くの参列者の前で読む重要な言葉です。
そのため、適切な書き方やマナーを押さえておくことが必要です。

この記事では、弔辞の基本知識から書き方のポイント、具体的な例文まで詳しく解説していきます。

初めて弔辞を任された方でも、きっと安心して準備を進められるはずです。

弔辞とは?

弔辞は故人を偲び、最後の別れを告げる大切なメッセージです。

ここでは、弔辞の基本的な意味から、弔辞を読む人は誰か、そして読むタイミングについて詳しく解説します。

弔辞の意味

弔辞とは、故人に対する悲しみや哀悼の気持ちを伝えるために読み上げる文章のことです。

生前の思い出や感謝の気持ちを語ることで、故人とのお別れの場をより特別なものにする役割を持っています。

社葬や団体葬といった規模の大きな葬儀では弔辞が読まれることが多い一方で、家族葬のような小規模な葬儀では弔辞を省略するケースが増えています。

弔辞は誰が読む?

弔辞を読むのは通常1~3名で、故人と親しかった友人、職場の上司や同僚、団体や組織の代表者などが選ばれます。

参列者を代表してお別れの言葉を伝えるため、故人との思い出が多く、その人となりをよく知る方が適しています。

弔辞を読むタイミング

弔辞を読むタイミングは、告別式の中盤、僧侶の読経やお焼香が終わった後です。
ただし、宗教や宗派、地域の慣習によっては、弔辞を読む順番が異なる場合もあります。

弔辞作成の基本マナー

弔辞を作成する際には、いくつかの基本的なマナーを押さえておくことが大切です。

適切な長さ

弔辞の長さは、3分~5分が一般的とされています。

文字数にすると、1,000文字程度。
400字詰めの原稿用紙2~3枚分を目安にまとめるのが適切です。

使用する筆について

弔辞を書く際は、薄墨の筆ペンまたは毛筆を使用するのが基本です。

これは、故人を失った悲しみのあまり「涙で墨が薄くなってしまった」「涙でにじんでしまった」という意味を込めたものです。

薄墨が用意できない場合は、代用として万年筆の使用、パソコンでの作成も許容されています。
パソコンで作成する場合は、毛筆風のフォントを使用することで格式を保つことができます。

書式

弔辞は、奉書紙を使うのが正式なマナーですが、市販されている弔事用の便箋セットでも問題ありません。

弔辞用の紙が用意できたら、右から左へ縦書きで記入します。

まず、冒頭には「弔辞」と記しましょう。
本文はやや大きめの文字で書くと、読みやすくなります。

最後に、本文の終わりから少しスペースを空け、日付と名前を記入します。

包み方

奉書紙を使用する場合は、弔辞を紙の中央に置き、右から左の順でたたみます。
余分な部分は上下に折り、表書きを書く面の後ろに折り込む形にします。

包み終わったら、おもて面に「弔辞」と書いて表書きが完成です。

封筒を使用する場合は、一重の封筒を選びましょう。
封筒の表面にも「弔辞」と記入し、これで表書きは整います。

弔辞の構成と書き方のポイント

ここからは弔辞の基本構成から、避けるべき表現、関係性に応じた言葉遣い、さらには宗教的配慮まで詳しく解説します。

基本の構成

弔辞は、以下の4つの構成要素を踏まえると、しっかりとした形になり、故人への敬意が伝わります。
1. 出だし
故人が亡くなったことへの深い悲しみを表現し、悼む気持ちを述べる。

2. 故人と自分の関係
参列者や遺族が故人との関係を理解できるように伝える。
具体的なエピソードを加えるとよい。

3. 故人の人柄や具体的な思い出
故人の人柄や、印象的なエピソードを交えて紹介。
優れた業績や思い出深い出来事を挙げて、故人への敬意を示す。

4. 結び
故人への感謝と永遠の別れを惜しむ気持ち、遺族への励ましの言葉などを述べて締めくくる。

避けるべき言葉・表現

弔辞を作成する際、重ね言葉や縁起が悪い言葉、不吉な言葉、死を直接連想させる言葉は避けましょう。
重ね言葉
・まだまだ
・ふたたび
・今一度
・くれぐれも
・しばしば
・重ね重ね
・ますます
・次々
・度々
・重々
縁起が悪い言葉・不吉な言葉
・消える
・終わる
・壊れる
・崩れる
・切れる
・離れる
・九
・四
死を直接連想させる言葉
「死亡」「死んだ」などの直接的な表現は避け、「お亡くなりになった」「ご逝去された」など、より穏やかで丁寧な表現を用いましょう。

宗派の理念に沿った言葉を選ぶ

弔辞を書く際には、故人や遺族の宗教や宗派に配慮し、それぞれの教えに沿った言葉を選ぶことが大切です。

例えば、浄土真宗では、故人の魂は冥土の世界で過ごさないという教義があるため、「ご冥福をお祈りいたします」ではなく、「謹んで哀悼の意を表します」「謹んでお悔やみ申し上げます」など、表現がふさわしいとされています。

