浄土真宗とは
浄土真宗 線香
浄土真宗とは日本の仏教の一派の一つであり、親鸞を祖として開かれ、現在は日本で最も多い宗派となっています。
浄土真宗の基本的な考え
この世にいるすべての人間は阿弥陀の力によって浄土に行くとされるのが浄土真宗に特有の考えです。
そのため阿弥陀の力の存在に気づいた上で、普段の生活の中で教えを実践する事が求めらています。
他の仏派が修行によりかつて仏が至った悟りに近づく事により救われると説くのに対し、浄土真宗は阿弥陀の存在を自覚する事を最重視します。
そのため日々の修行ではなく、仏の教えに気づいた上でただ日々の生活の中で念仏等の教えに基づいた行為を実践することが浄土真宗では肝心であるとします。
浄土真宗の法要に関しては、こちらを見て下さい。
浄土真宗の法要とは?種類や準備の仕方、流れ、服装を解説
第三人生編集部
浄土真宗の法名(戒名)とは
卒塔婆
浄土真宗は他の仏教宗派とは異なる点がいくつかあり、阿弥陀の救いを絶対視する事から固有の物が幾つか存在します。
法名もその一つです。
俗名とは違う仏教側に特有の名前として似たものに戒名が挙げられます。
法名も戒名も同じ物として捉えられがちですが、本質は決定的に異なります。
戒名とは
なぜ戒名でなく法名と言うのか
これら2点に関して解説していきます。
戒名とは
戒名を祭壇に
他の仏教派で使われているのが戒名であり、浄土真宗では用いません。
「戒」は即ち、故人の方が亡くなった後に戒律に沿った修行を行い、悟りへの研鑽を積む意から使われます。
修行によりかつて仏が悟りを開く上で歩んだ道と同じ正しい道を歩んだ人々に対し、亡くなった後に仏が浄土に導くとされてるのが他派の考えです。
戒を示す、つまり仏弟子の一人であり、仏の教えを守った人生を送る事を仏に対し伝えることができるとし、極楽浄土に導かれるためにつける名前が戒名です。
戒名を付ける事で生前の行為への囚われをなくす
先に述べた考えに加え、私たちが普段使う名前ではなく、戒名を付ける理由は他にもあります。
仏の弟子として修行の身になる際に初めにするべきことが、生前の事物への執着を取り払う事です。
このため、生前の自身に繋がる俗名ではなく、仏の教えを厳格に守る意味合いも込めて戒名を付けます。
戒名に関しては、こちらも見て下さい。
戒名とは?宗派別の付け方やランク別の値段を解説!生前戒名も
第三人生編集部
なぜ戒名でなく法名と言うのか
戒名のつけ方
亡くなった後、あらゆる人は阿弥陀の導きにより浄土に行くというのが浄土真宗に特有の死後の捉え方です。
ゆえに救いや悟りを求めるための修行や戒律の順守を重要視しません。
阿弥陀の浄土へ人々を導く力を「法」と呼びます。
浄土に人々を導く阿弥陀の力を信じ、その教えに気づくことこそが救いに繋がるのが浄土真宗の考えです。
修行をするのが不可能な方も等しく阿弥陀によって救われるという考え、及び、阿弥陀の教えに日頃から耳を傾ける意味から、阿弥陀の力に由来する名前として、法名と呼ばれます。
戒名と異なり、法名は生前に付けられる
浄土に向かうための修行は生前では十分に行う事ができないというのが仏教一派に共通した考えです。
そのため、戒名では次の世で悟りを開けるよう、死後に仏門に下り修行の身になることから逝去後に名を受け取ります。
しかしながら、法名は死が名前を受け取る機会とはなりません。
浄土真宗を信ずる者の一人となる事を示す名前が法名です。
阿弥陀の教えを自覚し、日々の生活の中で実践することで浄土へ導くと考えるのが浄土真宗の捉え方であり、法名も門徒となる際に行う帰敬式でうけます。
戒名や法名の違いについては、こちらを見て下さい。
戒名・法名・法号の付け方を宗派別に解説!自分でつけることは可能?
第三人生編集部
浄土真宗の法名(戒名)を授かる方法
浄土真宗墓
戒名が故人となって初めて送られるのに対し、法名は浄土真宗の仏教者となった時点で僧侶の方から授かります。
浄土真宗の信仰者となる自覚を持ち、阿弥陀仏に対し、その教えに則って生きていくことを誓う式が帰敬式です。
別名おかみそりとも呼ばれます。
帰敬式の中で法名を授かるまでの流れ
帰敬式を受ける際の注意点
これらについて解説します。
帰敬式の中で法名を授かるまでの流れ
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行う寺院の地域や宗派により異なりますが、実際の帰敬式は以下のように行われます。
順 内容
① 法話
② 開式の辞
③ 真宗宗歌斉唱
④ 三帰依文
⑤ 執行の辞
⑥ 法名伝達
⑦ 誓いの辞
⑧ 勤行
⑨ 恩徳賛斉唱
⑩ 閉式の辞
帰敬式については、こちらを見て下さい。
帰敬式とは?服装・お布施・流れを解説!持ち物や受式後の生活は?
