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お金のこと

2025.03.28

老後資金1億円の生活レベルは?いくらあれば大丈夫?老後に向けた対策

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この記事では、老後資金1億円の生活レベルや、資金を貯めるために今からできることを解説します。1億円があっても安心できない理由についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

「老後資金1億円の生活レベルとは?」「どれくらいのお金があれば老後、安心して生活できる?」と疑問に思う方も多いでしょう。

老後資金が1億円ある場合、最低限の生活なら約36年、ゆとりある生活をするなら約22年暮らせると考えられます。

しかし、人によって必要な生活費は異なり、病気やインフレのリスクもあるため、1億円あれば100%安心とは言い切れません。

老後資金1億円の生活レベルは?

「老後資金1億円」と聞くと、裕福な生活ができるイメージもありますが、実際どのような生活が過ごせるのか気になるところです。

ここでは、特定のデータに基づいた1億円の生活レベルと、1億円で何年ほど暮らせるのかについて紹介します。

最低限の生活なら約36年暮らせる

公益財団法人 生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人に必要な老後の最低日常生活費は、1ヵ月につき平均23.2万円でした。仮に老後資金が1億円の場合、最低限の生活なら約36年暮らせる計算になります。

23.2万円×12ヵ月×36年=約1億円

「令和5年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.14年となっており、定年で退職しても寿命まで暮らせる可能性は大いにあります。

なお、ここでいう「最低限の生活」とは、食費や光熱費など日常生活でかかる費用も抑え、娯楽費などもなるべくかけずに生活する状態のことです。

出典:老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|公益財団法人 生命保険文化センター
令和5年簡易生命表の概況|厚生労働省

ゆとりある生活をするなら約22年暮らせる

公益財団法人 生命保険文化センターの調査では、ゆとりある老後生活に必要な生活費についても調査をしています。

その結果、ゆとりある老後生活費として、最低日常生活費の平均23.2万円に、平均14.8万円が上乗せされた、1ヵ月につき平均37.9万円が求められていることがわかりました。

仮に老後資金が1億円ある場合、ゆとりある生活をするなら約22年暮らせる計算です。

37.9万円×12ヵ月×22年=約1億円

老後生活が何年続くかはわからないものの、ゆとりある生活を続けていると寿命を迎える前に資金が尽きてしまう可能性があるでしょう。

出典:老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|公益財団法人 生命保険文化センター

老後資金1億円必要=1億円の貯金が必要という意味ではない

一万円札
前項では、1億円の貯金があると仮定して計算をしました。しかし「老後資金が1億円必要」という話題は「1億円の貯金を貯めなければならない」という意味ではありません。

ここでは、老後資金1億円に対する誤解や、貯金すべき金額の目安を紹介します。

老後の収入として年金や退職金がある

上記で伝えたように、老後資金1億円=貯金額1億円を表しているわけではありません。老後は公的年金が生活費の軸になり、多くの企業では退職金も受け取れます。
受給できる公的年金の平均額
「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険加入者の平均受給額は1ヵ月につき14万7,360円、国民年金保険加入者の平均受給額は1ヵ月につき5万7,700円です。

平均寿命よりも少し余裕を持たせて老後生活30年と考えた場合、厚生年金保険加入者は総額5,304万9,600円、国民年金保険受給者は総額2,077万2,000円を受給できる計算になります。

退職金の平均額
「令和5年就労条件総合調査の概況」によると、定年退職者における退職金の平均額は大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1,896万円、高校卒(管理・事務・技術職)で1,682万円、高校卒(現業職)で1,183万円です。

参照:令和5年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

貯金すべき金額の目安とは

上記で紹介したデータをもとに、貯金すべき金額の目安を算出してみましょう。

例えば、夫が会社員、妻が専業主婦だった場合、公的年金の受給額は5,304万9,600円と2,077万2,000円を足して7,382万1,600円になります。
そして、夫が大学卒・大学院卒だった場合、退職する際に受け取れる退職金は1,896万円です。

これらの金額を1億円から差し引くと、以下のように721万8,400円が残る計算です。つまり約722万円を貯金できれば、老後資金1億円に到達するといえます。

1億円-(7,382万1,600円+1,896万円)=721万8,400円

「老後資金が1億円必要」とは、自分の貯金額と今後支給されるお金の合計額が1億円あったほうが良い、という意味なのです。

出典:令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省
令和5年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

1億円貯金すればゆとりある生活も現実的になる

仮に1億円貯金できた場合、1億円+(7,382万1,600円+1,896万円)で約2億円の資産を保有することになります。

ゆとりある老後生活に必要な生活費は1ヵ月当たり37.9万円とされていますが、約2億円あればその生活が30年続いたとしても十分暮らせるでしょう。

ただし、公的年金の受給額や退職金額、必要な生活費は人によって大きく異なります。あくまで「ゆとりある生活ができる可能性がある」程度に考えておいてください。

出典:老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|公益財団法人 生命保険文化センター

老後資金1億円でも100%安心とはいえない?注意すべき4つのポイント

頭を悩ます夫婦
老後資金が1億円ある場合、最低限の生活レベルであれば寿命まで暮らせる可能性があります。しかし、100%安心ともいえないのが難しいところです。

ここでは、老後資金が1億円あったとしても注意をしておきたい、4つのポイントを紹介します。

生活レベルが高いことによる消費

老後破産に陥る原因の一つとして挙げられるのが、生活レベルが高いことによる継続的な消費です。

生活レベルは、急に落とすことはできません。「年収が高い企業に所属していた」「裕福な家庭だった」などの場合、老後になっても同じような感覚で生活してしまい、途中で老後資金が不足するおそれがあります。

