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健康

2025.03.27

高齢者がわがままになる理由とは?介護疲れを防ぐ対処法とNG対応を解説

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高齢者がわがままになるのはなぜ?
本記事では、わがままの理由や認知症との関係、介護疲れを防ぐ対処法を詳しく解説します。
暴言や介護うつに悩む家族向けに、適切な対応策やNG行動、相談先の情報も紹介。
介護の負担を軽減し、穏やかに向き合うためのヒントをお伝えします。

高齢の家族の介護をしていて、「昔はこんな人じゃなかったのに……」「なぜこんなにわがままになったの?」と感じることはありませんか?

高齢者のわがままに対応し続けることで、介護者が疲れ果て「介護うつ」になるケースも増えています。
限界を迎える前に、対処法を知ることが大切です。

そこで本記事では、高齢者がわがままになる理由や具体的な対処法、介護者が疲れたときの相談先について詳しく解説します。

高齢者がわがままになる理由3つ

高齢者がわがままになる理由としては、主に以下の3つが考えられます。
① 不安やストレスによる影響
② 認知症やうつ病、パーキンソン病などの影響
③ もともとの性格や価値観によるもの
下記に詳しく解説します。

① 不安やストレスによる影響

高齢者は加齢とともに環境の変化に適応しにくくなるため、不安やストレスが原因でわがままな言動が増えることがあります。
<主なストレス要因>
・体力や記憶力の低下による焦り
・住環境や人間関係の変化
・身体の自由がきかず、思うように動けない苛立ち
これらの不安から依存心が強まり、要求がエスカレートすることがあります。

② 認知症やうつ病、パーキンソン病などの影響

認知症や脳の病気が原因で、感情のコントロールが難しくなる場合があります。
<疾病ごとの主な症状>
認知症:自分の状態を理解できず、周囲に強く依存する
うつ病:気分が不安定になり、家族に当たることが増える
パーキンソン病:脳の機能低下により、頑固さや怒りっぽさが目立つ
「性格が変わった」「急に怒るようになった」場合、病気の可能性も考慮することが大切です。

③ もともとの性格や価値観によるもの

高齢者のわがままは、元々の性格や価値観が影響していることもあります。
<影響を与える要因>
・頑固な性格の人は、介護されることに抵抗し、要求が多くなる
・若い頃に周囲をコントロールしていた人は、年を取っても指示を出したがる
・自己中心的な価値観を持っていた人は、相手の負担を考えず要求する
「もともとの性格」+「加齢による不安」等が組み合わさり、わがままな言動が目立つようになると考えられます。

高齢者のわがままに介護疲れとなる人が急増中

高齢者のわがままに対応し続けることで、介護する側の心身の負担は増加します。
結果として、介護者自身がストレスや抑うつ状態に陥ることも少なくありません。

ここでは、実際にわがままな言動に悩まされたケースを紹介します。

認知症で性格が急変、こんな人じゃなかったのに……

認知症が進行すると、今まで穏やかだった人が急に頑固になったり、攻撃的になったりすることがあります。
<Aさん(50代・女性)のケース>
「母は昔、いつも穏やかで優しかったんです。
でも、認知症になってからというもの、怒鳴ることが増えて……。
些細なことで機嫌が悪くなり、食事が気に入らないとお皿を投げることもありました。

ある日、母が私の顔を見て『誰?』と聞いたんです。ショックでした。
それからは、ますます疑い深くなり、私が食事を出しても『毒を入れているんじゃないか』と怒鳴るようになりました。
『もう母じゃないみたい……』と、心が折れそうです」

わがままへの気遣いに疲れ、介護うつに……

高齢者のわがままに振り回され、常に気を張り続けることで、介護者自身がうつ状態になってしまうこともあります。
<Bさん(60代・女性)のケース>
「義母はとにかく要求が多いんです。
『寒いから暖房をつけろ』『暑いから消せ』、一日中そんな調子で、やっと落ち着いたと思えば『このご飯はまずい』『もっと丁寧に作れ』。
何をやっても文句を言われます。

