icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

健康

2024.12.23

「高齢者の家庭内事故が不安」
「家庭内の安全対策をしっかりして、事故を防ぎたい」
「家族として何ができるの?」

こう考えている方に向けて、この記事では家庭内で起こりやすい高齢者の事故の具体例と原因、効果的な対策方法について徹底解説します。

実は、家庭内事故や不慮の事故による死亡者数は、交通事故死を上回り、2009年以降毎年30,000人を超えているのです。
高齢になると、判断力や身体機能、反射神経が低下するため、事故のリスクはどうしても高くなります。

そのため、高齢者の家庭内事故を防ぐには、家族のサポートが欠かせません。
この記事を通して事故の原因と対策を知り、安心・安全な環境を整えることで、高齢者に長く元気で過ごしてもらいましょう。

高齢者の「家庭内事故」は対策で防げるパターンが多い

「家庭内事故」とは、自宅のリビングや廊下、浴室、トイレ、庭など、日常生活を送る空間で生じる事故のことです。
火災や地震、台風などの災害による被害が含まれることもありますが、そういった大きな規模だけが家庭内事故ではありません。
例えば、浴室で滑って転んだり、階段から足を踏み外して落下したりといった、日常のちょっとした不注意が原因となる事故も多いのです。
実は、このような日常的な事故の件数は交通事故を上回ることがあり、死亡事故につながるケースもあります。
内閣府が公表している「平成30年版高齢社会白書」によると、「65歳以上の方の家庭内事故死の割合が最も高い」とされており、他の年代よりも多発しやすい傾向にあることがわかります。

中でも居室内での事故が約45%を占めており、その割合が非常に高いことが特徴です。
こうした家庭内・不慮の事故で亡くなられる高齢者が増加した背景には、高齢者の人口増加が大きく関係しています。

少子高齢化が進む日本では、今後も家庭内事故による高齢者の死亡者数が増えることが懸念されているのです。
こうした家庭内事故は、日常の些細な動作や不注意が引き金となることがほとんどです。
特に高齢者は筋力の低下や注意力の減少により、転倒や誤飲、火の事故などのリスクが高まります。

事故を完全に0にすることは難しいですが、しっかりと対策をしておけば、そのリスクを大幅に減らすことはできます。
加速し続ける高齢化社会に適応し、高齢者が安心・安全に過ごせる環境づくりが、今後ますます求められるでしょう。

家庭内事故の原因は?具体例を紹介

それでは、家庭内事故の原因は何なのでしょうか?
主な原因は、住環境の不備や健康状態の低下が大きく影響しているのです。

例えば、段差や滑りやすい床、高所での作業はもちろん、視力や判断力の衰えから調理中や食事中の事故も増加しています。具体的にどのような事故が多いのか、次で詳しく見ていきましょう。

1番多い家庭内事故は転倒・転落事故

独立行政法人国民生活センターの報告によると、高齢者の家庭内事故で最も多いのが「転倒・転落事故」です。

全体で約6割を占めており、この傾向は年齢に比例して上がっていきます。
特に、リビングや廊下、階段での転倒が頻繁に発生しています。
主な原因としては、以下の点が挙げられます。
・ 床に置かれた物につまずく
・ 段差や敷居でバランスを崩す
・ 足元が滑りやすい環境
・ こたつの布につまづく
・ 立ち上がる際によろめく
転倒が原因で骨折や寝たきりになるケースも多く、生活の質を大きく下げてしまう可能性があります。

若い世代では、段差や敷居、ちょっとした布などは「当たり前の環境」であり、気に留めないことがほとんどでしょう。しかしながら、高齢になると足腰が弱くなるため、わずかな障害物や環境の変化でも、転倒につながりやすいのです。

若い世代が「問題ない」と思う場所こそ、高齢者にとっては危険な場所となり得ることを理解し、年齢や身体機能に合わせた対策をしましょう。

浴室での転倒や溺水が重大な事故にケースに繋がる可能性

浴室は家庭内で最も危険な場所の1つです。
浴室内での事故は、重大な事故につながりやすいと言われています。
東京消防管内のデータによれば、初診の約9割が重症と診断されており、その深刻さが伺えます。

実は、高齢者の場合は、交通事故よりも浴室内の事故の方が死亡者数が多いのです。
浴室での事故の主な原因は、滑りやすい床や急激な温度変化による血圧の変動で、これが転倒や溺水を引き起こします。
特に冬場は「ヒートショック」による事故が増え、高齢者にとって命に関わる重大な事故となることもあります。

たった1度きりの事故が、寝たきり状態になってしまったり、最悪の場合命を落としてしまったりすることもあるのです。
高齢者は感覚が鈍くなっている可能性もあるので、家族が細心の注意を払い、徹底的に見守るようにしましょう。

