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葬儀

2024.04.30

お盆にきゅうりとなすで作る精霊馬とは?作り方・処分方法も解説

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お盆に実家に戻られた際、なすやきゅうりに割り箸の刺さった置物を一度は見たことがあると思います。
精霊馬(しょうりょうま)と呼ばれ、ご先祖様の送り迎えをする役目を担います。

今回の記事では精霊馬について、作り方から処分の方法まで詳しく解説していきます。

お盆とは?精霊馬とは?

お盆とは、 ご先祖様の霊をあの世からお迎えし、再びご先祖様があの世で安静に暮らせるよう供養する 行事です。

旧暦か新暦 かで、お盆の期間は 7月15日に行われるか8月15日 に行われるか大きな違いを見せます。
そして、故人が亡くなってから49日経った 忌明け後 は初めて訪れる 新盆 ということで、通常よりも手厚い供養がなされます。

その際、初めてあの世からご先祖様がやってくる、ということなので、道に迷わず帰って来られるように工夫をします。
家の前や玄関、仏壇に 模様のない白の提灯 を飾ります。

2回目以降のはお盆は絵柄の入った 盆提灯 を飾り、同じくご先祖様の道しるべを作ってあげます。

精霊馬とは何か

精霊馬(しょうりょうま) とは、 なす や きゅうり に割り箸を刺して馬や牛に見立てた、お盆の時期のお供え物です。
精霊馬には、お盆に帰ってくるご先祖様を 送り迎えする 役目があります。

きゅうりを 足の速い馬 として扱い、ご先祖様があの世から急いで帰ってこれるようにします。
なすは反対に ゆっくりと歩く牛 と見なします。

あの世を惜しむであろうご先祖様に、せめて帰り道だけはゆったりと帰ってもらうためです。
また、多くのお供え物を持ち帰るためにも牛がふさわしいとされました。

現代ではきゅうりとなすを使っていますが、地域によっては藁(わら)を馬や牛に見立て、飾っていたこともあるそうです。

きゅうりとなすで精霊馬を作る理由

きゅうりとなすをそれぞれ馬と牛に見立てる話をしましたが、なぜこの2つの野菜なのでしょうか。
馬のようにスラリとした野菜や、牛のように量感がある野菜も他にはあるだろうと思われた方も多いと思います。

これには理由があり、きゅうりとなすはご存知の通り夏の野菜です。
そしてこの2つは特別希少というわけでもなく、全国通してどこでも手に入れることができる野菜です。

かつてのお盆では、ご先祖様に旬の野菜をお供えするという意味で、割り箸などを刺さずにそのまま飾っていました。

その名残でいつしか、きゅうりやなすを動物に見立てて飾る風習が出来上がったそうです。

詳しい時代などは不明ですが、こうしてきゅうりやなすが選ばれた理由としては、やはり 夏に普及している旬の野菜 だからということでしょう。

きゅうりとなすを使った精霊馬の作り方

材料は以下の通りです。
きゅうり 1本
なす 1本
割り箸 2組ずつ
手順 説明
一本の割り箸を4等分し、計8本の割り箸を作ります
きゅうりとなすに切った割り箸を均等に刺したら完成です
きゅうりの選び方のコツとしては、「素早い馬」をイメージしたものなので、無駄な部分のない、 しなやかな形 のしたものを選ぶと良いでしょう。

また、真っすぐなものではなく 若干曲がっている きゅうりを選んだ方が、より馬の見た目に近づくのでお勧めです。

なすも同様に、少し曲がったものを選ぶことで動物らしさを演出することができます。

「力強い牛」をイメージしたなすは、通常よりも大きななすを選択することで、ご先祖様も安心してあの世へ帰ることができるでしょう。

お盆での精霊馬の置き方・向き

精霊馬の置き方は 精霊棚(仏壇)を正面から見て右側 に置きます。

精霊馬の向き方に関する正しい答えはありませんが、現在における一般的な向き方をいくつかご紹介します。

迎え盆と送り盆での違い

迎え盆である13日には、外からご先祖様がやって来ることを想定した上で精霊棚の上に 内向き に置きます。
反対に送り盆である16日は、精霊棚からご先祖様が旅立って行くことを踏まえて、 外向き にします。

