老後のイメージができてますか?
高齢者 学習
「 老後資金 」
このご時世もっぱら耳にする単語でしょう。
耳にすれば不安に感じるものの、あまりしっかり考えたことはない、という方は多いのではないでしょうか。
どなたでも、一度自身の老後をイメージしてみることを強くオススメします。
近年、平均寿命や健康寿命が延びた影響で、定年を過ぎても働き続けるという方の数は増えてきています。しかし、一般に定年を迎えれば仕事をやめて老後を過ごす人が多いでしょう。
働いている時は毎月の給与があるので、日々の生活に困ることはありませんが、定年を迎えるて仕事をやめると、今まで定期的に得ていた給与はなくなり、 預貯金や年金 から生活費を捻出することになります。
ですが実際問題、年金のみに頼って生活することは困難であるケースが多く、老後資金は定年前の働いている現役世代のうちからきちんと考えておくことが必要なのです。
老後資金はいくら必要?
金額
それでは、老後資金としては一体いくら用意しておけば安心なのでしょうか。
老後資金2000万円問題
老後資金と聞くと、「2000万円」と出てくる人も少なくないはずです。
金融庁が2019年6月3日に公表した、金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』に、 夫婦の老後資金には2000万円必要 といった旨が記載されており、その内容が大きく取り上げられて話題になったものです。
この報道に不安や驚きを感じた人もいるはずです。
この2000万円という金額がどのように算出されたものなのか、本当に2000万円で足りるのか以下で考えていきます。
なお、老後2000万円問題を始めとした年金問題に関しては以下の記事もご覧ください。
年金問題とは?老後2000万円問題や国の対策に関して解説
第三人生編集部
老後資金の算出方法
ここでは、「 高齢者無職世帯 」すなわち、夫の年齢が65歳以上・妻の年齢が60歳以上で、夫婦のみの無職世帯を前提として考えていきます。
総務省「家計調査報告」では、高齢無職世帯の公的年金を代表とする社会保障給付は、1ヶ月に約19万円とされています。また、1ヶ月の支出は約27万円です。
そのため、月々の不足分は
27万円−19万円=約8万円
年間の不足分は、
8万円×12ヶ月=約96万円
となります。
これを元に必要な老後資金を計算すると、老後期間が20年であれば 1,920万円 、25年であれば 2,400万円 となるわけです。
しかし、実際の支出は単純な生活費のみではなく、家をリフォームしたり自動車を購入したり、お医者さんにかかったりなどの費用を加えていくと老後資金は3,000万円程度と言えるかもしれません。
この金額は 定年を迎える年齢 によっても異なってきますし、もちろん 寿命 なども影響してきます。
そのため、ここで算出された3,000万円や、金融庁によって公表された2000万円とあくまでも目安と考えるほかありません。
30代からできる老後資金の貯め方
お金 鍵
30代は、20代に比べて仕事も安定し、もしかしたら結婚、さらには子どもも生まれているかもしれません。
この時期は、家のローンの返済や子供の教育費といった部分を優先するあまり、老後資金のことまで考えていられないと感じる方も多いかもしれません。
ですが、30代は老後まであと30年近くの長い期間があり、老後の準備を始めるにはとても良いタイミングなのです。
ここでは30代からの老後資金の貯め方について紹介します。
預貯金
低解約返戻金型終身保険
個人年金保険
確定拠出年金
30代の老後資金【預貯金】
万が一に金融機関が破綻してしまった場合にも、預金保険機構によって1金融機関・1預金者について、1,000万円までの元本・その利息の両方が保護されるといった、 元本保証 が特徴的です。
それに加えて、手軽に始めやすく、自由にお金の出し入れが出来ることも挙げられるでしょう。
30代の老後資金【低解約返戻金型終身保険】
これは、若い間には万一の死亡保障として、使わなければ老後は解約をして返戻金を得るといった考え方が可能です。
終身の死亡保障 が得られるほか、 生命保険料控除 によって税金が安くなるなどのメリットが存在します。
30代の老後資金【個人年金保険】
まさに老後のための保険と言えるものです。
確実に貯められる 老後資金形成のための保険であること、 生命保険料控除 を受けられることなどが挙げられます。
30代の老後資金【確定拠出年金】
個人年金と同様、私的年金の1つとして、自身で年金積立金を運用するというものです。
確定拠出年金には、自身で掛金を支払う 個人型 と、企業が掛金を支払う 企業型 があり、個人事業主や自身の勤め先が制度を導入していなければ、 個人型 へ加入することになります。
特筆すべきメリットは、 掛金額が全額所得控除 になる点でしょう。
40代からできる老後資金の貯め方
お金
40代は、30代に比べて仕事面でより一層の責任を担うようになっている人も多いことでしょう。
30代に引き続き、住宅ローンの返済や子どもの教育費が、むしろ30代以上に大きく膨らんでいる時期かもしれません。
日々の生活を過ごしていくのに精一杯で、老後の貯蓄どころではないと考えている人も少なくないことでしょう。
しかし、40代は約20年後に迫った自身の老後の準備を考え始める時期にきていると言っても過言ではありません。
老後のゆとりのある生活のため、忙しい中に落ち着いて考えてみる機会を用意しても良いのではないでしょうか。
ここでは40代からの老後資金の貯め方について紹介します。
iDeCo
つみたてNISA
iDeCo・つみたてNISAなどといった 定額積立 は、価格が変動する金融商品であっても、一定額を長期間継続購入することによって、自動的に価格変動に合わせて数量調節した上手な買い方が可能になり、 取得価格の平準化 へ役立ちます。