1億円は大きな金額ではありますが、5年、10年と裕福な生活を続けていると簡単になくなってしまいます。

平均寿命の長期化

「人生100年時代」と呼ばれるほど、日本の平均寿命は長寿化しています。

100歳を超える高齢者は、2024年時点で9万5,119人にものぼっており、平均寿命以上に生きる可能性は大いにあるでしょう。

想定よりも長く生きた場合は、さらに多くの生活費が必要になるため、途中で老後資金が不足したり生活が苦しくなったりするおそれがあります。

病気や事故のリスク

年を重ねるほど病気やけがのリスク、介護が必要になる可能性が高まります。ある日突然、事故にまきこまれる可能性も0ではありません。

病気やけがの場合は治療費や入院費が、介護が必要になった場合は介護サービスの利用料や自宅をバリアフリー化するためのリフォーム費用などが必要です。状況によっては公的な保険制度で賄いきれず、最終的に老後資金が不足してしまうケースもあります。

このようなリスクに備えるためにも、万が一のときのための資金を確保しておく、といった対策をしておくのもよいでしょう。

インフレのリスク

インフレとは、モノやサービスの価格が上がることです。インフレになるとモノを買うときに必要なお金が増える、つまりお金の価値が減ってしまいます。

例えば、物価が毎年2%上昇すると仮定した場合、現在10万円のモノは5年後に約11万円、10年後には約12万円になります。これまで10万円で買えていたモノが、インフレにより買えなくなってしまうのです。

同じように、老後資金が1億円あったとしても、インフレが続くと1億円というお金の実質的価値が下がります。その結果、老後を安心して過ごすにはより多くのお金が必要になる可能性があります。

60代の平均貯蓄額と金融資産1億円を保有する人の割合

「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、60代の平均貯蓄額は2,026万円、中央値が700万円でした(金融資産を保有していない世帯含む)。

ただし、平均貯蓄額はあくまで「平均」のため、一部の方が数値を引き上げている可能性もあります。

また、「2023年(令和5年)調査結果(投資信託全般)」によると、金融資産1億円を保有している人は、調査対象の20~70代いずれも1~2%程度です。

上記2点から、実際に1億円を貯金できている方はかなり少ないと考えられます。

参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)|知るぽると
2023年(令和5年)調査結果(投資信託全般)|投資信託協会

老後資金1億円を貯めるために今からできること

老後資金がいくら必要になるのか定かではないため、「このままでは老後資金が不足してしまうのでは」と不安になる方も多いでしょう。

そこでここでは、老後資金1億円を貯めるために今からできることを紹介します。

生活費を見直す

定期的に生活費を見直して、無駄な出費を減らしましょう。数年前は必要だったものが、現在は不要になっているケースもあります。

現役時代、お金に余裕のある生活をしていた方は、同じ感覚で生活し続けると老後資金が不足する可能性があります。今のうちから、無理のない範囲で生活レベルを下げる意識を持つことが大切です。

生活費のなかでも優先的に見直したいのが、住居費や通信費などの固定費です。一度見直すだけでも節約効果が持続し、支出を削減できます。

年金の繰下げ受給を行なう

公的年金は原則65歳から受給できますが、受給開始時期を遅らせることも可能です。繰下げ受給をすると1ヵ月ごとに受給額が0.7%増額されるため、老後資金の確保につながります。

貯金額が1億円に程遠くても、少し心の余裕が生まれるでしょう。

できる限り長く働く

健康を維持しつつできる限り働くことで、継続的な収入を確保できます。老後へのお金の不安を軽減できるだけでなく、長く働けば生活レベルを下げずに済む可能性も出てくるでしょう。

毎月の収入で生活費のほとんどを賄えれば、年金の繰下げ受給も視野に入れられます。

資産運用をする

老後資金を増やす方法として有効なのが、資産運用です。以下のような資産運用でコツコツ積み立てていけば、老後資金1億円に到達できる可能性を高められます。
iDeco
iDeCoは、老後資金を補うための私的年金制度です。自分で選んだ商品(投資信託など)を自分で運用していきます。

掛金は全額所得控除、運用益や売却益も非課税なのが大きなメリットです。月々5,000円から始められるのも良い点でしょう。

ただし、老後資金の形成を目的とした制度のため、実際に受給できるのは原則60歳以降です。

NISA
NISA(少額投資非課税制度)は、投資によって得られた利益が非課税になる国の制度です。本来は投資で得た利益に対して20.315%の税金がかかりますが、NISAの場合は全額そのまま受け取れます。

iDeCoと違い、NISAは老後資金の形成を目的としたものではなく、売却すればいつでも引き出すことが可能です。

2024年からは、1つの口座で「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用することが可能になり、以前よりも使いやすくなりました。

