デジタル遺品とは? 整理すべき理由や生前整理のコツ
デジタル遺品という言葉を聞いたことがありますか?
デジタル遺品についてご存知の方の中には「大切なデジタルデータを残したいけど、整理が大変で、どこから手をつければいいか分からない…」そんな悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、デジタル遺品とは何か、整理の必要性、トラブル事例、具体的な手順、そして整理のポイントまで詳しく解説します。
この記事を読んで、デジタル遺品整理について必要な知識が得て、大切なデータを守りつつご家族にも安心してもらえますよ。
デジタル遺品とは
デジタル遺品とは、パソコンやスマートフォンなどに保存された写真や画像、インターネットで契約した各種サービスの情報やデータ、つまりデジタルデータとして残された個人の記録のことを指します。
近年、パソコンやスマートフォンの普及に伴い、デジタルデータの量は増加しており、デジタル遺品に関する問題も深刻化しています。
しかし、日本の法律ではデジタル遺品に関する明確な定義や扱い方が定まっていないため、トラブルが発生した場合に適切な対応が難しい状況です。
そのため、デジタル遺品に関するトラブルを未然に防ぐためには、デジタル遺品とその重要性について理解を深め、事前に適切な対策を講じておくことが重要です。
デジタル遺品の具体的な種類
デジタル遺品には、パソコンやスマートフォンなどの物理的なデバイスに保存されたデータ(例えば写真やワードやエクセルなどの文書)がありますが、これらのデータが保存されているデバイスは、相続によって所有権が相続人に移ります。
そのため、相続人はパソコンやスマートフォンに保存されている写真や動画にアクセスできます。
一方、インターネットにつながっていることを前提としたデジタル情報もデジタル遺品に含まれます。
例えばX(Twitter)やFacebookなどのSNSのアカウントやメールアカウント、ネット銀行のアカウントなどがあげられます。
運営しているブログやWEBサイト、サーバーやドメインがあれば、それらもデジタル遺品に該当します。
これらは、本人以外がアクセスすると不正アクセスに該当する可能性があるため、遺族は注意が必要です。
デジタル遺品 整理の必要性 トラブル事例も紹介
故人が生前に使用していたデジタル機器やアカウント、データなどは、すべてデジタル遺品と呼ばれます。
近年、デジタル遺品をめぐるトラブルが増加しており、遺族が様々な問題に直面するケースが見られます。
ここでは、デジタル遺品によって発生する可能性のあるトラブルについて詳しく解説します。
ケース1 故人のアカウントが悪用される
悪意のある第三者が故人のSNSアカウントに不正アクセスし、誹謗中傷やなりすましが起こる可能性があります。
アカウントが乗っ取られることで、故人の名誉やプライバシーが侵害されるだけでなく、遺族にも大きな精神的苦痛を与える可能性があります。
故人の個人情報やプライベートな写真、動画などが、第三者に公開される可能性があります。
SNSやオンラインストレージに保存されていた情報が、遺族の意図とは異なる形で公開されてしまうと、プライバシーの侵害につながるだけでなく、遺族の精神的な負担も大きくなります。
故人のデジタル遺品を整理する際に、故人の生前の思い出やプライベートな情報に触れることで、遺族が精神的な苦痛を味わう可能性があります。
特に、故人と親密な関係にあった遺族にとっては、デジタル遺品に触れることが辛い経験になる可能性があります。
ケース2 遺族にとって認識のない請求が来る
故人が契約していたオンラインサービスの利用料金が、解約手続きがされていないために発生してしまう可能性があります。
特に、有料のオンラインサービスやサブスクリプションサービスなどでは、解約手続きがされていないと、遺族に経済的な負担が生じてしまいます。
ケース3 故人のコンテンツが勝手に使われる
故人が著作権や肖像権を持つコンテンツが、遺族の承諾なしに第三者に利用される可能性があります。
著作権や肖像権は、故人が亡くなってもその権利が消滅することはありません。
遺族の承諾なしに、故人の作品や肖像が利用された場合、法的トラブルに発展する可能性があります。
これらのトラブルを防ぐためには、生前にデジタル遺品に関する対策をしておくことが非常に重要です。
次の章で、具体的にどのような対策をすべきか解説します。
デジタル遺品対策 生前整理をしよう!
デジタル遺品は予期せぬトラブルを招く可能性もあり、遺族にとって負担になりがちです。
そのため、デジタルデータは生前整理しておきましょう。
写真や動画などは日頃から整理する
定期的にスマートフォンで撮影した写真や動画などのデータを整理し、不要なデータは削除したり、バックアップを取ったりしておきましょう。
写真や動画といったデジタルデータは、容量が大きくなりがちなため、無制限のストレージ容量を提供するクラウドサービスを利用する方も増えています。
しかし、こうしたクラウドサービスは、アカウントの不正アクセスやデータの漏洩といったリスクを伴う場合があるため、注意が必要です。
特に、本人以外のアクセスが規約違反となる可能性がある点には留意が必要です。
大切な写真や動画データは、クラウドサービスではなく、ハードディスクドライブなどの物理的な媒体に保存しておくことをおすすめします。
物理的な媒体は、クラウドサービスと比べて、データの管理やアクセスをより直接的に行うことができます。
また、クラウドサービスのように、アカウントの不正アクセスやデータの漏洩といったリスクも低減できます。
エンディングノートに重要な情報を書く
家族にアカウント情報やパスワード、デジタル遺品に関する希望などを共有しておきましょう。
家族に情報が共有されていれば、故人が亡くなった場合でも、遺族がスムーズにデジタル遺品を管理することができます。
エンディングノートにパスワードを記録しておくことで、アカウントへのアクセス方法を明確にしておくことが重要です。
故人が亡くなった場合、遺族がアカウントにアクセスできないと、デジタル遺品の整理や削除が困難になります。
生前に定期的に行うことで、故人が亡くなった後に遺族が負担する作業を軽減することができます。
定額サービスの契約を見直す
最近では様々な定額制サービス(サブスクリプション)が出ています。
基本的にこのようなサービスは、解約しなければ自動的に支払いが継続されるため、契約者本人だけでなく、相続人にとっても注意が必要です。
できれば生前のうちにサービスの利用状況や解約手続きを確認し、不要なサービスは自分で解約しておきましょう。
特に、残高が少なくなったことを知らせる通知が届かない場合は、相続人が気づかずに、遺産が減ってしまう可能性があります。
まとめ
デジタル遺品整理は、故人の大切な思い出や情報を守るための重要な作業です。
アカウントの解約・休止手続きやデータの整理など、遺族にとって負担が大きい作業ですが、事前に準備しておくことでトラブルを回避することができます。
この記事では、デジタル遺品整理の必要性と具体的な手順を解説しました。
故人の意思を尊重し、デジタル遺品を適切に整理することで、大切な思い出を未来へつなげることができます。