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葬儀

2024.06.14

霊柩車の役割と地域ごとの風習、知られざる背景とは?

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霊柩車を知っている人、見たことがある人は多いかもしれませんが、霊柩車の具体的な役割や種類、風習などについて詳しく知っている人は少ないかもしれません。
本記事では、霊柩車の基本的な役割から種類や特徴、さらには風習や知られざる背景についても解説します。街で見かけることはあってもよくわからない、そんな霊柩車について理解を深めてみましょう。

霊柩車とは?基本的な役割と車種

霊柩車とは、ご遺体が入った棺を葬儀場から火葬場へと運ぶために使用される特殊な車両です。
一般的には黒色で、車内には故人の棺を運ぶための専用スペースが設けられています。

霊柩車の車種

霊柩車は主に以下の4つに分類されます。
  • 洋型霊柩車
  • 宮型霊柩車
  • バス型霊柩車
  • バン型霊柩車
洋型霊柩車
洋型霊柩車は、セダン型やリムジン型の車両をベースにしたものです。最近ではこのタイプの霊柩車が主に使われています。
欧米風のデザインが特徴で、シンプルかつ洗練された高級感のある外観です。洋型霊柩車は、都市部の葬儀でよく利用されており、最近では環境に配慮したハイブリッド車や電動車も増えています。

宮型霊柩車
宮型霊柩車は、これまでの日本の葬儀で最も使用されてきたものです。豪華な装飾や宮殿のような外観が特徴です。神輿に似た装飾が施され、高級車を改造して作られていますが、とても目立つ外観と死を連想させることから、現在では使用が減少しています。メンテナンスコストも高く、仏式・神式の葬儀には使えるものの、その他のキリスト教などの宗派には適さないため、保有する葬儀社は少なくなっています。利用を希望する場合は葬儀社へ事前確認が必要です。

バス型霊柩車
バス型霊柩車は、雪中を複数の車両で移動する際の負担を軽減するために設計された特殊車両です。車体後部に納棺部を設け、遺族と参列者が一緒に移動できるよう設計されています。従来の霊柩車とは異なり、故人の棺と遺族が同乗できるため、遠距離や降雪が多い地域での使用に適しています。大人数で乗れるため、火葬場の駐車台数が少ない場合や小規模な葬儀に便利ですが、あまり一般的ではないので利用したい場合には葬儀社へ事前に確認しましょう。

バン型霊柩車
バン型霊柩車はワゴンやバンをベースに改装され、黒や白の車両があります。外見は一般車と変わらず、霊柩車と分かりにくいため、病院でも目立たずに使用されることがあります。元々は寝台車として設計されましたが、使い勝手が良く、費用も抑えられるため、葬儀会場から火葬場までの移動にも利用されています。後部座席を半分取り、ストレッチャーを乗せる台が設けられています。

霊柩車と寝台車の違い
霊柩車と寝台車は見た目が似ているため間違われることがありますが、用途が大きく異なります。寝台車は、病院や介護施設などから自宅や別の施設へ患者さんを横たわったまま移送するための車両で、救急車と同様にストレッチャーが設置されています。一方で、霊柩車は葬儀や火葬場へ故人を運ぶための車両であり、故人の棺を運ぶスペースが設けられています。

日本における霊柩車の歴史

日本における霊柩車は、時代とともに変化してきました。霊柩車の発展は、日本人の死生観や葬儀形態の変化を反映しています。ここでは、霊柩車がどのように進化してきたのか、その歴史的背景を詳しく見ていきます。

古代の葬送方法

古代日本において、遺体の運搬は主に人力で行われていました。葬送の際には、故人の遺体を担いで歩く行列が一般的でした。
江戸時代には早桶と呼ばれる桶に故人を座らせるような形で入れ、火葬あるいは土葬する場所へ移動していました。現在では一般的な形である寝棺(故人をあおむけに寝かせた状態でいれる棺)は、ごく一部の身分の高い人のみが収められていました。
やがて荷物を運ぶために使われていた人力荷車が開発され、次第にそちらへ乗せて運ぶことが多くなりました。

近代化と自動車の登場

明治時代に入ると、西洋文化の影響を受け、日本の葬送文化にも大きな変化が訪れました。鉄道や自動車の導入に伴い、遺体の運搬手段も次第に近代化していきました。
大正時代になり自動車の普及が進む中、ついに霊柩車が誕生しました。この時期の霊柩車は、主に改造された乗用車やトラックが使われ、運搬効率が飛躍的に向上しました。
そして霊柩車はさらなる進化を遂げ、専用のデザインが施された宮型霊柩車が次々と登場するようになりました。宮型霊柩車は形が決まっていないので、形や装飾が地域によって特色のあるものでした。

葬儀の変化と霊柩車

都市化が進むにつれ、葬儀の方法にも変化がありました。これまでは「葬列」といった、遺族や地域の人々で行列を作り、遺体を墓地や火葬場まで運ぶ習慣がありました。かつては葬儀の最重要儀式であり、村全体が協力して準備し故人をお見送りしていました。この伝統的な習慣は「野送り」や「野辺送り」とも呼ばれます。

この葬列は、都市部での自動車や路面電車の進行を妨げるとして見られなくなっていきました。そして現在最も主流である、霊柩車で火葬場まで出棺するという形になっていきました。霊柩車自体も時代の流れとともに、維持費をかけず効率よく運用できる洋型霊柩車が一般的になっています。環境に配慮したエコ車両や、自動運転技術を取り入れた新しい霊柩車も登場しつつあります。

霊柩車にまつわる風習

霊柩車にまつわる風習や迷信には、様々なものがあります。ここでいくつか紹介いたします。
霊柩車を見ると厄除けに親指を隠す
これは、古くから伝わる迷信の一つです。親指が「親」を意味し、自身の親を不幸から守るためと言われています。他にも人間の親指には魂の出入り口があるとされ、霊柩車を目にした際に霊が自分に入り込まないように親指を隠す習慣が生まれたとも言われています。

火葬場への往復の道を変更する
式場と火葬場を往復する際に行きと帰りの道を変えます。これは葬列の名残といわれており、身内の不幸は周りの人を引き込むと考えられていました。そのため死霊が後を追ってこないよう道を変えることで追いかけられることを防ぐとされています。

出棺時に霊柩車がクラクションを鳴らす
所説は様々ありますが、故人と最期のお別れの合図とされています。昔の葬儀では参列者が多く、出棺時にも霊柩車が見えない位置にいる人もいました。そのような方に対しも音によって全員に出棺のタイミングを伝えていました。
かつては出棺の際に、茶碗を割る、お寺の鐘を鳴らすなどの儀式がありましたが、その代わりに霊柩車がクラクションを鳴らすようになったとも言われています。

まとめ

この記事では霊柩車について解説しました。
日本における霊柩車の歴史を振り返ると、葬儀の手法や人々の価値観の変遷とともに進化してきていることがわかりました。
今後も技術の進化や社会の変化に伴い、霊柩車はさらに新しい形へと進化していくことでしょう。
霊柩車は故人や遺族にとって大切な役割を果たす車両です。車種や特徴、手配の方法などを理解しておき、特定の霊柩車の利用を希望する場合は事前に葬儀社へ相談してみましょう。  

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