ミドル世代(層)とは
ミドル世代は いわゆる「中高年」を指す言葉 です。
ひとくちに中高年と言ってもミドル世代・シニア世代など様々に呼称されています。
明確な基準はなく、その時々の国の情勢や世間のイメージによって呼ばれているようです。
他の世代の呼称
一般的にミドル世代は中年、シニア世代は高年を表し、区別されています。
人の一生が80年ほどだとすれば、ちょうど中間である40代がミドル層と呼ばれる世代です。
シニア世代とシルバー世代は混同しされがちですが、WHOの定義によると、65歳以上の高齢者をシニア世代と呼ぶようです。
しかし これらの呼称は曖昧で、調査媒体、転職やマーケティング業界の定義、言葉の持つイメージで決められることが多い です。
実際にアミューズメントパークやバイキングレストラン等の施設でシニア割が使えるのが60歳からであったり、65歳からからであったりします。
言葉の持つイメージから表される、各世代の年齢は以下の通りです。
ミドル:40~50歳代
シニア:50代半ば~65歳くらい
シルバー:65歳~70歳
ミドルシニアとは
ミドルシニアは 「中高年世代」と捉えられ、おおむね40代から65歳までを指す言葉 です。
主に転職や求人の分野で広く使われる言葉です。
一昔前では考えられなかったことではありますが、人生100年時代と呼ばれる現代では 40代、50代での求人も珍しくなくなりました。
更なるキャリアアップや、次のセカンドキャリアを目指す人へ、単に「中高年」と表記するよりも「ミドルシニア」と言う方が若々しいイメージがあります。
そのため 具体的な年齢の表記よりも、ミドルシニアとすることでポジティブな印象を与える 狙いがあります。
ミドル世代・シニア世代の求人増加の理由
理由
ミドル世代・シニア世代の求人が増加傾向にあり、 それをターゲットにする求人サイトや情報誌も増えてきました。
企業側がなぜ、ミドルシニア世代を採用しようとしているのか、その理由は主に3つあります。
①若手不足だが、人材の年齢幅を広げるため
②経験者募集・即戦力
③人手不足
①若手不足だが、人材の年齢幅を広げるため
超少子高齢社会を迎える日本では、若手労働力の確保がますます厳しいものとなっています。
そのため 人材の年齢層の裾野を広げることで、人材を確保しようという目的 が特に強いです。
組織としては長期キャリアの形成がしにくく、社風になじめるのかどうかの人間関係の問題や、前職との給与水準の比較・交渉など悩ましいところはあります。
しかし今後 組織の5割がミドルシニア世代になるとされている ので、組織としてはミドルシニア世代の活用方法を模索しなければならないのです。
②経験者募集・即戦力
ミドルシニア世代の求人で 最も需要の高いのはやはり、即戦力 です。
これまでは一部のエージェントが行っていたヘッドハンティングがオープンになりつつあり、 経営を推進できるような人材の受け入れが盛んに なってきています。
ミドル・シニア世代向けのハイクラスと呼ばれる求人情報がネット上でよく見られるようになったのも、企業の多角的な挑戦を盛んに行うようになったからでしょう。
一方で 新しい分野に企業が進出するとき、分野が異なるために正当な評価が受けられない問題も あります。
③人手不足
いわゆる 人手不足倒産件数は年々増加傾向にあり、2018年は前年の22%増加 しています。
特に飲食・サービス業界では人手不足が問題になっており、大手コンビニ業界の過酷な労働環境が報じられました。
そのため人手不足を解消しようと、ミドルシニア世代の採用を積極的に行っている例があります。
ミドルシニア世代を採用するメリットは 勤務態度が真面目であること、社会人経験が豊富であるため、言葉遣いやマナーに不安が少ない ことが挙げられます。
ミドル世代シニア世代の境目
高齢者 夫婦
いわゆる「高齢者」の定義がこれまでの65歳から変わりつつあります。
WHOのシニア世代の定義は65歳からですが、ジョギングを日課にしているような若々しい「アクティブシニア」と呼ばれる層もいます。
何歳が境目となるのか
それではミドル世代とシニア世代の境目は何歳なのでしょうか。
大王製紙の意識調査によると、 「ミドル世代・シニア世代の境目は体の不調を感じ気持ちがガクッと落ち込んだとき」という解答が9割近く だったそうです。
ミドルからシニアへ意識が変化する具体的な体の不調は、「尿漏れ」「物忘れ」「難聴」とありました。
この尿漏れが起きやすい年代がミドル世代とシニア世代の境目だと仮定すると、年齢毎の尿失禁を訴える人数が多い、 おおむね75歳がシニア世代の入口 と言えます。
(参考:中高年者における尿失禁に関する調査_第55巻日本公衛誌第7号)
ミドル世代の人口
家族
労働世代とされる15歳から64歳までで、ミドル世代の人口は大きなウエイトを占めています。
2019/9
人数[万人] 割合[%]
15歳~ 604 8.71
25歳~ 1151 16.59
35歳~ 1431 20.63
45歳~ 1623 23.40
55歳~ 1195 17.23
65歳~ 932 13.44
総数 6936 100
総務省労働局のデータを元に作成した表です。
35歳から44歳の年代が大きなウエイトを占めています。
10年前に比べると45歳から54歳の割合が3.4ポイント以上増加し、25歳から34歳の世代は4.2ポイント以上も減少 しています。
若手と呼ばれる世代の労働人口が減少しつつあり、ミドルシニア世代に注目されている理由のひとつです。
転職におけるミドル世代はいくつまで?