投資信託
投資信託は、投資家から集めたお金を1つにまとめて専門家が分散投資を行ない、その成果を各投資家へと分配します。少額から始められる、かつ運用をすべてプロに任せられるため、初めて資産運用する方も挑戦しやすいでしょう。

不動産投資
不動産投資は、アパートやマンションを購入して第三者に貸し出し、家賃収入を得る方法です。不動産投資を始めるには、ある程度の資金が必要ですが、ほかの金融商品よりも値動きが少ない分、安定した収入を得やすいといえます。

しかし、安定的に収入を得られるかどうかは、物件選びによっても大きく左右されます。

株式投資
株式投資は、企業の株を購入し、適切なタイミングで売買することで利益を得たり、配当金を得たりする方法です。株を一定数所有していれば、株主優待も受けられる場合もあります。

上手に運用するには専門的な知識が必要なため、初心者には少しハードルが高めです。しかし、株価の動きによっては、高い利回りを実現できる可能性があります。

老後資金1億円あればアーリーリタイアは可能?

自宅でネットサーフィン
なかには、定年前に退職する「アーリーリタイア(早期リタイア)」を検討している方もいるのではないでしょうか。

ここでは、老後資金が1億円あればアーリーリタイアは可能なのかについて解説します。

アーリーリタイア後の収支を計算してみよう

老後に必要な生活費は一人ひとり異なるため、まずは、アーリーリタイア後の収支を計算しましょう。収入では公的年金や退職金、金融資産などが、支出では生活費や住宅ローンの残債、税金などが挙げられます。

アーリーリタイアする年齢によっても、必要な老後資金は変わってきます。退職する時期が早いほど多くの老後資金が必要になるため、その点も考慮するようにしてください。

収支を計算したら、老後資金1億円でアーリーリタイアできるのか、さらに多くの資金を貯める必要があるのかを調べます。

また、重要なのが「老後にかかるお金は生活費だけではない」ということです。介護費用や病気を患ったときの治療費、持ち家の場合はリフォーム費用なども必要になる可能性があります。

すべてを数値化するのは難しいですが、収支がほんの少しプラスになる程度なら、アーリーリタイアは厳しいかもしれません。

アーリーリタイアに成功している人は資産運用している人が多い傾向にある

アーリーリタイアするには、貯金だけでの実現は難しいです。そのため資産運用をすることでアーリーリタイアできる可能性が生まれます。

資産運用は専門的な知識や物事の見極めが必要になるものの、コツコツ資金を増やせる分、リタイアしても安心して暮らせる可能性があるでしょう。

順調にいけば、ゆとりある生活も夢ではありません。

老後資金1億円に近づくために!資産運用のポイント

資産運用を成功させるポイントは、おもに以下の5つです。
• 分散投資を行なう
• 目的を明確にしたうえで取り組む
• リスクとリターンの両方を考慮する
• 余剰資金の範囲内で行なう
• 長期的な目線でコツコツ積み立てる
資産運用は、リターンが高いものほどリスクも高くなります。老後資金1億円を叶えたいからといって、高いリターンの金融商品を狙いすぎたり、生活資金まで資産運用に回したりするのは避けましょう。

長期的な目線でコツコツ積み立てていくのが大切です。

必要な老後資金や貯金額を把握したい方は専門家に相談するのもおすすめ

自分に必要な老後資金を把握するには、将来の収入や支出、想定されリスクなど、さまざまな情報を調べる必要があります。

そのため「どう計算したらいいかわからない」「計算するのが面倒」「結局、今の状況では老後資金は不足するの?」と感じる方もいるでしょう。

自分に必要な老後資金をしっかりと把握したい場合は、専門家へ相談することをおすすめします。

専門家と一緒に情報を整理でき、そのときの状況に応じたアドバイスをもらえるため、老後の不安軽減につながるはずです。

まとめ

老後資金が1億円あるからといって、裕福な生活ができるとは限りません。

むしろ日本の平均寿命は長寿化しており、年を重ねるほど病気やけがのリスク、介護の必要性は高まります。1億円でも足りない可能性は十分あるでしょう。

そのため、早いうちから資産運用などで資金を増やしていくのが理想的です。

貯金すべき金額を把握したい場合は、老後の収支の計算が必須です。疑問点が多い方は、専門家へ相談してみるのもよいでしょう。

■監修者
齋藤 彩(さいとう あや)

独立系FPとして資産運用や保険提案、ローン、住宅購入などの個人向け相談業務を中心に、中小企業への企業型確定拠出年金制度(企業型DC)の導入支援も行なう。また、お金の知識をわかりやすく伝えるため、金融メディアへの執筆・監修活動もしている。
<保有資格>CFP、1級FP技能士

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