介護疲れの原因とは?ストレスを軽減し心を軽くする方法を紹介
介護疲れを感じる原因は身体的・精神的な負担や孤立感にあります。本記事では、介護疲れしないための支援サービスを解説し、ストレスを軽減するための具体的な方法をご紹介します。介護の悩みを一人で抱え込まず、介護疲れを和らげるヒントを見つけましょう。
介護に追われる日々のなか「疲れが取れない」「自分だけがつらいのでは?」と感じたら、それは介護疲れのサインかもしれません。
介護は、日々の体力的な負担に加え、要介護者との関係や周囲からの孤立感が重なりやすく、知らず知らずのうちに心身をむしばんでしまうことも少なくありません。
そこでこの記事では、介護疲れの原因やリスクを解説し、心と体の負担やストレスを軽減する方法をお伝えします。
介護疲れを抱え込まず、無理のない介護生活を続けていくためのヒントを見つけてください。
介護疲れとは?
介護疲れとは、介護を行うなかで心身に大きな負担がかかり、疲労やストレスが蓄積した状態を指します。
在宅介護では、移動や入浴の補助、食事介助など、身体的負担が大きいです。加えて、要介護者とのコミュニケーションや介護方針をめぐる家族間の意見の食い違いなど、精神的なストレスが発生します。
また、長期化する介護によって、自分の生活が犠牲になっていると感じる人も少なくありません。
こうした身体的負担や精神的ストレスを放置することで心身のバランスが崩れ、介護疲れに陥りやすくなるのです。
介護疲れの原因とそのリスク
介護疲れの状態を放置すると、体調不良や不眠症、介護うつ(介護が原因となって発症するうつ症状)といった深刻なリスクを引き起こす可能性があります。
ここでは、介護疲れになる原因とそのリスクを解説します。
身体的な疲労とリスク
介護では、移動介助や入浴の補助、車椅子からベッドへの移乗、食事介助など、体を使う作業が多く、日常生活のあらゆる場面で力仕事が求められます。女性や高齢者が介護を行う場合は体力的な負担がさらに大きくなり、腰痛や筋肉疲労を引き起こしやすくなります。
また、トイレ介助やおむつ交換が必要になると、夜中に起きることが増えます。これにより、睡眠不足に陥り、疲れが取れない状態が続いてしまいます。
このような疲労を放置すると、体調不良や不眠症、介護うつ(介護が原因となって発症するうつ症状)のリスクを引き起こします。
精神的な疲労とリスク
長期間にわたる介護で、精神的なストレスが蓄積していきます。
とくに在宅介護では、要介護者の予想外の行動への対応や、介護スタッフとのやり取り、細やかな気遣いなど、日々の生活の中で多くのストレスが発生します。また、家族が介護に非協力的な場合、介護者は「すべて自分でやらなければならない」と一人で抱え込み、精神的な負担はさらに重くなります。
親が認知症の場合は、その症状への対応が精神的な疲労を加速させます。何度も同じ質問をされたり、夜中の徘徊を繰り返すことで、介護者の精神的な疲労はより大きなものとなります。
精神的な疲労を抱え続けると、介護をする気力が失われ、場合によっては「介護うつ」(介護が原因となって発症するうつ症状)へと進行するリスクがあります。
介護者の孤立とそのリスク
現代社会では地域や近所とのつながりが薄れ、親族との関係も疎遠になりがちです。
介護生活が長期化すると、介護者が外出する時間や他者と交流する機会が減少します。
社会とのつながりが薄れると、「自分だけがこんなに苦しい」と孤独感が深まることもあります。
介護に忙殺され自分の趣味や楽しみを後回しにすることで、孤立感はさらに増してしまうでしょう。
介護による孤立状態が続くことは、介護を続ける気力を奪う原因にもなります。
介護疲れのサインに気づくセルフチェック
介護疲れは、自分では気づかないうちに心身へ深刻な影響を及ぼすことがあります。
「なんとなく疲れている」「最近イライラしやすい」といった状態が続いている場合は、今の自分の状況を客観的に見直してみることが大切です。
まずは、以下のセルフチェックリストを参考に、介護疲れのサインが出ていないか確認してみましょう。
