タンパク質を食事からとる!健康寿命をのばす高タンパク質の食品リスト
健康で自立した生活ができる期間のことを「健康寿命」と言いますが、健康寿命をのばしていつまでも日常生活に支障なく、健康に生活を送りたいと思う人は多いのではないでしょうか?
この健康寿命をのばすためには筋肉や骨、血液、ホルモンなど、体の様々な組織を構成する上で欠かせない栄養素である「タンパク質」が重要ということが近年わかってきました。
しかし、「毎日しっかりタンパク質を摂りたいけど、どんな食品を選べばいいか分からない…」という悩みをお持ちではありませんか?
本記事では、タンパク質の基礎知識から、不足や過剰摂取によるリスク、具体的なおすすめ食品リストまで、網羅的に解説します。
ぜひ最後まで読んで、あなたの健康的な食生活に役立ててください。
タンパク質の基礎知識
タンパク質は、炭水化物や脂質と同様に、生命維持に不可欠なエネルギー源となる三大栄養素の一つです。1グラムあたり4キロカロリーのエネルギーを生み出します。
さらに、タンパク質は筋肉や皮膚、臓器、骨、血液、毛髪などの体の組織を構成するだけでなく、ホルモンや酵素、免疫物質などの重要な機能性物質の生成にも関与しています。
つまり、タンパク質は単に体の材料となるだけでなく、様々な生命活動を支える重要な役割を担っているのです。
現代人のタンパク質不足:その原因と影響
近年の食生活の変化により、現代人のタンパク質摂取量は減少傾向にあることが明らかになっています。1995年から2015年にかけて、1日あたりのタンパク質摂取量は約15グラム減少しており、これは戦後5年目の1950年の水準にまで戻っていることを示しています。
タンパク質摂取量の減少は、肉類の摂取量増加と魚介類の摂取量減少、そして食事量の減少という2つの要因が複合的に影響していると考えられています。
肉類は魚介類に比べて脂肪含有量が多く、タンパク質含有量は少ないため、摂取量が増えてもタンパク質摂取量の増加には繋がりません。
近年では、健康志向の高まりからダイエットや肥満予防を意識し、食事量を制限する人が増えています。食事制限は、タンパク質摂取量の不足にも繋がることが懸念されます。
1日のタンパク質摂取量の目安
1日に必要なタンパク質の量は、性別や年齢、活動量などに応じて異なります。日常生活や仕事で活動的な人は、より多くのタンパク質摂取が推奨されます。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準」では、タンパク質の推奨摂取量は以下のように定められています。(身体活動レベルが通常の人の場合)
- 女性・18〜29歳......65〜100g/日
- 女性・30〜49歳......67〜103g/日
- 女性・50〜64歳......68〜98g/日
- 女性・65〜74歳......69〜93g/日
- 女性・75歳以上〜......62〜83g/日
- 男性・18〜29歳......86〜133g/日
- 男性・30〜49歳......88〜135g/日
- 男性・50〜64歳......91〜130g/日
- 男性・65〜74歳......90〜120g/日
- 男性・75歳以上〜......79〜105g/日
なお、タンパク質の摂取量は体重を用いて算出することも可能です。目安としては、体重(kg)×1.0〜1.5gで計算します。
活動量が少なく、家事やデスクワーク中心の人は「1.0」を、仕事や家事などで活動的な人は「1.5」を掛け合わせると、より適切な摂取量を把握できます。例えば、活動量の少ない体重50kgの人は、50×1.0=50で、1日に約50gのタンパク質摂取が目安となります。
タンパク質豊富!おすすめ食品リスト
タンパク質は、筋肉や骨の形成、ホルモンや酵素の生成など、様々な体の機能において重要な役割を担う必須栄養素です。健康的な食生活を送るためには、タンパク質を十分に摂取することが不可欠です。
タンパク質を豊富に含む食品は数多く存在しますが、特に代表的なものをいくつかご紹介します。
これらの食品をバランスよく摂取することで、タンパク質を効率的に補給することができます。
肉類:タンパク質源として優秀な定番食材
タンパク質を豊富に含む肉類は、健康的な食生活に欠かせない食材です。
しかし、部位によっては脂質の含有量が高く、摂取量に気を配る必要があります。鶏肉は、皮を取り除くことで簡単に脂質を減らすことができます。
脂質の摂取量を抑えたい場合は、油を使った揚げ物や炒め物ではなく、茹でる、蒸す、煮るといった調理法がおすすめです。これらの調理法は、素材本来の味を生かし、ヘルシーな食事になります。
魚介類:DHA・EPAも豊富!健康的なタンパク質源
魚介類は、タンパク質が豊富であるだけでなく、DHAやEPAなどの体に良い不飽和脂肪酸を摂取できる優れた食材です。