50代からできる老後資金の貯め方
お金
50代は、子供の教育費がピークに達するにも関わらず、収入は頭打ちになっている時期でしょう。
結婚の年齢などによって多少の違いはあるものの、多くの子を持つ世帯では、子供が成長し教育費による出費はかなり膨らんでいるはずです。
その一方、会社員の方であれば収入が頭打ちになってしまったり、そうでなくとも減少してしまう世帯も少なくありません。
これを補おうべく、奥さんがパートで働くき始めるケースが多く見られます。
ここでは、もう一踏ん張りの50代からの老後資金の貯め方について紹介します。
iDeCo
つみたてNISA
50代の老後資金【iDeCo】
iDeCoは、掛金額を自身で 5,000円以上の1,000円単位で選べる 特徴から、まとまったお金を用意できなくても手軽に始めることが出来ます。
さらに、iDeCoの掛金は「 自動引き落とし 」によって資産が積み上がるため、貯金を苦手に感じている方でも、コツコツと貯めることが可能です。
それだけでなく、iDeCoは 受取が60歳以降 のため、つい貯金をおろしてしまうという方にもぴったりの老後資金の貯め方と言えるでしょう。
50代の老後資金【つみたてNISA】
つみたてNISAは、上記であげたiDeCoによく似ています。
まとまったお金がない方や、コツコツ老後資金を貯めたいという方に向いています。
毎月1,000円から投資が可能で、初めての資産運用はにもおすすめ、さらに非課税投資枠は年間40万円の上限、毎月の積立額は1,000円〜33,000円の間で1,000円単位の設定をすることが出来ます。
60代からできる老後資金の貯め方
老後資金
60代以降になると収入は減っていき、働き続けたとしても雇用の延長は65歳まで、それを過ぎると年金の生活になります。
加えて、老後資金に対する不安も募ってくる時期ではないでしょうか。
この60代で、老後資金を運用せず、ただそのまま取り崩していくだけでは老後生活が長く使う中で資金が尽きてしまう可能性もないとは言い切れません。
そうなると、自身で資産を貯めていくしかありません。
ここでは、そんな60代からの老後資金の貯め方について紹介します。
投資信託
NISA
年金繰り下げ受給
60代の老後資金【投資信託】
運用と聞いて多くの人がイメージするのは株式投資だと思いますが、株式にて老後資金を貯めるにはリスクが大き過ぎると考えられます。
そのため、投資経験が少ないという方は 投資信託 から始めることをオススメします。
投資信託は、自身で運用するわけではなく、専門家に任せるものです。少額で良いこと、分散して投資できること、といった魅力があります。
60代の老後資金【NISA】
上記で紹介した投資信託では、売却益や配当益に約20%の税金がかかってしまいます。利益をあげても税金を引かれてしまうというのは少し勿体無い感じがする人も少なくないのではないでしょうか。
その面では、それら税金が 非課税 となる**NISA(少額投資非課税制度)++はとても有利と言えるかもしれません。
60代の老後資金【年金繰り下げ受給】
長生きをすればするだけ、必要となる老後資金が増加していくのは避けられません。少し頭を悩ませてしまう点です。
しかし、その長生きに対応している老後資金が「年金」です。長生きに対応すべく、年金額を増やしていくことはとても有用なのです。
繰下げ受給 をすることによって、年8.4%ほど年金額が増えていきます。例えば、年金を65歳から70歳まで繰り下げるとすれば、年金額は最大42%も増えるのです。
平均寿命の長い女性におすすめの方法かもしれません。
繰り下げ受給に関しては以下の記事もご覧ください。
70歳から年金を受け取るとどうなる?繰り下げ受給や改定に関しても解説
第三人生編集部
老後資金に年金はあてにできない?
年金
老後資金として思い当たるのは、 年金 です。
厚生労働省「平成30年度の新規裁定者の年金額の例」によると、夫婦2人(夫が平均報酬額で40年間就業、妻が専業主婦)、夫婦ともに国民年金で満額保険料を支払った場合に受け取ることが可能な公的年金は平均で月12万9882円となっています。
また、夫が厚生年金加入者かつ標準的な収入で、妻が専業主婦の場合には平均で月22万1,277円となっています。
このように見てみると、国民年金加入者か厚生年金加入者かによって受け取れる金額に大きな差が生じることが分かります。
さらに、現在の国民年金受給者の月の平均の年金額は、平成28 年度末で約5万5000円となっています。
これだけに頼ろうと考えるのはやはり少し不安ではないでしょうか。
【コラム】人生100年時代に求められる生き方
高齢者
現在、多く話題に上がる 人生100年時代 では、これまでとは少し異なった生き方が求められるかもしれません。
そこでキーワードとなるのが「 無形遺産 」です。
リンダ・グラットン教授のは『人生100年時代のキーポイント』というスピーチの中で、
資産というと、お金や財産のことを考えがちですが、高齢になって真の意味で自分を助けてくれるのは、無形の資産です
と述べています。
100年も人生があるのでは、たった1つのスキルや一般的なスキルであっては、長い人生における様々な状況に対応していくのが難しいだろうという話です。
有形遺産 と 無形遺産 、我々はそのバランスに気を配らなくてはならない時代に生きているのかもしれません。
人生100年時代に関しては以下の記事もご覧ください。
人生100年時代をどう生きる?政府の取り組みや老後に与える影響は?
第三人生編集部
多様な老後資金の貯め方
この記事では、高齢化が進む現代において、どのように老後資金を貯めていくべきなのか世代別に解説してきました。
「 人生100年時代 」「 老後資金2000万円 」様々な言葉が飛び交う中で、我々は老後に不安を抱くだけではなく、老後への準備と時代に対応した生き方を模索していく必要があるでしょう。