最初は何とか応えようと頑張っていました。
でも、次第に『私の人生って何?』と思うようになり、気づいたら家から出る気力すらなくなっていました。
夫に相談しても、『仕方ないだろう』と取り合ってくれず……。
夜中に泣いてしまうことも増えました」

わがままに加え、暴言や暴力も……

認知症やストレスの影響で、暴言や暴力的な行動が出ることもあります。
<Cさん(40代・男性)のケース>
「父の介護を始めた頃は、まだ普通に会話ができていました。
でも、だんだんと話が通じなくなり、何を言っても怒鳴るようになって……。

ある日、父の部屋に行くと、いきなり『お前なんか出て行け!』と怒鳴られました。
手を振り上げて、杖で殴られそうになったこともあります。
『こんな父親じゃなかったのに』と思うたびに、胸が痛みます。

それでも、他の家族に迷惑をかけたくなくて、ずっと我慢してきました。
でも最近、夜になると胃が痛くて眠れないんです」

わがままに対応するために介護離職を選択

介護とわがままへの対応に追われ、仕事との両立が難しくなり、やむを得ず仕事を辞める人もいます。
<Dさん(50代・女性)のケース>
「母の介護が始まってから、仕事と家事、すべてを両立しようと必死でした。
でも、母は『私のことをもっと優先して』と言うばかり。
ヘルパーを頼もうとすると『他人に世話なんてされたくない』と怒り出します。

毎日、『仕事に行かないで』『もっと一緒にいて』と懇願され、ついに『もう辞めるしかない』と決断しました。
でも、仕事を辞めたことで収入が減り、生活の不安がどんどん大きくなって……。

最近は、『母のために仕事を辞めたのに、なぜ感謝されないんだろう』と苦しくなります」
高齢者のわがままに振り回されて、介護する側が心身ともに疲れ果ててしまうことは一番の問題です。

これからご紹介する対処法や相談先を参考に、一人で抱え込まないようにしてください。

高齢者がわがまますぎるときの対処法5つ

高齢者のわがままに対応する際は、感情的にならず冷静に接することが大切です。

ここでは、高齢者のわがままへの具体的な対処法を5つご紹介します。

① 共感しながら話を聞く(相手の言葉を繰り返す)

高齢者が「話を聞いてもらえない」と感じると、不満や苛立ちが強くなります。
「そんなわがまま聞けない」と否定するのではなく、相手の言葉を繰り返しながら共感することが大切です。

例えば、「もう誰も私の話を聞いてくれない」と言われたとき、
「そんなことないよ!」と返すと、相手は否定されたと感じてしまいます。

それよりも、「最近、話を聞いてもらえないと感じているのね」と受け止めると、
相手は「分かってくれた」と感じ、気持ちが落ち着きやすくなります。

② スキンシップをとる(安心させる)

高齢者は加齢とともに不安を抱えやすくなります。
特に、認知症が進行している場合、周囲の環境に対する理解が難しくなり、不安が強まることがあります。

例えば、夜中に「帰らなきゃいけない」と玄関に向かう高齢者に、
「ここが家だよ!」と言っても、不安は消えません。

そんなとき、手を優しく握ったり、背中や肩を優しくさすったりするだけで、落ち着くことがあります。

③ 実現可能な代替案を伝える

高齢者の願い(わがまま)が現実的に難しい場合、頭ごなしに否定せず、代わりにできることを提案してみるのもいいでしょう。

例えば、「旅行に行きたい」と言われたとき、「そんなの無理」と即答すると、不満が募ります。
そこで、「遠くには行けないけれど、お風呂に温泉の入浴剤を入れて、温泉気分を楽しみましょう」と提案すると、納得しやすくなります。

また、「自分で買い物に行きたい」と言われた場合、外出が難しければ、
「今度、お店で買い物した気分になれるように、好きなものを一緒にネットで選びましょう」と代替案を出すと、不満が和らぎます。

