お盆の料理とは
精進料理
お盆では、精進料理を食べて仏壇に様々なものをお供えします。しかし、一概に『お盆料理』と言っても、何を準備したら良いかは難しいものです。
順に説明します。
精進料理
使ってはいけない食材
派生したもの
精進料理
一般的にお盆の精進料理は、
肉を使わない
魚を使わない
高タンパク
低カロリー
以上のようになっています。本来お坊さんが食べていた料理なだけあり、非常に質素な食事となっています。
仏教には厳しい決まりごとが存在しています。お坊さんたちは日々精進し、鍛錬を行なっていました。
動物を殺さない と言うことから肉食はせず、野菜中心の料理になっています。
揚げ物もある
しかし、お盆の精進料理の中には 『精進揚げ』 があります。これは、野菜を使ってはいるものの、揚げ物料理です。
精進料理ばかり食べているお坊さんは栄養が足りない、なんてことはなく、きちんとカロリーを取ることもできます。
対義語
お盆の精進料理の対になっているのは、 『生臭料理(なまぐさ)』 です。『生臭』というとあまりいいイメージは浮かびませんが、 魚や肉を使った料理 のことを表しています。
『生臭坊主』と言う言葉もあるように、昔のお坊さんは肉や魚を食べることはできませんでした。しかし、現在はお坊さんも肉を食べても騒がれないようになっています。
使ってはいけない食材
お盆の料理は、主に野菜中心のものです。しかし、野菜の中でも食べてはいけないものが存在します。
主に食べてはいけないのは、
五辛(ごしん)
五葷(ごくん)
と言うものです。では、具体的に見ていきます。
項目 特徴
五辛 辛味
五葷 臭み
五葷は五辛の別名ですが、微妙に内容が違います。しかし、同じと思って良いでしょう。
どちらも主に、
ネギ
ニラ
ニンニク
はじかみ
らっきょう
などを示しています。これらのものは、野菜ですがよくないとされています。
上記のものは、精力がつくと言われており、修行をしているお坊さんにとってその気持ちは必要ありません。清い心で修行に望むためには食べてはいけないとされていました。
派生したもの
お盆の精進料理は、現在食べられている色々な料理に派生しています。その中でも、
豆腐
味噌
醤油
油揚げ
などが主なものです。これらものは、 大豆を加工する ことから応用されています。
精進料理は前述したように、質素で低カロリーです。しかし、十分な栄養を取ることができないと体調を崩しかねません。
そのため、禁止されておらず、しかも高タンパクな大豆がよく食べられるようになりました。上記の通り、様々な加工ができるので、味に飽きることがないのも魅力です。
精進料理を供える理由
理由
諸説ありますが、ここでは仏教に関係した理由について紹介します。
仏教の教えの中には、「五戒」という守るべき5つの戒律が存在します。
その中の1つに、「不殺生戒」というむやみに生き物を殺してはならないという教えがあり、それに反する動物肉や魚はお供えしてはいけないので精進料理をお供えするのです。
お盆の料理をお膳立て
精進料理
お盆料理には、お膳立てをします。主な形式は、
一汁三菜
一汁五菜
以上です。文字を見てわかるように、一汁五菜の方が2つおかずが多いです。
では、これらについて見ていきましょう。
一汁三菜
一汁三菜の料理は、
白米
お汁
煮物
和え物
炒め物
以上のものを主に並べます。一汁三菜でも、十分に格式のある御膳です。
一汁五菜
一汁五菜は、言葉の通り一汁三菜より2つ種類が多いです。そのため、一汁三菜よりもさらにてい丁寧な形でお膳立てすることができます。
では、主なおかずを確認していきます。
お皿の種類 おかず
漬物皿 キュウリ・ナスの浅漬
平皿 がんもどき結び昆布いんげんの煮物
膳皿 大根 人参きゅうり薄揚の胡麻あえ
小皿 きんぴらごぼう
つぼ ひじき
猪口 煮豆
以上のものを準備します。これらを増減することで対応できるのできちんと把握しておきましょう。
お盆のお供え物
お盆 お供え
では次に、お盆のお供え物を確認します。お盆には、先祖の方々がやってくるためお供え物をする必要があります。
お盆のポピュラーなお供え物は、
フルーツ
花
そうめん
精霊馬
以上のものです。では、それぞれ具体的に見ていきましょう。
フルーツ
果物
フルーツはお供え物の定番です。特に良いとされているのは、
スイカ
ぶどう
桃
梨
メロン
などのフルーツです。なせこれらのものが良いかというと、 丸いから とされています。
丸いものは、『円』の形、つまり『縁』を表すという意味合いが込められているのです。また、これらは日持ちもするので、下げた後も美味しく食べることができます。
必ず奇数で
お供えをする際には、必ずフルーツの数を奇数でお供えしましょう。奇数は割り切れないため、『ご先祖との縁が切れない』とされています。
バスケットなどに入った盛り合わせのものをお供えする際にも、中のフルーツが奇数になっているか必ず確認しましょう。
切り分けてお供え
フルーツをお供えする際には、供える前にカットを行いましょう。一般的には、
皮を剥く
切り分ける
皿に乗せる