特に、しらす干しや桜エビは、手軽に購入できるため、毎日の食事に取り入れやすいでしょう。
魚介類の中でも、タンパク質含有量が特に多いのは、たたみいわしです。100gあたり75.1gのタンパク質が含まれており、他の魚介類と比較しても非常に高い数値です。続いて、桜エビ(素干し)が64.9g、しらす干し(半乾燥品)が40.5gとなっています。
一方、マグロやカツオなどの魚類は、タンパク質含有量がやや少なめです。くろまぐろ(赤身)は26.4g、かつお(春獲り・生)は25.8g、しろさけ(生)は22.3gとなっています。あまえび(生)は19.8g、ツナ油漬け(ライト)は17.7gと、タンパク質含有量が比較的低いことが分かります。
卵:高タンパク質で栄養満点!様々な料理に使える万能食材
卵は、ビタミンCと食物繊維以外のあらゆる栄養素を含んでいるため、「完全栄養食」と称されるほど栄養価が高い食品です。卵黄にはビタミンA、ビタミンEが豊富に含まれ、卵白にはビタミンB2、カルシウムが豊富に含まれています。
肉類と比較して脂肪の含有量が少なく、スープやサラダに加えるだけでもタンパク質を効果的に摂取することができます。
なお、卵の種類によってタンパク質含有量が異なりますので、ここで紹介します。
- 卵黄(生)......16.5g
- ピータン......13.7g
- うずら卵(生)......12.6g
- 全卵(ゆで)......12.5g
- 全卵(生)......12.2g
乳製品:カルシウムも豊富!タンパク質補給におすすめ
タンパク質豊富な乳製品は、50代以上の女性にとって特に重要なカルシウム源です。
加齢に伴いカルシウム不足のリスクが高まるため、積極的に摂取することで骨粗鬆症などの予防に役立ちます。牛乳には、カルシウムの吸収を促進するカゼインホスホペプチドや、鉄分の吸収を助けるラクトフェリンも含まれており、健康的な骨の維持に役立ちます。
乳製品の中でも、チーズは特にカルシウム含有量が高いのが特徴です。
種類によって含有量は異なりますが、パルメザンチーズは特に、他のチーズと比べて非常に高いカルシウム含有量を誇ります。
- パルメザンチーズ......44.0g
- チェダーチーズ......25.7g
- プロセスチーズ......22.7g
- カマンベールチーズ ......19.1g
- モッツアレラチーズ ......18.4g
- クリームチーズ......8.2g
ヨーグルトも、カルシウムを効率よく摂取できる乳製品です。
無糖・無脂肪タイプのヨーグルトは、100gあたり4.0gのカルシウムを含んでいます。牛乳のカルシウム含有量は100gあたり3.3gなので、ヨーグルトは牛乳よりも多くのカルシウムを摂取することができます。
タンパク質含有量ランキング:効率的に摂取できる食品をチェックしよう
タンパク質を多く含むおすすめの食品を紹介しましたが、中でも特に多く含む食品を上位から順に紹介します。
このランキングを参考に、食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 豚(ゼラチン)......87.6g
- 乾燥卵白......86.5g
- ふかひれ......83.9g
- とびうお(煮干し)......80.0g
- かつお節......77.1g
- たたみいわし......75.1g
- とびうお(焼き干し)......73.4g
- 干しだら......73.2g
- するめ......69.2g
- 田作り(かたくちいわし)......66.6g
- 貝柱(煮干し)......65.7g
- かずのこ(乾)......65.2g
タンパク質不足が体に起こす影響
タンパク質が不足すると、どのような健康上の問題が生じるのでしょうか?
大きく分けて以下4つの問題が生じると考えられています。
- 筋肉量の減少や筋力低下を引き起こし、身体機能の低下に繋がります。
- フレイルと呼ばれる、加齢に伴う身体機能の低下や、サルコペニアと呼ばれる、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下を引き起こす可能性があります。
- 免疫力の低下に繋がり、病気にかかりやすくなる可能性があります。
- 肌や髪の毛のトラブル、例えば肌の乾燥や抜け毛などの問題を引き起こす可能性があります。
年齢を重ねるにつれて、筋肉量は自然と減少していきます。
この加齢による筋肉量の減少と筋力低下は、サルコペニアと呼ばれ、タンパク質不足と運動不足によって、筋肉の分解が合成を上回ることで発生します。
タンパク質を積極的に摂取することは、サルコペニアの予防や改善に効果的であるとされており、十分な摂取を心がけることが重要です。
タンパク質の過剰摂取は体に悪影響!?