④ 話題を転換する

高齢者がある話題に強く執着してしまうときは、うまく話題を変えるのも有効な方法です。

例えば、「昔の方がよかった、今は何もかもダメだ」と言われたとき、「そんなことないよ!」と否定してしまうと、さらに不満を募らせることになります。
その場合、「そういえば、昔はどんな映画をよく観ていたの?」と話題を変えると、気分が切り替わりやすくなります。

また、食事のときに「この料理はまずい!」と言われたら、
「そうなんですね。じゃあ、次はどんな料理が食べたいですか?」と質問を変えることで、クレームを収めることができる場合もあります。

⑤ 他人に介入してもらう(介護サービスを検討)

高齢者が家族にばかり依存し、わがままを言い続けると、介護する側の負担が大きくなります。

そんなときは、デイサービス(日中の施設での預かり)や訪問介護(ヘルパー)などの介護サービスを活用し、家族以外の人と関わる機会を増やすことが有効です。

また、ヘルパーを活用すれば、家事や身の回りの世話をサポートしてもらうことができます。
介護を一人で抱え込まず、周囲の支援を活用することも大切な対処法のひとつです。

高齢者のわがままへのNG対応3つ

高齢者のわがままに対処する際、間違った対応をすると、逆に状況が悪化する可能性があります。
ここでは、特にやってはいけないNG対応3つをご紹介します。

① 無視する(放置する)

「疲れたから相手にしたくない」と無視すると、高齢者は「見捨てられた」と感じ、不安や怒りが増すことがあります。

例えば、「誰も話を聞いてくれない」と訴える高齢者に「後でね」と流すと、「どうせ私は邪魔者なんでしょ!」と強い反応を示すことがあります。

さらに、物を投げたり、大声を出したりするなどの行動が見られることも。
短くても「そう思うんだね」と声をかけるだけで、不安を軽減できます。

② 怒鳴りつける(強く叱る)

高齢者はストレス耐性が低く、怒鳴ることで混乱し、反抗的になることがあります。

例えば、認知症の人が同じ話を繰り返すとき、「もう何回も聞いた!」と怒鳴ると、不安が増してしまいます。
逆に「またその話ね、懐かしいね」と穏やかに返せば、落ち着きやすくなります。

怒鳴られることで委縮し、会話が減ってしまうこともあるため、冷静に対応し、不安を和らげる工夫が大切です。

③ 言いなりになる(すべての要求を受け入れる)

「どうせ何を言っても怒るなら…」とすべて受け入れると、依存が強まり、要求がエスカレートしがちです。

例えば、「毎日豪華な食事を作れ」と言われるたびに応じていると、さらに細かい要望が増え、負担が増します。

「全部は無理だけど、週に1回特別な食事を作るね」と、できる範囲で折り合いをつけることが大切です。
無理なく対応し、適切な距離感を保ちましょう。

高齢者のわがままに疲れたときの相談先

介護の負担が大きくなり、「もう限界……」と感じたら、一人で抱え込まずに専門の相談機関を活用しましょう。

① まずは「地域包括支援センター」に相談する

地域包括支援センターは、介護に関する総合窓口であり、高齢者の介護や生活に関する悩みを無料で相談できます。

介護サービスの利用方法や、家族の負担を軽減するための方法について、一緒に考えてくれます。

<相談できること>
・介護サービスの利用手続きや流れ
・家族の介護負担を軽減する方法(デイサービスやショートステイの活用など)
・認知症や高齢者のわがままへの具体的な対応方法
・在宅介護が難しい場合、施設入所の選択肢についても相談可能
<相談の流れ>
・市区町村のホームページで近くの地域包括支援センターを探す
・電話または訪問予約をする(直接訪問も可能)
・現在の介護状況や悩みを伝え、どんな支援が受けられるか相談する

まとめ

高齢者がわがままになるのは、不安やストレス、認知症、もともとの性格などが影響しています。
介護疲れを防ぐためには、適切な対処法を取り入れることが重要です。

共感やスキンシップ、代替案を活用し、無視・怒鳴る・言いなりといったNG対応は避けましょう。
また、介護者の負担を減らすために、相談機関や介護サービスを積極的に活用することが大切です。

介護は一人で抱え込まず、周囲のサポートを得ながら向き合いましょう。

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