以上の形でお供えします。下げた時に食べやすいのもありますが、根本には『先祖と同じものを食べる』というマナーから来ています。
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花
お花
では次に、お盆にお供えするお花を説明します。お供えすると良いとされている花は、
種類 花言葉
菊 高尚・高貴清浄真実の愛
リンドウ 誠実悲しみに寄り添う
キンセンカ 慈愛別れの悲しみ
トルコキキョウ 清々しい美しさ
アイリス 儚いあなたを大切にします
グラジオラス 楽しい思い出悲哀・慈悲純真な愛情
以上のお花です。花言葉の素敵な意味をふまえ、お供えする花を選びましょう。
NGな花
宗教や地域差はありますが、お供えにNGとされている花も存在します。
トゲのあるもの
強い香りのもの
毒のあるもの
これらのものは避けるのが無難です。すべて縁起が良くないとされており、ご先祖様にも喜ばれません。
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第三人生編集部
そうめん
夏に定番のそうめんもお供えに良いとされています。その理由としては、
縁起をかつげる
仏様との深いかかわり
疫病の予防
これらのことからです。では、詳しくし見ていきましょう。
縁起をかつげる
そうめんは細長いものです。そのため、『喜びや幸せが細く・長く・続いていく』という意味を込めてお盆お供えすると言われています。
仏様との深いかかわり
そうめんは、 仏様が荷物を背負う『ひも』 と 遠くへ帰るときの『手綱』 になるとされています。仏様はお盆のたくさんのお供え物を持って帰ります。
その時に荷物を求めて背負うためのひもとして細長いそうめんが使われると考えられました。また、あの世へ帰る際の手繰り寄せる手綱としてもそうめんを使うとされています。
疫病の予防
古くから、 そうめんを食べることによって高熱を防げる と考えられていました。これは七夕などでもその願いを込めて供えられていました。
そのため、残暑が厳しいお盆でもそうめんを供えることで病気を防ごうとしていたのです。
精霊馬
お盆
精霊馬とは、お盆にご先祖様が乗る乗り物をさしています。主に、
きゅうり
なす
を使って、馬や牛に見立てて作ることが多いです。地域ごとに来る時と帰る時にどちらの動物にするか異なっています。
馬に乗ると素早く移動でき、牛に乗るとゆっくり移動することができます。ご先祖様のことを想い、自分の地域にあった精霊馬を作りましょう。
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お盆のお供え物については以下の記事も参考にしてください。
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お盆の定番料理
お盆
がんもどきの煮物
お浸し
けんちん汁
がんもどきの煮物
材料
がんもどき 10~12個
だし汁 400ml
調味料 醤油・砂糖・みりん 大匙2杯
レシピ
1. がんもどき湯通しし、油抜きをする。水気も切る
2. 鍋にだし汁、調味料を全て入れ、沸騰したらがんもどきを入れる
3. 落し蓋をして中火で10分煮る
4. 火を止め冷やす
お浸し
材料
ほうれん草や高菜など 400g(3㎝幅に切る)
塩 小匙1/2杯
めんつゆ 大匙1杯
レシピ
1. 鍋でお湯を沸かし、さっと茹でる(強火で約1分30秒)
2. 水で色止めをし、水気を絞り器に盛る
3. めんつゆを加え、お好みで白胡麻やかつお節をのせる
けんちん汁
材料
にんじん50g
ごぼう50g(さきがきにしたもの)
こんにゃく100g
舞茸1/2パック
木綿豆腐150g
ごま油 大さじ1杯
だし汁 900cc
砂糖 小匙1杯
醤油 大匙2杯
みりん 大匙1杯
レシピ
1. ごま油で豆腐以外の具材を炒める
2. 豆腐、だし汁、調味料を加え煮込む 灰汁もとる
3. 味見をして味を調える
【コラム】お盆におすすめの料理
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お盆には親戚一同が集まることも多いです。その際、料理を作るのに苦労すると思います。
楽で、なおかつ美味しく喜んでもらえるお盆料理を目指して頑張りましょう
多人数の料理を作る際には、 ちらし寿司 がおすすめです。桶やおひつなどの入れ物に、いくらやカニなどを入れ、さらに錦糸卵やきぬさを飾りつけるととたちまち豪華なちらし寿司が完成します。
色合いもよく、ご飯もあるのでお腹も十分に満たすことができます。また、煮物なども一度にたくさん作れて便利です。
楽で、なおかつ美味しく喜んでもらえるお盆料理を目指して頑張りましょう
ご先祖様のことを考えたお盆料理を
ここまでこの記事では、
精進料理
お盆料理のお膳立て
お盆のお供え物
について確認してきました。お盆の料理・お供え物には、様々な縁起物や意味の込められたものが使用されています。
一年に一度、せっかくご先祖様がお家に帰ってくるお盆ですから、マナーをしっかりと守ることで素敵なお盆になるようにしましょう。