・ 介護は独学だ
・ 睡眠不足が続いている
・ 朝起きたときに気分の落ち込みがある
・ 食欲が落ちたり、不規則な食事が増えている
・ 肩こりや腰痛、体のだるさが慢性的に感じられる
・ 周囲に相談できる相手がいないと感じる
・ 小さなことでイライラしやすくなったり、気持ちが不安定になっている
・ 「自分ばかり負担している」と思うことがある
・ 疲れていても休めない状況が続き、趣味や気分転換をする余裕がない
・ 「もう限界かもしれない」と感じる瞬間がある
これらの項目の中で、複数に該当する場合は、介護疲れが進行している可能性があります。
とくに心身の疲労や孤独を感じる場合は、専門家に相談したり、公的支援の利用を検討してみましょう。
自分の気持ちを整理し、家族や友人、介護経験のある人に相談してみるのもよい方法です。それだけでも気持ちが軽くなることがあります。
介護疲れやストレスを軽減する方法
心身ともに大きな負担がかかる介護では、少しでも疲れを軽減することが大切です。ここでは、介護疲れやストレスを軽減するための方法を紹介します。
専門家に相談する
介護疲れや介護によるストレスを軽減するためには、専門家に相談し、適切な支援を受けることが欠かせません。
公的介護保険を活用する場合は、ケアマネジャーに相談して、支給限度額を考慮した最適な介護サービスプランを作成してもらいましょう。ケアマネジャーは介護の専門知識が豊富で、家族が抱える悩みや不安に寄り添いながら、介護状況に合わせたプランを柔軟に調整してくれます。
また、地域包括支援センターでは、介護保険の利用方法や地域の支援サービスなど、適切な介護サービスを提案してもらえます。
専門家に相談することで解決の糸口が見つかることも多いです。
公的介護サービスの活用
介護疲れを軽減するには、公的介護サービスを上手に活用することも大切です。公的介護サービスには、訪問介護やショートステイなどの在宅介護を支援するサービスや、福祉用具貸与や住宅改修費の給付などの経済的な支援があります。
これらの公的支援サービスを利用することで、無理なく介護を続けられる環境を整えることができます。なお、公的介護サービスは介護の度合いに応じて利用できるものが異なるので注意が必要です。
自分の時間を確保し気持ちをリフレッシュする
心身のバランスを保つためには、介護生活が続くなかでも自分の時間を確保し、気持ちをリフレッシュすることがとても重要です。
たとえば、おいしいものを食べる・好きな音楽を聴く・映画を観る・趣味に没頭するなど、自分が心から楽しめることを取り入れてみましょう。オンオフの切り替えを意識的に作ることで、介護疲れを溜め込みにくくなります。
交流会やサロンへの参加
他の介護者とつながりを持つことは、介護疲れやストレスを軽減する大きな助けになります。
交流会やサロン、オンライン介護者サポートグループなどで同じ立場の人々と交流することは、「自分だけではない」という安心感が得られ、孤独感を和らげます。
他者と共感できる場を積極的に利用し、前向きな気持ちを取り戻してみましょう。
介護を自分一人で抱え込まないで
介護を一人で抱え込んでしまうことで心身の疲労が限界を迎え、介護疲れや介護うつ(介護が原因となって発症するうつ症状)を引き起こす可能性があります。それを防ぐためには、「自分一人でやらなければならない」という思い込みを手放すことが重要です。
まずは、家族や職場と現状を共有し、協力を求めましょう。地域包括支援センターやケアマネジャー、公的な介護サービスを活用し、介護の一部をプロに任せてみましょう。
大切なのは「介護は分担できるもの」という意識を持つことです。心に余裕が生まれることで、介護を無理なく続ける環境が整います。
身体的・精神的なストレスが積み重なる介護疲れは、誰にでも起こり得る問題です。介護疲れを予防・軽減するためには、まず自分の状況や気持ちに気づき、適切な対策を取ることが大切です。
一人で抱え込まず周囲に頼り、適切な支援を受けながら、無理のない介護生活を送りましょう。