死亡者数は誤食・誤飲もしくは窒息が最も多い

高齢者が食事中に誤って食べ物を飲み込み、窒息する事故も多発しています。
死亡者数が最も多いのが窒息死であり、中でも食べ物による喉つまりが約半数を占めているのです。

特に餅や団子などの噛みにくい食べ物は、喉に詰まりやすく非常に危険です。
高齢になると嚙む力や歯の機能、嚥下機能が低下してしまいます。
また、誤って漂白剤や除草剤といった薬剤や異物を飲み込んでしまう誤飲事故も増えており、注意が必要です。

家族は高齢者の判断力が低下していることを認識し、食事も工夫を凝らして、安全に配慮することを心がけましょう。

これで安心!高齢者を家庭内事故から防ぐ対策

高齢者の家庭内事故は多くの家庭が抱える悩みの1つであり、階段や浴室、トイレでの転倒、誤食・誤飲、窒息、溺死などさまざまな原因があります。

高齢者の家庭内事故を完全になくすことは厳しいかもしれませんが、それでも未然に防ぐことは可能です。ここでは、おすすめの対策方法を紹介します。

手すりを配置して転倒防止

転倒事故を防ぐために、手すりを設置することが効果的です。
廊下や階段、浴室など転倒の危険が高い場所に手すりを取り付け、足元には滑り止めマットを敷きましょう。
また、段差をなくし、動線を安全にすることも重要です。
【手すりの配置がおすすめの場所】
・ 浴室
・ トイレ
・ 階段
・ 廊下
・ 玄関
その他に、「足元に照明をつける」、「滑りやすいスリッパは履かない」なども転倒防止になるでしょう。

高所作業は絶対NG

高齢者が椅子や脚立を使って高い場所の物を取るのは非常に危険です。
高所作業は家族が代わりに行いましょう。

また、日常的に使う物は手の届く位置に置くなど、生活環境を工夫することが大切です。
どうしても本人が高所にのぼらなければならない場合には、単独での作業は必ず避け、ペアを組むなど安全対策に努めましょう。

寒暖差や血圧の変化に要注意

浴室やトイレでは、急激な寒暖差が血圧を変動させ、ヒートショックを引き起こす可能性があります。
特に冬場は、事前に脱衣所や浴室を暖め、温度差を小さくするよう心掛けましょう。
【ヒートショックを防ぐおすすめの対策】
・ 浴室・脱衣所を暖めておく
・ 入浴前後に水分補給
・ 食後1時間以内は入浴を避ける
・ お酒を飲むのは入浴後
・ 浴槽の温度を38℃~40℃に設定する
・ 長湯はNG
・ 浴槽から急に立ち上がらない
定期的に健康診断を受け、血圧や体調の管理も忘れずに行うことも重要です。

食事中は話しかけない!誤飲・誤嚥を防ぐ

高齢者が食事中に会話をすると、噛むことがおろそかになり、誤嚥や窒息の原因になります。
高齢になると唾液の分泌が少なくなるため、飲み物を流し込むことで、喉を湿らせることがポイントです。

食べている最中に話しかけられることにより、噛むことが疎かになってしまうため、周囲の十分な気配りも求められます。

また、餅や団子などの食べ物は小さく切って食べることが大切です。
高齢になると唾液の分泌が少なくなるため、飲み物を流し込むことで、喉を湿らせることもポイントです。

会話を交えながら楽しく食事をしたい気持ちも理解できますが、高齢者のためを考えれば、なるべく話しかけるのを控え、食べることに専念させてあげましょう。

火の見えづらさが引き起こす危険!高齢者の調理時の安全対策

高齢者は視力の低下から、ガスコンロの青い火が見えづらくなることがあります。
「火をつけたまま鍋を動かす」「ガスコンロに近づきすぎる」などの行動が着衣着火事故につながる危険性があります。

調理中は、袖口や裾が広い服を避け、防炎エプロンやアームカバーを使用しましょう。
また、必ず火を止めてから鍋を移動させるなど、火の取り扱いには細心の注意を払うことが重要です。

特に冬場は、マフラーやセーターなど厚手の衣類が燃え移りやすいため、より一層気をつけましょう。

家族の見守りやサービスの活用で高齢の「家庭内事故」を防ごう

高齢者の家庭内事故は、転倒や窒息、調理中の着火などさまざまな形で発生します。
しかし、事前に環境を整え、対策を実践することで多くの事故を防ぐことが可能です。
手すりの設置や食事時の注意、寒暖差対策など、日常生活の中でできる工夫を取り入れましょう。

高齢者の家庭内事故を防ぐためには、家族の見守りやサポートが欠かせません。
毎日見守ることが難しい場合には、見守りサービスやホームヘルパーの活用もおすすめです。
例えば、緊急時に通知が送られる見守りシステムや、生活支援サービスを導入することで、高齢者の安全をより確実に守ることができます。

家族全員で協力し合い、高齢者の安全で暮らしやすい環境を作ることで、「家庭内事故」を未然に防ぎましょう。

RELATED