疑問
2007年から雇用対策法が改正され、求人の際に年齢を制限するのが原則禁止されました。
雇用対策法10条
「事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。」
そのため 明確にミドル世代、シニア世代を区分するような年齢設定はありません。
しかしこれまでの慣例に従い、転職等の求人市場ではミドル世代は35歳から54歳としていることが多いようです。
一方でシニア世代は、労働力人口(15歳以上65歳未満)の最年長層から、老年人口層である65歳までを指しています。
転職・求人サイトによるミドル世代
ミドル世代、シニア世代の区分は求人を扱う媒体によって異なります。
具体的にどのくらいの差があるのか見ていきましょう。
ミドル世代 シニア世代
エン・ジャパン 35歳~54歳 55歳以上
東京しごとセンター 30歳~54歳 55歳以上
求人ボックス 40代~50代 60代以上
このように僅かですが世代の認識の違いがあります。
ミドルなのかシニアなのか迷いがちな50代は、両方の世代の求人情報をチェックするのが良い でしょう。
ただし年金支給開始年齢が引き上げられ、定年を迎える年齢も上がってきています。
近い将来ミドル世代・シニア世代といった世代の線引きは、より曖昧に拡充されていく可能性もあります。
ミドル世代・シニア世代の求人内容の違い
違い
さてミドル世代・シニア世代にはどんな求人があるのでしょうか。
それぞれの 求人内容の違いは大きく分けて、勤務時間や求められる技術や知識 です。
ミドル世代向け
ミドル世代向けの求人の特徴は以下のようなものがあります。
正社員求人が豊富
フルタイム勤務
プレーヤー及び管理職求人
ミドル世代の求人の多くは、これまで培ってきたキャリアを活かすものです。
そのため 培った技術や知識を存分に発揮してもらうために、正社員求人が多く見られます。
ポジションとしてはプレーヤー、管理職どちらの場合でも活躍の機会が与えられることがあるでしょう。
しかし転職した場合、 一時的に給与が減ることもある ことを心に留めておきましょう。
シニア世代向け
シニア向けの求人の特徴は以下のようなものがあります。
軽作業が中心
短時間勤務可能な案件が多い
ハイクラス求人(企業顧問)がある
定年退職あるいは間近と言うこともあり、正社員での採用は少なくなってきます。
体力的なところを考慮して、 配属も製造補助や商品管理、事務といった軽作業が中心 です。
また短時間勤務可能の案件も多く、家族と一緒に出かけたり、趣味に打ち込んだりなどの余暇も楽しむことができるでしょう。
シニア世代向け求人には、 ハイクラス求人が豊富にあるのも特徴 の一つ。
企業経営のアドバイスをするコンサルタントや顧問といった仕事があり、これまでのマネジメント能力を活かすことができるでしょう。
最近では、エイジレスをはじめとするミドル世代やシニア世代に特化した転職エージェントを運営する会社なども増えてきており、ミドル世代やシニア世代の活躍の場が広がっていっています。
エイジレスが運営するエイジレスメディアには、72歳でスタートアップに転職された男性のインタビューなども掲載されています。
65歳でRubyを習得。航空自衛隊から72歳でスタートアップに転職した人生を聞く。
ミドルシニア世代の活躍の場は広がっている
健康寿命が延び 人生100年時代と言われる昨今、ミドル・シニア世代の活躍の場は広がっています。
その一つが人材市場です。
日本では超少子高齢社会や年功序列の崩壊など、様々な労働問題を抱えています。
その過渡期を迎えている中で、ミドルシニア世代の力が必要とされるのは避けられない
ところです。
しかしマイナスばかりではなく、 長い人生に「働き方」という新しい選択肢に増えたということを楽しむべき でしょう。
40代での転職はもはや当たり前のこと、定年を過ぎて働くのも自己表現の手段です。
今後も元気なミドルシニア世代が誕生するに違いありません。