タンパク質は、私たちの体にとって必要不可欠なものであることがわかりました。しかし、過剰に摂取すると、かえって健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
一般的には、食事でタンパク質を過剰に摂取しても、大きな健康上の問題は起こらないと考えられています。ただし、慢性腎臓病などの腎臓疾患を患っている場合は、タンパク質の過剰摂取が病気の進行を加速させる可能性があります。そのため、腎臓病患者は医師の指導のもと、適切なタンパク質摂取量を調整することが重要です。
過剰摂取は腎臓への負担増加だけでなく骨粗鬆症のリスクを高める可能性もありますので、注意が必要です。
そして、タンパク質豊富な食品の中には「脂質」を多く含むものも少なくありません。
過剰なタンパク質摂取は脂質の過剰摂取にもつながり、肥満、糖尿病、心臓病などの生活習慣病のリスクを高める可能性があります。
さらに、タンパク質の過剰摂取は、他の栄養素の摂取バランスを崩す原因にもなり、健康に悪影響を及ぼす可能性が高いです。
健康を維持するためには、タンパク質を含む様々な食品をバランスよく摂取し、過剰摂取を避けることが大切です。
特に、持病がある場合は医師に相談して、適切なタンパク質摂取量についてアドバイスを受けるようにしましょう。
タンパク質を効率的に摂取するためのポイント
タンパク質が不足すると、体に様々な悪影響が出ます。
そこでタンパク質不足に陥らないようにするために、どのように摂取していけばよいか、おさえておきたいポイントを解説します。
食事のバランス
タンパク質だけでなく、炭水化物や脂質もバランス良く摂取することが大切です。特に、炭水化物はエネルギー源として、タンパク質の代謝を促進する役割を果たします。
タンパク質の質
タンパク質は、アミノ酸の組み合わせによって質が変わります。動物性タンパク質は、必須アミノ酸をすべて含む完全タンパク質です。
一方、植物性タンパク質は、必須アミノ酸が不足している場合がありますが、適切な組み合わせによって補うことが可能です。
摂取タイミング
運動後や就寝前にタンパク質を摂取すると、筋肉の合成を促進する効果が期待できます。
また、食事の回数を増やすことで、一度に摂取する量を抑え、消化吸収を効率的に行うことができます。
個々のニーズに合わせた摂取量
タンパク質の必要量は、年齢、性別、活動量などによって異なります。
運動強度が高い人や筋肉を増強したい人は、より多くのタンパク質を必要とします。
アレルギーに注意する
卵、牛乳、大豆などのタンパク質は、アレルギーの原因となる可能性があります。
アレルギー症状が出た場合は、摂取を中止し、医師に相談してください。
これらの点に注意しながら、効率的にタンパク質を摂取しましょう。
良質なタンパク質を意識して摂取しよう
タンパク質は、様々なアミノ酸が結合して構成されています。
食品や飲料に含まれるタンパク質は、アミノ酸の構成によって体内での利用効率が異なるため、効率的に摂取するためには質の高いタンパク質を選択することが重要です。
質の高いタンパク質とは、アミノ酸がバランス良く含まれているタンパク質のことです。
食品中の必須アミノ酸のバランスの良さを示す指標として「アミノ酸スコア」があります。このスコアをチェックすることで、質の高いタンパク質かどうかを判断できます。
参考までに、一部食品のアミノ酸スコアを紹介します。
- 鶏肉・豚肉......100
- 鮭......100
- いわし、あじ......100
- かまぼこ......100
- 大豆......100
- ブロッコリー......80
- じゃがいも......73
- 玄米......68
- 白米......65
- りんご ......56
- キャベツ ......53
- トマト ......51
- アーモンド......50
- 小麦粉......44
朝食でタンパク質をしっかり摂るメリット
朝食は、1日の始まりに重要な食事です。
忙しい朝は、食事を抜いてしまう人も多いですが、朝食を抜くと、必要な栄養素を十分に摂取することができません。
特にタンパク質は、筋肉や臓器の維持、修復に欠かせない栄養素です。朝食をしっかりとることで、1日に必要なタンパク質を効率的に摂取することができます。
タンパク質は、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など、様々な食品に含まれています。
これらの食品を朝食に取り入れることで、効率的にタンパク質を摂取することができます。
例えば、卵焼きや納豆、ヨーグルトなどを朝食に食べると、手軽にタンパク質を補給できます。
タンパク質をしっかり摂取することで、健康的な生活を送るために必要なエネルギーを供給し、筋肉や臓器の働きを維持することができます。
朝食を抜く習慣がある人は、ぜひタンパク質を意識して朝食を食べてみましょう。
プロテインを活用して効率的にタンパク質を補給
食事だけで十分なタンパク質を摂取するのが難しい場合は、プロテインや健康食品などのサプリメントを活用することで、効率的にタンパク質の摂取量を増やすことができます。
他の記事でプロテインの活用について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ
健康的な体作りには、タンパク質の摂取が欠かせません。
この記事では、タンパク質の基礎知識から、不足による影響、効率的な摂取方法まで解説しました。
タンパク質は筋肉量を増やすだけでなく、免疫力向上、美容効果も期待できます。
タンパク質が豊富な食品を積極的に食事に取り入れ、健康的な生活を送るように意識してみましょう。