一方、神道の場合は「御霊のご平安をお祈りいたします」という表現を、キリスト教では「安らかに眠られますようお祈りいたします」などの表現を用います。

弔辞の例文

ここでは親族、友人・知人、職場関係者それぞれに向けた弔辞の例文をご紹介します。
これらの例文を参考にしながら、心のこもった弔辞を作成してください。

親族向け弔辞の例文

本日は父、〇〇の葬儀に際し、多くの皆様にお集まりいただき、心より感謝申し上げます。
長男として、代表してお礼を申し上げます。

父は75年の生涯を通じて、いつも家族を第一に考え、私たち子供や孫のために尽くしてくれました。

休日には必ず家族で出かけ、特に海が大好きだった父は、毎年夏になると海水浴に連れて行ってくれました。
波の立て方や砂浜での城の作り方を教えてくれた父の笑顔は、今でも鮮明に思い出せます。

仕事では建築士として40年間働き、多くの建物を手がけました。
その几帳面さと責任感の強さは、周囲からも信頼され、私たち子供の手本でもありました。

晩年は趣味の園芸に打ち込み、庭には四季折々の花が咲き誇り、近所の方々の目を楽しませていました。

最後に父は、長い闘病生活を経て、家族に見守られながら安らかに息を引き取りました。
父の教えてくれた多くのことは、これからも私たち家族の中で生き続けます。
どうか安らかにお眠りください。

ありがとう、お父さん。
令和〇年〇月〇日
長男 △△

長年の友人への弔辞例文

本日ここに、私の親友・〇〇の葬儀に参列された皆様に、心より御礼申し上げます。
友人代表として、弔辞を述べさせていただきます。

こうしてあなたの遺影を仰ぐことになろうとは、本当に言葉にし尽し難い心境です。
あなたとの初めての出会いは、大学の入学式でした。

偶然隣に座ったあなたが、同じ学部の同じ専攻で、好きな映画の話でとても盛り上がり、そこからは学生生活をいつも一緒に過ごしましたね。

初めて一緒に映画に行き、遅くまでその映画について「あれが良かった」「あのシーンはこういう意味なんだ」なんて語り合ったことを、今でも鮮明に覚えています。

その後は互いに別の道に進みましたが、いつも私のことを心配してくれて、会える時は一緒に映画を観に行きましたね。

私の職場での悩みにも真剣に向き合ってくれて、あなたは本当に優しい方でした。
やがて互いに結婚し、住む場所も離れ、会うことも少なくなってしまいましたが、くじけそうな時はいつもあなたがそばにいてくれたような気がします。

今はもう、あなたと一緒に映画を観に行くことはできなくなってしまいました。
悲しい気持ちで胸がいっぱいです。

でもこれからは、あなたがくれた優しい言葉を胸に、前を向いて生きていこうと思います。
残念ですが、最後のお別れを言う時が来てしまいました。
また私が天国に行ったら映画でも見ようね。

さようなら。
今はどうか安らかにお眠りください。
令和〇年〇月〇日
友人 △△

職場の上司への弔辞例文

本日、〇〇部長のご葬儀にあたり、会社を代表して謹んで哀悼の意を表します。
私は同僚の△△と申します。

〇〇部長は、当社に30年間勤務され、営業部門の発展に大きく貢献されました。
特に5年前の会社の危機に際しては、先頭に立って新規顧客の開拓に尽力され、会社の立て直しに大きな役割を果たされました。

仕事には厳しく、決して妥協を許さない方でしたが、部下思いの温かい上司でもありました。

私が入社したばかりの頃、大きなミスをして落ち込んでいた時も、「失敗から学ぶことが大切だ」と励ましてくださいました。

その言葉に支えられ、今の自分があります。

また、部内のコミュニケーションを大切にされ、毎月の食事会では、仕事の話だけでなく、趣味や家族の話で場を和ませてくださいました。

部長のユーモアと優しさは、私たちの心に深く刻まれています。

〇〇部長の意志を継ぎ、私たちはこれからも努力を重ねてまいります。
どうか安らかにお眠りください。
令和〇年〇月〇日
〇〇株式会社 営業部 △△

弔辞の流れと読む際に心がけること

弔辞を読む際は、手順に沿って進めましょう。

まず、司会者に指名された後は、起立して祭壇前に進みます。
ここで、ご遺族や参列者、そして遺影に向かって一礼します。
その後、弔辞を広げてしっかりと目を通しながら、心を込めて読み上げましょう。

弔辞を読み終えたら、弔辞をたたみ、祭壇にそっと捧げます。
その後、遺影とご遺族、参列者に向かって再度一礼をし、着席します。

弔辞を読む際に心がけることは、ゆっくりと明瞭に読むことです。
もしも感情が込み上げて声が詰まった場合は無理をせず、一息ついてから続けます。

弔辞は故人への最後のメッセージですので、心を込めて読み上げましょう。

弔辞を断ることはできるか

弔辞の依頼を断ることは可能です。

健康上の理由や人前で話すことが極度に苦手な場合など、正当な理由があれば丁寧に断ることができます。

ただし、弔辞を断る際は、遺族の気持ちに配慮しながら、早めに意思を伝えることが大切です。

まとめ

弔辞は、故人への最後のメッセージであり、その人生を称え、遺族や参列者と共に偲ぶ大切な役割を果たします。

弔辞を作成する際は、3分から5分程度の長さを目安にし、弔事用の便箋や奉書紙に、心を込めて丁寧に記すことが望ましいです。

当日は故人への敬意と感謝の気持ちを込めて、ゆっくりと読み上げるようにしましょう。
もし弔辞を依頼され、不安を感じることがあれば、本記事を参考にしながら準備を進めてください。

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