ご先祖様は東からやってくる

ご先祖様は 東から現世へやってきて、西に向かってあの世へ帰る という考え方があります。
そうした場合、精霊馬を西向き、東向きと置きます。

玄関から入ってくる

帰ってくるときは、生前と同じく 玄関から入ってくる と考えられている場所もあります。
このような考え方の場合は精霊馬を玄関に向かせるのが良いでしょう。

お盆での精霊馬の地域差

関東における精霊馬

関東地方では 「迎え盆」(13日) の朝に精霊馬を作り、ご先祖様をお迎えするのが一般的です。

また、精霊馬の手綱として、 うどんやそば を使用する風習がある場所も存在しています。

迎え盆に関しては、こちらも参考にしてください。

北海道から中部地方の精霊馬

関東とは違い、 「送り盆」(16日) に精霊馬を作り、あの世に帰る手助けをします。

なお、送り盆については以下の記事をご覧ください。

関西から九州の精霊馬

関西や九州にでは精霊馬を作る文化が ほとんどありません 。

西日本から東日本へ移られた方は、この風習を最初見たときに驚かれたかもしれません。

沖縄の精霊馬

沖縄ではご先祖様の移動を手助けするべく、 サトウキビ を 「杖」 に見立てて飾ることがあるそうです。

さらにはゴーヤやとうもろこしを馬や牛に見立てることもあり、お盆の一つを取るだけでも沖縄の風土が感じられます。

お盆後の精霊馬の処分方法

いつ処分するべきか
お盆の期間が16日までですので、ご先祖様があの世に帰り終えた 17日 に処分するのが一般的な正しいタイミングとされています。

地域の風習によってはお盆の時期が15日で終わるような場合もあるので、事前に期間を把握し、対応することを心がけましょう。

終わった後はご先祖様を惜しむ気持ちもありますが、時期的にも野菜が腐りやすい時期ですので、早めに処分しましょう。

川や海に流してはいけない
昔の日本においては、綺麗な川や海に流すのが一般的でした。
川を下り、海を渡って「あの世」へ帰ることができると信じられていたからです。

しかし、現在では不法投棄や環境問題が騒がれ、 そのような処分方法が安易にできなくなりました 。
では、どのように処分するべきでしょうか。

飾り終わった後、食べてもいいのか
食べ物を粗末にしてはいけないと思い、処分する際料理に使おうとする方も中にはいるかもしれません。
しかし、それは してはいけない行為 です。

主な理由としては、 精霊馬 はご先祖様へのお供え物であるからということです。
送り迎えをする役目を終えたからといって、すぐに食べてしまうことは 無礼 だと見なされてしまいます。

ご先祖様もあの世できっと、悲しまれることでしょう。
そして単純に、夏の時期ですので衛生上よろしくないということも挙げられます。

処分の方法
土に埋める
お寺に処分してもらう
半紙で包み、塩で清めて処分する
土に埋める
家の庭に埋められる場所があるなどの場合は、 土に埋める ことが良いでしょう。
その際ですが、他の人の私有地に埋めたり、公園に埋めることも問題となってしまいますので注意しましょう。

自然に還すことで、精霊馬が来年も気持ちよくご先祖様を送り迎えしてくれることでしょう。

お寺に処分してもらう
場所によっては、お盆で使った飾りの焚き上げを実施しているところがあります。
お盆が始まる前に、近くのお寺や霊園に処分してもらえるかどうかの確認を取ってみると良いかもしれません。

お寺に持って行く際に、精霊馬と一緒の仏壇に飾った 盆提灯 なども一緒にお焚き上げしてもらうと良いでしょう。
お焚き上げに関しては、こちらも参考にしてください。
半紙で包み、塩で清めて処分する
どの家庭でもできる方法として挙げられます。
精霊馬をゴミに出すことに抵抗感がある方ももちろんいるかと思います。

ですが、お盆の期間を守り、感謝の気持ちを忘れずに持つことをすれば問題はありません。

浄土真宗における精霊馬の捉え方

浄土真宗ではご先祖様が帰ってこない
浄土真宗では、お盆になすやきゅうりを飾らないことが一般的です。
浄土真宗の教えによると、亡くなった後すぐに 仏 になるため、供養されることもお盆に帰ってくることもありません。

したがって、帰ってくる霊もないため、 精霊馬を作る必要がないのです 。

浄土真宗はお盆に何をするのか
浄土真宗だから、と言ってお盆に何もしないのかと言うとそういうわけではありません。
浄土真宗ではお盆を 歓喜会(かんぎえ) という名称で呼びます。

ここではご先祖様との 生前の思い出 を語り合い、故人を偲ぶと共に、故人の生き方になぞらえて 自分の生き方を反省する場所 として考える場所となります。

浄土真宗の教えによると、 お盆はご先祖様が残してくださった仏縁の中で、私たち自身が命の喜びをいただくひと時 とされているのです。

浄土真宗はお盆にお供え物をしないのか
では、精霊馬以外の盆提灯などのお供え物もしないのでしょうか。
浄土真宗では お花 をお供えすることが多いです。

お供え物の中でもお花は 「慈愛の心」 を表すとし、仏となったご先祖様がより良い道を歩むことができるような 道標 と考えられてています。

浄土真宗のお盆に関しては、こちらも参考にしてください。

お盆の大切なお供え物、精霊馬

精霊馬とは何か
きゅうりやなすで作る理由
精霊馬の作り方・置き方
地域による違い
精霊馬の処分方法
浄土真宗の場合
今回の記事では精霊馬(しょうりょうま)をこれらの項目に分けて解説しました。
お盆でたまに見る、不思議な置物という認識から、ご先祖様にとっての 大切なお供え物 と見方が変われば幸いです。

正しく精霊馬を作って、1年に1度しかないご先祖様の送り迎えを応援してあげましょう。

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