第三人生編集部
帰敬式を受ける際は
浄土真宗仏殿
かつては限られた寺院のみでしか帰敬式は行われてませんでしたが、現在では各地で行われています。
帰敬式は基本は毎日行われています。
個人で受式を受ける場合は、特別な日取りもないので、前々からの連絡や帰敬式を受けるためにわざわざ用事を開けておく必要もありません。
受式を決意した際は、当日に式を受ける寺院の受付で申し込みを行ってください。
その際に御礼金が必要になります。
一万円の所が多いですが、予め金額については確認を取ってから望むようにしましょう。
一方、
住職の方に依頼し、住職の方が選んだ名前でもって法名を授かる方
団体で帰敬式を受ける方
は受式予定日よりも一ヶ月程前に手続きなどが必要となる事があります。
適宜、寺院の方と相談をしておきましょう。
浄土真宗の法名(戒名)の付け方
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法名は浄土真宗の信者となる際に頂く名であり、基本は生前に受け取る点でも、他派の信者の方が死後に頂く戒名とは大きく異なります。
法名の構成
法名自体の文字数
これらについて説明します。
構成
文字を書く
法名は「釈○○」の三文字で原則構成されます。
釈は帰敬式を受けた人々すべてに共通する文字であり、必ず法名の頭に置かれます。
仏の弟子であることを示すものです。
後の二字に関しては基本は寺院の方から選定された二文字となるのが普通です。
しかし、以下のように法名を自身の希望に沿った名前にする事も可能です。
自身の希望の名前を法名とすることも
戒名では私たちが使う俗名を俗世の囚われの象徴として修行の際に使うのを避けます。
戒名は名を受け取った方が修行を積むことを前提として付けるものですが、一方、法名は阿弥陀の教えに気づき、それに則った生活を行うことを示す意味合いを持ちます。
このように法名は修行の意味あいとかけ離れているため、法名に自身の名前の一字を使用する事も可能です。
自身が望む名を法名とする事を内願法名といいます。
原則、内眼法名により帰敬式を行う際は、式の二か月前に式後に所属する寺院の申請が必要となります。
また、通常の受式にあたり必要な御礼金1万円に加えて、内願法名懇志として1万円が必要になるので注意しておきましょう。
法名自体の文字数は関係があるのか?
はてな
他派では受け取った名前の文字数が長い程、仏門に下った後の研鑽を積み重ねた証とされます。
そのため、実際に戒名を付ける際には文字が長くなる程、必要な金額も多くなります。
しかし、浄土真宗では名前に修行の意を含まないため、文字数による差は存在しません。
一般的には「釈○○」の三文字が法名の文字数となります。
院号を付ける事も
生前の寺院に対する貢献度や社会的な実績を考慮し、寺院の方から法名とは別に名を授かる事があります。
「○○院」と記されるこの名前が院号です。
院号は法名の前につけられるため、「○○院釈○○」の合わせて六文字が法名となる場合もあります。
なお、院号により確かに字数は増えますが、戒名のような階級等の意味合いはなく、あくまで寺院からの賞賛として付けられます。
浄土真宗の法名の階級と法名料の相場
相場
一つ前の項目ではそもそもの文字の構成について戒名と比較しながら、説明を行ってきました。
この項目では、
浄土真宗の法名の階級の有無
受け取る際の相場
これらについて述べてきます。
法名では戒名と違い階級は存在しない
お墓
戒名には階級が存在し、文字数が多い程悟りに近づいたとして階級が上とみなされます。
しかし、浄土真宗では阿弥陀の教えは人々に分け隔てなく通ずる考えから法名にも階級が存在しません。
法名料の相場
金額
戒名と違い法名は名を受け取る際のお布施等は必要ありません。
法名を受け取るあたりかかる費用は帰敬式の御礼金のみです。
宗派 金額
本願寺派 1万円(20歳以上)/5千円(19歳以下)
大谷派 1万円(21歳以上)/5千円(20歳以下)
興正派 1万円
木辺派 1万円
上の表にあるように浄土真宗自体の宗派により多少差異が存在します。
また、生前に帰敬式に臨まなかった方はお布施の中に法名料が含まれます。
葬儀の際には数十万円ほどとなりますが、通常の法名料とは別個の物として捉えて下さい。
戒名の金額に関しては、こちらを見て下さい。
戒名のランクごとの金額!戒名の付け方や注意点、変更はできる?
第三人生編集部
意義を知ったうえで、名を受け取る
今回は浄土真宗の法名について浄土真宗に特有の救いの捉え方、そして戒名との差異を踏まえた上で解説をしてきました。
主な概要を下に示します。
浄土真宗独自で付けられる名を法名と言い、戒名とは異なる
戒名が死後に頂く名であるのに対し、法名は生前の帰敬式で付けられる
戒名は文字数に基づいた階級が存在するが、法名に階級などは存在しない
法名を頂く際に必要な金額は法名料のみで約1万円程
現在は法名を受ける際の式に参加するにあたっての寺院に対する制約はほとんど存在しません。
しかし、かつては法名を受け取る際に本山にあたる一つの寺院で行われる帰敬式に臨むことが必須でした。
繰り返しになりますが、法名はあくまで浄土真宗に下った際に名付けられる名前です。
浄土真宗では門下となった時点で阿弥陀の救いを信じ、日々の生活の中で教えを守り生きていくことを誓います。
ゆえに、法名は阿弥陀の救いを信じる証となります。
戒名と同様に考えがちですが、浄土真宗の教えを踏まえた上で、法名をもう一度捉えなおしてみましょう。