葬儀後に行われる「精進落とし」。
喪主や遺族として、どのように進行すればよいのか不安を感じる方も多いでしょう。
また、参列する側にはどのような配慮が必要なのかも気になるところです。
この記事では、精進落としの意味や当日の流れ、喪主・参列者それぞれが気をつけたいマナーについて分かりやすく解説します。
精進落としとは?
精進落としとは、葬儀後に設けられる会食の場で、故人を偲びつつ参列者や僧侶に感謝を伝えるための席です。
精進落としの意味と由来
精進落としの名前の由来は、肉や魚を断つ「精進」の期間を「落とす(終える)」から来ています。
「喪に服していた期間に終わりを告げて、通常の食事に戻る」という意味があり、四十九日の法要後に行うのが一般的です。
現代の精進落とし
現代では、四十九日を待たずに、葬儀当日や初七日法要の後に、参列者や僧侶をもてなす会食の場として「精進落とし」が行われることが増えています。
精進落としの流れ
精進落としの流れは、挨拶→会食の開始→終了の挨拶となります。
ここではより具体的な流れについて説明します。
挨拶
精進落としの席では、僧侶や参列者が着席したのを確認した後、喪主または親族代表が挨拶を行います。
挨拶では、葬儀が滞りなく執り行われたことを報告するとともに、参列者へ感謝の気持ちを伝えます。
会食の開始
会食は通常、年長者や来賓による献杯の音頭から始まります。
会食時間は通常1〜2時間程度で、長くても3時間を超えないようにするのがマナーです。
終了の挨拶
参列者の食事の進み具合や、帰宅の時間を考慮しながら、適切なタイミングで終了の挨拶が行われます。
地域によっては手土産や引き出物を渡す習慣があります。
料理の手配と席次について
精進落としで提供する料理や席次の決め方は、会の雰囲気や参列者の満足度に大きく影響します。
ここでは料理の選び方から手配方法、相場、そして席次の決め方まで詳しく解説します。
料理の選び方
精進落としの料理は、参列者の人数や年齢層に配慮して選ぶことが大切です。
特に高齢者や子どもがいる場合は、食べやすい料理や軽食も含めると配慮が感じられます。
料理は、お祝いを連想させる鯛や伊勢海老といった食材は避けるのがマナーです。
また、アルコールとノンアルコールの飲み物を用意しておくと、参列者の好みに対応できます。
料理は、斎場や料亭、レストランで行う、仕出し弁当を手配するなどの選択肢があります。
精進落とし専用メニューを用意しているお店もあるので、事前に問い合わせてみましょう。
料理の相場
精進落としの料理の相場は、1人あたり3,000〜8,000円程度で、飲み物代が別途かかります。
火葬場周辺のお店のメニューを、事前に調べておくことをおすすめします。
席次の決め方
精進落としの席次は、故人の遺影や遺骨により近い位置から順に決めていきます。
席次は、僧侶が最上座(上座)、喪主や遺族は末席(下座)に座るのが一般的です。
小さな子どもを連れた参列者がいる場合は、不意に泣き出したり、お手洗いに行くことを考慮して入り口近くに案内するとよいでしょう。
喪主・遺族が知っておくべき精進落としのマナー
精進落としを執り行う喪主や遺族は、細やかな気配りが必要です。
ここでは、喪主と遺族が知っておくべき精進落としのマナーを紹介します。
招待制にする
精進落としは、近親者や故人と親しかった方を対象に招待制とするのがマナーです。
招待制にすることで、参列者は参加の可否を判断しやすくなり、喪主は食事の手配や席次の調整をスムーズに進めることができます。
招待する人数は、会場のキャパシティや予算に合わせて調整しましょう。
献杯のお願いは事前に伝える
通常、献杯は年長者や故人と親しかった方にお願いします。
献杯の発声をお願いする際は、葬儀の日時をお知らせする時点で「献杯をお願いできますか?」と声をかけておきましょう。
当日は献杯者が挨拶しやすいように、マイクの準備や立ち位置の案内をするとスムーズです。
挨拶回りは目上の方から始めるのがマナー
献杯の発声後、遺族は飲み物を持ち、各テーブルへ挨拶に回ります。このとき、目上の方から順に回るのがマナーです。
一人ひとりに対して、「お忙しい中ご参列いただき、ありがとうございます」などと簡潔に感謝の言葉を伝えましょう。
参加できない方、早く帰る方への配慮も忘れない
精進落としに招待したが参加できなかった方や、途中で帰らなければならない方への配慮も重要です。
参加できない方には「お心遣いありがとうございました」と、後日電話や手紙でお礼を伝えるとよいでしょう。
早く帰る方に対しては、「お忙しい中お越しいただき感謝しています」と伝えます。
必要に応じてタクシーの手配をしましょう。
僧侶が参加しない場合はお膳料とお車代を包む
僧侶が精進落としへの参加を辞退した場合、お礼の気持ちとしてお膳料とお車代を包んでお渡しします。
お膳料、お車代ともに5,000円〜1万円が相場です。
白無地の封筒を2つ用意し、それぞれ別々に包むのが一般的なマナーです。
なお、僧侶を遺族が送迎する場合、お車代は不要です。
参列者が気をつけるべき精進落としのマナー
次に、精進落としに参列する側のマナーを紹介します。
お酒は飲みすぎない
精進落としではお酒が提供されることが多いですが、飲みすぎないよう注意が必要です。
精進落としは、故人を偲び、遺族に寄り添う場です。
お酒は適量を守り、他の参列者との会話を楽しみながら、節度ある振る舞いをしましょう。
死に直結する話題は避ける
精進落としの席では、「あの時の病状は」「最期はどうだったか」というような、死や病気に直結する話題は避けるのがマナーです。
故人との生前の思い出や、故人の人柄が伝わるエピソードなど、前向きな話題を心がけるとよいでしょう。
精進落としに関するよくある質問
ここでは、精進落としに関するよくある質問をまとめました。
火葬中に精進落としはできるか?
地域によっては、火葬中に精進落としをする習慣があり、火葬場の控室で執り行われます。
移動する手間が省けるというメリットがありますが、火葬の進行状況に左右されるというデメリットもあります。
なお、火葬中に精進落としが可能かどうかは、事前に葬儀社に確認しましょう。
通夜振る舞いとの違いは?
通夜振る舞いは通夜の後に行われる簡素な食事会で、一般参列者も参加するケースが多いです。
一方、精進落としは初七日法要後や火葬後に行われる、近親者や親しい方々を招いた本格的な会食です。
規模や料理の内容などの違いはありますが、どちらも故人を偲ぶ場であることに変わりありません。
精進落としをしない場合もある?
精進落としは、葬儀の規模が小さい、遠方の参列者が多いなどの理由で省略されることがあります。
精進落としを行わない場合、事前に参加者にその旨を伝え、その代わりに持ち帰り用の弁当や返礼品を用意しましょう。
まとめ
精進落としについての基本的な知識や当日の流れ、気をつけたいマナーについてご紹介してきました。
参列する立場でも主催する立場でも、事前に知っておくことで安心して当日を迎えられるはずです。
精進落としが故人を偲ぶ大切な場であることを忘れず、節度ある行動を心がけましょう。