享年とは?数え方や行年との違いをわかりやすく解説
享年とは何か? 数え方や意味、行年との違いを丁寧に解説します。葬儀や法事、喪中はがきでの正しい使い方や例文も紹介。初めての方にもわかりやすく、高齢の方にも安心して読める内容です。
葬儀や法要の準備の中で、「享年(きょうねん)」という言葉を目にすることがあるかもしれません。
普段あまり使うことのない言葉のため、「どのように使えばいいのか」「行年との違いは何か」と疑問に感じる方も多いでしょう。
「享年」は、亡くなった方の年齢を「数え年」で表す伝統的な表現であり、葬儀文書や法事の場面で使われることが一般的です。
この記事では、享年の意味や数え方をはじめ、行年との違い、使用シーンに応じた使い分けや例文をわかりやすくご紹介します。
享年とは「数え年で表す死亡年齢」
享年とは、亡くなった方の年齢を「数え年」で表す言葉です。
数え年とは、生まれた時点を1歳とし、以後は元日を迎えるたびに1歳ずつ加える年齢の数え方です。
これは「天から授かった年数」という意味合いを持つ、仏教的・伝統的な考え方に基づいています。
例えば、12月生まれで翌々年1月に亡くなった場合、実年齢は1歳1ヶ月ですが、享年では「3歳」と表記されることがあります。
数え年の例
12月:誕生(実年齢 0歳/数え年 1歳)
翌年1月:元旦(実年齢 0歳1ヶ月/数え年 2歳)
翌年12月:誕生日(実年齢 1歳/数え年 2歳)
翌々年1月:元旦(実年齢 1歳1ヶ月/数え年 3歳)
なお、「享年六十八」などと、漢数字で表記し「歳」はつけないのが正式な形です。
行年とは「満年齢での死亡年齢」
行年とは、亡くなった方の年齢を「満年齢」で表す表現です。
満年齢とは、誕生日を迎えるごとに1歳加える、現代の一般的な年齢の数え方です。
行年は「この世で修行した年数」という意味合いを持つこともあり、仏教的な背景をもつ表現でもあります。
行年は、実生活に近い感覚で年齢を伝えるため、新聞の訃報欄や公式文書では行年が使われることも増えています。
享年・行年の数え方の違い
満年齢80歳の方を例に、表現の違いをまとめました。
享年
数え年による死亡年齢
表記例:享年八十二
行年
満年齢による死亡年齢
表記例:行年80
享年・行年の使い分け
それぞれの表現を使う際には、以下のポイントを押さえておくと安心です。
【享年】
・ 数え年で計算する(実年齢+1歳が基本。誕生日ではなく元旦を境に年齢をプラス)
・ 漢数字で表記し、「歳」は付けない(例:享年九十)
・ 仏教の儀式や法要でよく用いられる
【行年】
・ 満年齢で計算(実年齢そのまま)
・ 実生活に近い表現で、年齢が分かりやすい
・ 故人の年齢を正確に伝えたい場合に適している
これらを踏まえ、文脈や使用する場面に応じて最も適した表現を選ぶようにしましょう。
享年・行年の使用シーン
葬儀や法要、喪中はがきなど、使用シーンにより、享年・行年どちらを使うべきか迷ってしまう方もいるかと思います。そんなときは、下記を参考にしてみてください。
【言葉の選び方のポイント】
伝統や宗教色を大切にしたい → 享年
実年齢で伝えたい、わかりやすさ重視 → 行年
【使用シーン別】
葬儀の案内文や法要のお知らせ : 享年(数え年)
数え年による表記が伝統的で仏教的意味合いが強いため
現代的なプロフィールや履歴紹介 : 行年(満年齢)
満年齢での正確な年齢がわかりやすく、誤解が少ないため
喪中はがき : 享年または行年
どちらも使えるが、享年がやや格式高い印象を与える
葬儀や法事での「享年」の使い方例文
実際に葬儀の場面で「享年」を使う際の表現例をご紹介します。
例1:〇〇〇〇儀 享年八十八にて永眠いたしました。
例2:父 〇〇〇〇儀 去る令和七年三月一日永眠 享年七十。
例3:〇〇〇〇儀 長年にわたり多大なるご厚情を賜り、誠にありがとうございました。享年九十にて永眠いたしました。
このように、「歳」の文字はつけず、漢数字で表記することが基本です。
喪中はがきでの「享年」の使い方例文
喪中はがきでは、亡くなった方の年齢を伝えるために「享年」が使われることがあります。
例文1:本年五月に父〇〇が永眠いたしました(享年八十五)
例文2:祖母〇〇〇〇が享年九十二にて永眠いたしました
わかりやすさを優先する場合、「85歳で亡くなりました」と満年齢表記にするケースもあります。
まとめ
「享年」は数え年による伝統的な表現で、葬儀や法事など厳粛な場で用いられます。
一方、行年は現代的で実年齢を示すのに適しています。
故人を敬い、丁寧に見送るための適切な使い分けの参考になれば幸いです。